ハイスクールD・D・D(更新停止中)   作:ラグナクス

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後編です
それでは続きをどうぞ

UAが70,000を越えました!読んでくださっている皆様!ありがとうございます


姉妹の別れ

リ「そんな・・・」

 

ソ「そんなことって」

 

悪魔たち、それも女性の悪魔は悲しみを感じていた。力を失い、奴隷のように扱われ、壊れていく日々を送る。もし自分が同じ立場なったら耐えきれないだろうと感じていた

 

フ「そんな悲惨なことばかりではないんですよ。冥界から逃げ出せたおかげで碧守に出会えたもの」

 

碧「そうだな。ただ大変だった。求婚しても断れ続けていたからな」

 

ゼ「できればその話もお聞きしたいのだが!!」

 

絶「待てって!今はそんな話を聞いく雰囲気じゃないだろ」

 

絶斗が動く止めようとするも

 

セ「何何?私もちょっと気になるな~」

 

リ「私も、是非聞きたいです」

 

フィーリスの恋路にこの場の多くの女性が気になっていた

 

碧「フィーリスが家に来たのは私がまだ幼いころだった。だが彼女を一目見た時、幼かった私でも本能的に思ったよ。彼女が運命の女性だとね」

 

フ「あの時は困りました。従者となって間もないのに年端もいかぬ子どもからいきなり告白されましたから。しかし私は悪魔であり、拾われた身。大切なご子息と結ばれるなどそんな恐れ多いことできませんでした」

 

碧「それから何百年の月日が流れた。大人になった私は変わらず求婚を迫っていたある日、帝国軍から戦争への参加を言い渡された。時は第二次世界大戦末期。徴兵令の対象外となっていた私たちでしたが、軍は直接私たちの元へと来ましたが逆に追い返しました。人間同士の戦争に私たちが介入するわけにはいきませんから」

 

フ「しかし彼らは碧守を無理矢理動かすために私を誘拐しました。碧守が私に求婚していたことは街で有名でしたし、人質に取れば碧守が動くと考えたのでしょう。捕らえられた私は帝国軍の本部に閉じ込められました。移動中も私の身体をなめるように見ていた士官は閉じ込めるや否や私を無理矢理押し倒し、着物を破かれました。いくら求婚されているとしても私は従者の一人に過ぎず、ましてや悪魔。見捨てられると思っていた私は軍人に勝てるわけもなく、助かるのを諦めてました。しかし、碧守は諦めていた私を助けに来てくれました」

 

碧「連れ去られた報告を聞き、すぐに犯人が予想できた。あの頃の日本の上層部はすでに正常な判断を下すことができなくなっていたからな。フィーリスを助けるため帝国軍本部へと乗り込んだ私は障害となるのものを皆殺しにし、フィーリスを助けることに成功した」

 

フ「ここまでしてくれる碧守に私はプロポーズを受け入れ、結婚しました。すぐに長男の蒼枒、長女の葉月が生まれ、今は幸せに暮らしています。長くなりましたがこれが私に起きた全てです。ちなみに計画に加担した帝国軍の者はすべて殺したせいもあり、第二次世界大戦の終戦の終止符を打ったのは碧守です」

 

フィーリスのつらい過去、そして今は幸せになっていると聞いたグレイフィアは泣きながらフィーリスの手を握った

 

グ「フィーリス・・・辛かったのね。貴方が苦しんでいるのに気づいてあげられなくて、ごめんなさい」

 

フ「姉さん。謝らないで。そもそも生きていること自体知らなかったんだもの、無理もないわ」

 

途中で明るくなったと思えば過去の再来かと思われる仕打ちを受けそうになる。悲惨な過去を生きてきたフィーリスに悪魔たちは皆、フィーリスの受けていたこと想像し泣いてしまうものや泣きはしないが表情を暗くしていた

 

絶「(あれ?第二次世界大戦後すぐに生まれたってことは蒼枒さんたちって60歳前後!?マジで!?)」

 

その中で絶斗だけは衝撃の真実に気付いていた

 

グ「私たちもかわいい息子がいるの。ミリキャスと言うんだけど・・・」

 

