棲み渡った空。雲ひとつないその下では、賑やかな声が飛び交っていた。……なんて言ってみれば聞こえはいいけど、アタシとしてはこんな力仕事向かないし、そこまで乗り気にはなれないのよね。まぁこうなったのにはアタシにも原因はあるから断れないし、サボるなんて罪悪感で潰されるからもっての他なんだけど。
「何かしらこれ……」
フェアリーテイル再建のため、皆がそれぞれ土木作業をしている中、アタシはお昼休憩に入った(業者を雇えばいいのに、経費削減で働かされている)。
暴れまわり、作ったものを壊したり乱したりするナツやグレイやその他もろもろの相手に疲れ、気晴らしに街へでも出掛けてご飯を食べようとしていたその時だった。
「お届けものでーす」と爽やかな妙齢の配達人が来て、ひとつの段ボールを手渡された。
挨拶もそこそこに足早に帰っていくそれを見届けながら、その届けられた段ボールに目を落とす。
「何かしら、これ?」
「ププーーン!」
アタシの側にいた子犬座の精霊であるプルーが、去っていった配達人に手を振っていた。
この子のこういう所が可愛いのよね。見た目だけじゃなく、こういう仕草も。本当に、あのうるさい暴君や変態たちといると、この癒しがありがたく思えるわ。
「なんだぁそれ?食いモンか?」
「ぎゃああああ!?」
肩越しに何かいると思ったその瞬間、真横にあった暴君の顔に心臓が飛び出そうになった。
なんてことするのよ、危うく心臓が口から飛び出るかと思ったじゃない!
「よっ、ルーシィ。飯食いに行くんだろ?一緒に行こーぜ。ハッピーと行こうと思ったんだけど、魚を餌にされてずっとあっちを手伝ってんだよ」
「すまん。こいつが変に暴れないようにと思って俺も付いてきた」
暴君ことナツだけだなく、ジェラールが付いてきてくれたのが唯一の救いだったと言える。いやもう実際のところ、来てくれるのはジェラール一人でいいんだけど……。ナツ一人が着いてくるだけで、いったいどんな甚大な被害を出すのか気が気じゃないし。
「で、それなんだよルーシィ」
「ああっ!荷物!」
やっちゃった!
アタシは受け取った荷物を、動揺の余りに落としてしまったことに今更ながら気がつき、遅れながらも慌てふためいた。
大丈夫かなぁ。見た感じ外傷はそれほどでもないが、もし割れ物だったらどうしよう……。もしくは高価なものだったりしたら……。万が一にも数ヵ月分の家賃が消えて無くなった、なんて事態になったら全力で泣くわよ。
「……カグラ宛か?差出人の名前は……ないな」
とりあえず大きな外傷がないことにホッとしていた私の手元を、ジェラールが覗きこむ。段ボールの端に張り付いていた『カグラ様へ』という文字と手紙にそこで私もようやく気がついた。
「んだよ、またカグラ宛かよー」
「また?」
腕を組んでつまらなそうにするナツ。そのナツの言葉に引っ掛かった。
また?またって何?
