自分が好きで書いているものですが、見てくれている人もいるというのはとてもいいものですね
これからもまったりお付き合いください
ではどうぞ
着替えはなんとかギリギリで間に合ったよ。
ゆっくりと汽車がスピードを落としていき、やがて小さなプラットホームに停車した。
ハリーさんとロンさんは見るからに緊張している。私はそれを見て楽しむくらいにはまだ余裕があるかな。
大勢の生徒の波に乗ってプラットホームに降り立つと
「イッチ年生!イッチ年生はこっち!さあついてこいよ…足元に気を付けろ。いいか!イッチ年生、ついてこい!」
ボウボウの長い髪ともじゃもじゃの髭を生やした大男が一年生を誘導している。
特に逆らう理由もないし、素直についていこう。
「みんな、ホグワーツがまもなく見えるぞ」
大男に言われるがままに狭い道を歩いていくと視界が急に開けて、大きな湖のほとりに出た。向こう岸の山の上に立つその壮大な城は、窓から漏れ出す明りに照らされて、そこに浮き上がっていた。
これが、私が7年間を過ごすホグワーツか。
ついさっきまではまだ気持ちにも余裕があったのに、実物を前にするとさすがにいろいろ考えてしまうね…。
「4人ずつボートに乗って。よーし、では進めぇ!」
ボートに乗ってホグワーツに向かう。みんな目の前に近づいてくるお城に夢中だ。
さすがに話す雰囲気ではないし、私は周囲を見渡しておこう。
…うん、環境は違うけれど、この場所なら今まで使っていた魔力も問題なく使えるどころか、むしろ調子がいいまであるかな。
妖精のチカラは基本的に環境依存だからなぁ、そういう部分はとても重要。
私としては湖が近くにあるというのがとてもうれしいね。これなら幻想郷とも大差なく活動できる。
ホグワーツの中に入ってからは、マクゴナガル教授と大男に呼ばれた人についていった
この人、どう見ても厳しい先生だよねぇ…まるで、顔に
楽しい学校生活を送るためにも、しっかりしていないといけない先生とそうでない先生は早く見つけないとね。
「まもなく全校生徒の前で組み分けの儀式が始まります。待っている間、出来るだけ身なりを整えておきなさい」
そういってマクゴナガル先生は私たちに用意された待機部屋から出て行った。
組み分けの儀式ねぇ…いったい何をどうするんだろうか。
「ロンさんは組み分けの儀式、どんなものか知っていますか?」
おかしいと思ったら人に聞く!とは誰の言葉だっけ。
とはいうものの、別に組み分け自体はおかしくもなんともないけど。
「試験のようなものだと思う。でも兄弟のだれも僕に本当のことを教えてくれないんだ」
「試験なんて…僕、まだ魔法一つも使えないよ…」
いやな予想に限って的中しちゃうもんなんだって改めて実感したよ。
テストかぁ…うん、成り行きに身を任せようと決めたじゃない、私!自信をもって諦めよう!
私が見当違いと自覚している決意を固めていると、ついに
「これから組み分けの儀式を始めます。一列になって、ついてきてください」
ゆっくりと列が作られ、その流れに私も乗る。ハリーさん、私、ロンさんの順だ。
連れられてきた大広間は何とも言えないステキ空間が広がっていた。
いくつものロウソクが宙に浮かんでいて、テーブルには上級生が、広間の奥には先生方がそれぞれ座っていた。
天井には満点の星空が広がっていた。遠くから聞こえるグレンジャーさんと思わしき声によると、魔法で実際に見える星空を忠実に再現してあるのだそうだ。幻想郷でもここまできれいな星はすごく晴れていないと見れないので、少しだけ得した気分。
先生方の前に、上級生を向いて一列に並ぶ。これだけ大勢の人に見られるというのはなんというか…すごくソワソワする。ホント、早く終わってほしいな。
マクゴナガル先生が私たちの前に一つのとんがり帽子を置いた、と思ったらその帽子がもぞもぞ動き出した。そして次の瞬間、帽子がこんな歌を歌いだしたよ。
グリフィンドールに行くならば
勇気ある者が住まう場所
勇猛果敢な騎士道で
他とは違うグリフィンドール
ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で
苦労を苦労と思わない
古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう
スリザリンではもしかして
君はまことの友を得る
どんな手段を使っても
目的遂げる狡猾さ
被ってごらん!恐れずに!
興奮せずに、お任せを!
