第二の嵐となりて   作:星月

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嵐山准①

 B級ランク戦の昼の部を終えて。

 木虎隊は初戦で快勝を納めたことに満足し、笑顔を浮べて作戦室を後にした。

 

「お! いた、副!」

「おつかれさん」

「久しぶりね」

「兄ちゃん! 迅さん、桐絵さんまで!」

 

 するとラウンジへと向かう途中で嵐山、迅、小南の三人と鉢合わせた。

 

「ランク戦見てたぞ。打ち抜かれた時は心配したけどな」

「俺もやられるとは思ってなかったから。……あ、それより紹介しないと。こちらは俺のチームメイトで、木虎隊の隊員」

「木虎です。よろしくお願いします」

「……絵馬ユズル」

「オペレーターの三上歌歩です。はじめまして」

 

 兄、嵐山と談笑をかわす仲、初対面である仲間の存在を思い出し、副は視線を他の木虎隊の三人へと移した。

 副の視線の意味を理解して三人はそれぞれ自己紹介をはじめる。

 

「こちらこそ。俺は副の兄で嵐山准だ」

「どうも。エリートの迅悠一です。よろしく」

「小南桐絵よ。私の弟子が世話になってるわね」

 

 三人の挨拶を受け、嵐山達も自己紹介に答えた。

 

「弟子、ということは副君の師匠ということですか?」

「そうよ。ボーダーに入る前に、トリガーの基本を叩き込んだの」

「……あまり思い出したくはないので細かい事は置いといて。ランク戦、見に来てくれたんですか?」

 

 千回にも及んだ切り裂かれる光景。蘇る悪夢に冷や汗を流し、副は話題を変えようと話を振った。

 嵐山は本部所属だが、迅と小南の二人は玉狛支部所属のボーダーだ。普段はこのボーダー本部に顔を出すということは早々ない。特に彼らはトリガーの規格が違うためにランク戦に参加するということもないから尚更だ。

 当然の疑問に迅が爽やかな表情を浮かべて答える。

 

「嵐山から弟君のチームの初陣ということを聞いていたからね。ちょっと面白そうだったし」

 

 他愛もない会話をこなす副達。

 しかし今初めてこの三人と出会った木虎達は、改めて副の交友が深いということを思い知り、驚いている。

 

《普通に話しているけれど、この三人って相当の大物よね?》

《……ボーダーの顔、ボーダーに二人しかいないS級隊員の一人、ボーダー最強チームのエース。この三人とかなり親交がある人なんてそうそういないよ》

《私達が思っている以上に副君って顔が広いのかもね》

 

 相手に聞かれないよう内部通信で会話をする三人。

 今ここにいる三人はボーダーなら知らぬ者はいないほど有名な人物だ。

 そんな彼らとこのように笑って話せるとは。副の知らないところで木虎達はチームメイトの評価を大幅に上昇させていた。

 

「ただ副。あんた私が鍛えたんだから一対一の場面くらい勝ちなさい。あそこで勝ってたらもっと後の展開が楽になっていたのに」

「無茶言わないでくださいよ。俺結構頑張っていましたよ?」

「一点で終わったので満足してちゃ駄目よ。……ちょっと緩んでいるんじゃない? 丁度いいわ。せっかく私が来たんだし、また鍛えてあげるわよ」

「え゛」

 

 予想もしていなかった突然の誘いに副の表情が凍り付く。

 今でも小南との1000人切り(切られるほう)は中々心に染み付いて離れないのだ。ある種の性癖を持つものならば喜ぶかもしれないが、副はノーマルだ。そのような性癖はない。

 できれば貴重な体験は一度でいい。経験だけ体に染み付かせて記憶から抹消したい。

 それなのに。今再びあの悪夢を再現しようというのか。

 副の頬を走る汗は止まらない。

 

「いや、さすがに、そんな。ランク戦終えたばかりだし」

「トリオン体だから疲れてないでしょ」

「……ほら! たしか桐絵さんって本部とは違う規格のトリガーを使ってるいんですよね? 確かランク戦には参加していないと聞きましたけど? せっかくですけど」

「その心配なら問題ないぞ、弟君。確かにポイント変動性のランク戦に参加することは不可能だが、ポイントが変動しないフリーの練習試合ならできるんだ」

(迅さーん!!!!)

