さて、今回はレイナーレが主役の話になります。そしてオリキャラも出てきますが、本編には関係ありません・・・たぶん
【レイナーレside】
い「今日の夜の巡回はレイナーレさんとミッテルトさんですね。お願いします」
レ「了解しました」
ミ「行ってくるっす」
働き出して1か月が経つかしら。今日は上司の
今の私は青山龍神宮で巫女として働いている。元は
ミ「何もないし、暇ですね~」
レ「巡回というのはそういうものよ」
隣を飛ぶミッテルトがだらりと腕を下げながら飛んでいる。確かに退屈と言われれば退屈だが何もないほうがいい
ミ「そういえばレイナーレ様ー」
レ「何かしら?」
ミ「楓や
レ「ああ、それは・・・」
私も前に疑問に思ったことだ。何故翼も羽もないのに宙を飛べるのか。聞いてみたら妖力を使って浮かぶことができるらしい。全部の妖怪が浮かべるわけではないがこの神社に仕えている妖怪のほとんどは可能だそうだ
ミ「へ~、そんなんですか。私たちの光力でも同じことができますかね?」
レ「どうかしら?私たちは翼を持っているしそんなこと考えたこともなかったわね」
今までは飛ぶには翼が必要だったけど、この方法を使えばもっと速く飛べるようになるかもしれない。実際楓さんたちは併用して飛ぶこともできるらしい。最もそのスピードをもってしても青龍である蒼枒様には届かないらしいけど
レ「神社の周りは1周したわね。次は町の方に行きましょうか」
ミ「了解です。・・・レイナーレ様、あれは何ですか?」
レ「何かしら」
鳥居の前に結界によって阻まれて入れないでいる者たちがいた。女の方は結界を叩き、何かを叫び、男はぐったりと背を鳥居の柱に預けている
ミ「なんで入らないんですかね?あの2人」
レ「あなたねぇ。蒼枒様が悪魔が入れないように結界張っているのを忘れたの?」
ミ「そうでした」
神社に入れないとうことは悪魔なのは確定として何故あんなにも叫んでいるのか。それにあの焦りよう、何かあるのかもしれない。とりあえず私は事情を聴くために近づくことにした
レ「とりあえず事情を聴くわ。行くわよミッテルト!」
ミ「了解です!」
【3人称side】
人の気配のない静かな町の中を何かから逃げるように走っていく男を背負った女性があった
ク「はぁ、はぁ、もう少し」
彼女の名はクラリーナ・フェレティ。長い金髪に青い目の燃えるのような美女である
ウ「ぐ、クラン・・・」
ク「無理しないで!必ず助けるから」
男はウィリック・オーティス。この2人は悪魔であり、主と眷属の主従関係にあるが恋人でもある。
ク「はやくしないと追手が・・・」
背負われている彼の背は赤くはれ、焼けただれていた。そんな彼らがなぜ追われているのか。
クラリーナ・フェレティは純血悪魔の家に生まれた。彼女の父であるフェレティ家の当主は数が少なくなっている純血悪魔を残すため自分の望んだ相手と娘を結婚させようとした。フェレティ家は純血ではあるがそれ以外に特徴のない家だった。そのため娘を地位の高い家へと嫁がせようとしたがクラリーナが断固拒否を示した。そればかりかクラリーナは転生悪魔のウィリックと結婚したいと言い出した。もちろん現フェレティ家当主は認めることはなかったが、いつまでたっても考えを改めない娘に対し彼女の恋人のウィリックを殺す計画立てた。計画に気付いたクラリーナはウィリックを連れて逃走。クラリーナがウィリック共々いないことに気付いた当主は部下にウィリックの殺害と娘を連れ戻すよう指示を出した。襲撃を受けながら逃走する中、クラリーナは日本に住む友人から聞いたある噂を思い出した
ク「ここが・・・
やっとの思いでたどり着いた目的の場所に少し安堵を覚える。ここに転生悪魔を保護した人物がいるって噂だった。早速中に入ろうと鳥居をくぐろうとするが
