追記しましたが今週は更新できません。最近本当に書く時間がないんです
【3人称side】
極東の青き龍と北欧の魔狼の戦いは音を完全に置き去りにしていた。刀と爪がぶつかり合い金属音が響くが、その時にはもう2人はその場からいなくなっていた
フェ「(これが噂の青龍ですか。人狼の姿とは言えなかなかですね)」
互いに宙を駆け、並び、互いの得物をぶつけ合う。その中で内心フェンリルはそう思っていた。横薙ぎの刃を躱し、鋭い爪で蒼枒を貫こうとするも貫いたのは残像のみ。駆ける最中蹴りを放てば相殺される。神を殺す牙で噛みつこうとすれば青龍刀で受け止め返しに蒼枒が縦切りを放つ。フェンリルは離れることでそれを回避。互いに傷を負わせることなくぶつかる中、黒歌の張る結界の外から2人の戦いを見る3つの影があった
葉「どうですレイヴェル。お兄様の姿は見えてますか?」
レ「ええ、集中すればなんとか」
白「私の攻撃を数撃躱せるだけはありますね。その後は身体がついて行ってないようですが」
レ「うっ。それは・・・」
3つの影。その小隊は葉月に白音。そしてレイヴェルだった。普段であれば監視役を交代している時間であるが、今宵は
葉「見えてるだけいいじゃないですか!まだ来てわずかしか経ってないにも拘らずあの速さを観れるのはいいことです」
レ「屋敷似た頃、レーティングゲームのトップランカーのゲームをよく見てましたから。トップの
白「お義兄様もフェンリルもあれが本気でも何でもないってのが恐ろしいところです」
葉「お兄様に追従できる白音が何言ってるんですか」
白「一応ですけどね」
レ「さて、フェンリルは葉月たちのお兄様が抑えていますが、グレモリーとその眷属は何を手間取っているのでしょう?」
レイヴェルの視線の先では4色の精霊がオーディンを護衛する者達を襲っていた。一つ一つは力がなさそうだがロキが次々と生み出していき、その数は時間が経つにつれ増えていく
白「生半可な攻撃では意味がないようですね。あの中で最も有効なのはグレモリーでしょうか?」
葉「そのようですね。あの魔力が当たった精霊から消えていきますし。次点ではアザゼルさんでしょう」
レ「グレモリーは滅びの魔力をもっていますわ。それが作用してのことでしょう」
レイヴェルの言う通り、リアスの放つ魔力に当たった精霊はひとつ残らず消えていく。他も攻撃するが物理攻撃が効きづらいようでイッセーと絶斗の攻撃はあまり効いていない。他も火力不足でダメージを与えてにくく効果的なのはアザゼル。ゼノヴィアでようやくといったところだった
また別の場所ではオーディンとロスヴァイセが戦闘を見上げていた
オ「あれはマズいのぅ。このままでは数に押されて負けてしまうわい」
ロ「そうですね。あれは《極星霊》モンスターの姿をしていますがデュエルディスクを使っている訳ではありません。それ故あれだけの数を召喚出来るのでしょう。そして《極星霊ドヴェルグ》・《極星霊リョースアールヴ》・《極星霊スヴァルトアールヴ》・《極星霊デックアールヴ》のそれぞれの効果も違っているようです。ですが本来の能力と類似した能力は持っているようですが」
ロスヴァイセの言う通り。ロキが召喚しているのはオレンジ色の逞しい髭の生えた《極星霊ドヴェルグ》と青とも黒とも似付かぬ暗い色の《極星霊スヴァルトアールヴ》のみ。そこから先は《極星霊》達が自分たちで増殖を始めていた。攻撃能力は細身で水色の《極星霊リョースアールヴ》と太めでピンク色の《極星霊デックアールヴ》があるがそれでも劇的に高いわけではない。だがこの2体も呼び出す能力を持っているため破壊されても次の後続がすでに待ち構えている状態に陥っている。いずれは《極星霊》の波に飲み込まれてしまうだろう
オ「ロスヴァイセよ。お主も援護にいけ。ここであやつらを失うのは惜しいからのぅ」
ロ「ですが、オーディン様の護衛が」
オ「またあれを張ればよかろうて。さらにそれを護れればなお良いがのう」
ロ「・・・・・・分かりました」
オーディンの言うことも分かる故、了承したロスヴァイセはデッキからカードをドローし、1枚をセット。そしてあるモンスターを召喚した
