ハイスクールD×D 『本物』を求めた赤龍帝 作:silver time
型月の設定や世界観は難しい……
魔術回路を開いてから更に一週間。
この一週間程は魔術回路を開いては閉じて、開いては閉じての繰り返しで魔術回路を慣れさせる練習をしていた。
そのおかげか今では魔術回路を開いても痛みをちっとも感じない。少しピリッとくるが。そして魔術回路についての詳しい説明とオンオフの練習が終わり……
「いい具合ね。それじゃあ次に進みましょう。次は魔術師にとっては欠かせない魔術礼装、それとあまり関係無いけど概念武装についての説明をするわ。」
と、魔術先生ティア(俺命名)による魔物でもわかる魔術師講座が始まった。
というか、魔術礼装って親父がなんか俺に渡してたよな、未だに中身は見てないが。
「魔術礼装は儀式や戦闘用に使われる装備や道具、簡単に言うと魔法使いの杖ね。
それでこの魔術礼装、機能で大きく分けると二つ。魔術行使の増幅・補充、本人が使う魔術の強化、補助に特化したもの。
もう一つは、その魔術礼装自体に高度な魔術理論が使われていて、本人が魔力を与えればそれに定められた神秘を発動する限定的なものに特化した礼装よ。前者を増幅礼装、後者を限定礼装とも呼ぶわ。」
へー、そうなのかー、というかよく知ってますね、ティアせんせー。
「あとはさっきついでに言った概念武装だけど……一応説明するわ。概念武装は物理で影響を与える物ではないけど、意味、概念に対して強力な力を持った武装のことよ。結構貴重みたいだからいざと言う時の奥の手程度の認識でいいわ。」
ほーん。ホントに関係なさそうだな。
「ならその概念武装は何に対して効力を発揮するんだ?」
肝心のそこがわからない。
「そうね……八幡。話は変わるけどあなたは三大勢力についてどこまでしってる?」
「三大勢力?……っつか、」
ちょっと待って、今名前でよんだ?
「どうしたの?」
「いや、サラッと名前で呼ばれたからちょっと驚いただけだ。」
「それくらいで……いや、八幡はそういうのに対しての警戒が強いから無理もないか。」
「…で、何で名前で呼んでるんだ?」
「別にいいじゃない。もうかれこれ三週間修行に付き合ってるんだし、いつまでもあなたって他人行儀も堅苦しい気がして。」
「…まあそう言うことなら。」
「じゃあ気を取り直して、三大勢力についてはどこまで知ってる……ってさっきの反応からして知らないわね。」
「そういう奴らがいるというのは知っているが。」
「とりあえず一から説明するわね。三大勢力は天使、堕天使、悪魔の3つの勢力のことで、過去にこの三大勢力は衝突して戦争を引き起こしたのよ。今は実質的な休戦状態だけど。」
うわー出たよ。おそらく俺達が一番秀でているんだ!とかそんな理由で衝突してそうだ。
「んで、今私達が居るこの冥界が、悪魔たちの住む世界ね。それで話を一旦変えるんだけど……八幡は
『ソレ呼ばわりするな!』
「神に封印された二天龍の片割れで、
『相棒も無視しないで!?』
「じゃあソイツが封印された理由は何か知ってる?」
「いや、全く。やっぱり暴虐の限りを尽くしたとか?」
それ程までに強いのならそれぐらいやってそうだ、龍だし。
「…………喧嘩よ。」
ん?
「はい?喧嘩?」
「そ、喧嘩。どっちが強いのかとかそんな理由で、しかも三大勢力が戦争してる最中に
「……ドライグ……」
『やめろよ!相棒、そんな可哀想な物を見る目で見ないでくれ!!』
そんな事して封印されてちゃ世話ないだろ
「まあそんなこんなあって二天龍は仲良く封印されましたとさ、めでたしめでたし」
『めでたくねぇ!』
「いつの間にか話が脱線してないか?」
「あ、そうだった。それで話は戻るけど、概念武装は主に吸血鬼に対して絶大な効力を示すわ。多分同じ原理で悪魔の類にも効くんじゃないかしら。」
三大勢力の説明はそのため……
あんまり関係なかったがこの先重要な情報になるだろう。
「じゃあ講義はここまで、次は実践よ。
あなたの鞄に入ってるんでしょ?」
そうだった……ハズ。
確か鞄……というかリュックサックの中に着替えやらとは別にリュックサックの大半を占めていたものがあったはず。
「…………なんじゃこりゃ?」
リュックサックからでて来たのは、長さ15cm太さ5mmほどの謎の棒状の物が六本、先端には紅、蒼、翠色の三つの宝石がそれぞれの色で2個、六本の棒に一個ずつはめ込まれている。
さらには刀身のない柄だけの剣、鍔の中心辺りに赤い宝石がはめ込まれている。
そして極めつけには、黒いコートがあった。足の膝辺りまで、今の俺の身長だと脛までか。それ程のでかいコートだ。左右の腰あたりにポケットがある。よく見ると何かしらの刻印?のような物が刻まれている。持ち上げてみるとジャラジャラ音がした。コートの内側を見るとさっきの刀身のない剣に似ている柄だけの剣。それがおおよそ八十八本仕込まれている。俺の名前にちなんで作ったのか?ポケットにも詰め込めば百本程は持ち歩けそうだ。
「――――――」
……何故かティアマットが絶句している。
粗悪品なのだろうか?だとしたらこんな物を渡してくれた親父には折檻が必要だ!
