【3人称side】
廃虚となった神殿。その中央には血のように赤い龍の鎧を身に纏ったイッセー・・・一匹の小型のドラゴンが咆哮を上げていた
シ「くっ。神殿を吹き飛ばすとはな。だが」
シャルバの言葉も聞かずにドラゴンが突進し、シャルバの左肩に食らいついた
シ「ちっ、邪魔だっ!」
シャルバが右腕で光を作り出しドラゴンに放とうとするが尻尾によって向きを変えられしまう。その間にもドラゴンの牙はシャルバの肩に深く食い込み、噛みついたまま地面へと叩きつけた
シ「ぐぅぅ、小癪な!!」
シャルバはドラゴンの頭を掴むと万力の如く握り潰していく。同時に光を放つと痛さからかドラゴンが肩から離れた
シ「・・・流石覇龍なだけはある」
シャルバが魔力を放つ。大波のような巨大なオーラがドラゴンへと襲い掛かる
イ「アアアアアァァァッ!!」
上げた左腕にオーラが溜まるとドラゴンはそのまま勢いよく振り下ろした。爪から放たれた4本の爪撃はシャルバのオーラを引き裂き、彼の後方まで地面を抉りながら突き進んだ
シ「やはり、力だけは一級品か」
シャルバは懐から出したフェニックスの涙で傷を完治させていた
シ「だが、それだけで勝てるほど甘くはないぞ!オーフィスの『蛇』によって前魔王クラスまで引き上げられているのだからな」
両腕を広げ力を溜めるシャルバ。同時に前へ突き出すと極太の光のレーザーがイッセーに向かって放たれた。ドラゴンはそれを跳んで回避し、左腕を突き出しながら突進するが
シ「甘い!」
シャルバはレーザーを出したままイッセーのいる上へと方向を変えた。レーザーに飲み込まれるイッセーは悲鳴をあげながら押し戻される
イ「ガアァァァァァァ!!!?」
落ちてきたドラゴンの鎧には大小のヒビが入っていた。だがヒビが光だすとそこには何もなかったかのような新品に輝く鎧が現れた
シ「再生の能力も持つか。ならばそれが尽きるまで何度でも破壊してやろう!」
腕を振るいいくつもの光の刃を飛ばすシャルバ。大きく回って回避し、組みつこうとするイッセー。戦いはシャルバのほうが有利だった
リ「イッセー・・・」
暴れる赤いドラゴンをリアスは壁となった瓦礫の間から見つめていた。だが暴れるドラゴンの前に自身では戦うことはおろか止めることすらできないことを自覚していた
朱「リアス!」
祐「部長!」
リ「朱乃!祐斗にギャスパーも!無事だったのね」
そんな彼女の周りに吹き飛ばされた眷属が集ってきた。ギャスパーは気絶しているのかぐったりして祐斗に背を割れていたが外傷はなかった
朱「ええ。ですがゼットくんとゼノヴィアさんの姿が見えません」
リ「まさか!・・・2人を探しましょう!そこまで遠くには飛ばされてないはずよ」
祐「ダメです部長!この状況で動くのは危険です!」
今もシャルバとイッセーの戦いの余波が彼らのすぐ近くと飛んでいき半場に崩れていた柱を完全に破壊した。祐斗の言う通り、下手に動くと自身の命が危ない。だがリアスは自身の眷属を見捨てるようなことはできなかった
リ「この状況じゃ動けない2人のほうが危険だわ!・・・でも祐斗の言うことも分かる。せめて場所が分かれば良いのだけれども」
辺りを見渡しても瓦礫となった神殿と抉れ、捲れ上がった地面しかリアスの視界には映らない
朱「!?部長!あれを」
朱乃が指さす先に2人はいた。片腕を失い飛ばされてきたシャルバを受けてめていた2人だが、シャルバの様子がおかしい
シ「がぁああああうぅぅ。貴、様・・!!『蛇』を抜いたなぁ!!!」
絶「たまたまだ。お前が飛ばされてきて、箱に突き刺さっただけだ」