ロ「セットしていた《安全地帯》をオーディン様を対象に発動。さらに《No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル》の効果。オーバーレイユニットを1つ取り除き、《安全地帯》を選択します」
ロセが召喚したのは鍵状の角を持つ金色のカブトムシ。オーバーレイユニットが角に吸収されると《マスター・キー・ビートル》が表になっている《安全地帯》に角を突き刺し、ロックした。
ロ「これで《マスター・キー・ビートル》が破壊されない限り《安全地帯》は破壊されませんね。《マスター・キー・ビートル》もそこそこ力がありますしすぐにやられることはないでしょう」
《マスター・キー・ビートル》の攻撃力は2500。《極星霊》モンスターの最高攻撃力が1400のを見ると十分な数値である
ロセ「ではオーディン様。安全だからと言って動き回らないでください」
オ「わかっておるわい」
ロスヴァイセは《スターダスト・ドラゴン》を召喚しその背に乗る。向かうは上空に張られている結界内。青龍とフェンリルと精霊の大群が暴れる場所へと飛び立った
黒「当たらないにゃ~」
蒼枒の援護として黒歌は剣状にした炎やら雷やらを作り出し、打ち出すを繰り返す。予測先においても避けられ仕方なしに追尾させておく。その距離は1mしか離れておらず、変わらない
黒「でも、手加減の具合はこれぐらいがいいところかにゃ?」
追尾が増え続け、追尾の剣はさながらビームのように寸分たがわずフェンリルを追いかける。蒼枒が木の分身を蹴り飛ばしフェンリルが分身を上下に割る。蒼枒はそれを青龍刀と自身の作った木刀に突き刺し刃の長さをさらに伸ばしてフェンリルに振るう。フェンリルは結果の壁を駆けあがり、天井に到達すると結界にひびが入る度強く蹴り、跳んだ。
黒「にゃ!?」
その蹴りで結界を支えていた黒歌の分身の一体が消滅。すぐに新たな分身を作り出し、欠けた穴を埋めるもその間にフェンリルは駆けていた時以上の速度もって蒼枒に迫っていた。その強襲は交差する刀によって防がれるも刀の更に内側に潜り込んだフェンリルは蒼枒の二の腕に噛みつき、自身を追いかける剣の嵐へと投げ飛ばした
蒼「ッ」
まさかかみ砕かずに投げる選択をするとは思っていなかった蒼枒は反応できずに投げられる。フェンリルを追尾する剣群が迫る中、当たる数瞬前に蒼枒は自身を雷に変えそれを回避
フェ「厄介な」
これで追尾する邪魔をなくせると考えていたフェンリルは予想外の回避に思わずそう呟いた。仕方なしに自身の爪に魔力を籠め一薙ぎ。たったそれだけでビームと化していた剣の大群はバラバラに砕け散った。
蒼「(あれは、持たない)」
フェンリルの爪撃は剣を容易く砕き、さらには結界をも破壊しようと迫る。3つの爪状の魔力の前に立った蒼枒は居合の構えから刀を抜く。
フェ「(ほう・・・)」
そして刀を鞘に収めると爪撃は霧散してしまった。その時間、わずか1秒。それを見てたフェンリルは思わず感心してしまった
黒「(蒼枒のおかげで助かったにゃ)」
ロセ「黒歌さん!」
蒼枒が破壊してくれなければ悪実に結界が破壊されていたであろう爪撃に黒歌は感謝する。そこへ《スターダスト・ドラゴン》の背に乗るロスヴァイセが近づいていた
黒「そのドラゴンは何にゃ?」
ロセ「このドラゴンは私が召喚したドラゴンです。オーディン様からの命令で彼らを助けに来ました。《スターダスト・ドラゴン》を見た方は驚かれる方が多いですが黒歌さんは驚かれないんですね」
黒「蒼枒も作ったりするからにゃ~。それよりも護衛がいなくなったけどいいの?私たちも気にかけているけどすぐには動けないわよ」
ロセ「オーディン様はよほどのことがない限り安全なので心配ありません」
黒歌がオーディンの方を見ると何かに守られているオーディンと金色のカブトムシが守護するように佇んでいた
黒「まあいいけど。なら行ってくるにゃ」
そう言って黒歌が片手を振ると転移陣が現れる。その大きさは人一人は余裕で通れるが《スターダスト・ドラゴン》が通れるほどの大きさはなかった
黒「そのドラゴンも一緒に通るのは辞めとくにゃん。流石に大きすぎるにゃ」
ロセ「しょうがないですね」
ロスヴァイセは転移陣に飛び込むと同時に《アドバンスドロー》を発動。《スターダスト・ドラゴン》のカードをデュエルディスクから取り除いた。転移陣が消えるとその場には黒歌しか残らなかった