なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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第二巻突入一発目でいきなりぶっ飛ばします。
この小説、クセが強過ぎますが、この章から更に加速します、色んなモノが。
気をしっかり持って見てください。

今回は、この小説内キャラ人気投票をしたら上位に確実にランクインするであろう、
兵藤夫婦が久々のご登場。
そして謎に包まれた兵藤家の日常を少しだけ垣間見れます。
ええ、なんの変哲もない一般家庭ですとも。



じゃ、ダラっと行ってみましょう。


第二巻
『なんやかんやで居候』


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『王はどうしておられる?』

 

『ああ、眠っていらっしゃる』

 

『ふむ、最近は悪魔や堕天使に濃く関わっておられたからな、

 精神的にも疲労が溜まっておられるのだろう』

 

『だがそれは、物語の序盤に過ぎない』

 

『ここからは急速に物語は進んでいくだろう、まるで転がる石の如く』

 

『そうだな、徐々に速度を上げながら、止まることなく……』

 

『まぁ、何が起ころうと我らは我らの成すべき事を貫くのみ』

 

『そう、我らは一つ。 我らは同志』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『『『『我ら、変態道を歩みし者なり』』』』』』』』

 

「ブッ殺されてぇのかテメェら」

 

 

夢の中からこんにちは。

歴代赤龍帝の馬鹿共がタムロしてなんかコソコソしていると思えばコレだよ。

もうガッツリ変態だって認めてるよこの人達。

 

 

『王よ、お目覚めになられたのですか!』

 

「誰が王だコルァ。 それだとなんか俺、変態の親玉みたいじゃん」

 

 

もうヤダー、この人達怖いよー。

起きたら中二病患者、寝ても変態共のお相手って俺過労で倒れそうです。

それとお前ら四天王はまだ出てきちゃダメだって、まだ読者達には刺激が強すぎるって。

なんとかなんないのコレ、ねぇドライグさん。

 

 

『なんとかなるのなら、とうの昔に俺がなんとかしている……。

 誇り高き歴代赤龍帝達が……、なんたるザマか………』

 

 

そりゃそうだ、今回ばかりはドライグの言う通りだ。

 

 

『いずれ歴代赤龍帝の馬鹿共を正気に戻す方法を真面目に話し合おう、相棒』

 

 

そうだねぇ、いくらなんでもコレは酷すぎる。

馬鹿共って言った時、ちょっと感情篭ってたのは気のせいだという事にした。

ドライグが神妙な感じで言ってきた提案に俺は賛成する。

そして意識を現実へ。

目を開けると自室のベッドの上である。

いつもより早く起きて、着替えを始める。

そう、今日は()()()なのである。

 

 

ああそうさ、家庭内において俺達子供が自らの嘆願を通す為の唯一にして最大の難関。

 

――家族会議――。

 

今日の家族会議の議題は……、居候の許可申請である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅん、なるほどねぇ。 アーシアちゃん、だったかしら? 

 身寄りのないアーシアちゃんをウチにホームステイさせたい、と」

 

 

リビングのソファに座っている母が言う。

その隣には父が座っており、

対面して座っているのは事の元凶であるアーシアちゃんとリアスちゃん。

俺はアーシアちゃんが座っているソファの隣に椅子を持ち出し、

そこに座ってお菓子をパリポリ。

 

 

孤児だったアーシアちゃんは頼るツテというものが無い。

生まれ育った自国へと戻る理由も無ければ、アテも無い。

ナイナイ尽くめである。

となればこのまま日本に残るのが当然だ。

それにアーシアちゃんは正式に悪魔?の仲間入りしたらしい。

おい、この娘騙され易過ぎでしょうよ、誰か助けてやれよ。

それでまぁ、リアスちゃんの眷属とやらになったので、

主であるリアスちゃんの傍にいるのが先決。

なので少しの間、リアスちゃんの所で厄介になっていたそうだが、ここで一つ問題が浮上。

 

 

日本にいるという事は、日本の文化、生活に慣れなければならない。

だとするならば、一般家庭に身を寄せた方が、

日本の風習が体に染み付くとリアスちゃんは考えたらしい。

なら両親が揃っている我らが兵藤家はどうだろうか、ってな事になったようで。

 

 

俺は別に問題無い。

アーシアちゃんだったら癒される事はあっても、嫌な事は無いだろう。

てゆうか純真過ぎるから傍に置いておかないと不安。

一人っ子だからねぇ俺、妹が出来たみたいでちょっとテンション高めです。

精神内では変態共、現実では中二病患者、俺の癒しはどこにある?

ああそうさ、無いのなら作れば良いのですよ。

という訳でアーシアちゃんの居候には賛成です。

 

 

「でもねぇ、学校やら日用品やら、他にも女の子には色々と必要でしょう?

