近々みんな野外活動に行くので、その前振りと思っていただければ…
寺坂「おい!作者‼︎お前俺に何させるんだよ‼︎」
KJK「君はある程度雑に扱っても許される気がしたから」
柊「作者さん…ひどい…」
KJK「うん…。なんかごめん」
寺坂「俺と柊との扱いの差な‼︎」
高校の授業が始まってから程なくして、殺せんせーが渚たちに告げた。
「皆さん!今日は調理実習をしましょう‼︎」
………………金欠なのね、殺せんせー。
当たり前っちゃ当たり前だろう。だってこの学校でまだ給料もらってないはずだし。
ぶっちゃけE組の頃にはよくあった光景だから、もはや誰も突っ込まない。
そんなことを言う殺せんせーに、カルマが質問した。
「殺せんせー。ちょっと質問〜」
「?なんですか?」
「調理実習の班ってさ、俺らで決めれるよね?」
「ええ、もちろんいいですよ」
「ん、りょーかい。じゃあ…」
そう言ってカルマは柊の方を向き、
「佳奈は俺らと同じ班ね〜」
「?うん。わかった」
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「ではみなさん。それぞれ役割を決めて調理してください」
そんなわけで、調理実習が始まったのだが…
「今回は俺が指揮とっていい?」
「えぇ…カルマ?」
普段こういうことでは完全にサボりを決め込んでいるカルマが指揮を執るって…
なんで?
しかしそんな考えを吹っ切るように、茅野が口を開いた。
「いいよ!全然‼︎ていうかむしろカルマ君が指揮とって‼︎」
「え…?茅野まで?」
…この二人の会話のわけは、これから比較的すぐにわかることになる。
結局カルマが指揮を執ることになったのだが…
「渚と奥田さんは野菜を切って。で、杉野と俺がこっちの火見るから、茅野ちゃんと神崎さんはそっち見といて」
「「「了解〜!」」」
だが…
「ねぇ、カルマ。私は?」
そんな柊の言葉に、カルマは、
「え…と…佳奈は…
できるまでそこでなにもせずに座ってて」
「ひどくない⁉︎」
カルマの結構ひどい言葉に、柊が思いっきり突っ込んだ。
しかし…
「…ごめん、佳奈。私もカルマ君と同じ意見…」
「あかりまで⁉︎」
「うん…。だって…ねぇ」
「うんうん」
そしてカルマはこう続けた。
「だって佳奈…
料理ド下手くそじゃん」
「…はぁ⁉︎」
「「『はぁ⁉︎』じゃない‼︎」」
そんなカルマと柊の話を聞きながら、渚は茅野に尋ねた。
「…どれくらい下手なの?」
「…白波中学の伝説になったくらい」
「いや、それだけじゃわからないから‼︎」
そんな渚のツッコミに、茅野が答える。
「えっとね…確かあれは中1の秋…中学入って初めての調理実習でのことなんだけど…出席番号順の班だったから私は食べてないんだけどね…
佳奈の料理を食べた人全員卒倒したレベル…かな…」
「「…はい⁉︎」」
茅野の言葉を聞いた渚と杉野は同時に突っ込んだ。
そしてカルマは…
「…やっぱり中学でもやったか…佳奈は…」
「『中学でも』ってことは小学校のときもやったんだね…」
「佳奈の料理は不味いの域超えて、なんか…才能だからね…」
「…食べたんだ」
「佳奈の料理食べたの小3の時だからね〜。その時まだ『佳奈の料理は不味い』って知らなかったし」
「ちなみになんで?」
「バレンタインのチョコ。それから絶対に手作りするなって言ったよ」
「…だろうね」
そんなカルマと茅野の会話を聞いて、渚・杉野・奥田・神崎は軽く恐怖を覚えた。
そんな会話を交わす二人に、柊が反論する。
「いやいやいや、私料理できるからね?」
「…それ本気で思ってたら、正直佳奈ってバカだと思う」
「よーーーーし‼︎じゃぁ私作ろうじゃないの‼︎作って美味しかったらカルマにここで土下座してもらうから‼︎」
「うん、やめよっか。食べ物がかわいそう」
そんな(かなり)ひどいことを言うカルマに、柊が挑発を仕掛ける。
「あれあれぇ?私に負けるかもしれないから怖いんだ〜」
「…って言ってますが、茅野ちゃんはどう思う?」
「佳奈、ごめん…私もカルマ君と同じ意見…」
「なんでよ⁉︎やっぱり二人ともひっっど‼︎」
「じゃあさ、サンドイッチなら作っていいよ。それ以上は冗談抜きで食べ物がかわいそうだから」
((((((((((めっちゃ下に見られてる‼︎))))))))))
どんだけ元がすごいんだよ…
みんなの心の声が揃った気がした。
…カルマがその言葉を『あえて』言ったと知るのは数分後だった…
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「はい!できたよ〜」
そう言って柊が差し出したのは…
「…なんだ。ふつーじゃん」
カルマと茅野があれほどいうからすごいのを想像していたが…
「…っていうか、柊さんの料理食べれたらカルマ土下座だよね…?」
「絶対にしなくて済むから大丈夫」
「これ見てどうして出てくるの…その自信…」
そんな渚の声を聞きながら、カルマは柊からそのサンドイッチを受け取った。
そして…
「ええと…そーだね。寺坂」
「ンあ?」
ちょっとこっち。とカルマは寺坂を手招きする。
そして…
「寺坂。これちょっと食べてみ」
「ああ⁉︎なんでだよ⁉︎」
「寺坂って体丈夫じゃん?」
「食いモン食べんのに体の丈夫さいるか⁉︎普通⁉︎」
そう言って、文句を並べる寺坂に、イトナが口を開く。
「というかサンドイッチを不味く作れるなんて、逆に褒められた才能じゃないか?」
だから行け、というイトナの声に押され、寺坂は柊の作ったサンドイッチを口にした。
結論から言おう。
柊の料理能力は…褒められた才能だった。
サンドイッチを口にした瞬間、寺坂は口を押さえて急いで外へ出て行った。…多分トイレだろう。
その様子を一部始終見ていたみんなは、
((((((((((…嘘だろ…?))))))))))
「だから言ったじゃん。佳奈は料理ド下手くそなんだって」
「いや、サンドイッチ不味く作れるなんて絶対にある種の才能だろ‼︎」
「まるでサ○デーのずっと休載している某農高漫画の主人公の兄の料理みたいね…あっ、それかジャンプで数少ない探偵ものの主人公の母親とか、この間ジャンプで連載終わったばっかりの恋愛モノのヒロインとか…」
「…不破さん?」
不破さんのメタい発言は置いといて、
「…カルマって…佳奈がこんなに料理できないのわかってた?」
「もちろん」
「…どういう経緯で?バレンタインだけでここまでひどいって気付かないよね。普通」
「だって小学校の頃に『やった』から」
「…ん?」
「小学校の頃の佳奈の伝説……行ってた小学校にちなんで『森竹小の七不思議』って呼ばれてたんだけど…
そのとき作ったのサンドイッチだったらしい」
「あぁ…」
これを聞いた全員が何かを察した。
そして…
「そんなわけでさ、みんな
絶対に佳奈には料理作らせないでくれない?」
そんなカルマの言葉に、みんなはすごく納得したのだった…
その後、サンドイッチは柊が美味しくいただきました。
柊「なんだ。フツーに美味しいじゃん」
茅野「いやいやいやいや」
カルマ「佳奈の味覚がおかしいんだって…」
柊「ひどいって!二人とも‼︎」