ハリーポッターと妖精の翼   作:ファルドゥン

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思ったよりも文字数が微妙だったために、投稿が遅れました。

なんかやたら詰まってますね


ではどうぞ


第十三話 石と試練

 

 

…思っていたよりも大変な事になってしまったなぁ。

只今私は泣きじゃくるハーマイオニーさんをなだめている最中でございます。

というのも、ハリーさんとハーマイオニーさんがノーバートを送り出した帰り道でフィルチさんに見つかってしまったようなのだ。

なんでも、受け渡し場所にマルフォイが先に来ていたけどマクゴナガル先生に見つかって罰則を受けるのを目撃し、それとドラゴンを送り出して厄介事が減ったことが重なった結果、いろいろな心配事が一気に無くなったことで気が緩んで不注意にも透明マントを被ることを忘れてしまったというのが事の顛末らしい。

またネビルさんも夜に歩き回っていたみたい。こっちは最初にハーマイオニーさんから聞いた時は急にネビルさんの話に飛んで訳が分からなかったんだけど、よくよく聞いてみるとハリーさんたちにマルフォイのことを伝えようと探し回っていたネビルさんも一緒に捕まってしまったということのようだ……ネビルってほんとにいい子なんだけど、微妙に残念だなって。

なんにしろ、その夜グリフィンドールは150点ものマイナスを受けてしまった訳で。

さすがにショックだったのか女子寮でなんとなく本を読んで夜更かしをしていた私を見たとたんに飛びついてきたってわけなのです。

ふむ……こんな時に思うのも変だけど、ねこっぽい可愛さがありますなぁ。

おーよしよし、怖くないからねー。

 

 

その日から三人はかなり厳しい態度を他の生徒から取られるようになってしまった。特にハリーは有名な分風当たりも強く、かなり大変な思いをしてるようだ。この前なんてスリザリンの生徒に「スリザリンの優勝、手伝ってくれてありがとよ!」なんて言われてたし。

その点ではハーマイオニーさんとネビルさんはハリーさんほど目立つ生徒でもなかった分まだましな方かもしれないけど、それでもほとんど周囲から話しかけられなくなった。

なんとかしてあげたいのはやまやまなんだけど、150点引かれた事実は変わらないわけで、その点では弁護のしようがないのもまた事実。何もせずに友達として接するのがよさそうだね。

時間が進んでテストが近づくごとにそのような嫌がらせのようななにかもなりを潜めていった…というか私たちにそれを気にする余裕が無くなってきたからなのだけどね。

ハーマイオニーさんが私を含めた三人の勉強スケジュールを作ってからは毎日が勉強尽くしだった。もう、なんというかしんどいのですわ。

実技系の魔法は中々に良好だし、今の課題は魔法史なんかの暗記科目だね。あの睡眠音声を紡ぎ続ける授業には結局最後まで慣れなかったよ…

 

 

そんな勉強漬けの毎日を過ごしていたある日、件の三人にマルフォイさんを加えた四人は処罰として禁じられた森に入らされた。

その森で色々あったみたいだけど、ハリーさんから聞いた話を大まかにかみ砕くと何者かがユニコーンを殺して、その血を啜っていたとのこと。ハリーさんが森で出会ったケンタウロスとの話の中で、恐らくそれが例のあの人だということが分かった。ユニコーンの血って言えば、確か命を生き長らえさせる力があったはずだからあの人はそれを使って命をつないでいるってことになる。ハリーさんはそのことについてかなり恐怖している…というか両親を殺されているわけだし当然だよね。

これらの情報から、恐らく『賢者の石』を狙っているのはスネイプ先生を使った、または操った例のあの人ということが分かってきた。こうなってくるとかなり事が重くなってくるのですけど…

 

 

「どうします?」

 

『うーん…難しい問題よね』

 

この手のことはとりあえずアリスさんに報告する。私一人で決めて動けるものでもないっぽいしね。

 

『ハリーの見聞きしたことが本当だとしたら、必ず石は守らないといけないわ』

 

「やっぱり相当に危ない人なんですか?」

 

『私はあったこともないからよく分からないけど、いろんな話を聞いてる分にはかなりの魔力を持っていたようね。一時期は魔法界の勢力としてもトップクラスの規模だったみたいよ』

 

「そうなんですか。実はあまり詳しくなくてよく分かってなかったです」

 

