時を遡ること一週間と少し。
「……これで、通算五百敗目」
「あら? もうそんなにやった?」
「毎日戦い続ければそうなるだろう」
「そう。よく数まで覚えていたわね」
「いや、記録が残っていただけです」
その日の特訓を終えた副は玉狛支部のソファに倒れこむように横になった。身体的疲労と精神的疲労が積み重なり、玉狛支部独特の雰囲気になれたことも相まって気を遣うこともなくなっていた。
小南は勿論のこと、木崎も丁度任務の合間で支部に滞在しており副の相談役となっていた。
「これだけやっていると一回くらいは白星を挙げたいと思うんですけど。そもそもアステロイドで削る事はできても直撃まではいかない。強くなっているかちょっと不安になってきます」
「ほう。あんた、生意気にも私に勝つつもりでいたのね」
「さすがに特訓をしてもらっている以上は一度くらい勝ちたい、と思いまして」
冗談交じりに笑う小南。副も笑みを返すくらいの余裕はあるようだが、それが強がりのようなものではないかと木崎は不安に思う。
(ああは言ってもこれだけ負けが続くとどうしても嫌気が差すだろう。負け癖、とまではいかなくても弱音を吐きたくなる時期なはずだ)
小南は『数をこなせば腕も上達するはず』という理念のもとひたすら戦闘を繰り返している。だが第三者の視点からすれば、その数をこなす間に潰れてしまうのではないかという心配が強い。
特に副は初心者。ボーダー隊員といってもまだ仮隊員であり実績がない。
実力がつく前に自信を失ってしまわないかと木崎は考え、副の名前を呼ぶ。
「副」
「はい? 何ですか?」
「何も特訓は毎日しなければならない、という決まりはない。一日くらい気晴らしをしてきたらどうだ?」
木崎の提案から彼が副を心配してくれることが感じ取れた。
気持ちはとてもありがたい。事実彼の言うとおりその方が効率もよいのかもしれない。
しかし。
「お心遣い、ありがとうございます。ですが今は少しでもトリガーに慣れておきたいんです」
副は木崎の発案を拒絶する。
「最近は少し楽しくもなってきたんですよ。気のせいかもしれませんが、徐々にアサルトライフルの使い方にも慣れてきたというか、銃弾の正確性も上がってきた気がして」
「まだまだ一本は取らせないけどね」
「ええ。頑張りますよ」
まだ向上心を忘れないでいられるのは副が初心者だからだろう。
これまでの経験が皆無であったためにかえって伸びしろがあり、自分でもわかりやすく成長を感じ取れている。
木崎は『それならばいい』と、苦笑を浮べて他愛もない会話を続ける副に言う。
「お前の気のせいなんかではない。銃型トリガーの射撃精度は訓練すればするほど向上すると言われている。それだけお前が上達しているということだ。自信を持っていい」
「……はい。ありがとうございます」
褒められて年相応の無邪気な笑みを浮べる副。
まだ中学一年生の子供だ。やはり認められることは嬉しいのだろう。先ほどの笑みとは全然違う、満面な笑みだった。
小南の指導に木崎の支えもあってこの後も副は折れる事無く訓練を続けることができ。
今日初めて行われた戦闘訓練で彼は幸先の良いスタートを切る事に繋げることに成功したのである。
――――
「二十五秒!」
「はっやっ! 一分どころか三十秒を切ったぞ!」
現在に時間を戻し、ボーダー本部のトレーニングルーム。
尋常なタイムを記録した副を目のあたりにして観客席が騒然となる。
「あれ。あいつって確か嵐山隊長の弟じゃないか?」
すると観客席の中で誰かがポツリと呟いた。
声は決して大きなものではなかったがその内容は衝撃的なものであり次々と伝染していく。
それにより訓練生の混乱もより大きなものとなっていった。
「嵐山隊長の!?」
「弟なんていたのか?」
「そういえば私も聞いたことある。今期入隊するかもって噂が流れてた」
「マジかよ。兄弟揃って有望ってことか」
嵐山が有名であったことが大きいのだろう。本部内でもどこからか噂が流れていたようで納得するものも多い。
彼らの話は観客席に留まることなく、唯我やまだ訓練を終えていない隊員の耳にも伝わった。
