ハイスクールD×D 『本物』を求めた赤龍帝   作:silver time

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……いつの間にかお気に入りが300件突破しました。
閲覧数も一万を突破……私は夢でも見ているのか…!?
とにかく、こんな小説をお気に入り、読んでくれている皆さま、本当にありがとうございます!
さて、今回ついに英霊召喚を行います。
誰が来るのかは……最初の文ですぐわかると思います。
それではどうぞ。





――ついて来れるか





魔術先生ティア~英霊召喚編~

 

 

 

 

私の戦いはこれで終わった。もはや留まる理由もない。

「凛、私を頼む。知っての通り頼りない奴だからな。――――――――君が支えてやってくれ。」

 

 

朝日を背に受け、一人の少女に対し言葉を紡ぐ。その男の表情はとても……満ち足りていたように。

 

「アー、チャー……」

 

言葉を投げ掛けられた少女は目元から溢れる雫を拭い、目の前の男に対して宣言するように言葉を返した。

 

「うん………。わかってる。あたし、頑張るから……!」

 

少女の顔には雫はみえず、曇りのない晴れやかな笑顔を浮かべる。

そして今までの礼と言わんばかりに、いつものような減らず口をたたく。

 

「あんたみたいに捻くれた奴にならないように、頑張るから。きっとあいつが、自分を好きになれるように、頑張るから………

!だからあんたも――――!」

 

その言葉を最後まで口にすることはなかった。目の前男がそれを遮るように、いつぶりに浮かべた陰りのない笑顔を向けながら。

 

「答えは得た……大丈夫だよ、遠坂」

 

主であった少女に向けて、宣言する。

 

「俺もこれから、頑張っていくから……」

 

――――体は剣で出来ている。

 

それは理想(正義の味方)に狂った男を表していた。

 

血潮は鉄で、心は硝子。

幾たびの戦場を越えて不敗。

 

それは英雄(正義の味方)に憧れた男を表していた。

 

ただの一度も敗走はなく、

ただの一度も理解されない。

 

偽善者と呼ばれようとも、その意思は変わらない。

 

かの者は常に独り、剣の丘で勝利に酔う。

 

怪物と恐れられても、その歩みはとめない。

 

故に、生涯に意味はなく。

 

例え歪んだ理想だとしても、

例え借り物の理想だとしても。

 

その体は、きっと剣で出来ていた。

 

それはきっと、大切なモノだから。

 

 

 

「また、ここか。」

 

気がつけば、無限に剣がつき立つ荒野に、その男は立っていた。

空を見上げれば無数の歯車が浮かんでいる。

 

盛り上がった丘に腰かけ、先程までの出来事を思い出す。

 

「召喚された間の記憶など、私にとってほんの少しの間の記録でしかなくなるのだが……」

 

あの記憶(光景)は、決して消えることはない。彼女の宣言も、彼自身が紡いだ宣言も。

 

「君の事は覚えておこう。凛。」

 

この先ずっと、理想の果てにいたるまで。

 

「――――む?」

 

違和感を感じた。その感覚は前と同じように召喚されるかのような。

 

「――どうやら凛の他にも同じようなミスをする輩がいるとはな。」

 

男は溜息をつくと、

 

「それにしても、私を召喚してしまうとは、つくづく運の無いマスターのようだ。」

 

そんな皮肉を口走った。呆れたようにではなく、仕方ないとでも言いそうな表情を浮かべなら。

 

「さて、私も頑張るとしようか。」

 

そう言い残し、赤き弓兵はその世界を去った。彼の知らない、矛盾を抱えた世界へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔術礼装や概念武装についての知識を得て、それからまたもや時は過ぎ、

修行開始からもう1ヶ月程になる。

もしあのまま閉じこもる事を選んでいたら今もあの部屋に閉じこもっていたままだろう。

あれから魔術礼装を自作しようと試み、なんとか形になった。

洞窟のあちこちから見えた光る水晶、

ティア(本人から長いからそう呼べと言われた)から聞いた限りだと魔晶石と言うらしい。色はどれも違っており、結晶の純度から見分けるらしい。

魔晶石は高い熱量によって融解するらしく、これまた自作した炉で魔晶石を溶かして、宝石にのように小石サイズの物を量産した。これに魔力を流し込むことで、魔力を溜め込んだ即席の爆弾と化す。

この転換と呼ばれる魔術特性で宝石に魔力を溜め込んで使用するものを宝石魔術と呼ぶらしい。ただ、本来は古いものやいわくつきの宝石が魔力を溜め込みやすく、魔晶石は魔力を比較的溜め込みやすい器ではあるものの、宝石魔術として使うならば、非常に使いずらい。

しかしティア曰く俺の魔力貯蔵料と魔術回路による生成量が既存の魔術師を大きく上回ってるらしく、多少燃費が悪いくらいでそこまで問題は無いらしい。

そしてもう一つ、俺の得意な魔術は物質の力の変動、及び破裂であり、また属性も火と水の二重属性(多分)と言っていた。

そのため火と水を使った魔術に特化しているようで、ガラスのビンにそこらでとってきた薬草なんかを磨り潰し水で溶かしたものを入れ、最後に転換で魔力を込めて蓋をすれば、これまた完成手投げ爆弾。(ポーション)通称ポーションボム。

こんな感じで二つの魔術礼装を完成させ浮き足だっていたがティアが思いついたようにこんな事を口走った。

 

 

 

「そうだ、英霊召喚しよう。」

 

 

何そのそうだ、京都へ行こう的なノリは。

エイレイショウカン?ナニソレ?