『…ホグワーツではこのあたりのことは学ばないのかしら?』

 

「授業としてはほとんど触れられませんね。まだ最近の出来事だからということもあるのでしょうが…」

 

『とにかく、石をこいつに渡すのは何としてでも阻止するべきよ。何が起こるか分かったもんじゃない』

 

「阻止するって言っても…そもそもフラッフィーをどうにかする手段がなさそうですけど」

 

『……フラッフィー?』

 

「あ、あのケルベロスのことです」

 

『…名前があったのね。まあ、ケルベロスを突破するのが難しいのは確かね』

 

 

 

結局警戒を強める程度しかやれることもなく…というか試験期間中は復習なんかで頭がいっぱいだった。

ハリーさんはかなり石を心配しているようだけど、それでも試験があるせいでそんなことを言う暇すらなかったね。

概ねいい感じにテストは解けたんだけど、最後の試験であるところの魔法史がやっぱりヤバかったね…

暗記は嫌いなのです。

 

「もう復習しなくてもいいんだ…」

 

「疲れましたね…こんなに頑張ったのは生まれて初めてですよ…」

 

妖精ってあまり努力とかっていう考えを持っていなかったりするのよねぇ。

 

「ハリーさんも、もっとこの開放感を噛みしめましょう?」

 

「テストが終わったのはたしかに嬉しい。でも…額の傷がこんなに長く痛むのは初めてなんだ。何か…重大なことを忘れている気がする」

 

「肩の力を抜きましょうよ。そもそもダンブルドア先生がいるホグワーツに簡単には侵入できませんし、フラッフィーだって元気に石を守ってるじゃないですか」

 

ハリーさんは何かを考えている様子……その次の瞬間一気に顔が青くなる。

 

「おかしいと思わないか?ドラゴンが欲しいと思っているハグリッドの前に、見ず知らずの人間が卵を持って現れるなんて話がうますぎる」

 

………あー

これはヤバいかもね。

 

「何が言いたいんだ?」

 

ハリーさんはイマイチよく分かってないロンさんを無視してハグリッドさんの小屋に向けて走り出した。

すぐ後を私たちも追う。

 

「ハグリッド!ノーバードの卵を持っていた人ってどんな人だった?」

 

「んあ?あー、マントを来ていたからよく分からんかったな」

 

…まだ、可能性はあるから。意外とハグリッドさんも大事なことは隠し事出来てるかもしれない…あんまり期待できないけど。

 

「その人とどんな話をしましたか?例えば…ホグワーツの事とか」

 

「うーん…なんせ酒の席だったからなぁ。わしが森番をしてるって話になって…そうだ、どんな生物を飼ってるかって話をしたんだ。で、いろいろ飼ってるけどやっぱりドラゴンを飼ってみたいって……そしたら、ドラゴンの卵をそいつが持ってたんだが、ちゃんと飼えないとくれないっていうんだよ。だから言ってやった、フラッフィーに比べたらドラゴンなんて楽なもんだってな。三頭犬だってなだめ方さえ知ってれば、簡単なんだ。音楽を聞かせてやればすぐねんねしちまうって…」

 

あびゃあ

これはイカンわ。

 

「しまった!この話は忘れてくれ…おーい、どこにいくんだ?」

 

 

「ハグリッドを酔わせてしまえば、聞き出すのは簡単だったに違いない。マントの人物はスネイプかヴォルデモートだったんだ…とにかくダンブルドアのところに行かなきゃ」

 

「ダンブルドア先生って普段どこにいるんだろ?」

 

「校長室にいるはずだけど…場所が分からないわ」

 

「…あのー。私、場所分かります」

 

「…なんで知ってるんだ?もしかして行ったことがあったりするのか?」

 

ロンさん、その質問は私にクリティカルヒットだよ。

 

 

質問は聞かなかったことにして校長室に向かう。

えーっと…ここからだったら……

 

「そこの四人、こんなところで何をしているの?」

 

ちょうどいいところにマクゴナガル先生だ。ついでだし、許可を頂こう。

 

「ダンブルドア先生にお目にかかることは出来ますか?」

 

「お目にかかる?理由は?」

 

ここからの対応はハリーさんに任せよう。事情はハリーさんの方が詳しいしね。

 

「…ちょっと秘密なんです」

 

え、秘密にするの?