(嵐山隊の……? ほう)
「そうか。彼が、来馬さんが言っていた」
「ふぅん」
唯我は何かを思いついたのか笑みを浮かべ。
この場では唯一、両肩にエンブレムをつけた男は冷静に副の背中を見つめ。
きつめな顔つきをした女性は興味深そうに副を横目に確認する。
「嵐山の弟か。随分戦い慣れしてんな」
「二十五秒。これまでの新人を振り返っても凄いと思いますよ」
一方、別室のモニターで二人の男性が訓練の様子を眺めていた。
ツーブロックの髪とくわえ煙草が特徴の男性と、坊主頭に糸目が特徴の男性。二人ともB級に所属する諏訪隊の隊員である。
諏訪隊
諏訪隊
二人とも副と同じポジション・
「銃型トリガーはある意味初心者が取り扱うのが一番難しい武器だ。日本では馴染みが薄く、日常生活では手にしたことがない銃。いくらトリオン体で身体能力が大きく強化されているとはいえ、射撃の反動で姿勢は崩れちまうし、狙いも定まりにくい」
「だからこそ射撃精度を上げるためには訓練を重ねるしかない。よほど射撃の才能があれば話は別ですが、彼はどちらかというと訓練を重ねたという感じですね」
「ああ。射撃が安定してやがる」
銃型トリガーは慣れれば慣れた分だけ安定した戦いが出来る武器。
かなり特訓したのだろうなと副の努力を感じ取っていた。
「しかしまさか一人で練習したんですかね? 嵐山隊は今日の仕事で忙しかっただろうから付き合うのは無理ですし」
「いや、誰かしら師匠はついてんだろ。突然の対
まさか諏佐が言う師匠が、最強の部隊に所属する小南であることなど知る由もなく。
諏訪は「よほどの戦闘馬鹿だな」と今ここにはいない小南を評価し、様々なA級隊員やB級隊員の顔を脳内で想像していた。
師が関知しないところで批判されているとは想像もせず、副は戦闘が終了したトレーニングルームを後にする。
「ふはっはっはっ。中々やるようだね、君」
そんな彼を出迎えたのは一足先に訓練を終えていた唯我であった。
突然のことに副が驚いていることに気づきもせず、独特な笑い方で話しかける。
「君の戦い見させてもらったよ。嵐山隊長の弟さんだって? 僕よりも早いタイムでクリアするとは、見所があるようだ」
「……えっと」
「失礼。僕は唯我尊。A級隊員に入ることになっている男だ」
(ああ、さっき時枝先輩が言っていた人か)
「はじめまして。嵐山副と言います」
得意げに語る唯我。自己紹介に対して丁寧に返したのも、A級隊員になる自分を敬ってのものと勘違いしたのかさらに調子を良くする。
一方、人の話を聞かないような唯我の素振りを見た副は「この人友達少なそうだな」と中々酷いことを心の中で呟いた。
「同じ時期に入隊したよしみだ。どうだい、よければ僕の方から上に口添えしてあげようか? 君ほどの実力ならば上に上り詰めても問題はないだろう」
おそらく嵐山の弟という話を聞いて、副に恩を売っておけばこの先よいことがあると考えたのだろう。あるいは同期の実力者と繋がっておく事でいざと言う時の為の保険にする為か。その両方か。
目的は定かではないが、しかし元来の悪人ではなさそうだと判断した副は遠慮がちに首を横に振った。
「ありがとうございます。ですが誰かの名前を借りることは俺の望むところではありません。お気持ちだけ受け取っておきます」
唯我だけではない。兄のことも含んでだ。
他人の名前を使ってしまったなら、副は自分を許せなくなる。
元々自分の力を示すために入ったのだからそんなことはできないと副は一寸の迷いもなく唯我の誘いを固辞した。
「そうかい? まあいい。だが君と僕。同期のナンバーワン、ナンバーツーという関係は大切にしたい。今後もどうかよろしく」
『三号室、終了。記録、十七秒』
「頼むよ……って、ん!?」
「……十七秒!?」
これからもよい付き合いであろうと約束しようとしたその時。
トレーニングルームでは再び今日の最速タイムが更新された。
右手の弧月を収納すると、緑がかった灰色の髪をした男性が顔色一つ変えずにトレーニングルームから戻ってくる。
鈴鳴支部所属C級隊員、
(弧月の使い手! それにあの両肩のエンブレム、どこかの支部の隊員か?)
