#月 t日 曇り
前日の検証でレベル上げの速度そのものは、一般冒険者よりだいぶ早いということが判明した。
またジャイアントトードを倒した際に手に入る素材は単体クラフトで同数の『革』に加工できるジャイアントトードの皮と、満腹度回復量が『生の鶏肉』と同じ『生のカエル肉』が入手できた。
さすがに『生のカエル肉』は寄生虫が怖いので『かまど』で精錬したところ、『焼き鳥』と同じ満腹度回復量の『カエルステーキ』になるようだ。
塩もなにもしていないのでひどく味気ないが、経験値は得られるようなのでしばらく常食にしていく。
『革』からクラフトできる防具である『革のヘルメット』『革の服』『革のパンツ』『革のブーツ』だが、最初にクラフトしたときは完全にカクカクしたゲームのままの箱だった。
さすがにこれはないだろうと四苦八苦していたところ、元になる防具を用意すればそっくりなデザインになることを発見。
色々検証した結果、防具をクラフトするときに一緒にクラフトした市販の完成品の防具とほぼ同じデザインになる模様。
またデザイン元として一緒にクラフトした防具は消滅も変質も耐久度の減少もしなかったので、純粋にデザインというより外見のコピーが近いと思われる。
ただしクラフトした防具の性能は素材準拠であり、質量も素材の合計であることは変わらない模様。
なお試しに市販品の小手をクラフト画面に放り込んでみたところ、小手のレシピが追加された。
通常の胴装備とは袖部分で干渉するようで一緒には装備できなかったが、小手と一緒に装備できる市販の胴装備をクラフト画面に放り込んでみたところこちらもレシピ登録された。
両方を『革』でクラフトして装着してみたが、無事装備できたことからこれからの装備バリエーションに希望が出てきた。
今日の午後はクリスを連れてカエル乱獲パーティーである。
おい『革』おいてけ!
なお、乱獲しすぎてしばらくカエル狩り、というよりモンスター退治は禁止だとクリスに言い渡されました。
まぁ最後らへん全身カエルの返り血とぶちまけた臓物の中身まみれだったしね。
是非もないよネ!
朝はなにやら防具屋で主人と交渉して借りてきた防具類を使い、革製の防具を大量に生産していたマイト。
そんな彼に唐突に素材調達だと平原にカエル狩りに連れ出されたクリスは、さっそく後悔する羽目になっていた。
「シィッ! シャァッ!!」
「うわぁぁぁ……」
できるだけ皮を傷つけないようにだろう、うまく直撃させないように大人の頭ほどもある丸石を纏めて投げつけつつ接近。
これも自作だという超重量の鉄の剣でもって頭をぶち抜いていた。
他にも血抜きや内臓摘出の手間を省くためか、生きたまま腹をかっさばいて思いっきり頭から被ったりしていたが、今では効率が逆に悪くなると気づいたのか確実に頭を一突きで終わらせている。
……ただし相手からの攻撃に対処が間に合わなかった場合や、逃げだそうとする素振りを見せた相手には容赦なく超重量のブロックを投げつけて挽き潰していたが。
「よし、ちょっとでいいから殺伐とした環境から遠ざけてみよう。 ストレス発散になるんじゃないかなと考えた私がバカだったよ……」
惨劇を遠目にクリスはごちる。
お礼だと渡された、通常の数倍の重量と耐久力をもつ小手を両手で抱えながら。