歌が終わったとたん、拍手喝さいが鳴り響く。
なるほど、この帽子をただ被ればいいのね。そういうの私得意。
歌の意味はそのまま、寮の特徴を表しているんだね。
…うーん、どうしよう。
「これから組み分けを始めます。名前が呼ばれたら、帽子を被ってください」
「アボット・ハンナ!」
組み分けが始まった。ABC順に名前が呼ばれていく。
私もすぐに呼ばれるかな。誰かさんのせいでDだし。
「ダイ・ヨーセイ!」
ほーら、呼ばれた。椅子に座って帽子を被る。
「ふむ、頭はいいが知識欲はない。優しい心を持っているが、真面目とまではいえない。力に対する願望はあるが、手に入るとは思っていない。さて…どこに入れたものか…」
これって多分だけど、私の頭の中を覗き見ているよね。
この帽子には私がどのように映っているのだろうか。
「どの寮でもそつがなく学校生活を送ることが出来るだろう。どの素質も十分満たしていると言える。だからこそ難しい…」
ふーん、全部満たしてはいるのか。
・・・ねぇ組み分け帽子さん。
「ん?なにか言いたいのかね?」
そうなの、聞いてほしいな。
私実はね、このホグワーツ、とっても楽しみにしていたんだ。
帽子さんが分かるかどうかは兎も角、私はしょせんちっぽけな存在。それこそふらふらと現れては突然消えていくものに毛が生えた程度でしか、力を持っていない。
みんなと遊ぶのは楽しいけれど、私の歩いた道の後には何も残らないと考えてしまうときがあって、どこかに寂しさがあったんだ。
でもね、私は初めて助けを求められたんだ。
困っている、助けてほしい。そんなこと初めていわれたし、大げさに言うと世界に認められたとさえ感じたよ。
私が友達のために何かを出来るなら、それこそ自分が被弾したってかまわない。
そんな決意を密かに固めたから、ホグワーツに来たんだ。
私がどこに入っても大差ないというのなら、それでみんなを守ることが出来るというなら。
…私はそれを成し遂げる
「………グリフィンドール!!」
左端の席から歓声が上がる。
私はどうやらグリフィンドールに入ってもいいようだ。うれしいな。
テクテクと席に向かって歩く。
監督生の人、たしかロンのお兄さんと握手した後に空いている席に着席。
上座の前ではまだ組み分けが続いている。
グレンジャーさんは…おお、これはうれしい。、グリフィンドールだ。話しかけやすくて助かる。
あ、ヒキガエルの子だ、たしかネビルさん…あら、この子もグリフィンドールか。意外だったけど、あれはあれで面白そうな子だし、まあいいかな。
マルフォイさんは…スリザリンか。見たまんまだけど、本人は嬉しそうだ。クラップさんとゴイルさんがマルフォイさんを出迎えてる。
ついにハリーさんの番だ。帽子を被って…ああ、時間がかかってる。多分私と同じくらい。
しばらくたった後、帽子は高らかとグリフィンドールを宣言した。ハリーさんと一緒なのは、立場が似ている分、心強い。二人で路頭に迷おうね。
ロンさんもグリフィンドールだった。でもこれは見えてる結果だったかも知れないね。監督生の人もだけど、さっきからかなり目立っている赤毛の双子も、ロンさんのお兄さんだし。
そんなこんなで組み分けは終了した。ホグワーツ特急で話していた人はほとんど同じ寮だったのはラッキーだったね。
「ホグワーツの新入生、おめでとう!歓迎会の前に二言、三言、言わせていただきたい。そーれ、わっしょい、こらしょい、どっこらしょい!以上!」
校長先生の反応に困るスピーチで、歓迎会が始まった。
目の前に広がる溢れんばかりのごちそう。どれを食べようかな…あ、日本食もある。
最近食べていなかったし、なつかしさもあって、それを取る。これは…金目鯛の煮つけかな?幻想郷には海がないから、神社での大宴会くらいでしかお目にかかれないやつだ。いっぱい食べとこう。フォークとスプーンでは食べにくいけどそれは仕方ない
歓迎会はとても楽しく進んだ。ハリーさんとロンさんはグリフィンドールの幽霊と喋ったりしていたよ。別に幽霊なんて珍しいものでもないだろうに、ハリーは結構驚いていた。変なの。
私?ハリー達の幽霊トークもそれはそれで気になったけど、とにかく大量の料理を堪能していたよ。花より団子…とは少し違うか。
