高校でも暗殺教室   作:紅音 葵

27 / 69
第14話 思い出の時間

ここは防衛省。そこでは少しずつ、しかし確実に巨大暗殺計画がなされていた。

司令官を始め、各国首脳の目の前には巨大な機械が置いてあった。

「…改めて見るとすごいサイズだな。これでまだ計画の一部だとは…。」

「やれるでしょうか?」

 

そのような部下の言葉に対し、司令官は、

「やれるやれないの問題ではない。その兵器は奴をいかにスムーズに、かつスマートに殺すためのものだ。そのシステムを理解してもらうために…ホウジョウ、君を呼んだ。」

 

ホウジョウと呼ばれた男は

「…おそれいります。」

と言った。

そしてその男は…

 

 

カルマが『烏間先生より強い』と評した男だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはE組。暗殺期限まであと二週間を切り、みんなが卒業に向けての準備をしていた時、いつも通り殺せんせーが口を開いた。

「ではでは皆さん、あと卒業まで一週間ほどになりました!

こんなめでたい時にすることといえばぁ…」

 

クラスのみんな(主に男子)が、

「おお〜?」

「宴だ、宴!」

と言っているさなか…

 

 

 

「編集作業です。」

「「「「「「「いや、何でだよ‼︎」」」」」」」

殺せんせーの言葉に、その場にいたほぼ全員が同時に突っ込んだ。

 

すると殺せんせーは、

「もちろん卒業アルバムを作るのです。E組だけの!」

 

「そっかぁ。学校全体のは作っちゃったもんね。担任が烏間先生ってことで。」

「そこに先生が一枚も写ってないのもかわいそうだよね。」

殺せんせーの言葉に対し、岡野と矢田が補足をした。

 

「いや…ばれない程度にちょくちょく写ってはいるんだけど…はっきり言ってこれじゃ心霊写真だな。」

「その通り‼︎だからちゃんとこの写真を使いたいんです。皆さんのスキをついて撮った秘蔵の自撮り写真は実に3万枚!

そんなわけで、今日はこの中から皆でベストな写真を選定しましょう‼︎」

「…いつの間にこんな撮ったんだよ…。」

「さすが覗き間先生。」

 

クラス全員がぞろぞろと教卓に集まっていったが…ただ一人、中村は向かおうとしなかった。

「私自分の写真見んの嫌なんだよね〜。」

「…なんで?」

「目ぇ小っちゃいから。」

 

しかしそういう生徒の所にも行くのがあの先生(タコ)である。

「心配ないですよ、中村さん!目を大きく加工したバージョンも用意しています。」

そう言いつつ、殺せんせーは中村に写真を渡した。

「…相も変わらず手厚いことで。」

「ね?だから皆と一緒に選びましょう‼︎」

 

 

そこで杉野が

「でもさ…ベタな写真は正規のアルバムで十分使ったよな。」

「もう一冊作るのなら…意外性のある写真とか?」

 

でも常に用意周到な殺せんせーである。

「お任せあれ。」

と言いつつ、速水に一枚の写真を見せる。

それを見た速水は恥ずかしさのあまり顔を赤くして、震えていた。

「クールビューティー速水、ペットショップにて。」

それはペットショップで速水がネコに頬ずりしていた写真だった。

 

「あとこれ。エアギター三村、夜の校舎にて。」

それを見て、三村は顔を真っ赤にした。

 

そしてその瞬間、速水と三村は

((い…いたのか!後ろに‼︎))

 

「まだまだありますよぉ〜。

姫系の服を試着するだけのプリンセス片岡。

ゴキブリが出た瞬間の乙女村松。

理科室にてベタな失敗をするマッドサイエンティスト奥田。

ゲーセンで悪徳ゲーマーを成敗する神崎有鬼子。

真夜中の校舎を裸で走るネイキッド岡島。」

 

自分の写真を見た岡島は、

「おい…ちょっと待て…。

ひょっとしてこんなかに…

 

