「え?何言ってるの、二人とも。余ったんだだよ。特別授業でチョコ作ったから。」
「へぇ〜、なぁんだ。私らはてっきりこの男にあげるもんかと。」
それと同時に中村が茅野に見せたのは…
渚とのキスの写真だった。
それを見た茅野は耳まで真っ赤にして、
「ゆるしてつかぁさい…ゆるしてつかぁさい…。」
とつぶやいていた。
茅野と渚。この二人をくっつければまとめていじれる…。
そう思ったカルマと中村は茅野を手伝うことにした。
茅野・カルマ・中村はその話をするために、体育倉庫に集まった。
「とはいえ、渚自己評価低いからねぇ。自分が異性に好かれるとか思っちゃいない。」
「そうそう。
順にそういう中村とカルマに、茅野は顔を赤くしながら言った。
「だって…お芝居でなら何回も演ったし、イメトレもしたけど…
「どーやって渡せばいいかわからないって?
じゃ、裏山行こうよ。本命渡してる奴いっぱいいると思うし。いつもの訓練の活かしどころだよ。」
カルマはそう言って茅野を促した。
そんなわけで裏山に行くことになったのだが…
【千葉・速水】
パパパァン
「ほら。当たったろ。」
「すっご。粒チョコでも命中率変わんないんだ。 約束だし全部あげる。尊敬してる。高校でもよろしく。」
「ん。サンキューな。」
「あの二人の射程距離はやっぱり独特だねぇ。」
「…絶対マネできないし…あれって本命なの?」
【寺坂組】
「想いのこもった手作りチョコよ。手紙も添えとくから、近いうちに返事よろしくね。」
手紙を読んだ寺坂達は…
「こめたの想いじゃなくて呪いだろ‼︎」
内容は…まぁそういうことだ。
「てか、さっき言ってた『タイミング』って
「チッ、しまった。奥田さんからもらったシアン化チョコ、寺坂の下駄箱に仕組もうとしたのに…先越された。」
そういうカルマに、茅野は…
「チョコをチョコと思わない人たちが暗躍してる‼︎」
「…ていうか全っっ然参考になりそうなのがないよ〜。」
「んー…じゃ、あれはどう?」
【磯貝・片岡】
片岡が草むらから出してきたのは…
「え?こんなにもらっていいのか?」
「うん。ちょうど食べ盛りでしょ?弟さんと妹さん。家の近くにすっごく安い業務スーパーがあるからさ。」
「ほんとに悪いな。いつも。」
「うんん。へーき。」
「ね。目的も渡し方も人それぞれでしょ?」
「茅野ちゃんもそれ渡す時に一言二言添えればいいんじゃない?」
「ん…ありがと。二人とも。」
「いいよ、全然。…ただ…」
中村が指さした先には…
「ヌルフフフ。くっついておる、くっついておる。」
「…あのゴシップタコに見られんのは気にくわないよね。」
「ああ、それなら大丈夫。茅野ちゃん、『あれ』持ってきた?暗殺に使えそうだからって頼んでたやつ。」
「あっ、うん!」
教室にて…
「くっっっっそお‼︎おれの分のチョコがねぇ‼︎さては裏山に隠したな‼︎いいか渚!今年こそ俺は0個で終わらせないぞ‼︎」
そんなことを言いながら裏山へと去った岡島を渚は少し笑いながら見送った。と、その時コートの袖を引っ張った人がいた。
無論、茅野である。
「茅野?」
「…渚。ちょっといいかな?」
教室に入ったはいいが、茅野は全然喋らない。…どうしたんだろう?
と、
「…渚は、将来どうするの?」
ああ、将来の話か。
少し悩んで、
「んー…なりたいものがやっと少しだけ見えてきた感じかなぁ。」
僕はわかばパークでのさくらちゃんのことを思い出していた。
『先生以外に何があるの?』
純粋にそう聞かれて、初めて「先生」に憧れていた事に気がついた。
その時、殺せんせーが一心不乱に何かを見ている姿が目に入ってきた。
「殺せんせー?何見てんだろ…。」
そして先生を打とうとしたが…射程圏外だったことを知り、少しがっかりしたり。
ちょうどその時、
「渚。」
「ん?」
「ありがとう。いつも隣にいてくれて。」
その手には…バレンタインのチョコ。
「…え?僕に?」
「うん。」
「そんな。ありがとうってこっちのセリフじゃ…」
「じゃあね、渚!また明日!」
「いざってときには自分を殺して他人のために…か。」
「ああいうところは雪村先生に似てんのかもね〜。
で、殺せんせーに何仕掛けたの?」
「ああ、茅野ちゃんに一筆頼んで先生の机に置いたんだよ。…あんな効くんならちゃんと暗殺に使えば良かった。」
殺せんせーが見ていたのは…雪村先生の水着の写真だった。
渚の心情は完全な予測です。
バレンタイン、次回終わりです。
裏山にて…
岡島「くっっっっそ‼︎なんでねぇんだよ‼︎どこに隠してるんだ‼︎」
岡島、今年のチョコの数一個…