この素晴らしい過負荷に祝福を!   作:いたまえ

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プリヤの映画見てきました。相変わらず、あちらの世界はギャグが乏しい。エミヤが流れた時はもう!
ポップコーンを食べる手も止まる格好良さでした。

マエケン体操?なんのことでしょう


五十七話 トロイの木馬

  天高く聳えるベルゼルグの王城。財力の象徴とも言える壮大な建造物、その中の一室。普段は貴族達をもてなす際に使用されるサロンには、一人の少女が佇んでいた。

  散る様さえ美しい花の様に、見る者から現実感を奪ってしまう程可憐な姿は、どこか儚げで、切ない。少女は流れるような金髪と、吸い込まれそうになる碧眼が印象的で、年齢はめぐみんより幼いくらいだろうか。

  装飾の施された室内は、バロック建築から後期バロック建築(ロココ建築)へ移り変わる狭間を行く、芸術の域に達した空間に仕上がっている。

  17、18世紀の建物に近いのは、この世界が出来て丁度それくらいだからか。あるいは、中世騎士や、かの有名なヴェルサイユ宮殿に憧れて、ノイシュヴァンシュタイン城を建てた、ドイツのルートヴィヒ2世のような思考の日本人が転生して、その時代の建築様式を広めたからか。

 

  どちらにせよ、王城は権力の象徴にしては行き過ぎているほど、絢爛豪華。庶民が一生涯近寄る事も出来ない、特別な場所。

  そんな、立ち入ることすら恐れ多い聖域に、年端もいかない女の子が馴染むのは、彼女もまた、途方途轍もない美貌の持ち主である証明だ。

 

  少女の名は、アイリス。正真正銘、王の血をひいた王女様。ベルゼルグの王家に生まれ落ちた時点で、彼女の運命は確定した。

 

「……はぁ」

 

  薄紅色の唇からは、小鳥の囀りではなく、ため息がひとつ。

 

  王族は皆、大昔に存在した伝説の勇者から血を受け継ぐ、選ばれし存在。魔王に対抗できる、数少ない血族だ。貴族や王族に名を連ねる人間は、遺伝によって元来ステータスも高い。ポイントの振り方が残念なせいで目立たないが、ポンコツなダクネスでさえ、実はエリートと呼んでも差し支えない。

 

  才能はあっても、努力をしなければ成功しないのは世の常だが、アイリスは違う。王族として、日々最高の教育を受けられるのだ。剣の腕が、人類の壁にまで到達するのは必定と言える。

  来る闘いに備えて、今は王族の責務を全うするのが役目。幼いながらも賢明な彼女には、自分の立場が理解出来ていた。……残酷なまでに。

 

「アイリス様、こちらでしたか」

 

  無人のサロンでつかの間の安息を得ていたアイリスを、一人の女騎士が迎えにきた。女騎士は、珍しい白のスーツを着こなす、切れ長の瞳の持ち主。男装の麗人という言葉がピッタリと合う、宝塚でも通用するだろう容姿。腰に剣を携えていて、常にアイリスを守る立場にある女性だ。

  剣の教育係も担っており、職務を抜きにアイリスを慕う貴族の一人でもある。

 

「クレア、もう時間ですか」

「はい。引き続き、鍛錬を」

「では、修練場へ戻りましょう」

 

  また、剣の稽古が再開されるのだ。

  アイリスにとって、毎日の自己研鑽は既に己の一部。泣き言を言ったり、逃げ出したりはしない。しかし、世の中では自分と同年代の少年少女たちが、手に汗握る冒険の旅をしているらしい。恋い焦がれた相手のように、叶いもしない幻想を想うのは致し方あるまい。

 

  模擬刀を手に取りサロンを後にした、修練場への道すがら。

 

「外が……何やら騒々しいですわ」

 

  天井まで届きそうな、ベランダへの扉。換気の関係で僅かに開放されていた隙間から、普段は聞こえないような声が届く。今日は城下で祭りでもやるのだろうか。アイリスは好奇心を抑え、ポツリともらす。