ク「なんで!?なんで入れないの!」
何か壁のようなものに阻まれて鳥居を潜ることができなかった
ク「そんな・・・ここまで来て」
結界を必死に叩く女性は次第に力を無くし崩れ落ちた
レ「ちょっといいかしら?」
ク「そんな・・・なんで堕天使がここに」
絶望に堕ちる彼女にさらなる絶望が襲おうとしていた。彼らの前に巫女服の堕天使が下りてきたのだ。体力も限界
の彼女にはウィリックを庇いながら堕天使2人を相手にするのは不可能だった
レ「あー、そんな警戒しなくていいわよ。何も取って食おうなんて思ってないし」
ミ「私らはなんでここにいるか聞きたいだけっす」
ク「あ、あの「探しましたよお嬢様」!?」
クラリーナの声を遮り現れたのは3体の悪魔。そのうちの1体は執事のような恰好をしていた
執「さぁお嬢様、帰りましょう。お父上が御待ちです」
ク「嫌よ!私を無理矢理結婚させようとするだけでしょ!あんな奴と結婚なんて死んでもごめんだわ!」
執「そうおっしゃらずに。お前たちはそいつを始末しろ。私はお嬢様を連れていく」
A・B「「はっ!」」
執事のような悪魔がクラリーナの腕を持ち、控えていた悪魔がウィリックを引きはがそうとする。だがそれを阻むかのように光が悪魔の前を遮った
レ「待ちなさい。彼女たちを連れて行かせるわけにはいかないわ」
執「これはこれは愚かな鴉風情じゃないですか。私たちの邪魔をしないでいただきたい」
レ「そうはいかないわ。彼女はこの神宮に用があるみたいだし。それに、目の前で嫌がっている人を助けないわけにはいかないわ」
クラリーナには分からなかった。なぜ堕天使である彼女たちが悪魔である私たちを助けようとするのか
執「邪魔をするというのならばまずは貴方達から始末することにしましょう。お前たち、相手をしてやれ!」
A・B「「かしこまりました」」
部下である2体の悪魔がレイナーレたちの前へと移動した
ミ「ただただ暇なだけと思ったすけど、楽しくなってきたっす!」
ミッテルトは光で槍を作り出す。だがその形はぼんやりとしたものではなく、両端が3つ又に分かれた槍だった
レ「楽しいって面倒なだけじゃない!・・・なんで私、物語の主人公なことやってるのかしら」
急に冷静になったレイナーレだったが、空中に光の長剣をいくつも作り出し、そのまま待機させた
A・B「「なっなんだそれは!?」」
ク「すごい・・・」
その光景に悪魔たちは驚きを示した。その隙にミッテルトは槍を構えたまま悪魔に向かって突撃した
ミ「いくっすよ!」
執「何をしてるのです!迎え撃ちなさい!」
A「はっ!これでもくらえ!」
B「所詮子供だましだ!鴉如きが我らにかなうはずもない」
2体の悪魔はそれぞれ魔力弾を放つ。しかしそれは高速で飛来するレイナーレの剣によって貫かれ、霧散した
A「なっ!我々の弾を正確に射貫くだと!?」
B「おい!前!」
A「!?くそっ」
目の前には槍を突き出してくるミッテルトの姿があった。とっさに巨大な魔力弾を放ち、煙が広がった
A「所詮この程度・・・」
B「貴様ぁ!」
ミ「油断してる方が悪いっす」
悪魔Aが頭上に現れたミッテルトに貫かれ塵となって消えた。それにキレた悪魔Bは散弾のように魔力を散らせるが
B「何だと!?」
ミッテルトは槍を拘束で回転させ弾を防ぐ、その隙にレイナーレが光剣を飛来させ
B「がっ・・・」
10本の剣が悪魔Bに襲い掛かる。避けきれず、次々と貫かれた悪魔は塵となって消えた
執「やりますね。ここまでとは予想外です」
レ「残るはあなた1人よ。このまま帰るのならばこちらも何もしないわ」
執「それはできません。旦那様の命を受けていますので」
レ「そう、なら仕方ないわね」
再び光剣をセットするレイナーレに対し、悪魔は不敵な微笑を浮かべていた