見慣れぬエンブレムを両肩につけている男性を、副は驚愕に目を見開きながら見つめた。
すると視線に気づいたのか、村上が副達の下へと歩み寄ってくる。
「嵐山さんの弟さん、なんだって? はじめまして。俺は鈴鳴第一の村上鋼だ」
「あっ」
(鈴鳴第一! そうか、このエンブレムは鈴鳴第一か!)
「ご丁寧にありがとうございます。嵐山副です。嵐山准は兄に当たります」
鈴鳴第一は玉狛支部にも近い場所に本拠地を置くボーダーの支部だ。
合同で防衛任務をやることも多いそうで副も小南や木崎の会話から耳にしていたことがあった。
「うちの支部の先輩に君の話は聞いていた。中学生と聞いていたが、予想をはるかに上回る射撃の腕だな。戦えばかなり手ごわそうだ」
「……お世辞ありがとうございます。さすがに十七秒の壁を越えることは大変そうですけどね」
「どうかな? まあ、これからよろしく」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
村上がわずかに笑みを浮べると、副も会釈した。
兄の話も嫌味で語ることがなく、良い人そうだと同期で優しそうな先輩に出会えたことを副は嬉しく思った。
「な、なるほど。村上先輩も中々やるようだな。僕は唯我尊だ。これからよろしくお願いする」
「…………ああ、よろしく」
「唯我先輩、まだいたんですか?」
「あれ!? 君達僕への態度が違いすぎないかい!? 何故か温度差を感じるんだが!?」
空気になっていた唯我が口を挟むと二人の冷めた視線に襲われた。
「ま、まあいいだろう。しかしこれでトップスリーが勢ぞろいとなったわけだ。この三人がこうして出会ったのも何かの縁。これから」
『一号室、終了。――記録、九秒』
「あらゆる困難が待ち構えているかもしれないけどうしてぇぇっ!?」
「きゅ、九秒!?」
「これは早いな。一号室。……あそこの女の子だな」
「え? 女性ですか?」
「女の子にまで負けたというのか、僕は……!」
三人で助け合っていこうと唯我が良いことを言おうとしたまさにその時。トップスリーの座は呆気なく陥落する。
訓練終了間際にまたしても更新された最速タイム。しかも十秒の壁を越えるという並外れた成績だ。
唯我は三度目の敗北(しかも女の子)に涙を流し、副は驚きのあまり開いた口がふさがらず、村上も表情は崩さないが多少の驚きをもって視線を一号室へとむける。
拳銃をしまい、『当然の事だ』と語るように落ち着いた物腰で部屋を後にする女性隊員、木虎の姿があった。
C級隊員、
木虎は村上達に気づくとその場で一礼してから近寄っていく。
「はじめまして。先ほど好タイムを挙げていた二人ですよね?」
「君ほどではないがな。村上鋼だ。よろしく」
「嵐山副といいます。よろしくおねがいします」
「こちらこそ。木虎藍です。よろしくお願いします」
「いやいや! 君達、僕の事を忘れては困るよ? 唯我尊だ、よろしく」
村上と副、二人に挨拶をしているのか不満に思ったのか唯我が声を荒げて木虎にアピールする。
「……ああ、まあまあな記録を出していた人ですね? よろしくお願いします」
「うん。こちらこそよろしく」
ようやく認識してくれたことに満足した唯我は、村上と副の記録には『好タイム』と表現したのに対し、唯我の記録には『まあまあな記録』と木虎が言い方を変えていることに気づけなかった。
調子を良くした唯我に、違いに気づいた村上と副は呆れ混じりに息を吐き、力を緩める。
「若いのに九秒とは凄い事だ。同期入隊の中では一番の自信があったんだが、これは認識を改める必要がありそうだ」
