ハイスクールD・D・D(更新停止中)   作:ラグナクス

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無事に後編で終わりました(よかった)
次回からはまた後日談とかやって決闘者編ですね。
・・・デッキを考えなくては。あと登場人物の設定も更新しないと・・・


ソーナ戦 後編

【3人称side】

 

絶斗と別れたゼノヴィアはシトリー本陣へと向かった。その道中、いくつかトラップが仕掛けられていたが

 

ゼ「(単発式のみか。時間もなかったから当然か)」

 

ゼノヴィアは『騎士(ナイト)』の特性と教えられた技を使いトラップが反応する間もなく置き去りにしていった。そしてついた場所には会長はおろか誰もいなかった

 

ゼ「(このデパートで長物を扱える場所はそう多くはない・・・まさかな)」

 

ゲーム前に印されていた場所は長物であっても戦うことが可能な広さが十分にあった。だがここ以上に広さがあり、尚且つ壊す物も少ない。戦うにはうってつけのところがあった。だがそこは下手すれば攻めてきた相手と鉢合わせする可能性があった場所だ

 

ゼ「(まだあまり得意ではないが、確かにこの奥から2人の気配を感じる)」

 

ゼノヴィアが階段を登り切りドアに手をかけた。ゼノヴィアはその奥から2人の悪魔の気配を感じていた

 

ゼ「ここにいるとは思わなかったな。可能性としては低いと思ったんだけどね」

 

ソ「見つけられましたか・・・ゼノヴィアさん。思ったより早かったですね」

 

ゼノヴィアがドアを開けたその先、そこはデパートの屋上だった。そしてドアから入った先には『(キング)』であるソーナ・シトリーとその『女王(クィーン)』である真羅椿姫が待ち構えていた

 

ソ「ここが決戦場です。ここならば邪魔するものもない。匙が一誠くんを倒そうと、それを助けようとする祐斗くんも桃と憐耶(れや)留流子(るるこ)が抑えてくれています。そして翼紗(つばさ)巴柄(ともえ)とがリアスを打ち取ってくれると信じています。皆が頑張ってくれている中、ここで私が負けるわけにはいきません」

 

ソーナの周囲に水が集まりだし、次第に何かを形成させていく。その水の量は尋常ではなく、デパートのあらゆるところから水が集まってきていた

 

ソ「ゼノヴィアさん。私の水芸、とくと披露(ひろう)しましょう」

 

ソーナは大量の水を魔力で変化させ、宙を飛ぶ鷹に地を這う大蛇、勇ましい獅子、群れをなす狼、そして巨大なドラゴンを幾重にも作り出していた。だがそれを見たゼノヴィアは・・・

 

ゼ「(なんだ、この程度か)」

 

少しも慌てる様子もなく冷静だった。だがそれもそうだろう。ゼノヴィアに師事をしていた一人の葉月も同じことをできるのだから。しかも葉月が本気で生み出した水の生物のほうが精巧で数も多い。それに加えそれらが完全に自立で動き、連携までしてくるのだから性質(たち)が悪い。さらに大量の水が常に己を飲み込もうと襲い掛かるだけでなく、様々な物質へと変化していく。それに比べソーナの魔法で出した生き物たちはただの水しかなく、ゼノヴィアは脅威を感じることができなかった

 

ソ「さぁ、いきなさっ!?」

 

ソーナが指示する瞬間、ソーナたち2人は立っていた場所から飛び退いた。その直後、二人のいた場所を三日月状の斬撃が通り過ぎ、その線上にいた水の魔力の生き物たちは斬り倒され、姿を保てなくなり水へと戻っていた

 

ソ「そんな・・・一撃で」

 

椿「なんて威力でしょう。流石は聖剣・・・」

 

2人が目を向ける先にはデュランダルを構えるゼノヴィアの姿があった

 

ゼ「(避けもしない、か)」

 