 

 

俺のものすんげーヤバい写真もあるんじゃねぇか?」

「「「「「それ以上のがあんのか⁉︎」」」」」

 

「自分の探せ‼︎回収して捨てるんだ‼︎」

一連の恥ずかしい写真を見た皆は走って写真の所へ向かった。

「おやおや、編集作業に熱がこもってきましたねぇ。」

 

そして一同は自分の恥ずかしい写真を見つけると、破り捨てた。

(((こんなとこまで撮られていたとは‼︎)))

 

「では次は学校行事です。このあたりはどうでしょう、渚君?」

それらの写真には、試験・夏休み・学園祭…全て殺る気で挑んだ皆の姿があった。

(…本当に二度とない特殊な一年を過ごしたなぁ。)

 

でも殺せんせーは、

「ああ、でも撮りためた量じゃ全然足りない!目標は一万ページのアルバムを作ることなのに‼︎」

「俺らがどんどん破ってるしな。」

「てか広辞苑でも三千ページねぇぞ。」

殺せんせーの言葉に対し、イトナと寺坂が答えた。

 

すると殺せんせーは例の犬の着ぐるみを着て、

「皆さん、外に出なさい!服を変えて写真の幅を増やしましょう!」

 

それからみんなは生物史・日本史・世界史・宗教史など、色んなお題と衣装で写真を撮った。

「良いですよ、良いですよ!皆さんどんどん着替えて撮るんです!」

 

そんな殺せんせーを遠目で見つつ、茅野は口を開いた。

「なんかさ、この2月の殺せんせー…もちろん受験とか手伝ってくれてたけど…全体的に好き放題やってたよね。」

「うん…。僕らも振り回されてた。」

 

そんな会話をしている渚と茅野に、烏間先生が、

「多分、君たちに甘えているんだろう。」

「烏間先生。」

「この一年で、君たちは十分成長した。一人前になった生徒たちに、今度は自分が甘えたい…そう思っているんだろうな。」

「…そっかぁ。」

そして渚は烏間先生に、

「烏間先生にとっても…僕らはそういう生徒になれたでしょうか?」

「ああ。もし俺が困ったら、迷わず君らを信頼し、任せるだろうな。」

 

 

次の瞬間、烏間先生とビッチ先生も着替えさせられ、写真を撮られていた。

「⁉︎なんだ、これは。」

「烏間先生もビッチ先生も生徒に合わせてコスプレしなきゃ。試着ともいうべきですかねぇ。」

それを見た生徒一同は「ヒューヒュー」と二人を囃していた。

そしてビッチ先生は…

「カラスマ、初夜は待ったなし。」

「やかましい‼︎」

 

 

一通り写真を撮り終えた殺せんせーは、

「ふう、学校での撮影はこれで十分でしょう。」

と言いつつ、生徒全員を大きいカバンに入れた。

「ちょっと待て‼︎十分ならなんで俺らバッグに詰め込まれてんだ⁉︎」

「この校舎の中だけではとても足りない。世界中で皆さんと一緒に写真を撮るんです。」

「今から世界回るとか、冗談だろ⁉︎」

「ただの卒アルじゃ…」

 

そんなみんなの声をよそに殺せんせーはカバンに手をかけて、

「皆さん全員をゼロから持ち上げる力はありませんが…こうやってたっぷり反動をつければぁ…」

「「「「「全く聞いてない‼︎」」」」」

 

そして殺せんせーとE組全員は世界中に飛び立った。

その反動で、教室の写真が風に舞った。

そしてその中には…

 

E組全員で撮った写真もあった。

 

卒業の3月。

 

殺せんせーの暗殺期限まで…あと…




ネイキッド岡島の「それ以上のがあんのか⁉︎」というツッコミは、私が初見でつっこんだ数少ないものです。
あとは、夏祭りのときの磯貝に対する「え、食うの⁉︎」ぐらいでしょうか(笑)。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。