【絶斗side】
気絶中のイッセーを起こし、ギャスパー棺桶を一緒に部室へと運んだ。あの部屋には自由に入れるようになったし、何かあったらまずいからな。とりあえず部屋の隅へと棺桶を降ろした
絶・イ「「
リ「そう。それがギャスパーの持っている
イ「スッゲー!時を止めるなんてすごい
白音ちゃんの言う通り時を止めていたのか。おそらくその範囲はあの無色になっている空間がそうなのだろう
リ「だけど弱点もあるわ。
なるほど。だから白音ちゃんは普通に入ってこれたのか。俺たちとじゃ明らかに力の差があるからな
絶「よくそんな強力な
部長は1冊の本を手元に出現させ、いくつかのページをめくり俺たちに見せた
リ「『
ゼ「ふむ。通常の『
朱「だいたい上級悪魔の10人に1人は持っているものですわ。場合によっては『
そうなのか。ん?駒価値は『
リ「ギャスパーは類希な才能の持ち主で、無意識のうちに神器の力が高まっていくみたいなの。そのせいもあって、日に日に力が増していってるわ。上の話では将来的に『
それはすごいな。祐斗みたいにいつかは『
リ「ギャスパーの
まあ聞きたいことはギャスパーがいる部屋で言っていたからだいたいわかるけど
絶「俺に答えれることでしたら」
リ「まずはギャスパーに剣を向けていた件ね。一体何故かしら?」
どうやら質問はあの時言っていた順でするみたいだな
絶「あの時は不測の事態に備えて警戒をしていたためです。みんなは動かなくなるし、だんだん無色は広がる。そしてその広がる中心にいたのがギャスパーだった。あの時はギャスパーが時を止めることができるなんて知らなかったから警戒して当然でしょう?」
リ「そうね。ってちょっと待って!あなたもしかして動くことができたの!?」
絶「まあ。なぜかは分からないですけど」
たぶんだけど《アミル・ガウル》が守ってくれたとしか考えられないな。白音ちゃんみたいに他のみんなと力の差があるわけでもないし
リ「ということは何故白音があの場所にいたのかを知っているのね。何の理由で来たかは知らないけど、ケルベロスを倒すほどの実力を持つ白音ならギャスパーに止められることはないと思うわ」
絶「そうですね。何故来たのかは俺にもわかりませんが、最後の質問はお答えできます。あの時、ギャスパーが倒れていたのは白音ちゃんが
ギ「・・・・うぅ。ま、また、僕の話なんてして・・・放っておいてほしいのに・・・」
いつのまにか起きていたらしく、俺たちの話を聞いていたようだ。棺桶の蓋を少しだけずらしこちらを見ていた
ギ「だ、だからお、お外は僕の天敵なんですぅ!さ、さっきだって放っておいてくれれば、
確かにギャスパーがいていることも合ってはいる。だが・・・
絶「お前はそれでいいのか?ずっと引きこもっていて。誰かに会うたびに
ギ「で、できるならば制御したいでですぅ。でも、また暴走しちゃうし・・・」
ゼ「いつまでもくずくずしてお前はそれでも男か!外に出ろ!自分の
先ほどからイライラしていたゼノヴィアがついに抑えきれなくなったようだ。だがゼノヴィアが言ったことは俺も賛成だ。いかに強力な能力を持っていようとその器である身体が能力に耐えることができなければ簡単に暴走してしまう。今でさえ制御できないのにいつかは『
絶「そうだな。健全なる精神は健全なる身体に宿るというし・・・部長。ギャスパーは吸血鬼みたいですけど外に出ても大丈夫なんですか?」
イ「え?ギャスパーって吸血鬼何ですか」
今頃か。部屋が暗かったり棺桶の時点である程度は察しろ。いや、気絶してたから無理か
リ「デイウォーカーという特殊な吸血鬼の血を引くから太陽光も平気なはずよ。自分からは出て行かないけど」
絶「なら無理矢理でも連れていくしかないか。ゼノヴィア」
ゼ「ああ。わかった」
ギ「ひぃぃぃぃ!な、何するんですか!?」
俺とゼノヴィアが棺桶を持ちあげると、中にいるギャスパーが騒ぎ出した
絶「今からお前を鍛える。まずは体力づくりだ」
ゼ「そうだな。まずは走ることから始めようか」
ギ「そ、そんなの無理ですぅぅぅ」
ゼ「何、走らなければならない状況にすれば否応でも走るようになるさ」
棺桶の中で怯えるギャスパーを無視して俺たちは校庭へと運んだ。その様子をアーシアは心配そうにしていたが、それとは対照的になんかいい表情の朱乃先輩が俺たちを見ていた