  剣の稽古をサボりたいだとか、不純な動機は持ち合わせていない。

  珍しい事態に、つい口をついただけの事。

 

  王女の言葉を聞いたクレアが、アイリスに

 

「その事ですが、兵が城の付近で怪しい二人組を捕らえたそうです」

「怪しい、二人?」

 

  女騎士、クレアの補足は穏やかじゃない。お城の付近まで不審者が近づくなど、あってはならない。

 

「もしかすると、アクセルのギルドから要望があった件が関わっているのかもしれませんね。この街のギルドへは、これから捜索要請を出す手筈となっておりますが……。アイリス様、如何なさいましょう?」

 

  アイリスは警備を強化する必要を認めながら、譜第の臣であるクレアへ命ずる。

 

「クレア。至急、事態の把握と解決を」

「……御意。では、代わりにレインをこちらに」

「ええ」

 

  アイリスの親である王様と、日頃頼りにしている兄は、現在魔王軍と交戦中につき、城を離れている。ここを護るのは残ったアイリスの使命だ。

  小さい手のひらには、王都に、王国に住まう人々の数え切れない命が握られている。

 

「先刻、諜報部から伝わったアクセルでの出来事といい、国内の平定もままならないのですね」

 

  魔王軍では無いにせよ、犯罪者を野放しにしてはおけない。

  アイリスは一人、基本の型を幾つかなぞって身体を作る。しばし繰り返して、程よく温まると。

  クレアと入れ替わりで、レインなる女の子が部屋へやってきた。

 

「アイリス様、本日は私が稽古相手を務めさせて頂きます」

 

  ペコリと、レインは頭をさげる。

  それから、アイリスの浮かない表情を発見して

 

「アイリス様?お顔の色が優れないようですが……」

「…….魔王軍幹部ベルディア討伐や、アレクセイ公の不祥事を白日の元に晒した、あのお方みたいな冒険者が増えてくだされば良いのに」

「今、何かおっしゃいましたか?」

「いいえ。さあ、始めましょう。」

 

  レインが聞き取れないくらいの、小さな、小さな声で呟いたアイリス。

 

  ここ最近、華々しい功績を残したとある男。アクセルの街を拠点とし、ダスティネス・フォード・ララティーナとパーティーを組む冒険者。いずれは、彼の冒険譚を聞いてみたいと思ったりもするが、こんな望みは、中々叶うものではない。

 

  クレアが場を収めてくれるだろうとふんだ王女様は、代わりにやって来たレインと一緒に剣の鍛錬で汗を流した。

 

 ……………………………

 ……………………

 ……………

 

「ねえ、ねえってば!球磨川さん、もうそろそろ行きましょう?ギルド長が隠れちゃうわよ?夜になったら、捜すのだって一苦労だわ」

 

  王城の付近では、地面に寝転がる球磨川を、両手で揺さぶる女神様の姿が。

  硬い石の床だというのに、球磨川は心底リラックスした様子で天を仰いでいる。アクアにガンガン揺らされても、全く起きようとせず

 

『アクアちゃんが先に言ったんだぜ?休もうって。僕としては反対したかったのだけれど、成る程。こうしていざ横になると、全部が全部どうでも良くなってくるね。アクアちゃんは、これを僕に伝えたかったんだね?安らかで穏やかな、仏のような心を。否、女神のような心を!……魔王も、世界も、この大空に比べたらチンケなもんだって!』

「違うわよっ!?……いいかしら、魔王なんて、存在しているだけで迷惑なんだから、倒さなきゃいけないに決まってるの。これは、生物が呼吸をするくらい普通な事なの。そもそも、魔王を倒さないと私も天界に帰れないんですけど!」

 

  最後の。自分が天界に帰る云々を強調したアクア。人々への迷惑よりも、そちらの方がプライオリティ高めのようだ。

 

『天界に帰れない?あはは、心配しなくてもいいって。安心院さんがどうにかしてくれるよ』

「あ、あんしんいんさんって、誰なの?デタラメ言ってるんじゃないでしょうね?」

『さてと。背中も痛くなってきたし、じゃあ王城を発破しに行くとしよっか!』

 