たまに会話の話題を振られたりもしたけど、無難な言葉を返しておいた。家族がどんなのかって話題だったので、汽車の中でグレンジャーさんにした説明と同じだったから、なんとなく気まずくなっちゃったけど、みんないい子たちばかりだから、話題をそらしたりしてくれた。嘘っぱちで気を使わせるのも慣れてきたもんだ。
歓迎会も終わり、また校長先生が立った。
「さて、歓迎会もこの辺にして、また二言三言、お知らせがある。一年生に注意しておくが、構内の森に入ってはいけません」
え、森に入っちゃダメなの?散策とかしたら楽しそうだったのに。
「授業の合間に魔法を使ってはいけません。クディッチのチームに参加したい人はマダム・フーチに連絡すること。最後に、今年いっぱい四階の右側の廊下には入らないように、以上じゃ」
…あからさまに四階の右側の廊下が怪しいね。タイミングを見計らって探りを入れとこう。
とまあそんな感じで歓迎会は終了した。
私を含めたグリフィンドール生はロンのお兄さんの…えっと、たしかパーシーさん、に連れられてグリフィンドールの寮に向かった。途中でピーブズなるポルターガイストにも会ったけどパーシーさんが適当にあしらっていた。
肖像画に向かって合言葉を唱え、私たちは談話室に入り、パーシーの指示でそのまま女子寮に向かった。
四人部屋か、私の他にもう三人かぁ…あ、グレンジャーさんも一緒だ。
ほかの二人は…えっと…名前をド忘れしちゃったな、後で聞いとかなきゃ。
そのあとすぐにみんなは疲れていたのか寝ちゃったけど、私はアリスさんと連絡を取らなければいけないね。
オプションを取り出して…えっと、このボタンだっけ。
「アリスさんアリスさん、聞こえますか?」
『聞こえているわよ、ちゃんとオプションが動いてよかったわ。そっちはどうなった?組み分けは大丈夫だったかしら?』
「はい、グリフィンドールというところに決まりました」
『グリフィンドール…意外ね。私はてっきり大妖精はハッフルパフあたりだと思っていたわ』
それはあまり他人に話したい内容じゃないかな。恥ずかしいし、話題を修正しよう。
「そのことはひとまず置いておきまして…アリスさんは聞きました?グリンゴッツに盗みが入ったって話」
『知っているわ。あからさまに怪しいから、こっちでも調べようとは思っているけれど、望み薄ね。魔法の痕跡もほとんど残っていないし、目撃証言も今のところは見つかっていないわ。張り込んだところで何も得られなさそう』
むーん、見ていた人もいなかったのに、見つけることなんてできないと思うの。
「それは難しいかもしれませんね…こちらも校内に怪しい場所を見つけましたので調べてみますが、突っついてみないことには何が出てくるか分かりませんね」
『そっちはそっちで動いておいてね。うーん…そうね、これからは一週間に一度くらい定期的に連絡を取っていきましょう。空いていそうな時間とかはあるかしら?』
「相部屋のみなさんが寝てしまったあとがいいと思いますので、深夜が無難だと思います。こちらからかけるようにしますよ」
『お願いするわ、じゃあこの辺で』
「あ、待ってください。アリスさんから受け取った薬なんですけど、髪の色まで変わっちゃったんですが…」
『あぁそれね。正体を隠すには打ってつけでしょ?』
まあそうなんだけれど、髪の色は大切だよね。
あの緑色は私の一つのチャームポイント!譲れないものだってあるのです!
「出来れば髪の色は元のままがいいんですけど」
『我慢しなさい。じゃあ、また一週間後ね』
あっ切られた。…グスン。
まあ仕方ないか。切り替えは大切。
明日からは授業だし、今日はこのまま寝てしまおう。
本格的な学校生活が目の前まで迫ってきているんだし今は英気を養うときだ。
それではお休み、ホグワーツ。また明日ね。
ということで、組み分けでした
え~、大ちゃんの寮なんですが、作中アリスも言っていたようにハッフルパフの方が合っていると初めは考えていまして、事実そっちで書いていました
ですが後々の展開を考えたりだとかしているうちに、まだまだ初心者に毛が生えた程度の執筆能力である私が変に攻めたことをしてしまうと、最悪小説がとん挫してしまうなと考えた結果のグリフィンドールでした
入れたからには勇気ある大ちゃんを目指そうと思います
次回の投稿ですが、今後の展開を考えるために1日いただくかもしれませんし頂かないかもしれません
どっちにしろ近いうちに投稿すると思います
感想やご意見など、気軽にどうぞ そのすべてが私の活力です!
ではこの辺で