執「ふふふ。私を先ほどの悪魔たちと一緒にしないでもらいたいですね」
ミ「隙ありっす!」
ミッテルトが槍を突き出すが、向かってくるミッテルトに対し悪魔は振り返り
ミ「なっ!?見破られた!?」
執「幻影を使って背後から襲うとは。考えたものです」
ガキィィィィンと響き渡りミッテルトの槍と悪魔が出した剣が交わる。ミッテルトは驚いていた。まさか初見で自分の攻撃を防がれるとは思わなかったからだ
レ「ミッテルト!」
レイナーレはセットしていた光剣を射出するが
執「甘い!」
全て躱され、叩き落とされる
レ「・・・これは厄介ね」
ミッテルトと打ち合っている相手を分析した結果レイナーレが呟いた。ミッテルトとレイナーレの攻撃は執事の悪魔に躱され、撃ち落とされる。だが執事の悪魔も2人の連携に攻勢に出ることができずにいた
執「これはなかなかのものですな」
ミ「余裕っすねぇ。悪魔に対して私らの光は致命傷じゃないんすか?」
槍を振り回すミッテルトに対し、剣で防ぎながら火を放つ執事は余裕そうに答えた
執「確かに私たちに貴方達の光は致命傷です。しかし貴方達程度では上級悪魔である私を傷つけることはできない」
ミ「世迷言を」
執「ならば私も、そろそろ本気でいかせてもらいます」
そう言うと執事の姿が消えた。ミッテルトは槍を正面に構えると衝撃が走った
ミ「くっ」
執「ほう、これ防ぎますか」
ミ「生憎様。その程度のスピードは見え見えっす」
背後にいる悪魔に振り返りながら答えるミッテルト。彼女は蒼枒や楓たちから指導を受けていた。そのため、ある程度のスピードまでは身体がついていけるようになっていた
ミ「それに本気を隠していたのはあんただけじゃないっす!」
執「何?・・・これは!?」
執事を囲むように広がる無数の光剣。360度すべての方向からその刃が向けられており、すでに逃げ場はなかった
執「うおおおおお!!!」
避けることは不可能。執事がとった行動は迎撃、ただそれだけであった。全方位から向かてくる光剣を切り裂き、叩き落とす。そして執事は
執「はぁ、はぁ。どうだ」
息を切らせながらもすべてを防ぎ切った。だが彼の目の前にいたのは
ミ「そう、ごくろうさまっす!」
レイナーレに支えられ、巨大な3つ又の槍を構えているミッテルトの姿だった。ミッテルトはレイナーレが手を離すと同時に投擲
執「ぐはっ」
超高速で飛来する槍に対し剣を盾にしたが耐えられるはずもなく、バキンと剣が折れた音と同時に悪魔は貫かれ、塵となった
ク「・・・すごい」
クラリーナは驚いた表情で堕天使達を見ていた。それもそのはず、執事の悪魔は油断こそしていたが、その実力は最上級悪魔に届く持ち主だったからだ
ミ「やったっすよ!レイナーレ様!成功したっす!」
レ「ええ、失敗しなくてよかったわ。少し前では考えられないわね」
何故巨大な槍が高速で飛び、2人が喜んでいるのか。それは2人のタイミングが合わなければ先ほどの攻撃は失敗していたからだ。レイナーレは槍を支えていただけでなく打ち出すために力を溜めていた。そしてミッテルトが投げる瞬間、絶妙なタイミングで槍を加速。もしタイミングを間違えていれば槍はあらぬ方へと飛んでいただろう
レ「さて、邪魔はいなくなったわ。貴方たちのこと、教えてくれるかしら?」
ク「は、はい。わかりました」
【クラリーナside】
建物の中に案内された私たちは応接室?に通されました。堕天使の2人はレイナーレさんとミッテルトさんといい、レイナーレさんは上司の報告を、ミッテルトさんはウィリックの手当てをしてくれてました。それから10分程度たったころ、私の目の前にはレイナーレさんとその上司の銀杏さん。そして東雲蒼枒さんという方がいらっしゃいました。ただ、さきほどから凄く空気が重いです。私たち、何かしたんでしょうか・・・?
