ハイスクールD×D 『本物』を求めた赤龍帝   作:silver time

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という訳で六話目です。
今回で型月の魔術、世界観とD×Dの魔術師、魔法使い、そのあり方の違いについて、説明しています。
説明がど下手ですが皆様の寛大な御心であぁそういうものか。と理解してください。
主よ、救いようのない私めに救済を……


魔術先生ティア~魔術師、魔術回路編~

修行から二週間程が経った。

ただひたすらにティアマットと模擬戦を行ったが一度も勝つことは無かった。

惜しいところまでは行ったが。

そしてある日、ティアマットからこんな事を言い渡される。

 

「それじゃあ、模擬戦はここで一旦終了よ。」

「え?何でだ?」

 

「これからは魔術の分野に手を出していくからよ。あなた、魔術師の家系なんでしょ?私は魔術を使いはしないけど知識ならある程度持っているから。」

 

そういえば家は魔術師の家系であった。

というか、そんな事を教わりはしなかったし、あまり重要に捉えてなかった。

だがこれから関わらないとも限らない。

それならば一度ここらで魔術について知っておくべきだろうか。

 

「それなら頼む。」

 

「よし!ならまずはこの世界に存在している魔術の違いからね。」

 

「違い?」

 

「魔術師って言っても色んなやつがいるし、あんたの家系のような奴らとは根本的に違うのが殆どよ。」

 

「それって、俺達のような魔術師は普通の奴らとは違う体系の魔術を扱うからか?」

 

「そういうこと。」

マジかよ。そもそも魔術師が現存してるのかすら怪しかったが、家の家系は特殊な方なのか。

 

「まず、一般的な魔術師達は悪魔の持つ魔力を人間が使えるようになってから広まったものよ。この魔術師達はこれを魔法と読んでるけど。人間でも魔力が扱えるようになったのはあのアーサー王に仕えた魔術師マーリンが独自に解析したことで、悪魔たちが使う魔力の在り方を暴いたらしいわ。ちなみに、この魔術師達が、集まってできた集団や組織もあって、この手の魔術師達は大抵、灰色の魔術師(グラウ・ツァオベラー)っていう組織に所属してるわ。他にも黄金の夜明け団(ゴールデン・ドーン)っていう組織や、魔女の夜(ヘクセン・ナハト)って魔女達が集まった集団もあるのよ。」

 

なるほど、それが普通の魔術師たちか。

というかマーリンとか言ってたが、え?マジで?マーリンがやったのかよ。

なんにせよ今言ってた団体には注意するとして……

 

「それで、俺達のような魔術師は何が違うんだ?」

 

その魔術師達とこっちの魔術師は何が違うのか。

 

「大体はあんたの親から聞いただろうけど、そっち側の魔術師は根源に至る為の手段として魔術を研究する者達。さらに言えば魔術を隠匿出来れば一般人に被害が出ようとお構い無しって連中が多いけど。」

 

すげー非人道的だった。

そんな事すんの?家の家系もそいつ等と同類かよ!つーか……

 

「何で隠匿しようとするんだ?やっぱ世に露見するのはまずいのか?」

 

「それも有るでしょうけど、1番は多くの人に知られる程"神秘性"が失われるからよ。神秘性が失われるとその魔術に対しての意義と価値が失われる事と同義なのよ。例えば、傍から見てそれが何らかの力で出来ているありがたいもの、要するに神様を信仰するのと同じ、未知に対する畏れとかね。これの正体を看破されたり、人間の科学で証明されたりするとありがたみが無くなって神秘性を失って、魔術としての意味が無くなるの。」

 

なるほど。魔術を隠匿しようとするのはそれの価値が失われないため、魔術としての意味がなくなったら根源にたどり着く手段がなくなるからか。

 

「これがそっち側の魔術師ね、ただ魔術師というのもあくまで根源にたどり着くための手段として魔術が一番近いだろうからそれについて研究してるから魔術師と名乗っているだけで、根源に到れれば何でもいいのよ。仮に全裸でフルマラソンとか、パイ投げ大会だとか、挙げ句の果てには大戦争引き起こそうが世界滅ぼそうがそれで根源に到れるのなら喜んでやるわよ。アイツら。」

 

嘘だろおい。それなら魔術師である必要性無いじゃん。っていうかそれなら家の親父もか?……いや親父は魔術使いであって魔術師ではないのか。

 

「それじゃあ講義ここまでにして、まずは魔術師、及び魔術使いの道第一歩よ。そこに座って。」

 

ん?座ればいいのか。……ヨイショ。

 

「まずは魔術回路を開くことからね。」

 

魔術回路?なにそれおいしいの?

