高校でも暗殺教室   作:紅音 葵

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遅くなって………すみませんでしたぁぁぁぁぁぁ!!!(土下座)

書いてて気づいたんですが……最近渚出てきてないな………


第50話 入部の時間 4時間目

「ねぇ、前原。これって絶対に脅迫だよね?」

「でもこうでもしないと来ねーだろ。お前は。

ま、俺への脅迫写真がなかったのが運の尽きだな」

 

絶対に磯貝から黒歴史聞いてやろ…とかいう物騒な言葉は聞こえなかったということで。

 

ちなみに前原に写真で脅されたカルマは今…

 

サッカー部部室で着替えていた。

 

既に入部した前原は普通に体操服で、カルマは先輩の体操服を借りて着替えている状況である。

 

「しっかしさぁ…ほんと先輩って器大きいわ!ここまで無理難題言っても協力してくれるしな〜どっかのタコとは大違い!!」

「本っト『無駄に』器大きいよね〜」

 

『無駄に』と部分をかなり強調させて言ったカルマは、

「で、なんの勝負?大事なとこ聞かされてないんだけど?」

 

…そう。まだカルマには『サッカーの勝負』としか言ってない。

 

(勝負の中身言ったら…あいつ写真で脅しても逃げるだろーしな…)

しかし、流石に限界だろう。

質問されたからには答えなきゃな…と思い、

 

「ん〜?PK戦」

「…………………は?」

 

前原の言葉に、カルマは思わずそんな声をあげた。

そんなカルマに前原は「なんだよ?」と聞く。

 

そんな前原の言葉にカルマは

「前原さ…今朝の俺の言葉忘れたの?」

「覚えてるぞ?確か『俺ボールを入れれないから』だっけ?」

「だったらなんでかな?」

 

そう言いながらため息をつくカルマの顔にはいらだちが見える。

しかし前原はそんなことはお構い無しに、

「カルマさ、なんでまだ部活に入んねーの?」

「………は?」

「フツーここまで勧誘されたら形だけでもほかの部活に逃げるだろ。本当にサッカーしたくないならなおさら」

「しつこく勧誘し始めてから俺のこと逃がそうとしないのそっちじゃん。昨日も今日もこーやって放課後まで時間使ってさぁ」

「今日は強制だったから分かる。でも昨日は…」

「前原はさ…結局何言いたいわけ?」

 

そう言って頭を抑えるカルマに前原は

「カルマ……

 

 

本当はサッカーしたいんだろ?」

 

思っていたよりも鋭く出たその言葉がカルマに届いた。

その言葉で、部室の空気が一瞬凍った………気がした。

 

まずかったか…?

 

質問してから2.3秒後。

カルマは大きなため息をつく。

 

そして前原の方へと歩きながら、

「…分かった。要は勝負受ければいいんでしょ?じゃ、俺先行って練習でもしとくから」

「…は…?カルマ…?」

 

そう言って、カルマは部室を出て行った。

カルマの、ありがたく意外で……しかし冷たい響きを持った言葉に、前原は妙な胸騒ぎを覚えた…。

 

__________________________________________

 

 

前原が部室を出た時、

「前原〜!」

 

その言葉に前原は振り向く。

そこにいたのは…

 

「…なんだ。柊か」

「なんだとはひっどい言い草」

「えーと…で、そこで大丈夫か?」

「んー…ちょっと見えにくいかも。でもいいや。もしかしたら中にも入ると思うし」

 

そんな柊の言葉に「そうか」と答える。

 

 

 

一方カルマは、宣言通りPKの練習をしていた。

まだキーパーはいないが…遠目で見てもカルマのボールが入っているのは明らかだった。

 

そんなカルマを見て前原は、

「…別にふつーに入ってるじゃんか」

「そりゃあの状態で入らなかったら私カルマのサッカーセンス疑うよ。キーパーいないし、何よりリラックスした状態じゃん?」

「んー?…そんなもんか?」

「やぁ、そーでしょ。前原だって本命相手だったら緊張してチキンになるんじゃないの?」

「いや、俺好きになった子基本みんな本命だけど?」

「……そーゆーとこじゃないのかなぁ……」

 