 

 お断りしようとして、迅までもが退路を封じ、副は逃げ道を失った。

 

「よっし。それじゃあ対戦ブースへ行くわよ」

「…………はい」

 

 小南に引きずられる形で副はC級のブースへと一足先に向かっていく。

 変わった師弟関係の会話を呆然と聞いていた木虎はようやく我に返り、二人に質問を投げかけた。

 

「良いんですか? 行ってしまいましたけど」

「ああ。副の指導については桐絵にお願いしていたからな。入隊前にもしっかり教えてくれていたようだし、心配はしていない」

「ま、弟君も上手く技術を吸収するだろ。ちょっとへこむだけですぐ戻るさ」

「はあ」

 

 彼のことは木虎達よりも知っている素振りだ。よほど小南のことを信頼しているのだろう。そう言われてしまえば師匠の方針に任せようと木虎はそれ以上の詮索はしなかった。

 

(副も師匠がA級隊員。それであれだけ動きなれた様子だったのか)

 

 会話を聞いた絵馬は副のこれまでの訓練を思い出し、納得したように頷いた。

 元々副は嵐山の弟という注目を集めていたが、それでもそこからB級へ上がっていったのは彼の実力によるものだ。しかも、慣れた方が効率はよくなるという銃手トリガーを上手く使いこなしていた。

 それも小南が師匠で入隊前から厳しい指導を受けていたのならば納得がいく。

 絵馬も入隊時の初期ポイントや師匠については似たような環境だ。こんなところにも共通点があったのだなと、何故か可笑しくなって小さく笑みを零した。

 

「ところで、皆に聞きたいことがあるんだけど」

「何ですか?」

「隊での副の様子はどうだ? あまり話は聞けてないけれど、上手くやれているかな?」

 

 そう聞いている嵐山の表情は不安半分期待半分のようだった。

 彼もボーダーとしての仕事が忙しく、副も正隊員になってからは防衛任務に就くことになった為に落ち着いて話す機会も少ないのだろう。あるいは本人がこういったことは正直に話しにくいことなのか。兄を意識してあまり話したくないのか。理由は様々考えられる。

 

「本当によく頑張っていると思いますよ。同期の方を中心に話もしているそうですし、元々このチームを作ったのも彼でしたから」

「ん? 弟君がチームを作った? あれ、たしか君たちの隊の隊長って」

「私です」

「だよねぇ」

 

 三上の説明に疑問を懐いた迅が問い返すと、やはり彼の予想通り気虎が返事をした。

 てっきり副は隊長である木虎に勧誘されたと考えていたのだが。考えが外れて迅は首を傾げる。

 

「私も疑問を覚えましたが、最年長の戦闘員が隊長を務めたほうが良いと言われまして」

「ですが皆に声をかけてくれたということは間違いありません」

「へえ。弟君が」

(……なるほど。既存のチームに入らなかったのはそういうことか)

 

 迅はチラッと一瞬だけ嵐山に向けて、すぐに戻した。

 今の一連の会話で副の真意を理解したのだ。

 彼が新しいチームを作ったのは、自らの力で上に上がっていくということを示すため。そしてその為には何も隊長である必要はない。いや、下手すれば隊長ではない方がよいと考えたのかもしれない。兄である嵐山が隊長としてチームを率いている今、その兄とは違う形で成果を示したかった。だから木虎に隊長を依頼したのかもしれないと。

 

「そっか。副もうまく馴染めているようで何よりだ」

 

 嵐山は頬を緩めて安堵の息を零す。

 やはり弟のことは気がかりだったのだろう。元々彼のボーダー入りを反対していたのだ。上手くやれているのだろうか、周囲とコミュニケーションをかわしているのだろうかと不安は尽きなかったに違いない。嵐山准とはそういう男だ。

 不安が消えたことで安心した嵐山は改まって三人へ口を開いた。

 