フ「姉さんの子供・・・是非見てみたいわ!蒼枒も来ていたけれど黒歌と一緒に帰ってしまったから」

 

サ「その黒歌のことだけど、ちょっといいかな?」

 

サーゼクスが姉妹の間に入る。その表情は先ほどまで泣いていたものではなく、凛とした魔王としての表情を向けていた

 

サ「君たちは黒歌がはぐれ悪魔・・・主を殺したと言うこと知っているのかい?」

 

フ「ええ。もちろん」

 

碧「黒歌本人から聞いた」

 

サ「なら悪いことは言わない。息子さんには悪いが今すぐ別れさせて黒歌の身柄を渡すよう言ってくれないか?」

 

仙術の力にのまれ、主を殺した重罪人黒歌。どうやってフィーリスの息子に取り入ったかは知らないが、またいつ彼女がその力を暴走させるかわからない。グレイフィアの夫としてフィーリスは助けてあげたいという優しさから出た提案だった

 

サ「このままでは君たちの身が危ない」

 

碧「そのことだが・・・なぜ黒歌が犯罪者などと言われている?」

 

サ「彼女は自分の主である悪魔を殺しているんだ。眷属が主である悪魔を殺すことは重z「しかし契約を破ったのはそちらだろう?」・・・何を言っているんだ?」

 

碧「黒歌と白音を保護したときに彼女から全て聞いた。黒歌から聞いた話だと主が契約を破り白音に手を出そうとしたため殺したと聞いている」

 

それは悪魔が知らなかった情報。それを聞いた悪魔たちは驚くもすぐに冷静となり

 

サ「それは黒歌の証言だろう?その証拠もないし彼女が嘘を言っている可能性もある」

 

フ「まあそうなるわよね。だけど指名手配をするときはちゃんと調査をしたのよね?ただ主を殺したという事実だけで犯罪者になるのなら愚かにもほどがあるわ」

 

グ「フィーリス!サーゼクス様達になんてことを言うの!」

 

魔王に対して不敬な発言にグレイフィアが注意する

 

フ「どうしたの姉さん?私は別に馬鹿にしたつもりはないのだけれども。それとも何かしら?まさか私が言った通り何の調査もしないで一方的に決めつけたの?」

 

事実を言われ何も言い返せない魔王達。その様子にフィーリスは溜息を吐いた

 

フ「はぁ、とりあえず証拠を見せましょうか。白音!」

 

白「はい、お義母様」

 

しかしフィーリスは気にする様子もなく白音から受け取った水晶をテーブルの上へと置いた

 

サ「・・・これは?」

 

フ「斉天大聖、孫悟空様に作っていただいた黒歌の記憶の写しです。これには黒歌が無実であることを示す真実が映されています」

 

水晶には黒歌が殺害した悪魔と契約を結ぶシーンから始まった。その内容も彼が契約を確認できるほど鮮明に映されていた。シーンが移り変わり薄暗い部屋で悪魔と黒歌が言い争っていた。黒歌が契約書を見せながら悪魔に対して怒鳴っていたが悪魔が契約を破り、白音を眷属すると言った。そして黒歌は白音を守るために主を殺した。フィーリスは水晶を回収し、見ていた悪魔たちに告げた

 

碧「どうでしょうか?これでも黒歌に罪があると」

 

サ「・・・ダメだ。証拠があっても私たちが宣言したからと言って罪を無くすことは難しいだろう」

 

白「まあ、そうでしょうね。始めから期待なんてしてませんでした」

 

葉「悪魔の駒(イーヴィル・ピース)なんてものを作ってますし、しょうがないです」

 

リ「ちょっと!悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の何が悪いのよ!」

 

白「いいですか。あれは眷属にするために悪魔へと転生させますが、他種族のことを全く考えられていません。そして悪魔が知らないのも無理ないですがあれは魂を強制的に変化させているため、死を管理する方々からかなりの苦情が来ています」

 

葉「それに相手の意思とは関係なく眷属にできます。拒否されても無理矢理自分のものにできるとは考えられたものですね」

 

東雲姉妹が皮肉交じりに説明すると、そんなことはしないとリアスが叫んだ

 

リ「嘘よ!そんなことするはずがないわ!」

 