柊の言葉に、前原は頭に?を浮かべつつも、完全にスルー一手に走った。

 

と、そこに

「おーい前原!準備できたんなら早くこっちに来いよー!!」

柊と話していた前原に、和泉先輩からそんな言葉が飛んだ。

 

はーい、と返事をして、前原は柊に振り返る。

「じゃ、ちょっと行ってくるわ」

「んーいってらっしゃい」

 

そう言って走り去った前原を、柊は黙って見ていた。

 

__________________________________________

 

「んー、じゃあ勝負の中身は…っと」

 

ルールはかんたんである。

10回蹴り、より多くのゴールを決めた人の勝ち。

 

「で、勝った方にはなんかあんのか?」

「……負けた人間に一つ命令が言える…とか?」

「よし、採用」

「………え゛」

 

まじかよ…とつぶやく前原を、その場にいた全員(主に先輩)がスルーした。

 

「よし、じゃあ始めるか。どっちが先攻?」

「…カルマで」

「え?俺?」

 

ま、いいけどさ。とつぶやき、カルマはペナルティーマークについた。

 

そして前原はベンチで順番を待つ。

 

すると、

「やっほ、前原」

「柊。そこからは見えるか?」

「見える見える。少なくともPK見るには十分」

「そっか…」

 

でも…と前原はぼやく。

「これでほんとにカルマはトラウマ治るんだよな…?」

「そんなのやってみなきゃわかんないって」

「…そこはそうなんだ!」

「そうだよ。はっきり言って私が考えれる限界だしさ。この方法が」

「なるほど…だからカルマ君と前原君がサッカー勝負ですか。これは結果が楽しみですねぇ」

「真剣にやってんのにそーゆーのは………ってなんでいるんだよ!!!」

 

すごくナチュラルに会話に入ってきたのは、かつらを被り、スーツを着た殺せんせーである。

前原の言葉に、「ちょっと耳に挟んだので」と答える。

 

「…つうか来るんならちゃんと変装しろって………なんのコスプレ?」

「烏間先生です」

「クオリティひっっっく!!!」

「相も変わらずひっっくい再現度だな!!!普通にバレてるから!!!」

「まさかぁ、大丈夫ですよ。ちゃんと溶け込んでますし」

 

いや、バレてっから!という言葉は飲み込む。

殺せんせーよ…向こうで先輩達がひそひそ話してんだよ。こっちをむいて。

 

 

「それは置いといて…カルマ君は随分らしくないですねぇ。彼もあんなに緊張するんですね」

 

そんな殺せんせーの言葉に、前原は首を傾げる。

「へ?別にいつも通りじゃね?」

「いいえ。いつもにもなく緊張してますよ?柊さんならわかると思いますが」

 

そんな殺せんせーの言葉に、柊は黙って頷く。

「やっぱり最後があれだからさ。嫌な記憶ほど残りやすいって言うし…」

「…まぁ、それだけなら簡単でしょう。

 

本当にそれだけならねぇ」

 

そんな殺せんせーの言葉に、前原は首を傾げる。

一方の柊も、ほぼ表情に変化は見られない。

 

………なんだよ……変なの…

 

そう思いつつ、前原はカルマの方へと視線を移す。

 

カルマはボールを受け取り、額を拭っていた。

 

……なんだろう……

 

違和感を感じる。

 

 

 

そのままカルマは、流れるようにボールを蹴る。

 

 

そして結果は……

「あ…外した」

 

サッカー経験者でなくても分かるくらいにボールを外していた。

 

「…カルマの言ってたことはこれか…」

「そーだねー」

 

そんなこちらの会話はいざ知らず、カルマはキーパーからボールを受け取り、息をついた……ように見えた。

 

 

……やっぱり…なにかがおかしい…?