  球磨川はゆっくりと上体を起こし、巨大な城を見上げた。

  エリートの巣窟を、どのように破壊するか。もしも王城に身を隠したギルド長がいて、ついでに始末できれば一石二鳥だ。

 

「まって、ちょっと待ちなさい球磨川さん。いつの間にかお城を壊す事になってるけど、どうして?」

『ん?そんなの、決まってるじゃない。王族なんて偉そうな連中は、魔王軍よりも有害だからだよ』

「どうしよう、さっきから球磨川さんの言ってる事がまるでわからないわ!」

 

  あれだけ巨大な建造物を破壊するとなると、めぐみんの爆裂魔法を撃つより他にない。

  けれど、ただ闇雲に爆破したところで全壊は難しい。一度潜入して、構造上必要不可欠な柱なりを突き止め、そこにピンポイントで魔法をぶつければ、どうにか倒壊まで漕ぎ着けられるか。

 

「いい?王族ってのはエリートなのよ?剣の腕だって凄いし、言っちゃ悪いけど球磨川さんより遥かに強いわ。攻守の要と言える、まさにベルゼルグの切り札ってわけ。そんな連中を倒しちゃったら、魔王討伐どころか、逆に魔王軍に国を滅ぼされかねないの。ここはひとつ、城の人たちを私の宴会スキルで楽しませて、ギルド長探しに協力を……」

『王族の凄さは、さっきめぐみんちゃんも同じような話をしてきたから知ってるよ。エリート。そう、王族はエリートなんだよアクアちゃん。君にとっての魔王が殺すべき相手であるように……』

 

  雲にも届きそうに、球磨川を見下すように高い城の頂は、遠すぎて霞み、微かにしか見えないけれど。

  それでも球磨川は目を細めて、目標を眺め続ける。

 

『僕にとっては、エリートが殺すべき相手なんだよ!エリート倒すべし!』

「なんでそうなるのよ!!?」

 

  言葉が通じていない。

  アクアが小声で「この人やばいわ」と繰り返す。そんな、アクアの精神力がゴリゴリ削られている中で

 

「おいっ!お前達、先ほどから物騒な発言をしているなっ!なんのつもりだ」

『お出ましだね』

 

  城の兵士が、いつの間にやら球磨川達の傍までやって来ていた。

  一連の会話を聞かれていたらしく、球磨川を爆弾魔でも見るように睨みつけてきた。

 

『あー、兵士さん。今の会話はほんの冗談だから、そんなに怖い顔しないでよ。僕は、王様に会いに来たんだ。やっぱり、魔王討伐に向かう勇者は、まず初めに王様からお告げを頂くべきだと思うんだ!』

「なに、王様に……?お前達、魔王討伐を目指す者なのか?」

 

  球磨川がテロを目論んでいたわけでは無いと判明し、若干兵士の緊張は解けた。かと思えば、王様に謁見したいなどと面倒臭いことを言い出され、兵士は嘆息する。

 

「……せっかく出向いてもらったが、今は不可能だ。なぜなら、王は遠征中だからな。現在、この城には王女様しかいないのだ」

『王女様……!?逆にテンションが上がるじゃないの。お告げをもらうなら、やっぱ王女だね、若い女の子から送り出された方がやる気が出るってものさ。軍資金の代わりに脱ぎたてパンツをくれれば尚ベターだ!』

「な、なんと無礼な……!王女様のパンツを所望するなどと」

『あ!いま想像したね?高貴なお姫様のパンツを。うん、恥じる必要はないさ。男の子なら誰しも、女の子のパンツを想うのは当然だから!』

「……くっ、バカを申せ。王宮騎士たるもの、決してそのような不埒な考えは……!」

『王女様のパンツは、オーソドックスに白のレースかな?大穴狙いで、王族は代々紐のようなパンツを身につける慣わしだったりするかも?……マズイな。だとしたら、僕は王女様と対面しても、目線がどうしたって下にいっちゃうぜ。ねえ、どうしよう!?僕、どうしたらいい!?』

