ハリーポッターと妖精の翼   作:ファルドゥン

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大体秘密の部屋編の冬頃の辺りの出来事です

大体です




第三十二話 おまけ話

 

「という訳で、私も必殺技が欲しいです!」

 

「何が『という訳で』よ。全く意味がわからないわ」

 

「あら、もしかして聞いてませんでしたか?」

 

「私はこの資料を読むのに忙しいの。しょうもないこと言ってないでヨーセイも調べなさい」

 

『私たちが必死に調べてるっていうのに貴方は……ズズッカタッ』

 

「アリスさんも今何か飲んだでしょ、音でバレてますよ……全く」

 

うん、なんとなく話を変えたいから切り出しただけだけど必殺技の様なモノが欲しいのはホント。

出来れば魔理沙さんのやつとかみたいに派手なのが良いけど、それは高望みしすぎかなぁとも思う。何にしろ欲しいよね、必殺技。カッコいいし。

 

「これからの事も考えて、私がもっと強ければ色々良いと思うんですよ。直接対峙はしたくないですが、怪物の事もありますし」

 

「それはそうかも知れないけれど、学生の私たちには……あぁ、ヨーセイはあの弾を出すやつがあったわね」

 

「それで、何か出来ないかなぁって」

 

半分くらいはチルノちゃんに勝ちたい為ってのは秘密。

 

『まぁそういうことなら手伝ってあげてもいいわよ。いい加減情報探しにも疲れてきてたしね』

 

「アリスさんはそっちが目的でしょう?……まぁいいわよ、私も。別に時間がないわけでもないし」

 

「ありがとうございます!では昼食後、城の外で色々試しましょうね!」

 

 

 

 

『ところで、何かこれっていうイメージとかはあったりするわけ?』

 

「いえ……とくには無いですね。でも、とにかく威力を強くしたいです」

 

「じゃあ、とりあえずその弾を出す力、どうなってるのかは分からないけどそれを精一杯溜め込んで出すとか」

 

「ふーむ、一度やってみますね」

 

なんというか溜め技みたいだね。頑張れば私も手からレーザーとか出るのかな……あんまりそんな気はしないけど。

ともかくやってみよう……えーっと、手のひらに意識を集中しまして~……

 

『……特大サイズの弾が出たわね』

 

「それも一つだけですけどね」

 

たまーに打ち出す大玉よりもさらにデカい特大サイズの大玉が一つだけ出たよ。

……一つだけかぁ。

 

「うーん、なにか思っていたのとは違いますね……」

 

「威力はなんとなく高そうだけど、これじゃあダメなの?」

 

『多分当たらないわね。マトが大きかったら当たるかもしれないけど、これだけ遅いとなると普通に避けられると思うわ』

 

「ですね……」

 

「……なんでそんなに()()に慣れているのやら。戦闘慣れし過ぎじゃない?」

 

「別に普通ですよ?」

 

あー、やっぱり派手な技が良いなぁ。

レーザーとか無理なのかしら?

 

「アリスさん、レーザーとか難しいですか?」

 

『別に出来るとは思うわよ。イメージ的には溜めたり細切れにするんじゃなくてずーっと力を出し続ける感じ』

 

あーそういえばアリスさんもレーザー使ってたっけ。ほら、人形から出すやつ。

 

『でも単純に力で威力が決まるからあまり大妖精には向かないんじゃないかしら』

 

「……それは、厳しいですねぇ」

 

「レーザーって……あーもう、ツッコむのも疲れたわ」

 

どうしようかな……漠然と必殺技というか、はっきり言ってスペルカードが欲しいなーって思ってたんだけどあまりにも案がないや。

実用性だけ考えても、実際に形に出来ないんじゃあんまり意味ないよね……

 

「ところで、ヨーセイの普段使ってる奴はどんな感じのなの?それよりも威力を上げたいって話だったと思うんだけど」

 

『そうね。それを改良していく方向の方が色々やりやすいと思うわ』

 

そうか、確かにそういう方向から考える方がこの場合は合ってるかもしれないね。

 

「いつも使ってる奴というか、意識しないで打つと大体こんな感じですねー」

 

そう言って、私は何の変哲もないいつも通りの弾幕を展開した。

所謂通常弾幕ってやつだね。

 

「……こんなところですかね」

 

『まぁ、普通よね』

 

「……前見たときは余裕がなかったから何も思わなかったけど、改めて見るととても綺麗ね」

 

「そうですか?それは、なんというか……嬉しいですね」

 

あまりそういう目線でこれを見る機会ってこれまでなかったからかなり新鮮な感じするけど、言われてみれば弾幕って花火みたいに見えなくはないのか。

あまりにも日常的に使うものだったけど、確かに綺麗だね……

 

「あっでもこれほとんどの弾いらなくない?相手が一対一とかの時だったら、一握りの弾しか相手に当たらないからかなりムラがあるんじゃ……」

 

『……言われてみればそうね。威力を上げるなら、相手に向かっていかない弾、必要のない弾を減らすのはアリかも』

 