絶「さあ、走れ!部長が言うには日中でも走れるんだろ?」
ギ「いやぁああああああ!」
ゼ「校舎に逃げ込もうとしているようだがそうはいかないぞ!ほら、十字架に聖水だ!」
ギ「ひぃぃぃぃ!浄化されちゃうぅぅぅ!!」
ギャスパーを追いかけながら《アミル・ガウル》を当たる寸前に振る俺と、ギャスパーが逃げ込もうする先に立ちふさがり、聖剣・悪魔祓いの道具を展開するゼノヴィア。少しかわいそうだがこれもギャスパーのためだ
リ「ちょっと!?いくらなんでもギャスパーがかわいそうよ」
絶「かわいそう、とか何を言ってるんですか!優しさと甘さは違うんですよ!」
リ「っ・・・」
何か言いたそうな表情をしている部長にゼノヴィアがさらに追撃を加えた
ゼ「絶斗の言う通りだ。このままではギャスパーは討伐されるぞ」
リ「なっ、なんで!?」
ゼ「視界に捉えたあらゆる物の時を止めることができると言っていたな。先程は部屋のみだったがこれが力を増し『
リ「させないわ!私がそんなこと絶対にさせない!」
絶「そう言って部長は何かをしました?夜には封印が解けていたと言ってましたが制御できるよう何かしてたんですか?ギャスパー!部長がお前に何かしていたか?」
ギ「な、何もしてないですぅぅぅぅぅ!こ、答えたからやめてくださいぃぃ!」
やっぱりか。大体予想はしていたけど
絶「主としてどうなんですか?先が思いやられます」
ゼ「(本当にそうだな)」
追いかけるギャスパーの速度がだんだん落ちてきた。そろそろ休ませるか
リ「分かったわ!これからは私もちゃんと指導するから!もうやめて!」
絶「そうですね。ギャスパーは一旦休ませます」
体力が尽きたのか倒れたギャスパーを日陰へと移し、次の目標へと狙いを定めた
絶「さあ、次は部長の番です」
リ「え!?ちょっと待って!何を言っているの?」
顔を引きつらせながら言う部長の背後にゼノヴィアが迫る
ゼ「指導するものとして同じ苦難は経験しておいた方がいい」
絶「というわけで部長。次は貴方が走る番です」
リ「・・・・・・撤退!」
絶「逃がすかぁ!」
【3人称side】
匙「おー、やってるなオカ研」
イ「おっ、匙じゃん」
旧校舎入り口にいるイッセー達のところに軍手にシャベルを装備した匙がやってきた
匙「よー、兵藤。解禁された引きこもりの眷属を見に来たぜ」
朱「ずいぶんと来るのがはやいですわね」
匙「会長に聞いてましたから。それで、その眷属っていうのはどこです?」
イ「絶斗とゼノヴィアに追いかけられてるのがそうだぜ」
イッセーが指さす方にはギャスパーを追いかけまわす絶斗とゼノヴィアの姿があった
匙「おお!女の子か!しかも金髪!」
イ「匙。残念、あれは女装野郎だ」
匙「なん・・・だと・・・」
イ「分かるぞ。その気持ちは十分に分かるぞ、匙!」
イッセーが真実を教えると匙はガッカリとうなだれた。その匙を同じショックを受けたものとしてイッセーは慰めていた
ア「そういえば匙さんは何をなさっていたのですか?」
朱「見た感じ花壇の手入れしているような格好ですけど、お仕事しなくてもよろしいので?」
匙「ちょっと見に来ただけですぐに戻ります。近々授業参観もありますし、それに魔王さまもここにいらっしゃるようです。学園をキレイに見せるのも生徒会の仕事だ」
イ「確かに授業参観に来ると言っていたな」
イッセーはリアスの兄であるサーゼクスが止まりに来ていた日のことを思いだしていた
匙「それよりもイッセー。お前のとこの部長が大変なことになっているぞ」
イ「何だって!?」
いつの間に追いかける対象が変わっていたのか。それまで逃げ回っていたギャスパーは日の光が当たらないところに横たわっており、代わりにリアスが絶斗とゼノヴィアに追いかけられていた
イ「部長おおおおお!」
絶「邪魔するな!」
イ「ぶへらっ!」
ア「イッセーさん!」
イッセーは
リ「イッセー!」
絶「他人の心配をしている余裕はありませんよ!」
イッセーが絶斗に殴りかかったが時間稼ぎにもならず、すぐに絶斗はリアスの背後へと追いついた。空中へと逃れようとするリアスだったが、飛ぼうとするたびに頭上を十字架や聖剣が通過していくため空に逃れることもできなかった