不思議そうにしているのがわかりやすくも表情に出ていたらしい。アタシの顔で察してくれたのか、ジェラールが苦笑しながらも説明してくれた。
「カグラにはファンが多いんだ。特に女子とかにはな。ほら……なんというか、わかるだろ?」
そんなアバウトな説明だったものの、その意味はすぐに伝わってしまった。
カグラにはファンが多い。老若男女問わずにファンは多いのだが、圧倒的に多いのは女子のファンだ。
……確かに、その通りかもしれない。なぜなら、カグラは単純に格好いいからだ。
格好いいから。それはもう格好いい。男前なのだ。
今でも、フェアリーテイルのお馬鹿な男衆よりも格好いいと思う時だってあるくらいに。
まず第一に、カグラはクエストで依頼主に被害を出さない。
第二に、建物に被害を出さない。
第三に、地形に被害を出さない(緊急事態を除き)。
第四に、民間人に被害を出さない。
まぁそんなのは当たり前のことだが、フェアリーテイルではかなり重要な部分である。
……とりあえずそんな笑えない冗談紛いな話は抜きしても、やはりあの整った容姿とまるで尖った刀を思わせる魅力と、ぶっきらほうなところがありながらも、時折見せる優し気な雰囲気には誰もが惹かれるものだ。
以前、私がフェアリーテイルに所属する前の話だが、週間ソーサラー伝説の特集週刊だったと未だに語り継がれているものが発売された。……それは、カグラがモデルとして一度だけ登場した週間号だ。それも、水着やドレスなどではなく、
それを機に、女性ファンが急増し、巨大組織とも言えるレベルのファンクラブが出来たという噂まである。かくいうアタシも、カグラのファンであった。
「察してくれたみたいだな。そう、こんな風に物品をプレゼントするって娘も多くてね。……特にあの時期は、凄かった」
なにやら遠い目をしながら明後日の方向を見るジェラールに、なぜかシンパシーを感じた。
やっぱり、常識人が苦労するギルドなのよね、ここ。
ホロリと心の中で涙が落ちる。
「食い物じゃないなら俺は興味ねーなー」
そんなことを言いながらあくびしているナツ。
「食べ物じゃないって、なんでわかるの?」
私の疑問に、ナツはつまらなそうに答えてくれた。
「だってそれ食い物の匂いしねえもん」
あ、そっか。そういえばナツは鼻が利くんだっけ。
「……あ、でもよぉ。中身は何なんだろうな。気になってきたぜ」
唐突に切り替わったナツは、嫌らしい顔で両手をワキワキさせながら近寄ってきた。
「ちょっと、ダメよ!これはカグラ宛なんだから!」
「そうだぞナツ。他人のものを勝手に開けるなんて」
ジェラールも止めに入ってくれたことに安堵する。……が、実のところはアタシも中身が何なのか若干気になっていた。
……いやだって、アタシも一時期カグラのファンだったわけだし、プレゼント送ろうかなーなんて浮わついてた時期もあったから……。皆どういう物を送ってるのかなー、なんて。少し気になってたりして……。
「あ、ルーシィ。お前も今一瞬中身が気になっただろ?」
「ギクゥっ!」
「ナハハハ分かりやすいやつめ!貸せ!俺が開けてやる!」
箱を強奪しようと乗り出たナツ。
一瞬魔が差したとはいえ、流石にカグラのものにそんなことを出来るわけもなく、逃げるようにジェラールの後ろに隠れる。
「やめろナツ。これはカグラに届けられたものだ。お前のじゃない」
「なんだよジェラール。お前は気にならないのかよ」
「あのなぁナツ。この届け物には、これを出した人の想いが詰まってるんだ。それをお前が台無しにする権利はない」
まともぉっ!!スゴい!!ジェラール流石よ!まともよ!こんなまともな人がこのギルドにいたなんて!……あ、ちょっと涙が出てきた……。
「いいから、見せろォ!!」
「ちょ!?」
炎を纏わせ、その場でジェラールの肩を掴んで飛び越えたナツは、アタシから段ボールを取り上げて大きく距離をとった。
まさかこんなことに魔法を使うとは思ってなかったのか、流石のジェラールも虚を突かれて反応できなかったようだ。
「さーて、何がはいってんのかなー」
アタシたちが止める間もなく、遠慮も一切見せずに、ナツは段ボールを掲げた。
ドサッ
段ボールのテープが、ナツの炎に当てられていたのか、段ボールの底面が開き、中の物が全て落ちてきた。
「なんだこれ?」
数々種類のあるソレのひとつを拾い上げたナツは、初めて見るソレを訝しむようにしながら首を傾げていた。
出てきたソレらが何なのか、多少なりとも知識のあったアタシは絶句している。
隣にいるジェラールも、当然知識があるようで、その正体に口を開けて唖然としていた。
「なーなー、ルーシィ。これ何に使うんだ?」
ゴルフボール大の球体には複数の穴があいており、その左右にはベルトのようなものがぶら下がっている。
もうひとつの方は、赤い蝋燭である。まごうことなく蝋燭である。
ナツの足元には、ご丁寧にムチまで落ちている。他にも見たくもないような物がゾロゾロと。
……そう、いわゆるそれは、大人の玩具。もっと詳しく分類するなら、SMグッズであった。
「はぁああああああああああぁぁああああああ!?」
「シィッ!!ルーシィ声が大きい!」
ついつい叫んでしまつった私を静めるように、ジェラールが口許に人差し指を立てる。
……けど、流石にこれは驚くでしょ。え?ていうか、え?ヱ?これはどういうこと?頭がついていかないんですが。柄?SMグッズ?江?アダルトグッズ?恵?餌?ええ?
