【絶斗side】
「皆さま、大変長らくお待ちいただきました。皆さまがお待ちでございます」
俺たちが案内されたのは異様な雰囲気が漂う場所だった。俺達の周囲を囲む様な壁。その壁の高い位置には階段状に悪魔が座り、上に行くほど座る場所も大きくなり座っている悪魔も偉そうにしている。最上段にはサーゼクス様やセラフォルー様の魔王様が座っており、その隣には2人男の人がいた。あの人達が残る魔王様か
「よく集まってくれた。次世代を担う貴殿らの顔を改めて確認するため、集まってもらった。これは一定周期ごとにおこなう、若き悪魔を見定める会合でもある」
魔王様の座る一つ下の段にいる初老の男性悪魔が立ち上がった。手を組みながら、威厳の声で会合の開始を告げる挨拶を行う
サ「キミたち5名は家柄、実力共に申し分のない次世代の悪魔だ。だからこそ、デビュー前にお互い競い合い、力を高めてもらおうと思う」
デビュー前にお互い競い合う、ということはここにいるメンバーでレーティングゲームをするということだろうか?
サイ「我々もいずれ『
サイラオーグさんが直球でサーゼクス様に直球で尋ねる
サ「それはまだわからない。だが、できるだけ若い悪魔たちには投入したくないと思っている」
サーゼクスさんはそう答えるとサイラオーグさんは納得ができないように眉をつり上げた。
サイ「なぜです?若いとはいえ、我らとて悪魔の一端を担います。ここにはいませんが我らの同世代にはすでに舞台に上がっている者もいるではないですか。我らとてこの歳になるまで先人の方々からご厚意を受けております。なお何もできないとなれば」
サ「サイラオーグ、その勇気は認めよう。しかし、無謀だ。何よりも成長途中のキミたちを戦場に送るのは避けたい。それに次世代の悪魔を失うのはあまりにも大きいのだよ。理解してほしい。キミたちはキミたちの思う以上に我々にとって、宝なのだよ。だからこそ、大事に、段階を踏んで成長して欲しいと思っている」
サーゼクスさんの言葉にサイラオーグさんは納得はできていなさそうだ。「わかりました」とその場では一応納めたが不満そうな表情だった
サ「さて、長い話に付き合わせてしまって申し訳なかった。なに、私たちは若いキミたちに私たちなりの夢や希望を見ているのだよ。それだけは理解して欲しい。キミたちは冥界の宝なのだ」
それからお偉いさんの難しい話や魔王様からの今後のゲームについての話を聞いたが、あまりに長いためほぼ聞き流していた。ゲームについては後ででも資料をもらうとしよう
サ「最後にそれぞれの今後の目標を聞かせてもらえないだろうか?」
ようやく最後か。そう思っているとサイラオーグさんが一番に問いに答えた
サイ「俺は魔王になるのが夢です」
『ほう・・・』
サイラオーグさんの迷いもなく言い切った。その目標にお偉いさんたちは感嘆の息を漏らしていた
「大王家から魔王が出るとしたら前代未聞だな」
サイ「俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じれば、そうなるでしょう」
並び的に次は部長か
リ「私はグレモリーの次期当主として生き、そしてレーティングゲームの各大会で優勝することが近い将来の目標ですわ」
それが部長さんの目標か。まだまだ力不足だがこれから鍛え方次第か。アガレス次期当主、アスタロト次期当主も目標を言い終え、最後は生徒会長の番だった
ソ「私の目標は冥界にレーティングゲームの学校を建てることです。上級悪魔や特例の悪魔のみが行くことのできない学校ではなく。平民、下級悪魔、転生悪魔。そんな悪魔が平等に学ぶことのできる、そんな学校を作ることが私の目標です」
差別のない学校か。これは現状、差別が行われているということだ。貴族があるぐらいだ、差別は俺が持っているよりも酷いものなのだろう
『ハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!』
上段にいるほとんどの悪魔が会長の夢を馬鹿にするように笑いだす
「それは無理だ!」
「これは傑作だ!」
「なるほど!夢見る乙女というわけですな!」
ソ「私は本気です!」
「若いというのはいい!しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がそのような夢を語るとは。ここがデビュー前の顔合わせの場でよかったというものだ」
『ハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!』
再び笑い声が会場内を支配する。何故馬鹿にできるんだ!夢を持ちそれを叶えようとするのはいいことではないのか!怒りがこみあげるのを抑え込むなかそれは突然起こった
ドガーーーン!!!
『!!!!???』
音共に壁が蒼い巨大な何かが会場に飛び込んで来た。笑い声は途切れ、壁は完全に破壊されていた。俺たちの正面に座っていた魔王様やその下にいた悪魔は比較的無事だったが、破壊された壁に座っていた悪魔たちは皆反対側に吹き飛ばされ、中心にいた俺達にも壁の破片等が降りかかる。俺も風を起こして落ちてくる破片を吹き飛ばし、他の者もそれぞれの手段で身を守っていた
?「すまぬな。若手の集まりがあることをすっかり忘れていた」
土煙の中から女性の声が聞こえた。煙が晴れていくとそこには綺麗な青い髪を流し、青の瞳持つドレス姿の美女がいた。その後ろには悪魔であろう13人と1匹の馬が倒れていた
サ「ティアマット。来てくれたのは嬉しいが普通に扉から来て欲しかったのだが」
テ「急いでたものでな。だがこの程度のこと、避けれぬ悪魔など若手を除いておらぬだろう?」
ティアマットと呼ばれた女性は悪びれる様子もなくそう答えた
?「いくらなんでも無理があるだろう。ティ、師匠のように常に警戒しているものでもないだろう」
テ「そうか?お前たちでもできることだったが・・・どうやらゼファードルの言う通り私の見通しは甘かったようだな」
コートを着た青い髪の悪魔が頭を朝得ながら立ち上がる。それに続き、倒れていた悪魔も起きだし、起こされていく
ソ「ゼファードル!」
そんな中、会長がゼファードルと呼ばれる青い髪の悪魔の名を呼んだ。それに気づいた彼も会長の所に歩いて行った
ゼ「ソーナか、久しいな」
ソ「そちらこそ、評判は常々聞いていますよ」
親しげに会話を交わす2人。それを見て会長に惚れている匙が黙っているはずもなく・・・
匙「いきなり出てきやがって!お前は一体何者だ!」
ソ「匙!失礼ですよ!こちらは「構わん。それに自己紹介ぐらい自分でする」」
会長が匙を抑えようとするがゼファードルと呼ばれた悪魔に止められた。彼は並ぶ俺たちを流し見て
ゼ「ほう、数は揃えた様だな。しかしグレモリーを含め学生ばかりとは。偏りが酷いと思うのだが」
匙「だからなんだ!一体お前は何者だ!?」
ゼ「俺の名はゼファードル・グシャラボラス。ソーナと親しいのは俺がソーナの婚約者だからだ」
ソ「異名は蒼獄の魔竜王。私たちと同世代でありながら特例でレーティングゲームに参加する実力を持つ最上級悪魔です」
ゼ「まだ魔竜王などと名乗るのはふさわしくないのだがな」
紹介を終えたゼファードルさん。それを聞いた匙は固まっていた
匙「婚・・・約、者。会長の・・・・・・」
だが次第に頭が追いついていったのか
匙「そ、そんな。そんな馬鹿なーーーー!!!!!!」
匙の叫び声を上げた
遂に決闘者編のキャラが本編に初登場!ヒロインも今章で登場予定だが主人公だけは出番なし!