なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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今話は作者お気に入り回。


『なんやかんやでお仕事見学』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とあるアパートの一室。

少年一人、少女一人、痩せ型の男性一人。

どういう状況か、説明するならば『悪魔のお仕事見学ツアー』といったところか。

 

 

先日、リアスちゃん、ソーナちゃんに悪魔にはなりたくはない事を伝えると、

 

 

「見学だけでもしてみなさい、下手な先入観も消えるから」

 

 

と、半ば強引に連行されたのである。

そして今日、塔城後輩に依頼が入り、それに同行したという感じ。

今回の依頼人は公務員の森沢さん。

昼間真面目に働いているそうだが、人との触れ合いに飢えていたそうで依頼したとかなんとか。

 

 

本来、悪魔は依頼を受けた場所に移動魔法――魔法陣を通して瞬間移動するそうだが、

今回は俺もいるので魔法陣は使えない。

なんでも、眷属だけしか使えないらしい。

なので俺が塔城後輩を後ろの荷台に乗せてチャリでキコキコ漕いで向かう。

ゆったり行くのが良かったのだが、

あまり待たせるのはアレらしいのでチャリが壊れない程度の速度。

 

 

依頼者のアパートに着き、チャリを適当に止める。

そして俺達は裏手に回る。

悪魔は夜目が発達しているらしく、真っ暗なアパートの裏をスイスイ進む塔城後輩。

だが、真人間の俺はそうも行かず、手探りで歩く。

 

 

依頼者の部屋は二階の一番手前。

自転車を止めた横の階段を登ればすぐなのだが、悲しいことにその階段は使えない。

老朽化の為、あっちこっちが腐っており、

下手に無理矢理登ろうものならバキバキと踏み抜く可能性があるのだ。

もともとこの建物自体も古い。

近所の老害、もといご老人によれば、明治維新の頃には既に建っていたという。

官軍の兵士が便所を借りに来たという目撃情報すらあるのだ。

そんなアホな。

まさかとは思うが、そんな古っちいアパートの階段を踏み抜き、

もしその階段が崩れてしまったら、

建物全体のバランスも崩れ、アパートそのものも崩れるかも知れない。

 

 

――それだけは避けたい――

そう思った大家は新しい木製の階段を、アパートの奥に新設した。

出来上がった階段の登り口はアパートの裏手になってしまったのだ。

どうやら大家の頭も崩れかけらしい。

 

 

「……すいません」

 

 

ピンポーンとインターホンを鳴らす塔城後輩。

悪魔の使いです、と小さいながらもよく通る声で言う。

ドタドタ!

と、けたたましい音が部屋の中から聞こえ、バタン!とドアが開く。

 

 

「…こ、小猫ちゃん……と、誰?」

 

「……悪魔見習いの人です、今日は見学らしいです」

 

「そうらしいんでお気になさらず」

 

 

は、はぁ…、と困りながらの依頼人。

彼が森沢さんである。

ズカズカと俺達は彼のお部屋に入り込む。

困惑しながらも俺達にお茶とお菓子を出してくれた彼は優しい人物のようだ。

 

 

「……依頼は?」

 

 

あむあむとお菓子を食べ、小腹が満足したのか、本来の仕事をやっと切り出す塔城後輩。

俺は今回は黙って見ておく。

 

 

「あ、ああ、小猫ちゃんにコレを着て欲しいんだ!」

 

 

そう言って彼が取り出したのは、コスプレ衣装。

何処かで見た事のありそうな、女子用の制服である。

何かのアニメのキャラのコスプレ衣装の様だ。

塔城後輩がそれを受け取った後、俺達は一旦外に出る。

流石に後輩女子が着替える空間に居座るのは申し訳ないのである。

 

 

「何でコスプレなんですか?」

 

「暑宮アキノシリーズを知っているかい? 