「これは……見られたらかなりまずい。いったんこれを全部隠そう」
生きてきた人生の中でも最大級に混乱している私を横に、そう提案したジェラール。ナツはまだ首を傾げたままで「なんでだよ」と抗議していたが、珍しく動揺しているジェラールに頭を叩かれ、ようやく動いた。
ギルドの地下室へどうにかそれらを運んだ。
地下は夜の仮酒場となってるのだが、昼は酒場として利用しているのは外なので、今はここに誰もいない。
そこで私たちは、問題の品々を机に並べて唸っていた。
「ジ、ジェラール。これ……何なのかしら」
「こ、これに関しては俺としても、どうしていいのか、わからない」
珍しく顔を青くしてるジェラールだった。
「こんなの、カグラに届けられないし……。アタシたちで処分するっていうのは?」
アタシの提案は、ジェラールの否定の言葉によって遮られた。
「カグラは、ファンからの届け物でも手紙でも必ず全部目を通す。もし、俺たちがそれにちょっかいを出したことが知れたら……どうなるか」
なんて格好いいのよカグラ!
なんで格好いいのよカグラ!
良いことなんだけど!凄っく良いことなんだけど!今それじゃ困るのよ!
「これってもしかして、送り手は男性じゃないかしら?ほら、もしかしたら……そういう趣味の人が……ね?」
ありうる、とジェラールは頷いてくれた。
だが、今までにそんなことはなかったそうだ。なんでも、今まではカグラファンクラブが検品していたとかしていないとか何とか。
「ファンクラブがあるっていうのは噂じゃなかったのね……。ていうか、そのファンクラブは届け物を開けたりして、おとがめ無いの?」
「ギルドに危険物が送られて来ないようにとファンクラブの隊長に一週間説得され、プレゼントの検品はカグラ自身が認めたらしい」
「一週間!?あ、まぁそれは置いておくとして、じゃあなんでこんな物が来たの?」
アタシの問いに、ジェラールは悩むようにアゴに手を添えた。
……今そんなときじゃないのはわかってるけど、ジェラールの考え込む姿って画になるわね。……それでこのギルド唯一の常識人だし。
……画になるっていっても、目の前に広がるSMグッズがなければの話なんだけどね……。
「これを届けに来たのは、女性だったかい?」
「いいえ、そこそこの歳の男の人だったわ」
「やっぱりか……。もしかしたら、その配達人、他の街から派遣されてきた可能性が高い。今は収穫祭が近いから忙しくて検査されなかったんだろう」
こんな時に限ってファンクラブが機能しないだなんて、なんていう偶然。収穫祭と変態の会わせ技……。災難だわ……。
なんかもう、世の中ってわからないわね……と、悟りを開きそうになっていると、ナツがアタシの肩を軽く叩いた。
「あ、ナツ。どこいってたの?」
姿が見えなかったナツが、いつの間にか戻ってきていた。ブスッとした不機嫌顔で、ナツは一枚の紙を差し出した。
「これ、さっき中身ぶちまけた時に落ちたやつ。拾い忘れ」
「……そっか、ありがとう。でも元はといえばアンタが悪いんだからね?」
「うるせえな!悪かったよ!」
元気そうに逆ギレしながらも、椅子に座ったナツを横目に、その畳まれた紙を広げる。
読もうとした瞬間に、横から伸びてきたジェラールの手に、紙を引ったくられた。
「待てルーシィ。この手の変質者から送られてきた手紙だ。女性が読むべきじゃない」
常識人なジェラールに、またひとつ涙が落ちそうなった……。よくこんな職場でそんな紳士的な人に育ってくれたわ、という同情的な意味合いで。
その時
「……そこで、何をしてるの?」
ジェラールが目を通そうとしたその時、階段から聞こえてきたカグラの声に、悲鳴が漏れそうになった。
まずい、見つかる!