蒼「事情は2人から聞いた。その男を助けてほしいと」
ク「はい、その通りです」
私の隣にいるウィルを見つめる蒼枒さん。よく見ると彼の眼がドラゴンのようになっています
蒼「ダメだ」
ク「な、何でですか!?」
蒼「なぜ悪魔を助けなければならない?そいつは転生悪魔だろ?」
ク「そ、それは・・・」
考えてみればそうだ。なぜ私たちは助けてもらえると思っていたのだろうか
蒼「なぜ俺が悪魔の頼みを聞かなければならない?大っ嫌いな悪魔の頼みを。お前たちはこの町に入って苦しくなったりしてないのか?悪魔を追い出すための結界の中に入って」
確かに町に入った直後から身体が怠く感じた。疲れのせいだと思ったがどうやら蒼枒さんが何かしていたようだ
ウ「・・・どうしてもダメですか?」
蒼「ああ、ダメだ。俺の中で線引きしてるからな。
やはり無理なのか・・・いや、悪魔からの頼みは受けつけない?なら
ク「悪魔を辞めれば、助けてくれますか?」
蒼「そうだな。悪魔じゃなければな」
ク「なら、私は悪魔をやめます」
ウ「クラン。何を・・・」
ク「心配しないで。羽を抜くだけだから。ぐ、ああああああああああ!!」
私は自分の羽を無理矢理引きちぎりました。痛みに耐えながら正面を見るとウィルの除いた全員が目を見開いていました
ク「もう、1つ・・・」
ウ「やめてクラン!僕のために君がそこまでする必要なんて」
ク「止めないで!私は貴方と一緒にいたいの!そのためならこの程度の痛み・・・ああああああああああ!!」
もう1つの翼も引きちぎりました。悪魔にとって羽は重要な役割を果たし、飛ぶだけでなく自分の力を示したり、魔力の生成にも関わっています。その羽を引きちぎったことで私は・・・
ク「これで、もう悪魔としての力は、持ち合わせていません。どうか、彼を助けてください」
頭を下げてお願いする私に視線が集中します。私の背には引きちぎられ左右非対称になった羽の残りがかすかに動いてました
蒼「・・・お前の覚悟は分かった。確かに一般人程度まで落ちたようだな」
ク「!なら」
蒼「ああ。だが、俺は助けるというより人間に戻すってのが正しいがな」
そう言って蒼枒さんは手から蔦をだし、ウィルの中へと侵入。引き抜くと彼の手には
あれから1週間、帰る場所のない私たちは蒼枒様のご厚意でこの町に住むことになり和菓子屋で働くことになりました。昔から菓子作りは得意でしたし、彼も装飾など細かい作業は得意で今は見習いですがいつか彼とお店を持てたらなと思います。ただ、蒼枒様が青龍で神様と知ったときは驚きました
レ「クラン。元気そうね」
ク「レイナーレさん!」
そしてレイナーレさんとミッテルトさん。2人には感謝しきれません。もしあの時彼女達が現れなければ、私は家へと連れ戻され、ウィルは殺されていたことでしょう
レ「ミッテルト見なかったかしら?買い出しの途中で逃げられてしまって」
ク「いいえ、ここには来てませんけど」
レ「そう、邪魔したわね。また来るわ」
そう言って不機嫌そうに立ち去るレイナーレさん。ミッテルトさんが言うには彼女は上司である楓さんという方を好きになっているみたいです
ク「ふふ」
私たちがこうして無事に過ごせるのも彼女のおかげ。幸せになってもらいたいな。
【レイナーレside】
「ああ、もう!どこに行ったのよ!」
ただでさえ多い荷物を1人で持つはめになった私はイラつきながら先ほど会ったクランのことを考える。あの時、悪魔を辞めるなんて思いもしなかった。しかも彼女は純血。数が少なく、力だってあったのにそれを捨ててまで彼といることを選んだ。もし私に同じことをやれと言われてもできない気がする
レ「ほんと、羨ましいわね」
クランのみならず私の周りには愛に深い者たちが多い。特に青龍の方々はとんでもなく深い。以前対峙したグレモリーも何とか愛があったけど、青龍と比べたら天と地ほども差がある
朱「貴方はレイナーレ!なぜここに!?」
グレモリーのことを考えていたからかしら。まさかそれが女王と再会するフラグになるなんてね・・・