 ウチは貧困でもないけど、金銭面は潤ってるってほどでもないのよねぇ」

 

「その点につきましてはご心配いりませんわお母様」

 

 

母の鋭い指摘に対し、リアスちゃんは余裕綽々とした様で返す。

 

 

「アーシアは私の兄が理事長を勤める駆王学園の特別留学生という枠に収まっています。

 その枠に入った生徒は学費及び施設設備費などが免除、

 その上生活支援金まで与えられますわ。

 なので兵藤家の皆様方が金銭面におきまして難儀される事は無いと断言させていただきます」

 

「さすがイイとこのお嬢様ってところね、中々の根性してるわ。

 お金に関しては苦労がかからないとしても、そのアーシアちゃんはどうなの?

 納得してるの? それにウチで上手くやっていける子なの?」

 

 

母の言っている事は全て正しい事だ。

正しく正論でしかないし、普通ならば避けては通れない質問ばかり。

だからこそおかしい。

母の真意が分からない、賛成とも反対とも取れない微妙な反応。

父はというと、さっきから緊張して顔が少し赤く染まっているアーシアちゃんと、

上流階級なだけの気品を惜しげもなく振り撒く上品な雰囲気のリアスちゃんをガン見。

恐らく後で母に折檻されるのではないだろうか、それすら覚悟してこの態度なら、

俺は父に畏敬の念を抱かざるを得ない。

 

 

「もちろんですわお母様。 アーシアはイッセーの事をとても信頼しております。

 この話もアーシアがなるべくイッセーの傍に居たいと言った事こそが始まりです。

 性格は素直で純粋、少々世間知らずな所もありますが何事も一生懸命に取り組みます。

 そしてアーシアの何よりの魅力は優しさです、

 私はこれほど優しい子を見たことがありませんわ」

 

 

リアスちゃんからのベタ褒め評価にますますアーシアちゃんは赤面。

しかし母は話半分にしか聞いていない。

初対面の人の話を何でも鵜呑みにするようなちょろい人なら、俺も父も苦労はしない。

 

 

「イッセー、今の話はどう?」

 

 

母は俺に真意を問いただす。

俺は基本物事を他人事の様な視点で見ているのを見抜いている様子。

まぁ、他人事といっても、あまり物事に興味関心を向けてないだけなのであるが。

あ、寝るのとお金は別ね。

 

 

「うん、性格に関しては俺も同意見。 優しくされるこっちが心配になるほど優しいのは確か」

 

「ほほう、この子にそこまで言わせるとは……」

 

 

なんか目を見開いて俺の方を見るアーシアちゃん。

その後は顔を俯かせ、俺の服の袖をちょっとばかし掴む。

それを見て両親はニヤニヤ、嫌な予感しかしないシリーズの一つですよ。

 

 

「それで? アーシアちゃんはどう? ウチでイッセーと一緒に暮らしたいの?」

 

「は、はい! 私はイッセーさんのお傍に居たいです!」

 

「おーおー、青春してるねぇ。 コイツの何処がそんなに良かったの?」

 

 

微笑ましそうにアーシアちゃんを見る父が、心底不思議そうに問う。

アーシアちゃんは俺の魅力を一生懸命語ろうとして、

最近俺が世間の常識を教えてあげたりした事を話した。

かなり基礎的な事から教えていったので、言えるネタは沢山あるだろう。

それこそお金の単位とそれぞれの価値、ハンバーガーの買い方から自販機の使い方などなど。

 

 

「――他にも、沢山教えていただきました! 

 喧嘩の際は相手の胸ぐらを掴む暇があったら殴る方が効率的とか、

 刃物は刃を横に寝かせないと肋骨に当たって奥まで刺さらないとか、

 いつ奇襲されても対応出来る様に学生鞄の底には、

 鉄板を入れておいた方がイイといった事まで教えていただきました!」

 

「あら、もうそこまで教わったのね。 

 最近の日本は物騒なの、アーシアちゃんは可愛んだから気を付けないとダメよ?」

 

「そ、そんな……、可愛いだなんて……」

 

「………ア、アーシア……?」

 

 

うんうん、アーシアちゃんは極度の世間知らずだからね。

色々と常識的な事まで教えておかないと不安でした。

何故かリアスちゃんは絶句していたが、アーシアちゃんはコチラが何かを教えるたびに、

「凄いです! イッセーさんは物知りなんですね!」と、

キラキラした眼で俺を見てくるので、大変教えがいがあった。

 

 

「他にもね、色々日本では覚えなくちゃいけないことがいっぱいあるのよ?