リ「シャルバが苦しんで・・・あれはディオドラの時と同じ!!?」
リアスたちはつい先ほど、絶斗がディオドラに対して行った時の反応と同じことに気付いた。残った片腕で胸を押さえるシャルバ。だがそれも意味をなさず彼の中に会った『蛇』は全て抜き取られてしまった
ゼ「絶斗!そろそろマズいぞ!」
絶「分かった!」
ゼノヴィアに蹴り飛ばされるシャルバ。その背中はデュランダルと《アミル・ガウル》の刃で受け止められていたのか縦に2本の線が走っていた。その先には鎧の胸元と腹部の装甲が開いており、何かの発射口にオーラを溜めているイッセーの姿があった
シ「馬鹿なっ!真なる魔王の血筋である私が!おのれ!下等な転生悪魔どもぉぉぉ!!赤い龍めぇぇぇぇっ!」
リ「待ってイッセー!その方向にはまだゼットとゼノヴィアの2人が!!」
『Longinus Smasher!」
リアスの制止も空しく『
リ「ああ・・・ゼット、ゼノヴィア・・・」
光が収まった後、そこにはシャルバはもちろん何も残っていなかった
ヴ「無事か?」
空から降り立っち、膝をつくリアスに声をかけたのはヴァーリだった
リ「無事・・・ですって・・・?無事なわけないでしょう!アーシアに続いて絶斗とゼノヴィアまで死んでしまって」
リアスはヴァーリに掴みかかった。だが大事な、大切な眷属を失ったという現実が彼女を崩れさせた
絶「俺たちがどうしたんですか?」
声をする方を見るとそこには無傷の絶斗とゼノヴィアの姿があった
リ「ゼット。ゼノヴィア・・・なんで・・・」
絶「なんでって。避けたからに決まってるでしょう」
ゼ「幸いにも直線しか範囲がなかったからな。私たちを狙っていたわけでもないですし範囲外に出るのは容易だ」
リアスは2人が無事なことに安堵し、朱乃に支えられていた
祐「ところで白龍皇。貴方は何故ここに?」
ヴ「アザゼルの頼みだ。あいつを助けてくれ、とのことだ」
イ「おおおおおおおおおおおおおん・・・・・」
ヴァーリの視線の先には瓦礫と化した神殿の上に立ち、天に向かって悲哀に包まれた咆哮をしているイッセーの姿が。
イ「おおおおん・・・ぐるるるぅぅぅ」
イッセーは突然咆哮を止めるとリアス達を見て唸りを上げた
リ「なんで・・・」
ヴ「俺がいるからだろう。本能的に戦わなければならない相手が目の前にいるのだからな」
ヴァーリは両手に剣を出し、白い鎧を纏う
リ「イッセーを助けてくれるんじゃないの!?」
ヴ「・・・ドラゴンを鎮めるのはいつだって歌声だった。だが赤龍帝と白龍皇の歌なんてものはない「それじゃあ助けられないじゃないの!」黙っていろ!まあその辺りはアザゼルがやっていると思うがもう1つ方法がある」
絶「それは?」
ア「中身を極力傷つけずに、外側の鎧だけを粉々に破壊することだ。それで止まるはずだ」
ゼ「なるほど。発現している武具を、特に核となる宝珠などを砕けば停止するのは当然か」
ヴ「理解が速くて助かる」
リ「ちょっと待って。ゼットにゼノヴィアまで。なんで白龍皇の隣に立っているの?」
ヴァーリの隣には《アミル・ガウル》を構えた絶斗とデュランダル構えたゼノヴィアが並んでいた
ヴ「いいのか?一撃で死ぬぞ?」
絶「それはいつもやっていることだ。問題ない」
ゼ「そうだ。それに赤龍帝からはそれほど脅威を感じないからな」
ヴ「そうか。お前たちもあいつから教えてもらっていたか。なら、いくぞ!」
ヴァーリが飛び出し、そのすぐ後を絶斗とゼノヴィアが地を蹴った。ここに、赤龍帝と青龍の弟子ともいえる3人の戦いが幕を上げた