カグラの荷物を勝手に漁り、しかも物色したものがこんなSMグッズだなんて知られた日には……。
動揺したナツが肘で玩具を落とす。その玩具は、落下が原因でスイッチがオンになったのか、その場でウィンウィンとうねり出す。
ぎゃあああああああああああああ!!
動きがエグい!!エグい!!エっっグい!!エグ過ぎる!!
グロいグロいグロいいいいいいいい!!回転するなーーーーーー!!きゃああああああああああああキモいキモい!イボイボしたのがウネウネといやああああああああああああああああ!!
まずい。その言葉が思考の六割を占める。ちなみに残りは三割が足元でうねる玩具への恐怖、残り一割命乞いの台詞を考え中である。
私が混乱しているその合間に起きたことは一瞬だった。
ジェラールが天体魔法を使い身体能力を格段に上昇させ、机に広げられたSMグッズと落ちたものを瞬時に回収すると、ナツの背後にあった空の酒樽に、入るような大きさに砕いて詰め込んだ。
その上にナツを座らせようとするも、突然のことに驚いているナツは抵抗した。
そこに突き刺さる手加減のない本気の掌底打ち。見事意識を吹っ飛ばしたナツを、力の抜けた人形のように強引に座らせ、ジェラールは元いた位置に戻った。
正に、一瞬の出来事だったと言える。
そして私は、ジェラールに未だかつてない尊敬の念を抱いた。
ありがとうジェラール!あなたは、このときの為に天体魔法を覚えたんだわ!そうだわきっと!
「あら、ルーシィとジェラールじゃない。それと……ナツはなんでそこで寝てるの?」
階段から姿を現したのは、声の持ち主カグラ。
私たち三人を見つけて疑問に思っているようだ。
「こそこそと入って行くのが見えたから追ってみれば、何をしてるの?」
「あははは、あは、大したことじゃないのよカグラ」
ダメだぁ。なんにも言い訳が思い付かない!
「そうだカグラ。ただナツが勝負しろとうるさかったから、手近で広いここで気絶させただけだ」
ナイスジェラール!もう一生ついていくわ!
だが、そんな私たちを怪しむように、カグラは目を細めて観察してくる。
冷や汗が背を伝う。ジェラールも、隣で静かに息を飲んでるのを感じた。
そんな私たちを置いて、視線を巡らせたカグラは、ひとつ、あるものに気がついた。
「これは……」
あれはッ!!
ムチである。
まさか、と隣にいるジェラールを見てみれば、顔を青を通り越して白くしていた。その顔には、読み取れそうなくらいにこう書いてあった。『拾い損ねた』と。
「それに、この箱……」
箱までも、ジェラールは忘れていた。
SMグッズという悪魔の道具を、どうやって処分するか、隠すかで頭が一杯になっていたようだ、悪魔の道具を詰めていた箱そのものという重要な存在を懸念していた。
「……私宛か」
静かに、静かに、カグラは無表情でこちらを見た。
「……ジェラール」
隣でぴくっと体が跳ねているのがわかった。
「……ルーシィ」
ヒィイイイイイッ!!
怖い!こんな怖いカグラはレビィたちが襲撃された事件以来かもしれない。
万事休す。正にそんな状態であった。
その時、ひとつの影がカグラへと、無遠慮に歩み寄った。そして、その掌をかかげ、こう、自信に満ち足りた声を上げたのだ。
「ププーーーーン!!」
プーン プーン ーン ーン ーン ーン
残響が聞こえてきそうなほどに、強烈な静寂が生まれた。
プルーが、なにも臆した様子もなく、カグラへ自己紹介でもするかのようにそう叫んだのだ。
カグラは無表情のままプルーに歩み寄ると、その小さな体を抱き上げた。
そして、小さく何かを呟く。
「……かゎぃ……」
ゴホン!と本人の咳払いに、私たちが驚く中、カグラは口許を少し緩ませながら聞いてきた。
「この子はなんだ?」
「へ?……あ、私の契約してる星霊で、プルーっていうの」
「な、なるほど、プルーか」
いくらなんでも、カグラならプルーに何かするってことは無いだろうけど……。さっきまでの剣呑な雰囲気はどこへ?
