なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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今回も番外編。
視点は前回同様、匙くん。
ギャグは少ないですが、お話の展開重視。
こんなバカバカしい野郎達のお話が書きたかったのです。
さて、イッセーくんの出番はあるのか……。


それではダラっと行きましょう。


『なんやかんやで良いトコ取り』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞き慣れないジャズ、コーヒーの良い香り、独特な心地いい雰囲気。

 

 

そう、俺は今、喫茶店にいる。

俺だけではない、松田、元浜も一緒だ。

そして兵藤はいない。

奴は意図的に呼んでいないのだ。

その理由は俺の真向かいに座る、一人の少女。

 

 

彼女の名はカナ。

×□女学院の生徒である。

その中でも彼女はかなりの有名人。

ああそう、彼女は美人なのである。

美人揃いの×□女学院の中でも一、二を争う程の超美人なのである。

何故、俺達がそんな美人といるのか。

答えは、お呼び出しだ。

 

 

「匙くんに会ってみたいです、お時間頂けませんか?」

 

 

初めは疑った。

コレは罠だ、と。

今まで関わりを持った事も無い男を普通呼び出すはずがない。

その上、呼び出されたのは不良としてはまぁまぁ名の売れている俺なのだ。

大人数で待ち伏せして、背後からガツンッ!という可能性も捨てきれない。

そう疑った俺は、待ち合わせ場所である喫茶店に、松田を偵察として向かわせた。

 

 

嫌がる松田を向かわせたのは良いんだが、十五分経っても帰って来ない。

フム、やはり罠か。

一応、念には念を入れ、元浜にも行かせる。

三分後、元浜はヒドく慌てた様子で帰還した。

 

 

「やっぱ罠だったか? 五十人くらい待ち伏せしてたろ、松田の野郎は生きてたか?」

 

「い、いや、ヤンキーは何処にも居なかった! 居たのは松田ととんでもない美人だ!」

 

「な、何ぃ!? アイツめ、おいしいトコ取りしようっつう魂胆か!」

 

 

あのハゲ!と叫びながら、例の喫茶店へと走る俺達二人。

喫茶店に入ると、松田がコチラに振り返り、爽やかな笑みを浮かべながら、

 

 

「おお、松田(・・)! 奇遇だな、お前も来たのか」

 

 

サラッと嘘を吐きやがった。

奴は自分こそ〝匙元士郎〟だと偽っている様だ。

 

 

「よう匙くん(・・・)、ホント奇遇だねぇ……!」

 

 

ギリリと睨みつけてやるが、今日の奴は気合の入れ様が違うらしい。

余裕の笑みで睨み返してくる。

 

 

「ほら松田、挨拶くらいしなさいな」

 

 

スイマセンね、コイツいつもこんななんですよ~、とカナさんに言う匙(偽)。

ああ、松田よ、貴様はそんなに死にたいのか……。

 

 

「へぇ、キミが松田くんね? 今、匙くんから色々お話を聞いてたの」

 

 

少しハスキーな声。

大人びた美人である彼女の魅力を、その美声がより一層惹き立てる。

 

 

「ああ、そう。 色々聞いたんだね、匙・く・ん・か・ら!」

 

 

さて、松田の馬鹿を処刑するのは決定事項として――。

何故この俺、匙元士郎を呼び出したのだろう?

その事についてそれとなく聞いてみると、

 

 

「私、強い人が好きで……、それで匙くんの噂を聞いたから……。

 会いたいな、って思って……」

 

 

と、頬を少し赤く染めて下を向くカナさん。

かなり可愛い。

美人な人がこういう仕草をすると、ギャップの威力が半端ない。

そして、やはり兵藤を呼ばなかったのは正解だった様だ。

奴はバカ強い上に、イケメンなのだ。

「強い人が好み」という女子では一溜まりも無い、瞬く間に惚れてしまうだろう。

だが、その兵藤は此処には居ない、居ないのだ。

もはや俺の天下は決まったも同然。

 

 

「へぇ、強い奴ねぇ……」

 

 

俺達三人は笑いを抑えられなかった。

でもね松田くん、元浜くん。

キミ達も中々強いけど、ボクのが遥かに強いよねぇ、フッフッフ。

 

 

「今、付き合ってる人はいる?」

 

「いないわ。 でも、かなりしつこい人が一人いて困ってるの」

 

 

なるほど、ソイツを殺れば万々歳か。

 

 

「何処のどいつだい? 呼んで来なさい、話をつけてあげようじゃないか」

 

 

三人は拳をパキパキと鳴らして聞く。

今の俺ならそこらのヤンキー十人でも瞬殺出来るだろう。

そう意気込み、カナさんが口から出て来るであろう不届き者の名に集中する。

 

 

「〝カズミ〟っていう人です」

 

「「「うっわ……」」」

 

 

カランカランッとドアの開く音がすると、髪を金髪に染め上げたバカ面が一人入って来た。

噂をすれば何とやら、〝カズミ〟である。

通称カズ。

この男、結構な勢力を誇るヤンキー集団のボスであり、

俺達と敵対している輩でもあるのだ。

手下が五十人程いて、いつも金魚のフンの如く取り巻きを引き連れている。

 