白「信じられないのも無理はありません。しかし私はあのレーティングゲームの後から悪魔に襲われ、今ではその数が40を超えています。理由は聞かなくてもわかりますよね」

 

葉「私も同じくらいですね。断ったら帰ってましたけどそれは最初だけです。今では容赦なく殺しに来てます。ご存知の通り死んでからでも転生させることができるのでこちらの意志は関係ありません」

 

サ「近頃、人間界に言った悪魔が戻ってこないという報告を聞いていたがそれは君たちのせいか!」

 

リ「どうして私に言ってくれなかったの?私に言ってくれれば貴女達を「守ってあげる、ですか?眷属になる代わりに」っ!!」

 

言おうとした言葉を言われリアスは言葉を詰まらせる

 

白「やはりそんなことでしたか」

 

イ「なんで、なんで悪魔になりたくないんだ!悪魔になれば寿命も延びるし力も得られるんだぞ!」

 

匙「そうだ!しかも上級悪魔になれば自分の領地も得られ、自分だけの眷属を持てるんだ!好きな人を眷属にすればずっと一緒にいられるし悪いことなんてないだろ!」

 

イッセーと匙が白音に叫んだ。彼らは何故東雲姉妹が悪魔になることを受け入れないか分からなかった。その様子に葉月は溜息を吐きながら

 

葉「はぁ、いいですか。そもそも妖怪が悪魔に転生する利点はほぼありません。確かに悪魔になれば寿命は伸びますが、光や聖剣など明確な弱点が出てきます」

 

白「わざわざ弱点を増やしてどうするんですか?寿命が延びる?どうでもいいことですね」

 

葉「さらに言うと何故家族と離れ離れにならなければならないんですか?」

 

イ「別に離れ離れになったりしないだろ。俺も悪魔になったけど一緒に暮らしてるし」

 

白「それは貴方の場合ですよね。私たちの家は結界が張られ今では悪魔が入れないようになってます。例外はお義母様ぐらいですね」

 

イッセーは腑に落ちないようだったが、妖怪から悪魔になることはメリットがないことだ、と言われ、さらに家族とも別れなければならないと言われたリアスたちは何も言えなくなった

 

サ「・・・君たちが悪魔にどう思っているのかは分かった。だが殺すのはやめてもらえないかな?ただでさえ悪魔の数が少ないのに減らしてほしくはないんだが」

 

白「お断りします。私たちが貴方の言うことを聞く必要はありません」

 

フ「そもそも襲ってくる方が悪いじゃない。葉月たちは自分の身を守っているだけよ」

 

?「そうだな。身に降りかかる火の粉を払わなければならないからな」

 

どこからか怒気を含んだ低い声が部屋に響き渡る。悪魔は部屋を見渡すがどこから聞こえたか分からず、東雲姉妹と発生源の近くにいた東雲夫婦はある一点を見ていた

 

セ「いったいどこから!?」

 

イ「どこだ!どこから聞こえた!?」

 

声の主を見つけられずに軽いパニックになる悪魔をよそに、フィーリスの袖から一枚の札が飛び出した。札は龍の形へと姿を変えるとテーブルの上へと降り立った

 

グ「ドラゴン?」

 

サ「その声はあの時の・・・」

 

髪で作られたとはいえ目の前に龍が現れ、しゃべっていることに驚きを見せるなか、絶斗はその声の主を言い当てた

 

絶「その声・・・蒼枒さん?」

 

蒼「正解だ。悪魔の気配がかなりあったから母様に式神を付けさせておいたが・・・まさか妹を悪魔にしようと考えていたとはな」

 

セ「紙で作られたるなんてすごい!蒼枒っていうからもしかして君はフィーリスの息子かな?」

 

蒼「そうだ。俺は東雲蒼枒、次期青龍だ。家族が悪魔が集まる中に行くから式神を忍ばせておいた。何せ悪魔は信用ならないからな。お前たちが襲い掛からないとも限らない。が、まさか妹達が本当に悪魔に襲われてるとはな」

 

サ「・・・信用ならないとはどういうことだい?」

 