 

「魔術回路はいうなればその人が持つ擬似神経ね。生まれた時から数は決まっていて増やす事はできないし、一度死んだ魔術回路は二度と使えなくなるわ。魔力を電気とすると、魔術回路は電気を生み出す為の機関ね。魔術師は代を重ね、より良い子孫を産むことで魔術回路をより多く持った跡継ぎを産もうとするのよ。」

 

……ってことは家の家系はそれなりに古いはずだから多いかもしれん。

ちょっと楽しみになってきた。

 

「ただ言っとくけど、魔術回路を最初に開く時、回路を励起させて魔力を生み出すと体は反発を起こすから死ぬほど痛いわよ。」

 

……前言撤回。一気に萎えたわ。

 

「それ、絶対にやらなきゃいけないか?」

 

「当たり前よ。これがあんた達魔術師の最初の一歩なんだから。それに、強くなるんでしょ。後悔しないくらいに。」

 

……それを引き合いに出されたら引き下がれねえだろうが。

 

「わかった。やってやるよ!」

 

覚悟を決める。こんな事、ティアマットとの模擬戦に比べればマシだろう。

 

「じゃあまず魔力を軽く流すわ。それであんたの体にある魔術回路を感じなさい。

じゃあ、行くわよ。」

 

…………ッ、ピリッきた。だが体中に張り巡らされた何かをかんじる。これがそうか?

 

「……体中にナニカが張り巡らされてるような感じがする。」

 

「それが魔術回路よ。それじゃあ次は魔術回路を開いて。」

 

「…どうやってだ?」

 

「個人によって異なる、それぞれのイメージで開くわ。それでオンオフをきりかえるのよ。」

 

それぞれのイメージ。

 

「あっ、それと開く前に何でもいいから口に入れるもの用意して」

 

口に含む物……歯を食いしばるためか。

なら……丸めたタオルでいいか。

 

「………………」

 

開くイメージ…どんな物だ?

オンオフを明確にするイメージ……普通にスイッチのオンオフとかか?

…………違うな。しっくりこない。

端的に言えば俺らしくない。俺を象徴したもの……イメージ。開く…閉じる…開く………開く?開く……開、く………本?

そうだ、本だ。これが一番しっくりくる。

本のページを開く。開いた本を閉じる。

本を開く…閉じる…開く……ッ?!

 

「――――――ッ!!!!????」

思わぬ激痛に目を見開き、口に含んだタオルを己の舌を噛み切らんばかりに強く噛み締める。

「耐えなさい!気をしっかり持って!」

『耐えろ!相棒!これぐらい乗り越えて見せろ!!』

 

――――意識、が、持ってか、れそうな程に……痛ぇ…!がっ、あっ、あああああアアアアアアアaaaaaaa……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ッ、……」

 

あれからどれくらい時間が過ぎただろうか?痛みはもう殆ど引いた。だが正直もう意識を保つのが辛い……

「お疲れ様。よく耐えたわね。」

『流石だ相棒。あの激痛の中でよく自分を見失わなかった。』

 

「……ハッ、やって…やったぜ……」

 

2人が労いの言葉を掛けてくれる。

なんとか言葉を返すが……もうムリ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄い精神力ね。かれこれ六時間ぐらいの間あの激痛を耐え続けるなんて。」

 

『それが相棒だ、ティアマット。今迄さらされてきた悪意や暴力、それをまだ小さい頃から味わって、それでもなお実の妹を心配させないために変わらない自分を演じてきた……誰よりも強い、何者にも変えることなどできない鋼の精神を。』

 

比企谷八幡が眠った後、それを見つめる青髪の美女と彼の中に眠る赤き龍の思念が、彼の異常な精神を称えていた。

 

「ドライグ、この子は歴代の赤龍帝よりも強くなるかしら?」

 

『フンッ、愚問だな。』

 

蒼き龍は目の前で眠る少年の行く末を、今代の赤龍帝がどこへ至るのかをとても楽しそうに見ていた。

そして赤き龍は蒼き龍から問われたソレに対して、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『相棒はきっと、いや間違いなく歴代で最強で最高の赤龍帝だ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確信を持って、そう言った。

 

 




説明回、及び八幡が魔術師としての第一歩を踏み出した話でした。
実際にあの痛みを体感したら廃人になりそうですね。
これからは魔術の鍛錬となりますが、その前に、ある物の紹介といよいよアレを……
何にせよ頑張ります。

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