 

昔、奴らと抗争になった事があるのだが、俺達は少数精鋭の俺、松田、元浜、そして兵藤に対し、

五十数人で喧嘩に来た嫌な奴らなのだ。

まぁ、結局その時は、母から緊急(スクランブル)帰宅命令を受信した兵藤が、

一瞬で全員を半殺しにして終結した。

相変わらず、母君の仰る事には絶対らしい。

 

 

「あの人です、あの人がカズミっていう人です」

 

 

知ってますがな。

 

 

「おいおい、今日は一人ぼっちかカズちゃんよぉ?」

 

 

ニヤリと笑って言ってやる。松田、元浜もジリジリとカズににじり寄って行く。

そう、チャンスなのである。

「強い人が好き♡」と公言しているカナさんの前でカズの野郎を殺ってしまえばどうなるか。

火を見るより明らかなのである。

カズは曲がりなりにもヤンキーグループのトップ、ボスなのだ。

確かに卑怯だし、ウザイし、しつこいし、ブサイクだし、足は臭いし、背は低いし、

髪も染めてるし、最低の低を地で行く奴なのではあるが、

奴の一声で手下が五十人くらいすぐに集まるのも、また事実。

 

 

そんなカズをぶっ殺せたら――。

 

 

松田、元浜も同じ見解に行き着いた様だ。

 

 

「「「勝負しろやコラァ!」」」

 

 

三人ともハモってカズを睨みつけた。

だが奴は、近くの席に座り、テーブルの上に足を投げ出してふんぞり返った。

 

 

「ほう、随分と余裕そうだなカズ。 殺してやろうか?」

 

「殺してみろや」

 

 

カズの言葉と同時に三人の男が入って来て、奴の後ろへと立った。

どうやらいつもの部下、取り巻きらしい。

だが、所詮はザコ。

三人程度、何の支障も無い。

 

 

「おいおいおいおい、ヘタレ三人が増えた程度で何か変わると思ってんのか?

 俺らをナメ過ぎじゃねぇの?」

 

「おお、ナメてるに決まってんだろ」

 

 

奴が二度目の大口を叩いたと思えば、また店のドアが開く。

髪を染め、ソリコミを入れたヤンキーがゾロゾロと入ってくるではないか。

数えることすら億劫なほどの数である。

 

 

「さぁカナ、今日こそ良い返事貰おうか。 

 コイツ等まとめて殺ったら、明日から俺の天下だからなぁ」

 

 

兵藤の事は忘れていらっしゃるご様子。

そりゃそうだ、兵藤は先程言った喧嘩で全員半殺しにした後、

「お礼参りは面倒」と、五十数人全員の頭をコンクリートの壁に何度も叩きつけていた。

喧嘩の記憶を飛ばしたかった様だが、上手くいったみたいである。

見事(厄介)な事に、兵藤一人だけの記憶を失っている。

 

 

「ちょっと匙くん、何とかしてよ」

 

「いいえ、僕は松田です。 匙くんはあっちの人です」

 

 

松田が俺を指差して言う。

お前、何も今言わなくていいじゃん。

 

 

「いいえ、僕こそ松田です。 世界一強い匙くん、何とかして下さい」

 

 

シレッと言ってやった。

友情なんて、有事の際はこんなものである。

カナちゃんは、固まって俺達を見ている。

元浜なんかは、ソソッと自分だけ店の外に逃げ出そうとしている。

 

 

「逃げんなよ元浜ぁ、テメェも居るのは知ってんだぞ」

 

 

ギロリとカズが元浜を睨む。

テーブルの影に隠れながら移動していた元浜だったが、見つかってしまう。

さすがカズである。

俺達の匂いか何かを感知するシステムが体の何処かに内蔵されているらしい。

 

 

「おい、匙。 何とかしろよ」

 

「匙はお前だろ、何とかしろ」

 

「お前ら、恥ずかしくないのか?」

 

「「「うるせぇ」」」

 

 

松田と俺の美しき友情が咲き誇る会話。

しかし、カズにああ言われちゃオシマイである。

もういい、こうなりゃ殺れるだけ殺ってやろうじゃねぇか。

 

 

「おいカズ、表出ろやコラ。 ブッ殺してやらぁ」

 

 

松田、元浜も覚悟を決めたようだ。

それぞれ、灰皿とフォークをポケットに忍ばせている。

後は俺達全員でカズ一人を徹底的に狙うだけである。

ゾロゾロ店を出ていると、ちょうど目の前にカズの背中があるではないか。

向こうからは一台の車が、かなりのスピードで近づいてきている。

コイツァちょうどいい。

 

 

「轢かれてしまえーーー!!!」

 

 

思いっ切り背中を蹴り飛ばして差し上げた。

ドゴンッ!っとカズが宙を飛ぶ。

カズを撥ねた車が止まり、一人の男が降りて来て……、

 

 

「せっかくさっき盗んだばっかの車をよくもヘコませやがったな、この当たり屋さんめ」

 

 

兵藤だった。

既に道に倒れて白い泡を吹いているカズの顔を踏みつけて、財布を漁っている。

お前、俺らとタメだよね?