「いえ、私なんてまだまだです。今日だって皆最初の訓練で、調子の良し悪しがあるでしょう」
(……凄く落ち着いているな。驕らない性格のようだし木虎先輩は良いボーダーになりそう)
心をくすぐる言葉をかけられても木虎は淡々とした態度を崩さない。
副は彼女の物腰の柔らかさからおそらくは年上だと判断し、同時に将来は優れた防衛隊員になるのだろうなと尊敬の眼差しを向けていた。
「今年の新人は有望なやつが多いな」
「そうですね。副君が二十五秒のタイムを記録した時はてっきり彼がトップかと思いましたが、それをさらに上回る隊員が二人も現れるなんて」
「いいんだ。副は精一杯やったんだ。それだけで俺の中では一番だ」
全員の戦闘訓練が終了。
一息ついた嵐山隊の三人は改めて今年の新入隊員が優れていることを理解した。
少なくとも副に村上、木虎はすぐにB級に上がり正隊員になるだろう。初期ポイントが最も高い唯我も彼の願いどおりA級に上がることが予測される。
これだけの人材が一度に現れる事は珍しい。
きっとよい仲間に、よい好敵手になるだろうなと直感していた。
「さて、後は
「そうだな。向こうはどうなっているか……」
「佐鳥に連絡を取ってみるか。――佐鳥、そっちはどうだ?」
残るは佐鳥が担当する
そちらの様子が気になり、嵐山は佐鳥と通信を繋げる。
『あっ、嵐山さん? すごいっすよ! 凄い天才新人が現れましたよ!』
興奮を抑え切れない佐鳥の返事が響く。
有望な新人が現れたのは何も
――――
「狙撃用トリガーには三つの種類がある。
射程距離重視の万能型『イーグレット』。
弾速重視、軽量級の『ライトニング』。
威力重視で重量級の『アイビス』だ」
トリガーは三種類あり、用途や目的によって使い分けていく武器だ。短所長所ともに存在するために其々の武器を使い分けることが重要となる。
「まずは皆も撃ってみよう。……ではそこの二人、試し撃ちをしてみてくれ」
体験すればよくわかるだろうと佐鳥は二人のC級隊員を練習台まで誘導する。
まずは耳当てがついている防止を被る少年がイーグレットを握る。
数百メートル先に立つ
一発目は中央より三つずれた枠に命中。その後も打ち続け、合計六発の弾を発射。
結果、二発が的の中央近くを狙撃するという中々の成績を収めた。
「おー! いいね。二発が真ん中、残りの四発も枠の中に納まっている。いいよ!」
「ありがとうございます!」
少年、太一は帽子が落ちそうなくらい深々とお辞儀した。
鈴鳴支部所属C級隊員、
村上と同じく鈴鳴支部に所属する新入隊員である。
「では次、行ってみよう! 構えて、狙いを定めて……
太一に続き、二人目の長髪の少年も佐鳥の合図を受け、狙撃を開始。
速射性に優れたライトニングの効果を遺憾なく発揮し太一同様六発の弾を連射する。
狙いは非常に的確でブレも小さなものだった。六発の弾丸は的中央の黒い円の部分の縁近くを射抜いているように見える。
「うわっ! 惜しい! もう数ミリ内側ならパーフェクトいけそうだったのに。でも六発全部を連射してこの結果は凄いな。訓練を重ねれば精度もさらに上がると思うよ」
佐鳥のアドバイスを受けた後、少年は無言で一礼し他の隊員達の元へ戻っていく。
その姿を確認し、だがやはり素晴らしい射撃の腕だと佐鳥は改めて感心し――
「ん? ……んんっ!?」
的をもう一度振り返って異変に気づく。
彼が撃った六発の弾全てが、丁度縁の真上を打ち抜いているということに。
(まさか、これを狙って撃ったのか……!?)