「副のこと、よろしく頼むよ。俺の大切な弟なんだ。君たちも何かあったら俺に相談してくれていい」

「俺もよければ相談くらい乗るよ。ま、まだランク戦初戦を終えたばかりだから何がわからないかがわからないだろうけど。思い出したら聞いてくれ」

「ありがとうございます」

「……どうも」

「よろしくお願いします!」

「ああ。――それじゃ、桐絵達を追って俺達も移動するか」

「小南があまり痛めつけすぎてなければいいけどな」

 

 木虎達にとっては大切なチームメイト。この三人を集め、チーム成立に最も貢献した立役者だ。これからも仲良くやっていくということに何の不満もない。

 提案に皆喜んで頷き、今後も良い関係を築いていくことを約束した。

 その言葉で締め括り、五人も先にC級ランク戦ブースへと向かった小南達を追う。

 そして、C級のブースの到着した五人。

 

「うわっ」

「うそ」

「うーむ。清々しい負けっぷりだなー」

 

巨大なパネルに表示されているスコアをみた瞬間。

木虎や三上は言葉を失い、その場に立ち尽くし。

結果がわかっていた迅は感心して何度も頷いていた。

 

 嵐山 ××××××××××××××××××××××××××××××

 小南 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 練習試合を三十戦行った結果。

 結局副は一本も小南から取る事ができず、三十回の黒星を重ねていた。

 

「ん、んっ。スッキリした」

「……桐絵さん。本来の目的を忘れていませんよね?」

 

 何故か練習試合をする前よりもすっきりしたような顔つきの小南をみた副が愚痴を零す。

 何度も何度も切り裂かれたのだ。彼の不満は最もである。

小南は「そんなことないでしょ」と返すが、真偽は不明のままだ。

 

「うーむ。正規のトリガーを使うようになって、それなりに戦えるようになったと思ったんだけどな。まだ一回も勝てないか」

「ふっふーん。そう簡単に白星を与えるほど優しくはないわ。日々精進しなさい」

「はい、師匠」

 

 お互いそれほどこの大差のついた試合結果については長く引きずらないようだ。

 副にとってはせめて一本でも取りたいところであったが、そこはボーダーの中でも歴戦の猛者・小南。そう簡単に勝利を譲ることはしない。愛弟子が相手だとしても手加減は一歳しなかった。

 そんな二人のやり取りを目にして、絵馬は信じられずに一人呟いた。

 

「副が一本も取れずに連敗。さすがA級」

「あの、まさか入隊前からこんな練習を続けていたんですか?」

 

 三上が半信半疑で嵐山に問うと、彼は静かに頷く。

 

「聞いた話だとそうらしい。何でも戦うときには一日に百回以上は戦っていたそうだ」

「俺もその場にはいなかったけど後で小南から話聞いたな。入隊までの期間で合計千回は戦ったとか」

「千回!?」

 

 信じられない数字が迅の口から飛び出し、木虎は声を荒げた。

 いくらトリオン体では疲労しないとはいえ普通なら短期間にそれほどの回数をこなそうとはしない。それを副はやっていたというのか。

 木虎はゆっくりとこちらに向かいながら小南と談笑をしている副の姿を凝視する。

 

「……ん? 木虎先輩どうしました?」

「あ、いえ」

「すみませんね。みっともない姿を晒してしまって」

 

 何か勘違いしたのだろう。頭を下げる副を宥め、落ち着かせた。おそらく木虎が挑んだとしても同じ結果になっていた。それなのに彼を責めることができるはずもない。

 

「とにかく副。あんた一対一の時に攻守の切り替えを早くね。今日のランク戦だってシールドを張ってれば無事だったかもしれないんだから」

「耳が痛いです。肝に銘じておきます。……それで、兄ちゃん達はこの後は?」

 

 とりあえず小南との練習試合を終えた副は、予定を聞いていなかった三人へ問いかける。

 

「俺は今日のランク戦で解説した分の仕事が溜まっているんだ。作戦室に戻って仕事だ」

「俺はこの後防衛任務。夜には終わるだろうからまた顔出そうかな」

「私は空いているわ。ちょっと時間を潰して久々に夜のランク戦もみるつもり」

 

