それでも読んでくださる方はどうぞ
【蒼枒side】
黒「蒼枒。起きるにゃ」
体が揺され、愛しい者の声が聞こえる。目を開けると俺の隣に妻である黒歌が微笑んで座っていた
黒「おはようにゃ、蒼枒」
蒼「おはよう、黒歌」
まだ寝ている俺に黒歌が覆いかぶさりキスをする。5秒くらいで唇を離すと黒歌はほんの少しだが頰を赤く染めていた
黒「今日は白音たちの先輩たちに修行をつけに行くんでしょ。はやく起きるにゃ」
蒼「あ~そうだった。行きたくはないな」
何で悪魔のためにとぼやきつつ布団を片付ける。その間に黒歌は座布団を2つと櫛を用意していた。
黒「はやく。はやく」
座布団をポンポンと叩いて俺を急がせる。黒歌を背に座布団に座ると黒歌はすぐに髪を梳かし始めた
黒「にゃ、にゃ、にゃん♪」
機嫌よく髪を梳かす黒歌。俺の髪のまとめ方はその日の黒歌が決めている。昨日は特に何もしないでストレート、一昨日は毛先だけまとめていた。
黒「できたにゃ!」
どうやらできたみたいだ。今日はうなじと毛先のところを紐で束ねている。
蒼「ありがとな」
黒「どういたしまして。白音たちが朝食を待ってるにゃ、はやくいこ?」
黒歌に連れられて部屋を出る。本当にかわいいなぁ
【白音side】
お姉ちゃんがお義兄様を起こしに行きました。その間に葉月と朝食の準備をしておきましょう。準備と言ってもお姉ちゃんが用意してくれているのでご飯とみそ汁をよそうぐらいですが。
白「はぁ、やっぱりやめたほうがよかったでしょうか」
葉「そうですね。何しろリアス部長はお兄様が嫌いな純潔悪魔ですから。何もなければいいのですが」
今頃になって少し後悔しています。それは昨日、先輩たちの指導をお義兄様にお願いした時でした
~~~~~回想~~~~~
ジュージューと肉が焼ける音と香ばしいにおいが七輪から庭に広がっていきます。
蒼「ねぎまとレバーが焼けたぞ。次は何がいい?」
白「おいしいですね。あ、次はつくねをお願いします」
葉「私は豚バラで」
蒼「わかった。少し待ってろ」
庭にシートを広げ、すぐ横でお義兄様が七輪で焼き鳥を焼いてくれています。鶏だけでなく豚や野菜など様々な種類の串がさらに盛らさっています
葉「よくこんなに用意できましたね?」
黒「鶏肉に関したはお義父さまたちが比内地鶏を送ってくれたにゃ。あとは冷蔵庫にあったのを串に刺しただけ」
蒼「それよりも珍しいな、夕飯をリクエストするなんて。学校で何かあったか?」
白「・・・そのことなんですが、お義兄様にお願いがあります」
私たちは学校であったことをすべて話しました。フェネクスのこと、グレイフィアさんのこと、修行のこと。わかっていたことですが話している間にお義兄様の機嫌がだんだん悪くなっていきました。目も眼に変わってしまっています。
蒼「糞悪魔が!約束すら守らないとはふざけやがって!・・・事情は分かった。母様の姉についても伝えておくしなんで焼き鳥をリクエストしたかもわかった。それで頼みというのは」
白「先輩たちの指導をお願いします。今のままでは戦いにすらなりませんので」
はっきり言って今の先輩たちの実力では全員で中妖怪を相手しても倒すことすらできないでしょう。
蒼「なぜ俺が悪魔なんかに。よし焼けたな」
白「主に私たちの負担軽減のためですね。レーティングゲームでの。ありがとうございます」
葉「あのフェネクスの言葉を無視してもいいのですが、それ以前に負けたくはないですから」
あんな男が師匠と同じ
蒼「出るのは確定してるんだな」
白「はい、出なかった場合、何されるかわかりませんから」
先輩から聞いたあの男なら無理矢理でも私たちを連れて行こうとするでしょう。ここを襲ってくれれば問答無用で捕獲できますが学校だと面倒ですから。