 その登場人物の一人である短門キユの制服なんだ、アレ」

 

 

そう言って彼は携帯でそのキャラの画像を見せてくれる。

塔上後輩はそのキャラとの共通点が多いらしい。

小柄、基本無表情、凹凸の少ない体型、短髪などなど。

塔城後輩を気に入り、そのキャラも好きな彼は是非ともコスプレをして欲しかったらしい。

そしてお姫様抱っこをして欲しいらしい。

 

 

端的に言おう、変態である。

我らが歴代赤龍帝達には敵わないが、立派な変態である。

こういう事を何の臆面も羞恥心も無く、いち女子高生に頼めるとは、

見上げた根性の変態である。

我が精神に蔓延る変態道を極めし猛者達にも「ほう、見所の有りそうな漢じゃないか……」と、

見定めている、否、目を付けられている。

 

 

「しかし、似てますね」

 

「だろう? 僕はね、貧乳フェチなんだ」

 

 

なるほど、生粋の変態という訳か。

何故に今この場で性癖を暴露したのかは謎だが、これほど堂に入ったカミングアウトも珍しい。

まぁ、先輩の中にも似たようなのはいるし、元浜もロリコンである。

これくらいではイッセーくんは動じない動じない。

 

 

「確かにおっぱい無いですね」

 

「ああ、サッパリ無いね」

 

「もはや絶壁ですね」

 

「真っ平らだね」

 

「……死んでください」

 

 

ドアが突然開いたと思えば、ソファーがすごい勢いでこんにちは。

側頭部にとんでもない衝撃が走り、ド派手に吹っ飛ぶ男二人。

どうして彼女は怒っているのだろうか、分からない。

 

 

『そりゃあ怒るだろう……』

 

 

ドライグでも分かるのに俺は分からない。

コレは屈辱だ、人生経験豊富そうな歴代赤龍帝達に聞こうではないか。

はい、一人目どうぞ。

 

 

『貧乳ペロペロ』

 

 

一発目からカッ飛ばして来やがった。

お前マジふざけんなオイ。

それがもし正解なのだとしたらこの世は終わってるぞ。

一瞬でも俺が求めてる答えだと思ったのかソレ。

二人目は?

 

 

『貧乳レロレロ』

 

 

言い方の問題じゃないと思う。

大して変わんねぇじゃねぇかコラ。

一人目に対する俺の返答聞いてた?

それでもなおブッ込んできたの? 死にたいの?

コレなら大丈夫、って思っちゃったの? お前の頭が大丈夫なの?

三人目、頼むぞ。

 

 

『貧乳チュパチュパ』

 

 

グレードアップしやがった。

もはや手に負えるレベルを超越していらっしゃった。

数々の変態達の相手をしてきたこの俺の予想の範疇を上回っておられた。

手の施し様が無いので、とりあえずドライグ共々お仕置きをしようと思います、まる。

 

 

まぁ、それらはともかく、森沢さんは大丈夫だろうか?

俺は結構頑丈な体だが、彼は普通に貧弱そうだ。

 

 

「ううぅ…、い、痛い、でもこれも中々……」

 

 

若干恍惚の表情を浮かべていたので放置。

どうやらこの街には変態か馬鹿しか生息していないらしい。

精神世界で『いいなぁ……』という声が多数聞こえたのは気のせいだと思いたい。

うーん、馬鹿か変態か、どちらかといえば俺は前者だろう。

 

 

ソファーが飛来してきた方を見ると、サイズピッタリのコスプレ衣装姿の後輩女子。

うん、似合っていて可愛いが、こういう依頼は慣れているのか、堂々としている。

ちょっと恥ずかしがってモジモジ…、などという仕草が加われば大儲け出来そう。

秋葉原などで撮影会(写真一枚300円 アングル具合により変動)を開催すれば、

母による絶対王政に縛られた我が家の財政事情の影響で、万年氷河期を迎えている俺の懐も少しは温かみが増すであろう。

後で交渉してみよう、モチロン取り分は俺四割、塔城後輩六割である。

 

 

何はともあれ十分後、部屋では実に奇妙な光景が広がっていた。

感無量といった表情で満足している男性。

ソレを無表情でお姫様抱っこするコスプレ少女。

カメラ片手にその二人を様々なアングルで撮りまくる少年。

傍から見ると、完全に頭のヤバイ集団だった。

俺もとうとうノーマルから外れてきている様だ、全く違和感が無い。

 