 嵐山は事務作業、迅は防衛任務、小南はフリーと三者三様の答えが返ってきた。

 木虎隊も今日はシフトが入っていない。この後に行われる夜の部のランク戦も観戦するつもりであった。

 

「木虎先輩。俺達も夜のランク戦は見ますよね?」

「ええ。よかったらご一緒しませんか?」

「そ? ありがと。お言葉に甘えるわね」

「じゃ、俺は一足先に戻ろうかな。話しが出来てよかったよ。じゃあな」

「同じく防衛任務に行って来る。頑張れよ、若者達」

 

 ランク戦観戦について小南を誘い、仕事がある嵐山と迅とはその場で別れた。

 

「俺達はどうする?」

「一度小南さんと一緒に作戦室に戻りましょうか? 今日はランク戦があるということでラウンジも混んでいるようですけど」

「……そうね。他隊のランク戦のログを見直したいとも思っていたから丁度いいかも」

「それならあたしがやり方教えてあげるわ」

「お願いします。機器の操作などまだ慣れないところもあるので」

 

 残った五人は混雑したラウンジにこれ以上いるのはよくないと判断し、副の提案に沿って来た道を戻っていく。

 そして作戦室へと向かう途中。

 今度は先ほど見かけたばかりの懐かしい顔ぶれと遭遇した。

 

「うわっ。木虎隊!」

「ん、木虎達か」

「村上先輩!」

「太一先輩も!」

 

 反対側から歩いてきたのは鈴鳴第一の面々。太一、村上、来馬、今の四人だった。

 

「鋼君、たしか二人の同期だっけ?」

「ああ。この前話した隊員だ」

「そっか。さっき戦ったけれど改めて。鈴鳴第一の来馬だ、よろしく」

「同じくオペレーターの今です」

「はじめまして」

「村上先輩にはいつもお世話になっています」

 

 まだランク戦以外では会話をしていなかった二人が皆に名前を告げる。

 木虎達も二人に習って会釈をした。

 

「鈴鳴第一は、今まで試合の振り返りを?」

「うん。今日の試合を見返していたんだ」

「太一も一緒にね。あの時は一緒に見れなかったから、今度はみんなで一緒にと思って」

「そうでしたか」

 

 木虎隊と鈴鳴第一が時間を置いて作戦室の出入りですれ違ったのは、彼らがランク戦後も作戦室で試合を振り返っていたためだった。

 元々鈴鳴第一は太一も加わる予定の戦闘員三人態勢が理想像だ。

 その時に備えて今のうちからチームの理解を深めておきたいと考えていたのだろう。

 

「村上先輩、弧月だけではなくレイガストまで使うようになったんですね。ランク戦で聞いた時はビックリしましたよ」

「お前もテレポーターを使いこなしているとは知らなかったぞ。おかげで手痛い目にあった」

「と言っても、一対一ではまだまだ敵わなさそうですけどね」

「まあまあ。二人ともデビュー戦で凄い動きだったよ」

「でも、副を落としたのはそういう来馬先輩ですけどね!」

「ぐっ」

「うっ」

「太一、あんたは黙ってなさい……!」

 

 余計な発言をかます太一の頭を今が小突く。

 正隊員に昇格してからは訓練生の時よりも時間を共にする時間は減ったものの、村上や副達の関係は変わらないようであった。

 

「俺達はラウンジへ行くつもりだが、そっちは?」

「私達は作戦室に戻って他の隊のログを見ようと。夜のランク戦の観戦もするつもりです」

「こっちも夜のランク戦はみるつもりだ。それならまた会場で会えそうだね」

「ええ。それでは、また後で」

 

 お互い夜のランク戦を観戦することを確認し、彼らは別れた。

 

 

――――

 

 

 その後、夜を迎えたボーダー本部。

 B級ランク戦初日昼の部、中位グループの戦いが繰り広げられていた。

 この試合に参加しているのは諏訪隊、香取隊、東隊の三チーム。ステージは市街地Cだ。

 すでに諏訪隊の笹森、香取隊の三浦が落とされ、東隊と香取隊にそれぞれ一点が記録されている。

 