 

 

 

 

 

 

 

 

と、その時

「タイム!!!」

 

コート中にそんな言葉が響いた。

その言葉を発したのは…前原の後ろから。

 

3年の先輩がその声の主…柊に歩み寄り、

「なんだ?関係ないだろ?ちょっと口を挟むのは…」

「関係あります。カルマと話をさせてください」

「いや、でもね…」

「……ふぅん……

 

 

 

 

私が行ったらカルマがサッカー部(ここ)入る確率上がるかもなのに?」

 

最後の柊の言葉は、前原や先輩に聞こえるのがギリッギリの大きさだった。

だからカルマには多分聞こえてないだろう。

 

そんな柊の言葉に、その先輩はグッと言葉を詰まらせた。

 

そのまま柊は「じゃ」と言って、カルマの方へと走っていった。

 

そんな中、

「…なぁ殺せんせー。先生ってどこまで知ってんだ?」

「カルマ君がサッカーの大会でPKを外した…というところまでです。先生も聞いていたので」

「ふーん………っていたのかよ!!!」

 

なんのことでしょう?とすっとぼける殺せんせーを見て、前原は深くため息をつく。

そんな前原の様子を知ってか知らずか、殺せんせーの方は、

「でも、あの役は柊さんが適任でしょう。なぜカルマ君がその時ゴールを外したかを知ってるみたいですし。

なんでカルマ君がゴールを入れれなくなったかまでは先生もわからないので」

「別に……今でも外した時のことがフラッシュバックするからじゃねぇの?重要な大会だったみたいだし」

「もう一つ可能性はありますよ。むしろ先生はそっちの可能性ではないかと考えていますし」

 

そっちってなんだよ…と思ったが、それは胸に留めておく。

「しっかしあいつら…いつまで話してんだろ?」

「ニュ?…というと?」

「だってアドバイスくらいなら、ちょっと言ってすぐに帰ってこれんだろ。随分とまぁ時間かかんなぁ…と思って」

「まぁ、いいじゃないですか。ちゃんと2人で話し合うことも大切ですよ?」

「どっからどー見てもケンカだけどな!」

 

そう…殺せんせーと前原の2人が話している間、カルマと柊の2人は(声を張り上げてこそないものの)明らかに険悪な雰囲気に包まれていた。

 

まぁ…多分内容は…

「なんで俺に言ったのか……だろーな…」

「でしょうねぇ」

 

 

すると次の瞬間、

 

 

柊はカルマのシャツの襟を引っ張り、

「カルマ……

 

 

()()()()()()()こと!わかった?」

 

そんな柊の言葉に、カルマの表情が少し変わった……ように見える。

 

そんなカルマの変化を見てか、柊はカルマから背を向けて戻ってきた。

 

 

…なんだ今のは…

 

そう考えていた前原に、

「…前原君」

「ん?何?」

「……残念でしたね…」

「…は?」

 

と、その時。

「よっし、入ったー」

 

…………ん?

 

そんな柊の言葉に、前原は急いで殺せんせーからカルマの方へと視線を変える。

 

 

見えたのは…小さくガッツポーズをとるカルマの姿だった。

 

__________________________________________

 

「何が『俺はゴール入らない』だよ!思っきり入ってたじゃねぇか!!!」

「ごめんって〜おれもまさか勝つなんて思ってなかったし」

「っうか柊のあれなんなんだよ!あそこまで変わるなんかがあったってことか!!?」

「んー?さぁ?」

 

その通り。

このPK勝負はカルマが勝利を収めた。

 

でも、とカルマは続ける。

「前原もそんな大した被害ないでしょ?」

「あるわ!!」

 

まぁ…そのことで、前原の死亡フラグはより濃厚になったのだが…

 

「でもさぁ、あれ考えたの前原じゃん?自業自得。」

「俺もそれが採用されるとか考えてなかったんだよ!!!」

「ま、いいけどね。()()()のためにとっとくから」

「嫌な予感しかしねぇ……」

 

そう言いながら、2人は部室をあとにする。

 

 

と、そこには柊と殺せんせーが立っていた。

 

「げ……………殺せんせーいたんだ」

「ずっといましたよぉ。前原君に順番変わってからは場所変えましたが」

 

なにそれ…とため息をつくカルマに、殺せんせーが語りかける。

「カルマ君は後悔していますか?今日サッカーの勝負を受けたことを」

「ん?…別に…?」

「そうでしょう?