黒「やってあげれば?白音たちなら負けるとは思えないけれども、万が一ということもあり得るにゃ」
蒼「そうだな、変にリスクを負う必要はないか」
よかった。どうやら引き受けてくれるようです
蒼「気乗りはしないが引き受けよう。その先輩たちの特徴や戦闘方法を教えてくれ」
~~~~~回想終了~~~~~~
一応話せることはすべて話しましたが大丈夫ですかね。準備が終ったので先に座ります。ちょうどお姉ちゃんたちも来たみたいです
蒼「葉月、白音、おはよう」
葉・白「おはようございます、お(義)兄様」
黒「今日は少し早く行くんでしょ?早く食べるにゃ」
お姉ちゃんたちが座るとみんな手を合わせます
全「いただきます」
【ゼットside】
俺達は、10日後のレーティングゲームの為に部長が所有する山に修行しに来た。
イ「ひーひー」
ゼ「イッセー、頑張れよ」
イ「そ、そんなこと言われてもよぉ」
イッセーは既に疲労困憊だ。俺もきついがイッセーほどじゃあない。こんな状態で登りきった後に待っているであろう修行に耐えられるのか?
リ「ほら、イッセー。早くなさい」
部長が遥か前方から檄を飛ばしてくるが、今のイッセーの耳には届いていない。というより
ゼ「イッセーお前、部長や朱乃先輩に負けるのはどうかと思うぞ」
イ「それは・・・悪魔だから・・・」
ゼ「お前も悪魔だろう」
イッセーや俺と同じく部長たちも自分の荷物の他に食材等生活に必要なものをもっているからな。女性に負けてられないぞ。アーシアは除いてだが
祐「部長、山菜を摘んできました。夜の食材にしましょう」
祐斗は俺やイッセー以上の荷物を背負いながら山菜まで摘んできていた。
朱「あらあら、今日は何にしましょうか?」
リ「無難にてんぷらでもいいんじゃないしら」
朱「うふふ、私は和え物も良いと思いますわ」
部長たちの楽しそうな声が聞こえてくる。
イ「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
すると、何を思ったかイッセーがいきなりスピードを上げて、部長たちを追い抜いて山をかけ登っていった。
あいつ、この後大丈夫か?
登頂
案の定、先に別荘に着いたイッセーは死んでいた
ゼ「まあ、そうなるな」
とりあえずイッセーを日陰に寄せて荷物を部屋に置きに行く。てっきりコテージなんかと思っていたがあったのは日本の山には似合わない屋敷だった。これがヨーロッパ辺りならまだわかるが日本だぞここ。・・・気にしてもしょうがないしジャージに着替えるか。
ガチャ
ちょうど着替え終わった時に復活したイッセーが入ってきた。
ゼ「もう大丈夫なのか?」
イ「ああ、なんとかな」
ゼ「早く着替えろよ。もう部長たちも着替え終わってるはずだから」
イ「わかってる。その部長に起こされたからな」
屋敷の外に出るとイッセーが言ってたように着替え終わった部長たちがいた。しかし・・・
ゼ「部長。葉月ちゃんと白音ちゃんは?」
リ「学校に行く前に兄を連れてくるって話だったのだけれど・・・迷ったのかしら?」
イ「すみません。お待たせしました」
イッセーも着替え終わったようで屋敷から出てきた。さてこれからどうしようかと思ったところで何か音が聞こえてきた
リ「なに!?この音!」
祐「わかりません。だんだん近づいてきます!」
同じリズムで音がだんだん大きくなり何かが近づいてきているがわかる。音のする方を見ると高速で登ってくる人影があった
リ「一体何者!?あんな速さで登ってくるなんて!」
?「ここだな」
まだかなり距離があるように見えたがその人影はわずか数秒で登り切ってきた。青い銀色の髪に和服。腰には2本の鞘を差し下駄をはいているこの人は一体・・・