なんかマクゴナガル先生の目線が冷たくなったじゃないの。

 

「ダンブルドア先生はついさっき魔法省からの呼びかけでロンドンに向かいました。ダンブルドア先生は大変ご多忙でいらっしゃいますから」

 

「でも…重大な事なんです!」

 

「魔法省の件よりも重大だというのですか?」

 

「実は…先生、『賢者の石』の事なのです……」

 

マクゴナガル先生が持っていた本が落ちる音がする。

さすがにこの話題は予想していなかったようだ。

 

「どうしてそれを…?」

 

「先生、僕は知っているんです。誰かが石を盗もうとしています」

 

「…ダンブルドア先生は明日お帰りになります。安心なさい、石の守りは盤石です」

 

「でも先生……」

 

「ポッター。二度同じことは言いませんよ」

 

落とした本を拾って先生は行ってしまった。

 

「…どうします?」

 

「…もう僕がいくしかない。スネイプより先に石を手に入れるんだ」

 

ほう

 

「ダメよ!退校になっちゃうわ!」

 

「だから何だっていうんだ!もし石が奪われたら、ヴォルデモートが戻ってくるんだ。そうなったらもうホグワーツどころの話じゃない。見つかってしまって退校になったところでダーズリーの家に帰って、そこにヴォルデモートが来るまで死ぬのが遅くなるだけだ!」

 

「…そうですね。ここで復活を止めない選択肢はないでしょう」

 

「僕は透明マントを使うよ」

 

「…でも四人全員は入れないんじゃないかな」

 

「全員って…君たちも行くつもりかい?」

 

「…ええ、行くわ。一人で行かせるなんて、そんなこと出来ないもの」

 

「今夜、談話室に集合しましょう。全員で行きますよ」

 

 

夜が降りてくる。皆が寝静まった頃に再度集合する。

 

「フラッフィーを眠らせるために笛を用意したんだけど…誰か吹けない?」

 

「私、吹けなくはないですよ。横笛ですね…多分大丈夫」

 

一度だけ人里で横笛を吹いたことがあるだけだけどね

 

「そう?じゃあお願いね。あとはどうやって四階まで見つからずに移動するか…」

 

「君たち、何してるの?」

 

…見つかっちゃったかぁ

ネビルさんが椅子の陰から現れた。

 

「また外に出るんだろ。出ちゃいけない、次に見つかったらグリフィンドールは大変な事になる!」

 

「そこをどけよ。バカはよせ…」

 

「もうこれ以上規則をやぶっちゃいけない!絶対に寮から出さないぞ!」

 

交渉は無理だね、これだと。

 

「ネビルさん、すみませんね。ペトリフィカス・トタルス!」

 

見る間に固まっていくネビルさん。

ホントにごめんね、うん。

 

 

 

『禁じられた廊下』までの隠し通路をひたすら進む。途中でどうしても出てしまう部分はマントを使うようにした。

 

「この壁を杖で叩けば扉が開きます。出たらすぐフラッフィーの前のはずです」

 

「ほんとに大手柄だね!なんでこんな道を知ってたんだ?」

 

「ロンさんの双子のお兄さんから聞いたんですよ?かなり前に一度だけ言っていたことを覚えていただけです」

 

嘘は言ってない。

 

「確かになぜかヨーセイと仲がいいよね。いつも喋ってるとかじゃないけどさ」

 

…案外感性が似てたりするんだよねぇ。

なんか、合うんだよ。

 

「とにかく今はフラッフィーです。入ってすぐに私が笛を吹きますんで、みなさんは部屋の奥の扉にすぐに飛び込んでください。私は皆さんが行ったことを確認してから後を追います」

 

「分かったわ。ヨーセイ」

 

杖でとんとんすると壁が開いて、目の前にフラッフィーが現れる。

うわぁ…すっげえ睨んでくる。笛…吹かなきゃね。

ぷぺー

 

「吹き続けてくれ」

 

ロンさんが念を押してくる。目配せで返して、進むように促す。

 

奥の扉にたどり着いた三人は少し相談してから穴の中に飛び込んでいった。

 

私も扉の元に慎重に向かう。

この感じだと飛び降りるしかなさそうだ。

うーん…仕方ない。私は()()()ゆっくり降りていくか。

鉢合わせすると不味いから少し時間をおいてからにしよう。

 