リ「ちょっと祐斗!助けて!」
祐「・・・すみませんが僕はゼット君たちに味方します。先のコカビエルとの戦いのときは全くと言っていいほど手も足も出なかった。僕たちは強くなるためにも鍛えなければなりません」
リ「そんな・・・」
リアスの最後の希望が消えた。新しく眷属になった2人は自分を追いかけ、イッセーはまだ起き上がらず、アーシアは助けるだけの力を持っていない。祐斗は鍛えるためと言って助けず、朱乃は助けるどころかこの状況を見て楽しんでいた
匙「・・・カオス、だな」
そのオカ研の状況を見て、匙はそう呟いた
【絶斗side】
リ「はぁ・・・はぁ・・・。貴方達、覚えてなさい」
そう言って旧校舎の中へと戻っていく部長。ギャスパーのために始めた体力づくりだったが途中から部長、ついでにイッセーが加わり、3人は交代しながらずっと走り回っていた
絶「・・・意外と体力ないんだな」
イ「ぜぇ、ぜぇ。なんでお前らは・・・平気そうなんだよ」
絶「いや、体力作りは基本だろ?」
ゼ「そうだな。戦いの中で体力がなくなった待つのは死だからな」
3人以上に走っていたはずの俺とゼノヴィアは少し息が乱れる程度でまだ体力には余裕がある。今はギャスパーを部屋へと届けている祐斗も、追いかける方に加わったが途中ではあったがまだまだ余裕はあった。昼から西の空が薄っすらと赤くなり始めるまでずっと走っていたが、ギャスパーはともかく2人の体力のなさに驚きを感じていた
?「へぇ。魔王眷属の悪魔さん方はここに集まってお遊戯しているわけか」
絶「誰だ!?」
声のする方を向くと前髪が金髪で顎鬚を生やした浴衣を着た男性がそこにいた!
イ「アザゼルッ!!」
アザ「よー、赤龍帝。あの夜以来だな」
堕天使の総督、アザゼルか。何故ここに?いやそれを考えるのは後だな。俺は《アミル・ガウル》を出し、ゼノヴィア、イッセー、アーシアも警戒し、武器を構えたが
アザ「やる気はねえから構えを解けって。
絶「祐斗なら今はいませんよ」
アザ「そうか、聖魔剣使いはいねえのか。つまんねぇな。まあいいか、代わりに面白そうなもの見つけることができたし」
そう言って俺の持つ《アミル・ガウル》に視線が向けられる
アザ「お前のその剣、
絶「・・・《精霊剣 アミル・ガウル》」
アザ「《精霊剣 アミル・ガウル》か。聞いたことないな」
まずいな、完全に興味を持たれてしまったか
ゼ「絶斗、大丈夫なのか?前にも言ったが堕天使の総督は
絶「分からない。だが、先ほどの言葉が嘘じゃなければ襲ってくることはないはずだ」
ヒソヒソと小声で話すゼノヴィアだが、その様子も目の前の総督にはお見通しのようだった
アザ「別に奪おうってわけじゃねぇんだけど。まあ、しかたねえか。それよりお前の
イ「ゼット!見せる必要はねぇ!そいつは敵なんだぞ!」
イッセーの言う通り敵に自分の武器を見せるのは馬鹿のすることだ。だが今は
絶「1つ条件があります。半吸血鬼が持つ
アザ「見るだけか?」
絶「死んでも構わないのならば持ってみてもいいですよ?」
アザ「・・・」
死ぬという言葉に悩んだ様子をみせる総督。少しして
アザ「分かった。その条件を飲もう」
良かった。これでギャスパーも何とかなりそうだな。鍛えるといってもすぐに成果が出るわけじゃないしその間に『
アザ「俺も遠目から見ていただけだから知識でしか答えられないぞ。五感から発動する
なるほど。イッセーの血を飲ませればいいのか。・・・イッセーの変態が移らなければいいけど
イ「ゼット!なんで俺の方を見ているんだ!」
絶「別に何でもないから気にするな」
アザ「さてそっちの条件は満たしたんだ。はやくその
絶「いいですよ」
俺が持つ《アミル・ガウル》をなめるようにみる総督。目の輝きがおもちゃを前にしている子供のようだな
アザ「・・・持ってみるのはだめか?」
絶「死んでもいいのならどうぞ」
総督の前へと《アミル・ガウル》差し出す。拒絶も何の条件も無くあっさりと渡そうとする俺と《アミル・ガウル》を交互に見た後
アザ「いや、やめとくぜ。嘘は言っていないようだしな」
総督は身を引いた
アザ「俺の知らない
そう言うとアザゼルさんはこの場を去っていった