かわいい女の子が一人も出ないのでなんともなりませんのですよ。
【アラタの話】
「どう思います?」
「フランスの軍か情報局だろう。目をつけられたな」
「わりと友好的に見えました。演技もうまかったですね」
「そりゃ敵対する点がないからな。というか友好関係を作っておきたいんだろうよ」
頭の中で情報を整理する。
エディはフランスの諜報関係者で自由戦士社に潜入していた。
まぁ自由戦士社そのものを探っていたんだろう。
しかし基地襲撃というハプニングに見舞われて東南アジアに流れてきた。
腕を買われてチンピラのボスになった。
本国から子供使いとかいう、怪しいテロリスト(僕だ)の監視という新しい任務を受けた。
その怪しいテロリストのところから「脱走」してきた子供を保護し、雇った。
結果スウェンというその子供はエディを護って死んだ。
エディはそのことが身を危うくするかもと思って僕との接触を伺っていた。
以上は推測。
情報が少ないな、決め付けは良くない。
「なんというか、シュワさんに似てますね。波乱万丈と言うか、それを楽しんでると言うか」
「俺より上かもな。あの若さであそこまでってのはなかなかだ。まぁ専門家ならとうぜんか」
ガハハと笑う。
「あと、仲良くなりたそうなのはいいんですが、実際のとこはどうなんですかね。キャンプモリソン襲撃のあと、こっちに流れてきた理由がよくわからないんです。
「自由戦士社のこっちの支社があっただろう。あれの情報収集に任務がかわったんだそうだ」
シュワさんは本当によく調べている。
「なるほど。対象が居なくなったので後釜に座りつつ僕の監視ですか。仕事熱心ですね」
「まぁ今のところ住み分けはできちゃいるがな。こっちは出戻りのガキにしつけをしてるところだ。いざとなった時の戦力が心許ない事は確かだ」
ようやく本音が出た。シュワさんは苦笑いしている。
「子供に危険な役割を押し付けるのは俺でも気が引けるさ」
「ではシュワさんの元部下さんたちをこちらの配置にしましょう。こっちの子供たちに市街戦のレクチャーも出来るでしょうし」
シュワさんが目を丸くする。
「そりゃ助かるが、お前さんはいいのかい。護衛が足りなくならいか?」
「イブンとグウェンで人選を進めてます。編成中の護衛隊を前倒しして任務に着いてもらいますよ。あとクロエを戻してもらえば何とかなるでしょう」
それに、
「元部下さんたちはやはり日本人だったわけですし。あの山奥にずっと居たからストレスもたまってるでしょう」
テレビやインターネットどころか水道もガスもない。
限定的にあるのは電気だけ。
給料も無い、娯楽も無いじゃ、子供たちは良くても大人は無理だ。
好きでやってるオマルやランソンとは違う。
「まぁな、、、こちらからいつ切り出そうか迷ってた。気を使わせてスマンな」
シュワさんも押しかけた負い目から、なかなか言い出せなかったのかな。
「適材適所ですよ、タイミングも良いでしょう。彼らには一時金を出します。あとこちらへの資金を増やしますので、給料の支給はその中からお願いします」
場違いなスーツを着たボスを山の中で警護するより、シュワさんの下でチンピラ相手にしてる方が気楽だろう。
「子供たちに変な遊びを教えないように、しっかり言っておいて下さいよ」
ここだけは頼みたい。
スウェンのようなことはゴメンだ。
「冷静で慎重だな。」
「エディって人のことが気にかかるんです。相手の態度や言動を鵜呑みにすると、手痛いしっぺ返しがくる」
子供一人死ぬまでそれがわからなかった。
「スウェンはどうして出て行ってしまったんでしょう?」
聞かなくてはならない事だった。
アラタ・・・そう言って少し間が空く。
「衣食足りて礼節を知る。わかるか?」
「わかりますが、、、話のつながりがわかりません」
「足りたら逆に堕落するやつもいるって事を覚えておけ。キャンプハキムが楽園に思える子供もたくさいんいるだろうが、環境に慣れるのが人間とも言える」
頭を殴られた気がした。
「救おうとしても、救いきれないヤツもいる。楽な方へばかり流れていったあいつは軍人にも会社員にも農民に商人にもなれんヤツだった。ここでも愛嬌良いだけの怠け者扱いだった。」
シュワさんはそう言って目を瞑る。
「ただなここを出て行ってエディの護衛をしてるときは生き生きしていた。連れ戻す気にはなれなかった。スマン。」
あとがきって難しいですね。
作品について書くものなのか、関係ないものも書くものなのか。
作品について:次回からが本編です。投稿は4/8予定。
それ以外について:タイ旅行に誘われました。行ってみたいな。