「知るものかっ!ええい、なんなんだお前達は。勇者を自称するならば、ミツルギ様のように毅然としているべきであろうに!」

「お前【達】!?ねぇ!それ、高貴なるこの私も同列にされてるわけ!?」

 

  軍資金の代わりにパンツを欲しがる勇者なんて、過去に例を見ない。おふざけも過ぎる。つまるところ、球磨川は勇者などではなく、一介の冒険者なのだろう。ただの遊び人ないし、低レベルな冒険者が観光気分で王城付近までやって来たのだと考える方が自然だ。

 

(とんだ厄介者どもが城門までやって来てしまったな。まあ、怪我させずに放り出せば大丈夫だろう)

 

  兵士が無駄な仕事の追加にうんざりしつつも、多少強引にでも球磨川達を城下町までつまみ出そうとしたところで。

 

「乱暴はよしなさい!水の女神アクアが命じるわ。速やかに私たちを王女の元まで案内するのよ!アクセルから逃亡している、テロに加担したギルド長を見つける為にも、王女の助けをかりたいの!」

 

  兵士と球磨川の間に割って入ったアクアが、両手を腰に当てて威張りながら告げた。

  兵士も、そして球磨川も。

  突然のアクアの発言に、目を白黒させる。

 

「アクセルの、テロだって……?」

 

  兵士は静止して、アクアの発言を吟味し出した。ここ最近、アクセルで大規模なテロが行われたと、王都にも報告はあった。機動要塞デストロイヤーを利用した、大量無差別殺人。その首謀者は数名の冒険者だったということだが……

 

「あのデストロイヤーの爆発が、ギルド長によるテロリズムだっただと?その話、ほんとなのか!?」

 

  すぐには信じられないと、兵士が。

  相手の知らない情報を持っている事実に気を良くしたアクアは、得意げに語る。

 

「もちろん本当よ。裁判場に問い合わせれば、すぐにわかるわ!ギルド長が裁判前から姿を消して、ここ王都に雲隠れしたこともね!」

「なんという事だ……」

 

  王都に、その情報は届いていない。正確には、兵士レベルにはだが。

  裁判が終わってから、球磨川達は翌日には王都に出発した。

  正規の伝達係と同時、もしくはやや遅いくらいには到着した為、ギルド長の件は未だ公にはなっていないのだ。

 

  近年稀に見る大事件。多くの人々が命を落とした、未曾有のテロリズム。その犯人が、よりによって、国に忠誠を誓ったギルド職員だとは。王家の名にキズがついてしまう。他国に舐められる弱点ともなり得る不祥事だ。

 

「ぷーくすくす!この人、王城にいる兵士なのに、何も知らされてないんですけど!」

「なんだとっ!?」

「事情がわかったなら、早く王女様に取り継ぎなさいな。事は一刻を争うんだから!」

「ふん。お前達のような冒険者風情がもたらした情報など、信用出来るか!アイリス様に近づこうとする犯罪者かもしれないのだ、易々と通せはせん!」

 

  アクアが人を苛立たせる薄ら笑いで兵士の肩に手を置いたが、即座に跳ね除けられた。

 

「痛っ!な、なによぅ……、そんなに怒らなくてもいいじゃないの」

 

  アクアは、ヒリヒリと痛む手を摩り、少し怖かったのか兵士と距離を置いた。球磨川の背中に隠れるようにして、唇を尖らせる。

 

『でもでも、兵士さん。僕たちは、一応魔王軍幹部のベルディアを討伐したり、悪徳領主アルダープを成敗したり。そこそこの実績はある冒険者だよ?一考の余地はあるんじゃないかい?』

「は?お、お前達が、魔王軍幹部を?という事は、お前が。いや貴方が、【クマガワ ミソギ】さんなのか……?」

 

『YES I AM!