君は今日、何年も持っていたトラウマを克服できたんですから」

 

そう言って殺せんせーは、カルマの頭にポンッと触手を置く。

 

「1度失敗してもいい。それがトラウマになってもいい。

大事なのは、それを乗り越える力です。

 

骨は折れたら、前よりも強くなります。

それと同じく……失敗やトラウマを乗り越えれば、前よりもずっと強くなれるんです」

 

そう言う殺せんせーに、カルマは

「…ようは今回もせんせーの授業だったってわけ」

「ヌルフフフ。当たり前ですよ。こんな絶好の機会ですから」

 

それを聞いたカルマは、先ほど殺せんせーが触手を乗せたところに手を置いた。

 

 

 

 

 

「さてカルマ君。何か忘れてることがありませんか?」

 

そんな唐突な殺せんせーの言葉にカルマは、

「…ん?なに?」

「簡単な話です。野外活動が終わってから1週間経過しました。そろそろ勧誘期間も終わりです」

 

そう言って殺せんせーはある紙を見せ、

入部届け(これ)の提出…

 

 

明日の朝までですよ?」

 

ちなみにカルマ君以外全員が提出を終えています、という殺せんせーの言葉に、カルマは

「…ここで決めろと?」

「まぁ、そういうことです」

 

そう言われたカルマは、しばらく殺せんせーの持つ紙を見ていた。

そして…

 

「…殺せんせー、それと何か書けるやつちょーだい」

「ええ、どうぞ?」

 

そう言って殺せんせーはカルマにペンを渡す。

 

カルマは入部届けに文字をさらさらと綴り、

「はい。これでいい?」

 

入部届けを受け取った殺せんせーは、

「ほう…カルマ君はサッカー部に入るんですか?」

「んー?まぁ」

「ですが…なぜでしょうか?あれほど言っていたのに」

 

いつも見たくニヤニヤしながら言う殺せんせーに

「ぶっちゃけ断る理由もなくなったしね〜」

 

それに、とカルマは続ける。

「こんなしつこい勧誘がこれから来られても困るし。だったら最初からここに入るよ」

 

そんなカルマの言葉に、前原と柊はホッとした表情ん浮かべる。

一方の殺せんせーも、うんうん、と静かに頷いた。

 

 

 

「じゃあさぁみんな。帰りに将暉ん家来なよ。なんか奢るから」

「え!ほんとに!?行く行く!」

 

そう言って、カルマは手に持っている財布をポンポンと上に投げる。

一方の殺せんせーは、カルマの持ってる財布に妙なデジャブを感じて…

 

「…ニュァァァァァ!?そ…それ!先生の財布!!!」

「ん?…ああ!落ちてたからいいかなぁと思って」

「嘘いいなさい!ずっと服の中に入れていたのに!!」

「え?じゃあ返して欲しい?」

「当たり前です!」

「んー、じゃあどーぞ」

 

そう言ってカルマは殺せんせーに財布を投げる。

それを受け取った殺せんせーは、真っ先に中身を確認しようとし…

「…あの…カルマ君?」

「ん?なに?」

「その……中身が抜かれてるんですが…」

「ああ!はした金だと思って募金しちゃった〜」

「ニュア!この不良慈善者!」

「てかさ、そうでなくてもあのお金の量はまずいでしょ」

「仕方ないでしょう!!?月末なんですから!!!」

 

そんなカルマと殺せんせーのやり取りを見て、

「前原〜」

柊は前原に手を掲げる。

 

そして、

「…おう!」

 

パチン!と2人はハイタッチを交わした。




カルマサッカー部入部!

ほかのキャラが何部に入ったかはおいおいどっかで書きたいと思います。

ちなみに、明日か明後日にオリジナルを投稿しようと考えています!
興味がある方はぜひ!!!

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