「これは東隊が有利か」

「……狙撃手(スナイパー)は東隊長のみ。高台を抑えた以上、優位は中々覆らないでしょうね」

 

 村上の言葉に木虎が頷く。MAP選択権で狙撃手(スナイパー)有利なステージを選んだ東隊がそのままランク戦を優位に進めていた。

狙撃手(スナイパー)・東が備えている中ではまともに戦うことも難しい。しかし高台を奪い返そうとすると東隊の二人が邪魔をし、その間に東の狙撃が入る。

 

「諏訪隊・香取隊はまず邪魔な東隊の二人を片付けたいところでしょうけど……」

攻撃手(アタッカー)の連携では東隊の方が上。得意な銃撃戦に持ち込みたいけど狙撃を警戒してあまり大きく距離を取れずにいる」

 

 太一の言葉を引き継いだのは絵馬だった。やはり狙撃手(スナイパー)の力は狙撃手(スナイパー)が誰よりも理解している。それほど東の狙撃は脅威だった。

 痺れを切らした香取が動く。

 有る程度のリスクは仕方がないとして東隊から離れ、同時に諏訪隊を狙えるような位置を狙って坂を上っていき――東の狙撃に頭を撃ちぬかれた。

 

「……命中(ヒット)

「狙撃怖いな」

「マップの選択がそのまま勝利に繋がっている。この東さんを止めることは容易ではないわね」

 

 三上がそう言うと全員が揃って頷いた。

 高い場所から一方的に急所を狙われる恐怖。これは戦いたくない相手であろう。

 その後、ひとりとなった若村は諏訪隊の集中砲火の前にベイルアウトを余儀なくされ。

 堤が東隊の攻撃手(アタッカー)の連携に捉まり落とされると、諏訪が意地で攻撃手(アタッカー)を一人落とすが直後東に狙撃される。

 結果、6対2対1で東隊が勝利を収めた。

 

「うーん。スナイパーのいるチームがこういうマップを選択するとこんな展開になってしまうのか」

「B級に狙撃手(スナイパー)が複数いるチームもあります。そういうチームはまず市街地Cを選択するでしょうから、注意は必要になりますね」

 

 誰もが危険視する事は同じだ。この試合を見て狙撃手(スナイパー)の脅威は嫌と言うほど思い知った。これから先戦う事もあるだろうが、その前に今日の一戦を見ることができてよかったと思いを巡らす。

 その後解説の総まとめも終えるとランク戦は終了。

 来馬達と別れ、木虎達は作戦室へと戻った。

 

「あっ! 更新された。次の対戦相手、B級ランク戦round2の組み合わせが発表されたよ!」

 

 三上が端末を操作していると、ようやくランク戦の集計が終わり、二日目の組み合わせが発表されたところを発見した。

 彼女の発言に釣られて皆三上の下へと集結する。

 B級ランク戦二日目の昼の部、三つ巴の中に木虎隊の名前が刻まれていた。

 

「うちは今日のランク戦で十九位から十五位に上昇。二日目の組み合わせは……十二位の那須隊! そして、十六位の荒船隊!」

 

 B級ランク戦二日目、夜の部。

 B級暫定十二位 那須隊、B級暫定十五位 木虎隊、B級暫定十六位 荒船隊。

 四日後に行われる三つ巴に参加するチームが出揃った。

 

「那須隊、そして荒船隊!」

「……たしか荒船隊って」

狙撃手(スナイパー)が二人いるチームだよ」

「しかも、今回のマップ選択権は一番下位にあたる荒船隊が持つから、間違いなく」

「市街地Cが、戦場になるでしょうね」

 

 よりにもよって、狙撃手(スナイパー)の威力を思い知らされたその直後に。

 木虎隊はその狙撃手(スナイパー)を二人も要する荒船隊がマップ選択権を持つランク戦に臨むことを余儀なくされたのだった。

 




迅「そろそろ何か悪がくるな。俺のサイドエフェクトがそういってる」

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