斬撃を放ったゼノヴィアはやはり性能が低いと、今の攻撃から確信した。葉月の生み出したものならば今の斬撃位は余裕で回避していたからだ

 

椿「私が前に出ます!会長は援護をお願いします」

 

ソ「わかりました。くれぐれも聖剣に触れないように気を付けてください」

 

ゼノヴィアの攻撃力を見た椿はゼノヴィアを遠距離から攻めるのは不利と判断し、危険を承知の上で接近戦を挑むことを決めた。そしてソーナは椿を援護するため再び水をかき集め、先ほどの斬撃で失った分を補充し始めた

 

ゼ「(1人1人では私でも余裕をもって倒せるだろう。だが相手が連携するのならばこの物量差を含め少し厳しいかな。だが、黒歌さんと葉月さんの2人に比べたらずっと楽だ)」

 

ゼノヴィアは思い返していた。このレーティングゲームに来る前の日、黒歌と葉月によってさんざん扱かれたことを。物量、速さ、威力。そのどれもがソーナたちとは違っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼノヴィアがソーナたちを対する少し前、立体駐車場の出入口でゼノヴィアと別れた絶斗は全力で来た道を戻っていた

 

絶「(結界の中に3分も閉じ込められ、足止めされていた。走って向かったならばすでに朱乃先輩と交戦しているはずだ)」

 

絶斗の考えは的中することになる。絶斗が本陣に戻るにつれて何かの音が大きくなっていく。そして絶斗が由良と巡、そして朱乃を視界に捕えると、朱乃が向かってくる巡へと腕を向け体中に閃光と雷をほとばしりながら

 

朱「雷光よっ!!」

 

巨大な雷を放った。朱乃の父であるバラキエルと同じ『雷光』は堕天使の光の力も含まれており、悪魔に対して非常に強力だ。巡の目の前には姿を追うほどの雷光が迫るが

 

由「『反転(リバース)』!」

 

巡は慌てずに手に持っていた日本刀を地面へと投げ刺した。そして由良が『反転(リバース)』と叫ぶと雷光からの光が弱まった。雷光は避雷針代わりに突き刺さっている日本刀に向かうと地面へと流れていき、巡に当たることはなかった

 

朱「くっ、何故!?」

 

突き刺さった日本刀を回収し、朱乃に迫る巡。そしてそのすぐ後には由良が追従していた。朱乃は苦手な接近戦に持ち込まれるのを防ぐため、後方へと下がりながら雷を放った。だが朱乃には不思議でならなかった。今と違い巡が持つ日本刀には光の力を乗せた雷まだ帯電していてもおかしくはなかったからだ

 

巡「やはり接近戦は苦手のようですね」

 

由「このまま押し切らせてもらいます!」

 

朱「(ダメですわ。光を扱うには少し集中が必要。この状況では雷光が放てません)」

 

巡と由良は左右に分かれて朱乃へと迫る。だがそこにいくつもの風の槍が飛んできた

 

由「この攻撃は!」

 

巡「・・・もう出てきたのですね」

 

巡と由良は槍を避け、飛んできた方を見た。そこには結界に閉じ込めたはずの絶斗の姿があった

 

絶「ああ、あの程度なら何回も破ってるからな」

 

朱「ゼットくん、助かりましたわ。ですが今日は本体を使わないのですね」

 

絶「2人には悪いですけど速攻で片づけなくてはなりませんから。速さ重視ですよ」

 

絶斗の両手には《アミル・ガウル》についていた羽根が握られていた。そして残った本体はと言うと絶斗の左肩付近で盾のように浮かんでいた

 

由「挟まれたね」

 

巡「・・・私がゼットくんの相手をします。由良は朱乃先輩の相手を・・・」

 

由「分かった」

 

絶斗の加勢で挟み撃ちにされた由良と巡は短い装弾で各々で戦うことに決めた。朱乃の雷光と絶斗の風の槍が撃ち込まれるのを回避すると巡は絶斗に、由良は朱乃に向かった

 

