高校でも暗殺教室   作:紅音 葵

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来週、『暗殺教室 365日の時間』が公開ですね!
ちなみに紅音は公開日翌日に見に行きます!(つまりはぴったり1週間後)
だから…おそらく土曜日はKJK垢は作動しないかな…?



第48話 入部の時間 2時間目

「あれ?赤羽?」

そう言ったのは、1年先輩の和泉だった。

 

 

そんな沈黙を破ったのは―先輩の言葉。

「やっぱり赤羽じゃねーか!え?なんだ?入ってくれるのか?」

 

そう言って、満面の笑みを浮かべる部長に、前原が(ほぼ無意識に)

 

「え?なんで?」

と尋ねる。

 

そんな前原の言葉に、

「なんでって!こいつ小学生の時、スゲェやつだったんだぞ!

最近あまり見なかったけど、まだ続けてんだろ?」

 

そう言って、興奮している和泉に、カルマが言う。

「いや、昔の話だからさ。正直今はやってないんだよね。

 

あっ。俺バイトあるからそろそろ」

「えー?そうなのか?」

 

また来いよ〜とカルマを見送る和泉に、前原が尋ねる。

 

「ええと…?カルマと知り合いなんすか?」

「んー?そうだな!小学校の頃に少年サッカーで一緒だったしな!」

「…どんな感じで……?」

「いや、あいつすげーんだぞ?

どんなにマークされてても抜くし、何よりもシュート率はチームの中でもダントツだったしな!」

 

だからさ、と前置きし、

「な!前原!頼んだ!」

 

そう言って前原の肩を叩いた。

__________________________________________

 

次の日、前原はカルマの部屋の前にいた。

ちなみにただいまの時刻は6:00。

律に確認したところ、(当たり前だが)カルマは部屋にいる。

 

(部長は『意地でも、入るように説得しろ』って言ってたけど…なんか腑に落ちないんだよなー…)

 

前原も、昨日の晩ずっと考えていた。

なんでカルマはあんなにもサッカー部に入るのを拒むのか…?

 

はっきり言ってE組時代にも「暗殺サッカー」なるものはやっていた。もちろんカルマも参加していた記憶がある。

その時カルマは嫌々やってたか…?

 

そんなわけがない。

 

カルマの性格上()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

だったらなぜ?

一瞬出たのが『あのサッカー部に嫌な奴がいる』

しかしそんな考えはすぐに消された。

 

(もしそうだとしても…中学のサッカー部には入ってるはずだよな…椚ヶ丘のサッカー部つてフツーに強かったし…)

 

それに…カルマの言うことが本当なら、椚ヶ丘にカルマの小学校までの知り合いはいないはずだ。

そう考えると、当然のことながら中学のサッカー部に嫌な奴がいたことはないだろう。

 

だったら………小6から中学入るまでになんかあった……?

 

ここで前原の思考はストップしたのだ。

 

わからないから本人に聞こう。というかなり安直な考えだが……正直これしか方法がないのだ。

 

(カルマのことだし……口を割ってくれたらいいけどなぁ…)

 

そう思いつつ、前原は部屋のインターホンを押す。

 

少し間が空いてドアが開いた。

「ん〜?だ…れ?」

 

制服姿(いつものカーディガンはまだ着てない)で出てきたことから察するに、着替え中だったか…

 

(…なんか間が悪い時に来た感じ?)と思いつつ、前原は「よっ」と手をあげた。

 

…1,2秒の沈黙の後、カルマは何事も無かったかのようにドアを閉めようとした。

その動きをあらかた予想していた前原は、全力で阻止する。

 

「待とうか、カルマ?」

「…そっちこそドア壊れるからやめてくんない?」

「いや?ちょっと話があってさ」

「俺はない」

「俺はあるんだよ!とりあえず話したいから中入れてくんね?」

「新聞などの勧誘はお引き取り願いまーす」

「勧誘じゃねぇから!!」

 

その前原の言葉に、カルマのドアにかけてた力が弱まった。

 

そして…

「…じゃあ何の用?」

「…カルマに質問があるから」

「『なんでサッカー部入りたくないんだ?』以外でね」

「…わかってるのかよ…」

 

そりゃね、と呟くカルマに前原は続ける。

「でも…教えてくれないと納得いかねーんだよ。なんでカルマがそんなにサッカー部入りたくないのか」

「…簡単な話だよ。サッカーが楽しくなくなったからで」

「でも暗殺サッカーはしてた」

「それは殺せんせーがいたから」

「はっきり言って

 

 

そんなので殺せんせー殺せるなんて…1ミリも思ってないだろ?」

 

そんな前原の言葉に、カルマは黙った。

数秒の沈黙のあと、カルマは言葉を発する。

 

「じゃあもし前原が監督だとして…

 

 

()()()()()()()()()()()()()()?」

「…は?」

 

どうゆうことだ?という表情を浮かべる前原に、カルマは言葉を続ける。

 

「いらないよねそんな選手。だから俺はサッカーをやらない。

合理的でしょ?」

 

そう言って、カルマは悪びれもなく笑った。

 

 

__________________________________________

 

「なるほどね…だから私のところに泣きついてきたんだ」

「泣きついてきたんじゃない。カルマにできなかった質問の延長だ」

 