蒼「分からないのか?契約を守らなければ約束も守らない!人の土地を勝手に我がものとし、その管理を自称する!しかもそれは全く管理できていない!!さらには気に入ったものは殺してでも転生させ自分のものしようとする!!!これでどうやって信用するっていうんだ?」

 

魔王も心当たりがあり言い返すことができなかった。黒歌の記憶を見た後では契約を破っていたことが発覚し、東雲姉妹の言う通りならば無理矢理転生させていたということになる

 

蒼「悪魔も数が減ってきているのは知っている。故に多少は目を瞑っていたが・・・もう限界だ!!次、害を与えたら俺は悪魔に容赦しない!覚悟しておけ!!!」

 

そう言い残し、龍は札へと姿を戻すとフィーリスの手へと戻った

 

サ「困ったな。親である君たちから何か言ってはくれないか?」

 

フ「私たちが?何故?」

 

セ「何故って・・・同じ悪魔でしょ!?助けてくれないの!?」

 

フ「私はすでに日本神話に身を置いています。悪魔だからと言って庇いだてるつもりはありません」

 

碧「管理はすでに蒼枒に任せている。私があれこれ言うつもりはない。それに悪魔に非があるからな」

 

リ「そんな・・・」

 

同じ悪魔であるフィーリス、そしてその夫ならば自分たちの味方になってくれると思った悪魔たちだが、返されたのは拒否の言葉

 

フ「そろそろ私たちも帰ります。グレイフィア姉さん、会えてうれしかったわ」

 

グ「待って!もう帰るの!?折角会えたのに」

 

フ「きっとまた会えるわよ。次合うときは姉さんの子供も見てみたいわね。じゃあまたね」

 

フィーリスは袖から木の札を取り出すとその場から消えた。それに続くように碧守、葉月、白音も消え

 

グ「フィーリス・・・」

 

部室には悪魔だけが残った

 

 

 

 

 

霊峰青山の中腹。そこに建つ家の縁側で蒼枒刀の手入れをしながら、式神を通して悪魔との会話を聞いてた

 

蒼「(姿を現すつもりはなかったんだがな)」

 

始めは隠れたまま悪魔たちの前へ姿を現すつもりはなかったが、妹達が悪魔に無理矢理転生させられそうになっていると聞いて思わず声を出してしまった

 

蒼「(確かに葉月たちがいい練習台が見つかったと言っていたが・・・まさか悪魔どもに襲われていたとはな。まあいい、次に問題を起こした時が最後だ)」

 

蒼枒はリアスたちがレーティングゲームを終えた頃から分身の精密操作の訓練をするちょうどいい相手が見つかったと葉月と白音が言っていたのを思い出していた。そのときは特に気にも留めていなかったがその相手が蒼枒の嫌いな悪魔ならば蒼枒も動かないわけにはいかない。家族を、そして何よりも黒歌を守るため蒼枒は日本からの悪魔の排除を決めた

 

黒「終わったにゃー!!」

 

蒼枒の隣で札を作っていた黒歌は筆を放り投げると蒼枒へもたれかかった。黒歌の周りには完成した札が大量に散らばり、置かれていた

 

蒼「お疲れ様」

 

黒「んんっと。疲れたにゃあ」

 

余程疲れたのか黒歌は身体を伸ばし、すーっと滑って蒼枒の膝の上に頭を乗せた

 

蒼「おっと。危ないぞ黒歌」

 

黒「ふふふ、蒼枒ぁ」

 

甘えるように腕を伸ばし蒼枒を求める。甘えてくる黒歌に蒼枒は手入れをしていた刀を置き、頭を撫で始めた。撫でられる黒歌は心地よさそうに目を閉じようとしていた

 

蒼「少し寝るか?」

 

黒「・・・うん。眠たいにゃ」

 

これから夏になるとはいえ何も掛けないで寝るのは体に悪いと思った蒼枒は腕から綿の布を作り出すと横になっている黒歌にふわりとかけた

 

蒼「おやすみ、黒歌」

 

黒「おやすみにゃ」

 

すぅすぅと眠りにつく黒歌の頭を優しくなでる。時折寝言で蒼枒の名前を言う愛しい妻をかわいいと思いながら蒼枒は刀の手入れを再開した


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