ガキンッ

 

絶斗の《アミル・ガウル》が巡の日本刀を受ける。その瞬間を狙い絶斗は右手の羽根を横薙ぎに払うが巡は軽く下がることでそれを回避。続いて迫る左の羽根を日本刀で受け流した

 

巡「(空中に浮かぶ剣が邪魔で攻めきれない・・・!)」

 

絶「(やっぱり蒼枒さんに比べたらなぁ)」

 

何十もの剣撃が躱される中、巡は攻めきれてない状況をいかに打破するか考えていた。日本刀で斬りかかるも右は《アミル・ガウル》が、左は不可視の壁が日本刀を遮り絶斗への攻撃を許さない。鍔迫り合いからの剣を流し、その隙を突こうにも絶斗も分かっているようで決定的な隙を見せない。だがそれは相手も同じ。巡のほうが技術も瞬間的な速さも上で、絶斗の攻撃はすべて回避と受け流すことができていた

 

巡「っがぁぁぁぁぁああああ!!?」

 

続いていた均衡はいきなり破れた。巡は突如、膝の後ろから何かによって脚を貫かれた。突然のことに悲鳴を上げながら崩れ落ちる巡。その隙を絶斗が逃すことはずもなく上段から羽根を振り下ろした

 

巡「くっ・・・ガッ」

 

巡はそれを受け止めようと日本刀を両手で持ち上げるが、それを読んでいた絶斗は巡の顎を蹴り上げた。巡はそれにより気絶。身体に光が集まり、その場から消えた

 

 

『ソーナ・シトリー様の『騎士(ナイト)』一名、リタイア』

 

 

審判役(アービター)であるグレイフィアのアナウンスがソーナの眷属のリタイアを告げた

 

由「巡!」

 

朱「よそ見ししている余裕はないですわ!」

 

巡がリタイアしたことに驚き、巡るが戦っていた絶斗の方へと顔を向ける由良だが視線を外したすきに朱乃が雷光を放つ。由良はそれを飛んで回避に成功するが

 

絶「っはぁ!!」

 

雷光はそのまま直線状にいた絶斗に向かっていった。絶斗は咄嗟に風を操り真空を作りだすと迫る雷光を誘導。来た方へと流し返した。そしてその先には回避したばかりの由良がいた

 

由「きゃぁぁぁあああああああああ!?!?」

 

回避したばかりのため返ってきた雷光を避けることもできず、由良は雷光を受け悲鳴を上げながら光に包まれた

 

 

『ソーナ・シトリー様の『戦車(ルーク)』一名、リタイア』

 

 

絶「はぁ。危なかった」

 

朱「申し訳ありませんわ。まさか直線状にいるとは思わなくて・・・」

 

絶「いいんですよ。倒せたのだから良しとしましょう。俺はこれからゼノヴィアの援護に行きますが朱乃先輩はどうします?」

 

朱「なら私はイッセーくんたちのほうに行きますわ。まだ何も進展がないようですし」

 

絶「分かりました。それでは行きますね」

 

朱「くれぐれもお気をつけて」

 

絶斗と朱乃はそれぞれの行き先を決めるとすぐにその場を後にした

 

 

 

 

 

ところ変わって再び屋上。そこでは薙刀を振るう椿、遠距離から魔力弾で援護するソーナ。そしてソーナが作り出した数多の水の生物がゼノヴィアに襲い掛かっていた

 

椿「くっ。長物相手に慣れている!?」

 

ゼ「生憎、薙刀相手は何度も経験している」

 

ゼノヴィアは周りの生物ごと椿を薙ぎ払う。デュランダルに切られた生物はまた水に戻り、椿は後退しながらゼノヴィアを見据えていた

 

椿「デュランダル。噂通りの斬れ味ですね。何とか受け流してますが私の薙刀も削られてきています」

 