 

ゆっくりと下降していく。

どうやら、草が生えていた痕跡があるから、ここにハリーさんたちは着陸したんだろうね。

今は燃えて跡形もないから、飛んで降りるのは正解だった。

 

鳥が空を飛んでいる部屋に着いた…と思ったら鳥じゃなくて鍵が空を飛んでいた。

最初に突破した人はかなり大変だっただろうけど、飛び方がかなり怪しい鍵が一つだけあったから少しの格闘で鍵をゲットできた。元より空を飛ぶのは得意だしね。

 

扉を開けるとそこでは三人が大きなチェス盤の上で駒になってチェスをしていた…と思ったらロンさんが石の剣で殴られた!?

 

「大丈夫ですか!?」

 

「ヨーセイ、追いついたのか!…とにかく、今はロンのためにもチェスを終わらせる」

 

ハリーさんがチェックメイトをかけてチェスは終了する。

兎に角ロンさんが心配だ。

 

「……多分気絶しているだけですが、心配ですね…」

 

「大丈夫だよ」

 

ハリーさんは自分に言い聞かせるようだった。

 

次の扉を開けるとすでに突破された後だった。

どうやらトロールが守っていたようだけど、すでに息絶えていた。

トロールの足をまたいで次の扉へ急ぐ。

 

次の扉に入ったとたん、周りを炎で囲まれて閉じ込められた。

部屋の中央のテーブルの上にはただ8つの瓶と巻紙が置いてある。

巻紙をハーマイオニーさんが読むと

 

「すごいわ!これは魔法じゃなくて論理よ。答えは全てこの紙に書いてあるわ」

 

「解けますか?」

 

「大丈夫よ。えっと、三つは毒薬で二つはお酒、一つだけ先に進める薬で、残りの二つは安全に戻れる薬ね。ちょっとだけ待って」

 

この手のことは実際ハーマイオニーさんが賢い。

しばらくしたら考えがまとまったようだ。

 

「分かったわ。この瓶が先に進める薬よ」

 

「この量じゃ一人分しかありませんね…」

 

「聞いてくれ。二人は戻ってダンブルドアを呼びに行ってほしい。今は彼が必要なんだ」

 

「…戦力的に分が悪いと思います。私が先に行くべきです」

 

そもそも死なない私が行かなくてどうするんだって話だ。

 

「自信があるのかい?でも、こういうことは男がやるもんだ。それに、僕は一度は幸運だっただろう?。二度目だってそうかもしれない」

 

説得を試みたけど、ハリーさんは頑なだった。

 

「……仕方ないですね。絶対に無理は禁物ですよ」

 

「ハリー、あなたって偉大な魔法使いよ」

 

「幸運を祈っています。気を付けて」

 

二人で一気に帰る薬を飲み干す。

途端に体が冷える感覚を覚えたため、そのまま後ろの炎に突っ込む。

去り際に後ろを振り返るとハリーさんも薬を飲んだところだった。

…あぁ、頼むから生きて帰ってきてほしい。

 

 

すぐにハーマイオニーさんが手紙を送りに行く。私は気絶したロンさんを見張っていることになった。

 

そう遅くないときにダンブルドア先生がやってきた。

 

「先生!中でハリーさんが一人で何者かと対峙しています!」

 

「分かっておる。すぐに向かおう」

 

「…ハリーさんをよろしくお願いします」

 

「……君は闇に走らんかったようじゃな」

 

「?」

 

「いや、よい。では急ぐのでな」

 

そういうなり、すごい速さで部屋に突っ込んでいく。

私はただチェス盤に腰かけて、ロンさんが起きるのをひたすら待っていた。

 

 




そんな13話でした。


一応ほとんど賢者の石は書ききりましたね
冒頭でも書きましたが、今回はいつもと比べるとかなり文字数が膨らんでます
でも切れる部分があったわけでも無かったため致し方ないですね



今回スネイプ先生の薬の数が一つ増えていますが、三人以上で来た場合だれか一人が帰れなくなるというのも変な話なんで、戻ることが出来る薬の数でバランスを取る魔法でもあるんじゃないかという想像です



感想、ご意見、評価も含めて色々待っています!
どんな小さなことでも構いません!


では今回はこの辺で
次回で賢者の石は終われる予定です

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