 

  僕こそが、過負荷の中の過負荷。

  混沌よりも這い寄るマイナス。

  球磨川 禊だよ!』

 

  球磨川が例のポーズの後に差し出した冒険者カードを、兵士はマジマジと見つめてから。

 

「し、失礼致しました!」

 

  王都にも、球磨川の名前を知る人間がチラホラいるらしい。

 

  兵士がその一人で、武闘派で知られるベルディアを倒した球磨川に、さっきまでとは違い畏怖の目を向けた。

 

「し、しかしながら。幾らクマガワさんでも、アポなしでアイリス様にお目通りする事は叶いません。ここは、一度正規の手順に沿って頂かないと…」

『ええー?そうなの?超めんどくさいんだけど。……とはいえ、転校の手続きとかで、慣れているっちゃいるか』

 

  球磨川も、トントン拍子に良い方向へ進むとは思っておらず。少なくとも王女様に存在は認識して貰えたのを収穫とし、今日のところは出直して、改めてめぐみんやダクネスと共に登城しようと翻る。

 

『まあ、いっか。アクアちゃん、ここは引いておこう。僕らは王女様を怒らせに来たんじゃないからね』

「いいの?球磨川さん、あと一歩だったじゃない。それに、夜になったらギルド長が襲ってくる可能性だってあるのよ?」

『確かに。ギルド長の動向には注意が必要だね。けど、お城に逃げ込んでいないだけ希望はあるさ。王族を味方につけたのでなければ、今のギルド長は単なる逃亡者に他ならないんだし。となると、広い王都でも、早晩見つかるだろうね』

「うーん。球磨川さんがそう言うなら、いいんだけど」

 

  王城から離れようと、歩き出すと同時に。背後から凛とした声がかけられた。

 

「そこの二人組、止まりなさい」

 

『……は?』

 

  振り返ると、白スーツの女がキリッとした顔で呼び止めたようだ。

 

「私は、シンフォニア家のクレア。第一王女アイリス様の側近だ。貴殿がクマガワ ミソギならば、話がしたい」

『話したいの?僕と?』

 

  鍛錬場から全力で走ってきたクレアだったが、息一つ乱れておらず。

  兵士と球磨川のやり取りには驚いたが、目の前の男がクマガワだとすれば、これから行うギルド長捜索に大きく役立つはずだ。

 

  それから。

 

(アイリス様は、アクセルで名を馳せた、このクマガワなる男に多少の興味がおありのご様子。もしアイリス様がご所望ならば、冒険譚を語らせるのも悪く無いだろう。望まなければ、謁見の間に通す事なくギルド長捜索の任に放り出せば良かろう)

 

  愛しのアイリス様を第一に考えるクレアは、丁度良い手土産が出来て上機嫌だ。本来のクレアなら、王城に下賤の者を入れるなんて考えもしない。逆に、切り捨てるレベルだが。

  アイリスに褒めてもらえる可能性が1パーセントでも存在すれば、欲望に忠実となるのがこの女性だ。

 

「幸運に思え。難攻不落の機動要塞を移動不能にした功績を鑑み、貴殿とその一行には、特別に城内へ入る許可を与えよう。」

 

「え、いいの?ラッキー、ラッキーだわ、球磨川さん!このチャンスを逃す手は無いわね!」

『えっと、うん。そうだね。こうやって事態が好転するって事は、何か裏があるんじゃ無いかと疑わしいけど……』

「何言ってるの。この宝塚なお姉さんが招待してくれるってのよ?王族に仕える騎士が、不埒な考えを持つはずないでしょ」

『だと、いいけど』

 

  クレアの提案は、球磨川達にとって渡りに船。断る理由は勿論存在しないけれど、あまりにスムーズな展開には、思わず球磨川とアクアが顔を見合わせるのも無理はなかった。

 

「こちらだ、ついて来い。貴殿らのお仲間は、別の人間に案内させるから安心してくれ」

「なかなか立派な門構えよね。私が住むに相応しい気がするの」

 

  かくして。球磨川禊という名の過負荷が、武装国家ベルゼルグの王城にまで侵入出来てしまうに至った。

  めだかちゃんや人吉がこの場にいたら、クレアの軽率な行動に失笑していたかもしれない。





やっぱシギュン可愛いよね。ライガットも可愛い。
この二人がくっつけば、もうハッピーエンドだわ。
ナルヴィは私が貰っていきますね。ステンナさんは皆さんでどぞ

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