「えっでもそれって避けやすくありませんか?全部が一直線で飛んでくる弾なんて、少し動かれるだけで当たらなくなっちゃいますよ」

 

「だから、そういう考えがもう()()()()なのよ。相手が魔法動物だったらそこまで心配いらないし、人が相手でもそんなに簡単に避けられる人がいるとも思えないわ」

 

『自機狙いだけでも工夫次第なら避けづらい弾は作れるわよ。例えば、自分から直接出すんじゃなくて、一つ間に設置型の弾を経由するとかどうかしら?』

 

「えっこれってそんなことも出来るの?」

 

「出来ますよ……じゃあ、その方向で何か考えますか」

 

 

 

 

 

「……」

 

「……出来ましたね!」

 

『まぁ大体こんな感じでしょう」

 

それから1時間ほど、3人でああだこうだと意見を出し合ってその技は完成した。

敵の方向に弾を4つ程ばら撒き、その弾を起点にして自機狙い弾を浴びせる技、アリスさんが人形で似たようなことをしていたのもあってスペルカードにしては早く出来た気がする。

 

「便利そうな技になりましたね。起点の弾から出す分、敵の死角から狙ったりとかも出来るんじゃないですか?」

 

「威力だって起点の弾を増やせば簡単に伸ばせるんじゃないかしら。単純に量が増えるだけだし」

 

『スペルカードとしては地味な性能だけど、実用性は高いわね。本質はオプションとかの挙動に近いんだけど、増やしたり減らしたりできる分融通が効くわ』

 

「スペルカードって?」

 

「あー……必殺技のことです」

 

正直、自機狙い弾とかでもかなり変な単語だよね。単語の意味がまんまだからハーマイオニーさんは合わせてくれてるけど、こういう細かい部分に注意しないとなぁって。

 

『将来的には自分からも弾を同時に出せるようになりたいわね。練習しておくといいわ』

 

「それにはどんなメリットがあるんですか?」

 

ハーマイオニーさんにはイメージしにくいのかな?仕方ない気はするけど、それでも私がハーマイオニーさんに教えてあげられる機会ってあんまりないからちょっぴり嬉しいな。

 

「単純に弾が増えるというのは勿論なんですが、例えば角度が違う二つの弾が直線ルートで向かってきた場合、相手の回避ルートを一つ減らすことが出来るんです」

 

「二つが交差して迫ってきたときに、後ろに下がって回避すると自分の前にはまだ弾が残っているのでそれからの行動が不利になります。ということは横に動いて回避するのが正解になるんですが、当然この角度の違う弾の数が多いほど相手の回避ルートを縛ることが出来るってわけです」

 

『後はタイミングをずらしたりできるわね。設置型の弾から自機狙い弾が出切ったあたりで自分も打てば相手に向かっていく弾がある時間が伸びるわ。その間は回避を強いることが出来るし、後は相手の避け切ったあたりに追撃とか、とにかくバリエーションが増えるわ』

 

「ただ、言っても自機狙いなんで相手に上手く切り返しされるとそれまでなんですけどね」

 

「切り返しって……?」

 

「切り返しは……まぁ、切り返しです」

 

なんというか、いちいち説明するのも大変だし、ね。

 

『ところでこれ、スペル名はどうするのかしら?』

 

「あーどうしましょうか」

 

「ようは、この技の名前ってことよね。せっかくだし何かつけたい気はするわね」

 

「うーん……あんまりスペルって感じもしませんし、どっちかというと技なんで『術符』とかでどうですか?」

 

『まぁ、その辺は大妖精の感性に任せるわ。さすがにこれはあなたが決めなさい』

 

「それじゃあ、そうですねぇ……あー案外迷うなぁこれ」

 

「まぁ、なんだか知らないけれど、技名を考えてるんでしょう?」

 

「そうですね、意味はないけどカッコいいですから」

 

「特に決まらないなら、これで初めて倒した敵から頂くとかどうかしら?もちろんヨーセイが何か付けたい名前があるならそれ優先でいいと思うのだけれど」

 

「いえ、そういうのがあるわけではないんですよ……そうですね。初めて倒した敵から頂くのが良さそうですね」

 

「じゃあ、これの技名は『術符(仮)』ってことでとりあえず」

 

「それはそれで締まらないわね……でもまあ、これで晴れて完成ってわけね」

 

『実践までに何度か慣らしときなさいよ?ぶっつけ本番はやめた方がいいわ』

 

「そうですね。時間を見て適当に練習しておきます」

 

終わってみてふと気づくと、結構な時間が経っていたようで、もう太陽が傾いてきていた。

一応まじめな内容ではあったんだけど、それでも楽しい時間というものは本当にすぐ過ぎていくんだなぁなんて、何でもないことを考えながら城に戻るのでした。

 

 

 




はぁ……やっと出来た……

無尽蔵のスタミナを誰か私に下さい……


スペル名ですが、やっぱりバジリスクから取ることにしたんで、こうなってます。

なんか蛇眼がどうたらとかそんな感じになるんじゃないですかね、多分




もうだめです……疲れたんで寝ます

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