なんか顔をひきつらせながらプルーを、見つめてる……。
「少々、星霊というものに興味がある。この子を少し借りていい?」
何回もアタシの星霊見てるじゃない、なんて空気の読めないおちゃらけた台詞を言える雰囲気ではなかった。
「え?えーと、そうね、二時間くらいならプルーも大丈夫だと思う」
そう答えると、カグラは箱と、ムチを拾った。
そのままプルーを抱えて去って行こうとするカグラをジェラールが一度引き留める。
「その、カグラ。すまない、これもだ」
手紙だ。
それを受け取ったカグラは、読もうともせずに、プルーを抱えて謎の笑顔で出ていった。
同時に、張り詰めていた空間が軽くなる錯覚に陥り、足から力が抜けて床に座った。
ジェラールも、疲れたように柱に手をついて頭を抱えている。
「なんか……疲れたね」
「……そうだな」
お互い、このギルド一恐ろしい修羅を相手にしたせいか、本気で疲れたいたせいで大した会話をすることも出来なかった。互いに互いが精神的満身創痍なのを容易に感じとることができた。
あとでプルーに何かお礼をすることを考えながら、ナツを引きずって疲れる体のままにその場を後にした。
ちなみに、昼休憩は終わっていた。そして、目覚めたナツが暴れだしてまた被害を増やしていた。本気で疲れていたジェラールに八つ当たり気味に怒られて殴り飛ばされていたが(フェアリーテイル随一の良心。仏のジェラールでも仕方ない。これは仕方ない)。
その後、人の減り始めた夕刻。どうにか周囲の目線を掻い潜るように、ジェラールと例のアイテムたちを焼却炉へ押し込み、処分することに成功。事なきを得た。
そしてプルーを返してもらう時間になったのだが、すごい形相のカグラに詰め寄られた。届け物をした配達人についてや、他に入っていたものがないか等、鬼のような表情だった。
その鬼気迫るほどの勢いに、これ、SMグッズを処分したこと、バレたら殺されるかもしれないな、と心の底から確信した私は、ジェラールとこの秘密を墓まで持っていくことにした。
ナツにも『カグラが本気で怒って、あのお仕置きされるぞ』とジェラールが伝えたところ、墓まで持っていくことを汗を滝のように流しながら約束してくれた(ナツがビビる程のお仕置きとは一体……)。
こうして、アタシとジェラール(ついでにナツ)の完全犯罪は幕をおろしたのだった。
◇◇◇
「へー。SMグッズセットねぇ。どんなの入ってんの?」
「それはもうお客様のような方には大変ご満足いただけるような品々を揃えております!」
「ほほう。店主さん、あなたがそこまで押すのなら期待してもいいんでしょうね?(ずずい」
「勿論でございます。あーんなものからこーんなものまで。テンプレートからマニアックまで、ありとあらゆる道具が入っております。今なら、このカラーズの魔法をつけて五万Jですよ」
「たかっ!……くぅ!だが、これもあの子の成長祝いだ……」
「どうします?この期を逃せば、こんなチャンス二度とありませんよ」
「ええいちくしょう!買ったあ!祝いの品なのにケチるだなんてそんなことはせん!買おうじゃねえか!」
「毎度ありがとうございます!」
「……うむ、後悔などしていない。後悔などしない!これであの子が喜んでくれるのなら、俺は悔やまない!喜んでくれるのなら、俺も共に喜ぶ!」
「気前のいい方は私も大変好ましいです。どうでしょう、表の商品もお安くしますよ」
「……魔法専門店なのに、よくこんな裏商売するな、アンタ」
「港町の男は、Mが多いんですよ(偏見」
「ほほう、お主も悪よのお」
「ほほほほ」
「ほほほほ」
あ、匿名で送っとかないとな。つって俺の名前教えてないし、筆跡で誰から送られたのか、なんてわかるわけもないか。ハハハハ
単発番外終了です。
次の話をまとめるのに手こずってるので、しばらくお時間をください。