戦いが始まって十数分。一撃どころかかすることすら許されない状況で椿は逆転の手を考えていた

 

椿「(やはり『追憶の鏡(ミラー・アリス)』に掛けるしかないようですね)」

 

ソーナの作り出した生物をゼノヴィアはデュランダルで切り裂き、淡々と水に戻していく。椿はゼノヴィアが背を向けた瞬間に薙刀を振るえるように構えた突貫。それに気づいたゼノヴィアは咄嗟にデュランダルを椿目がけて突き出した

 

椿「掛かりましたね?」

 

ゼノヴィアのデュランダルが当たる瞬間、椿の目の前に装飾が施された大きな何かが現れた。ゼノヴィアは驚くものデュランダルは止まらず、勢いそのままに鏡を砕いた。その瞬間、鏡から衝撃が発生した

 

椿「神器(セイクリッド・ギア)、【追憶の鏡】(ミラー・アリス)。この鏡が破壊された時、その衝撃を倍にし・・・て・・・・・・」

 

ゼ「その程度は既に経験済みだ」

 

椿は言葉を最後まで言うことができなかった。何故ならば身体を斜めに切り裂かれていたのだから

 

 

『ソーナ・シトリー様の『女王(クィーン)』一名、リタイア』

 

 

光に包まれ転移する椿。それを見たソーナは彼女の名を叫んだ

 

ソ「椿!」

 

ゼ「残るはあなた1人だ、ソーナ会長。私としては投了(リザイン)してくれても構わないが?」

 

ソ「そうはいきません。例え負けるとしても、私は諦めることは絶対にしません!」

 

ソーナは諦めていなかった。その目は強くゼノヴィアを睨みつける

 

ゼ「そうか。だが私も油断はしない。たとえこちらが有利だとしても」

 

そのとき、ゼノヴィアが開けっぱなしにしていたドアから勢いよく風が吹き1人の男が飛び出してきた

 

絶「はぁ、はぁ、はぁ。つ、疲れた」

 

ゼ「急いできたところ悪いが残るはソーナ会長1人だ。後少しだ、頑張れ」

 

全速力で来たであろう絶斗を励まし、ゼノヴィアはデュランダルを投擲する体勢をとった

 

ソ「・・・何のつもりですか?」

 

ゼ「見ればわかるだろう?・・・はあ!!!」

 

勢いよくデュランダルを投げるゼノヴィア。デュランダルはそのままソーナ目がけて一直線に進む。だがそんな単純な攻撃をソーナは受けるはずもなく、その射線上から大きく横に移動した

 

ゼ「(縮地)」

 

そこへゼノヴィアはまだ一歩しか使えない縮地を使い、デュランダルを追いしソーナに肉薄した。そして聖のオーラを右手に纏わせると、ソーナ目がけて貫手を放った

 

ソ「くっ」

 

横に体を捻り貫手を躱したソーナは続いてくる左の掌底を腕を弾きながら一歩下がって避けた。だがゼノヴィアの攻撃はそれで終わりではなかった。飛んできたデュランダルが急にその方向を変えた。ゼノヴィアへと飛んでいくデュランダルをゼノヴィアは掴み、そのまま一閃。後ろに下がろうとするソーナの身体を切り裂いた

 

ソ「まさか・・・デュランダルを投げるなんて思いませんでした」

 

ゼ「・・・そうだろうな」

 

ゼノヴィア自身も蒼枒たちから師事を受けるまでは自分から得物を手放すことなんて考えたこともなかった

 

絶「はぁ。うまくいってよかった」

 

ゼ「絶斗!角度も速さもばっちりだ」

 

ソ「・・・なるほど・・・そういうこと、でしたか」

 

何故デュランダルがいきなり方向を変えたのか。それは絶斗が風を使って方向を変えたからとソーナは光に包まれながら理解した

 

 

『ソーナ・シトリー様、リタイア。よって、リアス・グレモリー様の勝利です!!!』

 

 


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