 

『元から変だったんだ、違和感など有る訳ないだろう』

 

 

心の中でボソリと呟くトカゲちゃん。

二度と減らず口叩けなくしてやるこの爬虫類め、と固く決意し、

今はこの状況を思いっきり楽しんだ。

 

 

依頼はソレで無事完了。

再び後ろに塔城後輩を乗せたチャリでキコキコ帰還。

部室に帰るとアンケートが届いていた。

依頼終了後、契約が取れようが取れまいが依頼者にアンケートをして貰うらしい。

森沢さんのアンケートには、塔城後輩に対する賛美の句がツラツラと書き連ねてあり、

最後の方には『見習いくんにも期待大!』の文字。

 

 

コレにはリアスちゃんも困った様に微笑み、「お疲れ様」と労ってくれた。

姫島先輩の入れてくれたお茶を啜り、ちょっとほっこりした気持ちになった。

こういう平和な日常も、偶にはいいかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




えー、たくさんの方が木場ちゃんとグレイフィアさんの妹の名を考えてくださいました。
多くあったのは祐希か祐美、そしてグレイフィアさん妹はアルフィニアがお気に入り。
いやぁ、皆様ありがとうございました。 是非とも参考にさせていただきます。

コメントの中に、
『私は原作を知りませんが、これが原作のつもりで生きていきます』
『何かもうこれを一つの二次創作ではなく、オリジナルの小説みたいなかんじでみてます』
というものも………。
なんとも、嬉し過ぎる事を………。
でも原作はコレなんかの千倍は面白いですよ! 身に余るお言葉ありがとうございます!
でも恐れ多いです作者!
キャラの容姿、書いた方がいいですか?

【一 言】
やっぱり作者さんは俺がもらう!異論?拒否権?何それ美味いの?
そんなもん関係ないほどに俺の何かはギュンギュンじゃぁぁぁぁぁっ!!
やらないか♂♀アッーーーーーーー!
【一 言】
最近、男の寝顔見てドキッとしたり、寝てればかわいいなと思ってしまった俺は末期でしょうか?
もし、末期だとしたら、作者、いや、黒鬼さん、責任とってください!
【一 言】
作者さんごめんなさい。あなたが、そんなつらい目にあっていると思いませんでした。私が慰めてあげますから、ベッドにいらっしゃって下さい。恥ずかしがらなくてもよいのですよ?
あなたは、身を委ねてくれればいいだけ。ほ~ら、私とあ~んなことや、こ~んなこと、しましょう?
【一 言】
この小説を見ていて大爆笑していたら、親に汚物を見るような目で見られました。もっとそんな目で俺を見て!
【一 言】
そういえば作者って男?それとも女ですか?まあ、自分はマゾヒストでバイだからどちらでもいいんですがね。それにしても最近は作者に罵られたくて仕方がないんです。どうしたらいいですか?
【一 言】
作者に踏んで欲しい ポッ♡

……ああ、……日本は変態に蝕まれたんだ……。
どんどん…、日本が染まっていく………。
い、いやいや、希望を捨てるんじゃない作者よ。
最近いよいよ自身の貞操が危ないと思えてきたが、まだ、まだ正常な人間がいるはずだ。
ああそうさ、諦めてはいけない。
心だ、心が折れない限り……、作者は負けない!









【良い点】
ギャグが面白い ドライグが可愛い
【悪い点】
作者が恋人になってくれない
【一 言】
姉にゴミを見るような眼で見られた時、気持ち良いと感じました

【一 言】
なんだろう……この感じ……
今までそういう目で見ていなかったのに
最近になって作者さんと一誠きゅん並みに
ドライグが好きになっちゃいそう……/////

はにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
もう無理だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、二人もいたよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
ううぅ、怖いよぅ……、変態さんだよぉ……。

……色々と怖いけど、作者頑張る…!
次回は…、多分、みんな大好きアーシアちゃんでも書きましょうか。
うん、じゃあ、そうゆうことで、さよなら。

ps. 誤字は直しましたです、すいませんでした。

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