高校でも暗殺教室   作:紅音 葵

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前回の最後と少々(ほんとに少し)繋がってます。


第52話 テスト前の時間

テスト1週間前。

ある人物が理事長室を訪れていた。

 

「随分久しぶりだね。君もここに入るのは小学生以来じゃないか?」

「んー…そーかもね。理事長センセ?」

「で…なんの用だ?君だって意味もなくここに来るほど暇ではないだろう?」

「そりゃそうでしょ。仮にもテスト前だし。でも…つい最近すごい大事なこと思い出してさ」

「……というと?」

「ちょっと理事長センセーに見せて欲しいものがあってね。それで」

「他出厳禁のものじゃなければいいよ」

「いや、簡単だよ?」

 

そう言って、その人物は……『見せて欲しいもの』の正体を打ち明けた…

 

__________________________________________

 

「で……カルマはさっきからなにを見てんの?」

 

4時間目が終わった昼休み。

渚はカルマに尋ねた。

 

そう聞いた渚にカルマは、

「ん?これ?」

「そうそう。休み時間の度に見てたから…」

「あー…これ今朝理事長センセーからもらったやつなんだよね」

 

見る?というカルマの言葉に、渚は「え?いいの?」と答える。

 

「いーよ。どーせ後でみんなに見せるつもりだったし」

 

そう言って渡された紙を見た。

と、目に飛び込んできたのは…

 

 

1:赤羽 業(500)

2:柊 佳奈(495)

3:磯貝 悠馬(487)

 

それを見た渚は、静かに紙を裏返した。

 

そして…

「………一つ聞いてもいい?」

「ん?いいよ?」

「なんでこんなの持ってるの!?」

「だから今朝理事長センセーからもらった」

「……なんで?」

「頼んだから」

「簡単に貰えるもんなの!?こういうの!!?」

「こっちはちゃんとした理由あるし?理事長も『てっきり担任がそう言ってくると思ってた』って言ってたし」

「………やっぱりここの理事長先生って………なんていうか………すごいね」

「あれっ?今更?」

「いや……改めてすごいなって思った……うん…すごい」

「そんなのわかってることじゃん?ねぇ、佳奈?」

「なんでそこで私に振る!?」

 

ちょうど茅野・奥田・神崎と話していた柊は、思わずカルマに突っ込んだ。

それをカルマは完全に無視し、

「佳奈も見なよ」

「あ……うん。ありがと…」

 

そして柊も、渡された紙を見る。

しばらくじっと見た後、渚同様持っていたそれを裏返す。

 

そして第一声

「うん…………海野すごいね」

「うん。俺も思った」

「あの理事長のことだし、渚みたいに『どうやって手に入れたか』は聞かないけど……とりあえずかなり『予定』とは違ってた、ってわかった」

「俺も前将暉に聞いて思い出した」

 

勘の鋭い方はわかったであろう。

彼らが見ていたのは………

 

 

「まぁいいじゃんか。この学年だけ異常なんだって。学力別でのクラス分けじゃないし。そのための資料?みたいなのなんだよ。入試順位表(これ)は。」

「そもそもそんなのがあったことにびっくりなんだけど…僕は」

「……右に同じく」

「そりゃなかったらクラス分けできないじゃん。いつもならクラス分けした後はシュレッダーにかけるみたいだけど…」

「殺せんせーの件があったから残しておいた……と?」

「そーそー」

「なるほど…だから私が行ってもそれをいただけなかったわけですか」

「ふーん……って殺せんせー!?」

 

そんな殺せんせーに、カルマが

「やっぱり殺せんせーも行ったんだ。理事長センセーのとこ」

「そりゃ行きますよ。このクラスの担任ですし、当たり前でしょう?」

 

だから、とつぶやき、

「預かっておきますね。放課後に()()()()()()()で皆さんにも渡しますので」

「…なにが『だから』なんだか………」

 

まぁいいけど、と言いながら、カルマはそれ──入試順位表を殺せんせーに渡した。

 

__________________________________________

 

そして放課後。

 

「ではみなさん。帰る前に少し配りものがあります」

 

この学校、このクラスでは昼休みに教室にいる人間は極わずか。

理由は単純に食堂利用率が高いからで…

 

だから昼休みにカルマたちが入試順位表の話をしていたのを知っているのも、いつものメンツである。

だからほとんどの人はそれと初対面なわけで…

 

配られた瞬間、教室の空気は一瞬…ほんの一瞬だけ止まった。

そして前原が一言

「殺せんせー…なんでこんなもん持ってんだ…?」

「あれ、デジャヴ」

「お前かよ!」

 

 

そして順位は…

〈前略〉

4:海野 弘樹(486)

5:中村 莉桜(483)

6:竹林 考太郎(479)

95:近衛 野々(253)

96:寺坂 竜馬(240)

97:廣瀬 晴人(246)

 

 

……まぁ、何が言いたいかと言われれば…

「寺坂って本トバカだよね〜」

「っせぇ!!!」

 

しかしここで疑問。

「……薄々思ってたけど…ここって100人合格できるんじゃあ…?」

「…一応ここ私立だからさ『だいたい100になるように』してるんだろ…」

 

そんな磯貝の言葉に、全員が「なるほど」と納得する。

 

「で、みんな忘れているかもですが!」

 

ここで殺せんせーが口を開く。

「この学校、()()()クラス分けが成績順なんですよ!」

 

そんな殺せんせーの言葉に、全員の動きがピタッと止まった。

そして中村が、

「えっと…じゃあさ、C組(このくみ)って建前上、上位狙わなきゃまじでバレるの時間の問題…?」

「いや?そうでもないみたいだよ。合格したあとに気を抜いて順位がガタ落ちってのもあるみたいだし」

「ま、真ん中より上だったらセーフでしょ」

「なるほどね……要は………

 

 

 

 

最低でも全員50位以内……か」

 

そんな前原の言葉に、全員が顔を見合わせる。

 

そして…

「椚ヶ丘の時よりずっとむずくね…?」

「なんせ…ビリ2に寺坂がなぁ…」

「やっぱり……寺坂がね…」

「俺かよ!!!」

 

大事なことなので何回も言おう。

寺坂はぶっちゃけ梅宮高校に受かって進学した人の中ではほぼ最下位。

 

そして忘れている人もいるかもしれないが、梅宮高校は椚ヶ丘のと比べて遜色ない学校であり……

 

 

 

生徒の人数は、椚ヶ丘の半分以下である。




待っててくださって皆さん、ほんとにありがとうございます!

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