ありえない。だが偶然で起こる確率の方がよっぽど低い。
もしもこれが本当に狙ってできたものだとしたならば。この子は間違いなく凄腕の
そう佐鳥は確信して、無表情を貫く少年、絵馬の姿をじっと見つめた。
C級隊員、
――――
その後のボーダー本部では様々な噂が流れていた。
主な内容はやはり本日入隊することとなった新人隊員のこと。
憶測が含まれたものも多かったが、それも正隊員達の注目が新入隊員に集まっているという証拠であった。
『
『うち一人は嵐山隊長の弟だそうだ』
『A級の隊に誘われている新人がいる』
『鈴鳴第一の新人二人もB級昇格は間違いない』
『今回の最速タイムは歴代最速であったそうだ』
『
今までの正式入隊式を比較してもこれほど新人の噂で溢れたことはないだろう。それほど今回の新入隊員は群を抜いて優秀だった。
そして本部で騒がれれば当然人伝いに各支部の隊員や
「副のやつ。私が散々鍛えてあげたのに一位じゃないってどういうこと!? 次会ったら一から鍛えなおしてやる!」
「やめてやれ。副も十分すぎる結果を出したようなんだから、師匠がしっかりと褒めてやればいい」
「……ふんっ!」
玉狛支部では小南が副の成績に不満なのか苛立ちを募らせ、木崎の説得を受けてソッポを向く。
「二人とも無事に訓練を終えたようです。何でも
「それ本当かい今ちゃん!? 鋼が優れていることは知っていたけど、他にもそんな隊員が加わっていたなんて……」
「ええ。二人とも本部所属のようで、並外れた実力であったそうです」
鈴鳴支部では人当たりがよさそうな男性、来馬と清楚な黒髪の女性、今が訓練の報告に衝撃を受けていた。村上や太一の先輩にあたる隊員である。二人とも鋼の実力をよく知るからこそ、他にも匹敵する実力を示す隊員が現れるとは想定もしていなかった。
鈴鳴支部所属B級隊員、
鈴鳴支部所属オペレーター 今結花
「そっかー。弟君達は無事に入隊したか。弟君も結構目立っただろ?」
『ああ! 今日は副の入隊記念にどこかご飯を食べに行くつもりだ』
「祝うのはいいが程ほどにしとけよ? あ、そうだ。もしご飯食べに行くなら玉狛でレイジさんに作ってもらうか? 小南もいるし、俺の方から連絡しとくぞ」
『そうだな。桐絵に礼を言いたいし、そうしてくれると助かる』
「おう、任せておけ」
迅は防衛任務先で嵐山から連絡を受けていた。
自分の事のように嬉しく語る嵐山。迅も飄々とした笑みを浮べながら、副達の入隊を喜んでいる。
「弟君はもちろん、きっと今期の入隊者は皆上に上がって行くぞ」
大体の約束を終えた後迅は副達入隊者が正隊員に上り詰めるだろうと話す。
サイドエフェクトを使ってではなく、迅が心の底から思っていることだ。
彼らはお互いがよき競争相手となり高めあって、成長していくと期待を込めて。
「彼らはまだ強くなる。今日の訓練以上に活躍するぞ」
それこそ、今の正隊員達と肩を並べるくらいに。
迅はそう言って嵐山との通信を切る。
「さて。じゃあ弟君が帰る前に小南を説得しておくとするか」
木崎の料理を楽しむどころか小南との訓練という地獄絵図が見えてしまい、迅は後輩の為にとその場を後にする。
彼の背中には動かぬガラクタと化した
ここでの初期ポイント
唯我>木虎>村上>絵馬>副>太一