「ねえ八幡。あなたの親ってまさか
「色位?典位?冠位?なにそれ?」
なんかすげー動揺してる。
「魔術礼装はまだいいわ。それもかなりのの精度だけど。けど……何で教会でも一部の執行者しか持てない黒鍵がこんな大量にはいってるのよ!!!」
マジで?これそんな凄いもんなの?
「それ概念武装よ!一部の執行者しか持てない、使い捨ての武装だけど魔に対して絶大な効力を持つ投擲に特化した剣と言うより矢に近い概念武装!!教会関係者でも無いのに何でそんな大量にあるのよ!!!」
おう……説明口調お疲れ様です。
そんな凄いもん大量に用意するとか親父マジで何者だよ。
「ドライグ、うちの親父って何者?」
『知らねぇ。魔術とかには関心もなかったしな。』
親父、あんたマジで何者?
「はぁ……はぁ……そういえばもう一個あったわよね。」
「……ああ、あれか。」
家を出る際に受け取ったもう一つの荷物、
キャリーバッグに目を向ける。
あれもかなり重かったが。あれにもはいってるだろうから開けておこう。
「……は?」
キャリーバッグを開くと、
コートに仕込まれていた黒鍵とか言う柄だけの武器と同じ物が大量に入っていた。
「――――」
またもや絶句。俺も絶句。貴重な武装じゃなかったっけ。
「もういいわ……それじゃあその魔術礼装と黒鍵について教えるから。」
考えない事にしよう。
「じゃあこの棒は?」
まずは入っていた六本の棒について。
これなんだ?
「……見たところ小型の杖ね。しかも特定の魔術を簡略化して使用することに特化したした。限定礼装ね。」
これが杖?小型化していたとしても杖には見えないが。
「それぞれの宝石の色で火、水、風の属性の魔術が使えるようね。」
「魔力を流せば使えるのか?」
「ええ、試しにやってみなさい。」
なら……本を……開く、……よし。
「……フンっ」
魔術回路を開き、右手の指の間に紅、蒼、翠の宝石がはめ込まれた杖をそれぞれ一本ずつ挟み、軽く振るった。
すると空気中に炎、水、風の刃が振るった右手と同じ軌道を描き出現し、そのまま消えた。
「おー……」
「見立て通りね。」
これが魔術礼装。
「それじゃあ次は、その赤い宝石のはまった剣ね。」
次へと移る。やっぱコレ剣なのか。
「……多分黒鍵と同じ原理ね。八幡。この剣に魔力を流してみなさい。」
「了解、……っ、これは、」
軽く魔力を流すと、炎で構成された刀身が出来る。その炎は剣の形に収まってはいるが普通の炎と変わらずに揺らめいている。
「こっちも問題なし。もういいわよ。あと魔術回路も切っていいわ。」
「もういいのか?」
「あとのものには必要ないわ。黒鍵はもったいないから。」
「わかったよ。」
「あとはこのコート、これには防護用の魔術が施されてる。いわばこのコート自体が鉄、金属で出来た鎧と同等の防護能力があるわ。あとは……黒鍵はさっきの炎の剣と同じよ。魔力を流すと刀身が出来るの、流した魔力の量によって刀身の長さが変わるわ。ただし使い捨て。」
このよれよれのコートが金属並みの硬さ…
そして貴重な黒鍵が大量……俺が今見ているのは割ととんでもない光景なのか?
「そういや、何でこの黒鍵はそんなに貴重なんだ?」
「黒鍵の刀身は聖書から精製されるからよ。そんなポンポン作れるものじゃないはず……なんだけど。」
「……考えるだけ無駄だと思うぞ。」
「……そうね。」
すごい事はわかった。あとはこれをどれほど使えるか、かな。
「さ、まだまだ教えることは山ほどあるから、飛ばしていくわよ。」
「少しはクールダウンしてもいいと思うんだが……」
とりあえず、本日何回目になるんだろうか
親父あんた本当に何者なんだよ。
魔術礼装と概念武装の紹介、説明回でした。
親父さんマジで何者……
もしかすると次回、ついに彼が……