朝ごはんを食べるために賑わう寮の食堂。

そこで前原は…

 

 

柊と話をしていた。

 

「前原の話をまとめると、『なんでカルマはそんなことを言うんだ?根拠はあるのか?』ってところでしょ?」

「そーだよ。お前ならわかるだろ」

「わかるけどさぁ…カルマが言いたくないこと、私が言ったらダメでしょ」

「正論言ってる場合じゃねーんだよ!!」

「…前原、声が大きい…」

 

そんな柊の言葉に、前原はハッとして周りを見た。

…前原の大きい声に、こちらの方を見ている人がほとんどだった…

 

そんな様子を見て、前原は小声でカルマに話しかけた。

「で、なんでカルマはサッカーやめたんだよ?」

「…前原が聞いたら『なんだそんなこと』って言うよ。絶対に」

「…逆に『なんだそんなこと』レベルの話なのかよ…」

「それは違うよ?でも()()()()()()()()()()()

「いや…なにそれ?」

「それに、カルマがサッカーやめたの……

 

 

私のせいでもあるからさ」

「は………………………?」

 

意味わかんね…という表情を浮かべる前原に、柊が言う。

 

「言っとくけどカルマだって人間なんだからさ、嫌なことも辛いこともあるんだよ?」

 

カルマはあんまり表に出さないけどね〜、と呟く柊に前原が言う。

「…それはわかるけどさぁ…やっぱりどーしても納得できねぇんだよな…元々いい選手なんだろ?それを『俺はボールをゴールに入れれないから』で諦めんのもなぁ…って思うし」

 

何よりも、と前原は続ける。

「あいつ…絶対にサッカーやりたいと思うんだよな。少なくとも暗殺サッカーは楽しそうにしてたし…」

 

そんな前原の言葉に、柊は黙ってお茶を飲んだ。

朝ごはんを食べ終えたらしい。

 

お茶を飲み終え、柊は少し息をついた。

そして……

「ねぇ、前原。今何時?」

 

そんな柊の突拍子のない言葉に、前原は目を点にした。

そんな前原に、柊は「ほら、早く」と催促する。

 

「ええと…6時半…だけど?」

「…だったら間に合うよね?」

「いや、何に!?」

「だから前原…声大きいって…」

 

そんな柊の言葉に、前原は小声で喋る。

「で…何に間に合うんだよ…?」

「…授業始まるのって、8時半からだよね?」

「ん?…そうだっけ?」

「で、校門が閉まるのが8時20分。(ここ)から学校までが大体15分」

「…ええと?」

「つまり…遅くて8時くらいにここ出たらいいってことか…」

 

そこまで言って、柊はこう言った。

「前原、場所変えよう。ここだったら他に聞いちゃう人いるかもだしさ」

「へ?どこに?」

「学校行く用意全部持って、7時までに寮の裏集合!」

「はぁ、うん…了解?」

 

そう言って、柊はそそくさと片付けをして、食堂を立ち去った。

残された前原は……柊の言った言葉の意味がようやくわかり、急いで残っているご飯を口にかけ込んだ。

 

__________________________________________

 

そしてそれから20分後。

 

「…早く来たね。前原」

「ほとんど準備は終わってたしな」

「なんで私が前原のことをここに呼んだのかは、分かってるよね?」

「もちろん分かってる。

だから………………

 

 

 

 

こんな茶番の前に、さっさと教えろ!!!」

 

早々に茶番に突入しかけていたのを察した前原は、即座にツッコミを入れる。

 

そんな前原のツッコミを軽く聞き流し、柊は近くの壁に腰掛ける。

 

そして柊は一息をつき、こう尋ねた。

「前原が知りたいのって、カルマがなんであそこまでサッカーをするのを嫌うかだよね?」

「…というか、カルマの言葉の根拠な」

「りょーかい。じゃあ前原は今から三つのことを約束して」

「…おう」

「まず一つ目は…他言厳禁。絶対に誰にもこの話はしないって誓って」

 

そんな柊の言葉に、前原は(なんでだろう…)と疑問を覚えたが、反射で「うん」と言う。

 

柊は続ける。

「次は、この話でカルマを攻めない、カルマの弱みを握るようなことをしない」

「OK、わかった」

「最後に三つ目は…

 

 

 

 

これから私の言うことは、なんでも必ず実行すること」

「うん、りょーか…………は?」

 

頷きかけて、思わずとどまった。

 

 

今優位にたっているのは、紛れもなく柊だ。

頷いたら間違いなく死亡フラグだが…

 

(………仕方ないか…柊に聞くしか方法ねぇし…)

 

そう思い、前原は思い口を開けた。

 

「…わかった。なんでも言うこと聞く…でもせめて1個にしてくんね?」

 

そんな前原の訴えに、柊は少し黙った後にため息をついた。

(やっぱダメか…?)

と思った時

 

「………仕方ないな…いいよ。

じゃあ1個だけ私の言うことを実行する…で」

 

そう言って、柊は前原に向き合う。

 

 

 

 

「じゃあ…言うよ。

 

 

あれは小5の秋…




続きは次回ですね。
佳奈の誕生日が着々と近づいてきてますね…。
それまでに新キャラ登場させる予定だけど……間に合うかな……?

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