 

「ティア、急にどうしたんだ?なんだそのエイレイショウカンってのは。」

 

「英霊召喚よ。その名の通り英霊を呼び出す儀式のこと。死んだ英雄の魂が精霊化した者を英霊と呼ぶのよ。」

 

英雄の魂?それってヘラクレスとかの神話上の英雄も例外じゃないのか?

 

「というか何でそんなことを?」

 

「一部の魔術師はこの英霊を召喚し、使役して互いに戦ったと聞くわ。確か何かの儀式に必要だったらしくてそんな事をおっぱじめたらしいけど…」

詳しくは知らないんですね。

 

「英霊はまさに神霊のそれと同じ、強力な力を持っているわ。」

英雄の魂だからな。

にしても英霊召喚か……

 

「……ティア、英霊召喚ってどうやるんだ?」

 

「あら、珍しくやる気ね。」

 

「英霊を召喚出来れば心強い味方になる。それに英雄から稽古をつけてもらえるかもしれないだろ?」

 

「なる程ね。それなら早速準備よ。」

 

そして、今日の修行を一通り終え、

ティア先生の魔術講座、英霊召喚編(受講者1名と一匹)を急遽開くことに。

召喚のために必要な準備として呪文が書かれた紙を渡される。これを覚えろとの事である。一方ティアは水銀を用いて地面に魔法陣描いていく。

なにやらメモのような紙きれを見ながら。四苦八苦しながらも魔法陣は完成した。今の時刻は丑三つ時前、午前1時52分である。午前2時には始めるなら丁度いい時間帯だ。俺も呪文をしっかりと頭の中に叩き込んで準備完了だ。

 

「折角だから英霊召喚の条件を説明しておくわ。英霊召喚には召喚用の魔法陣を霊脈と呼ばれる不思議な力の流れがある場所に敷設する必要があるの。」

 

「……って事はここにもその力の流れが少なからずあるのか?」

 

「半分正解。半分不正解ね。」

 

半分正解?

 

「ここに流れてるのは霊脈のそれとは違う、だけど流れている力は霊脈のそれに限りなく近いもの。本来のものとは違うけれど、おそらく大丈夫よ。」

 

「いやそこら辺適当はだめだろ。」

 

「なんとかなるわよ。」

 

アカン。これダメなフラグの気がする

 

「あと必要なものは触媒ね。」

 

触媒?

 

「来て欲しい英霊を呼ぶ場合はそれに縁のある物を使うのよ。なくても英霊は召喚は出来るけどその場合は召喚者に似た英霊が呼ばれるわ。」

 

「そうか。それでその触媒はどうするんだ?」

 

「うーん……そうね…宝石でいいや。」

 

「適当過ぎるだろ!」

 

「いやでも他にそれらしい物もないし…宝石ならそれに近しい英雄もいるはず……多分。」

 

「当てにならねえ……」

 

「んんっ!んっ!とにかくちゃんと覚えたわよね?」

 

「バッチリだ。」

 

「よし。じゃあ召喚サークルに。」

 

促されるままサークルの前に立ち、右手を前に掲げる。

 

「あとは詠唱だけよ。」

 

「……ああ。」

 

魔術回路を開き、覚えたばかりの呪文を詠唱する。

 

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。

 

降り立つ風には壁を。

四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

詠唱し終えたその刹那。召喚サークルから光が溢れ、目の前の景色が眩い光に塗りつぶされる。それ同時に小さな爆発が起こり、爆風で後ろへと押し出される。

しばらくすると光は収まり、召喚サークルの中に人が立っているのがわかる。

――成功した?英霊を召喚できたのか?

頭にその疑問が浮かんだと同時に、その疑問に答えるかのように、男の声が聞こえてきた。

 

「――いくらかマシなようだが、いい加減な召喚をしてくれたものだ。」

 

どこか呆れたように、それでいて何かを懐かしむような声が聞こえてくる。

 

召喚サークルの中心に、その声の主が居た。日焼けしたような浅黒い肌。逆立った真っ白な髪。しかし年老いてる理由(わけ)ではなく、見た目からして二十代辺りといった印象を抱かせる東洋人寄りの風貌。そして黒いボディアーマーとベルトがたくさん着けられた長ズボン。上下に分かれた赤い外套。その上からでもわかる鍛え上げられた筋肉。

その格好からはとても太古の英雄といった感じはしない。この挙げ連ねればきりがないほど特徴を持ったこの男に一致する英雄、偉人は思い浮かばない。

召喚された英霊は淡々と少年に告げる。

 

 

 

 

 

「サーヴァント、アーチャー、召喚の儀に応じて馳せ参じた。よろしく頼むよ、マスター。」

 

 

 

異なる世界に、赤い弓兵が降り立った。




という訳で英霊召喚にてアーチャーを召喚した八幡でした。
やっぱFateと言ったらアーチャーだ、と言わんばかりに好きです。とりあえずここまでこれて良かったと思っております。この第零章、非常に長いですが

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