 例えば、パチンコは自分で当てるんじゃなくて、当たった人のお金を狙うの。

 そうすれば自分は損をせずにお金を手に入れられるわ、コレは宝くじや競馬も一緒ね」

 

「なるほど、お母様は凄いです!」

 

「あらあら、ホントにイイ娘ね。 

 もう、イッセー? コレも日本の常識なんだから教えてあげないとダメじゃない」

 

「ごめんなさい、当たり前過ぎて失念してた」

 

「………私は夢でも見ているの?」

 

 

リアスちゃんは不可解なものでも見るような目だった。

しかし、この様な常識は常日頃からよく使うので、覚えておかなくてはならない必須事項。

すると父は「ならおっちゃんはピッキングの仕方を教えてあげよう」と張り切っている。

うんうん、それも必要な常識だ。

もしポリ公に捕まった時、手錠を外せないと逃げづらいもんね。

ピッキングツールのバレない所持の仕方も教えないと。

 

 

素直でイイ子なアーシアちゃんを気に入ったらしい母は、台所に何かを取りに行った。

父もアーシアちゃんが我が娘になる事を大いに喜び、家庭に華が増えると大賛成。

リアスちゃんはなんやかんやで話が通った事に喜びつつも納得いかないような微妙な表情。

どうしたというのであろうか?

 

 

そしてリビングへと帰って来た母はドンッとテーブルに取ってきたモノを置く。

 

 

「お母様、この大きくて綺麗なお碗みたいなモノは何ですか?」

 

 

底は浅く平べったい形状、外見は黒、中の色は艶やかな紅に桜の花びらが描かれ、

全体を漆塗りされたコレ。

 

 

「これはね、(さかづき)っていうのよ。 

 親兄弟の儀を成す時にはこの盃に入れた酒を分かち飲む事で契りを交わすの。

 俗に言う〝盃を交わす〟って奴ね」

 

「なるほど! でもお母様、私はまだ未成年なのでお酒は飲めませんよ?」

 

「あら、そうだったそうだった、すっかり忘れてたわ」

 

「待ってアーシア、ツッコむべき所はそこじゃないの」

 

 

あらあらうふふと和やかな談笑をする二人。

リアスちゃんは焦った様子でアーシアちゃんを止めていたが、

今日のリアスちゃんはどうしたのだろう?

結局はオレンジジュースで契りを交わし、晴れて兵藤家の一員となったアーシアちゃん。

おい、オレンジジュースで代用しちゃったのかよ、それでいいんだ……。

当分の間は俺がお守りをしなければならないそうだ。

俺の睡眠時間が減ってしまわないかが非常に心配である。

 

 

「しかし、アーシアちゃんは確定的として………、リアスちゃんもか? 

 イッセーの花嫁候補が着々と増えていってんなぁオイ。

 ちったぁお父様にもお裾分けしてくれやバカ息子よ」

 

「俺にお情け貰う前に嫁さん説得するのに励んだら? クソ親父」

 

「バッカ、お前俺に惨殺されろってか? 

 こういうのはバレないようにヤって、背徳感を楽しむもんなんだよ」

 

「アンタの後ろに立ってる人に同じ事言えたら、さっきの話考えたげる」

 

 

あん?っと父が振り向くと、にっこり笑顔の母。

その笑顔とは裏腹に、とんでもない迫力の殺気が辺りに撒き散らされる。

恐らく、数秒後には父の遺体から血やらハラワタやらも撒き散らされるであろう。

ビリビリと空気が震え、家具や食器が犇めくほどの重圧。

雷より速いんじゃないかと思うほどの速度を初速から叩き出し、逃げようとした父だが、

完全に瞬間移動したとしか思えない速度で父に腕ひしぎ逆十字固めをキメる母。

関節技(サブミッション)をキメるまでの過程すら見えないってヤバ過ぎだろ。

 

 

「……花嫁、ね」

 

 

父の断末魔の叫びと母の高笑いの中、消え入る様なリアスちゃんの声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






変態だと認めろ。
あなたはすでに変態だ。
こんなモノ書く奴が変態でない訳が無い。
変態の神だろう。















そんなのは認めません!
作者は正常なのです、ちょっと周りがおかしいだけだもん!
作者自身は普通だもん!
兄が変態なだけだもん!

変態じゃないもん……。



はい、持ち直しましたよ。
ええ、今回は多分人気の兵藤両親の再登場でした。
後書き、何書けばいいんだろう?
感想も少ないので特筆すべきことも無いし、
後書きは数話に一度にします、うん、決定、かな?
うん、決定。


応援のメッセージは結構いただいております、頑張りますよ?
作者頑張ります。
書きたいシーンもチラホラありますし。
よかったら続きも読んでください、これからもよろしくお願いします。











次回は……、喜べ野郎共!
黒歌姉さんの独壇場でお送りだぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
みたいな?
はい、黒歌さんメインです、お楽しみに。



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