中二だよね?

何で車乗ってんの、てか盗んだの?

 

 

白と黒のコントラストが描かれ、上には赤い警報灯が乗っている車。

よく見るとパトカーだった。

 

 

「イイもん乗ってるな、兵藤」

 

「うん、交番の前に捨ててあった」

 

 

いや、それは捨ててあったんじゃなく、置いてあったんだろ――。

そう言おうとしたが、それは言えなかった。

 

 

『何だテメェ! 何してやがる!』

 

 

自分達のボスを撥ね飛ばした挙句、財布まで漁っている男。

部下共が黙っている訳が無い。

五十数人が一斉に兵藤へと向かっていった。

 

 

「いいよ、相手したげる」

 

 

兵藤の瞳の色が変わる。

ホントに色彩が変わるのではなく、視線が冷たく鋭く、刺す様に睨みつける。

言うなれば、兵藤が戦闘モードに移行した――。

一度こうなってしまえば、一騎当千という言葉すら陳腐である。

風が舞い、木の葉が舞い、男達も舞った。

兵藤一人で無双している。

相変わらず、何者も歯牙にもかけない強さだ。

 

 

後ろを見ると、カナちゃんが潤んだ瞳で、熱に浮かされた表情で兵藤をジッと見ていた。

そう、とてつもなく強い男の横顔を………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





えー、意外と前回の話が好評でビックリしている作者。
今回も好評だと嬉しい限りですね。
この作品の悪い点は、
『作者が変態に染まっていない』、『作者が自分が変態だと気付いていない』
の二点。
結局どっちなのよ。
ここまで言われたら作者も自分が変態に思えてきた。

【一 言】
匙は喧嘩が強いボーイッシュな感じのオレっ娘と見た
変態の妄想力は、侮れない。


TSはしないっつってんだよ……。
話を聞いてください、ほんのささやかな作者のお願い。
ホント、変態は侮れない。
迷言を残した彼には畏怖と畏敬を捧げたい。


【一 言】
友達(変態)に教えてもらい、読んでみたら腹が壊れた。
そして何か自分の中で弾け飛び、何かに目覚めてしまった。
すまない、作者さん。
俺はどうやら『変態』と呼ばれる者たちの一員になってしまったようだ。
ふひっ、ふひひひひひひ。
更新がんばってくだせー。

Ps
女も良いけど、男も良いよね。


良くない!
しっかりしろ!
ソレは変態道を極めし猛者達の歩む茨の道ぞ!?
えー、ですが、友達に進められて、というのが結構多い。
有難い限りである。
みなさんもドンドンお友達に勧めてあげてください。
どうせこの小説読んだら変態になるのなら、いっそ日本を変態まみれにしてやる。
そして変態達のカリスマ変態量産機として世界を侵略してやろう。


【一 言】
聞いてくれよ! 作者さん!
今日、とてもスゴイことを知ったんだ!
女のお尻はもちろん良いけど、男のお尻も良いんだと!

愛ってすばらしいよね! 性別なんて壁を簡単に乗り越えられるんだ!


そっちの世界を知っちゃったの?
ベルリンの壁より遥かに高い絶壁を越えちゃったの?
もうこの国に常人はいないの?

いろんな読者に言われた言葉。
『類は友を呼ぶ』
読者(ヘンタイ)が呼んだのか、作者(ヘンタイ?)が呼んだのか……。
是非とも前者だと信じたい。


【一 言】
作者よ!!逆に考えるんだ!変態でもいいじゃないか・いっそ変態になろうと
そして疲れたときは、自分の好きなキャラを思い浮かべprprhshsしてみろ!落ち着くぞ!
あと、面白いから気がむいたらいつでも投降してくれ!
いつでも俺は、いや俺たちは君を待っている!

変態として!


ヤベェ、喜んでいいのか悲しんでいいのか分かんねぇ……!
そんな方法で落ち着いたらなんか人生負けな気がする……!!!
まぁいい、ここまで支えてくれてるんだ。
作者も頑張ろうじゃねぇか……、



変態として(涙)!

あー、作者の自暴自棄な変態発言が投下されたところで、シメに逝こう。
前回文字数少なくてゴメンね?
作者はキリが良い所で話を終えたいとも思うし、文字少ないなとも思う。
でも確かに文字少ない、ゴメンなさい。
なるべく頑張ります。
てゆうか後書き長いな!?

なので最後に一つ。


【一 言】
こんなおもしろい作品は久しぶりです
めげないで頑張ってください。応援してます
ところで
この作品を読んでいるとイッセーに対して胸がぽかぽかしますこれは恋なんでしょうか?
男なんですが…。


帰って来い!!!!
お前にはまだ早い!!!
何処の馬の骨かも分からん輩にウチのイッセーくんはあげません!

以上、さよなら!


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