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コカビエル戦が終わってから次の朝を迎えた。
「ふわぁ~、ねみぃ」
通学路のど真ん中で寝てしまいそうだ。
そんな感じで歩いていたら、朝から胸糞悪い気配が感じた。気配を感じる方向に向かうとそこは路地裏だった。
そこを覗くと女の子3人が不良4人に絡まれているらしいな。胸糞悪い気配はコイツらか……
だが俺は考えた。胸糞悪い奴らを排除してスッキリするのも良いかもしれないが、それをするのが面倒だと思う俺が居てしまう。
どうしようかと迷っていると不意に一人の女の子と目があった。
……これ、助けに行かないといけないパターンじゃん。
「はぁ……おい、そこの奴等。今やめれば見逃してやるぞ」
「何だ、テメェ」
「俺らのサンドバッグになりに来たんですかw」
「正義の味方ですかw」
こんな奴等に拳を振るいたく無いんだけどな。
「それは否定と受け取った」
ポケットに手を入れて無音拳を使う。
3人は直ぐに俺の拳でダウンする。
「ほぉ、無音拳か」
へぇー、わかるやつが居るんだ。
「……見えてないだろう?」
「はっ、そんな鈍い攻撃なんか誰でも見れるわ」
俺はカチンと来た。
瞬歩を使い奴の目の前まで来る。
「お前に攻撃しないのはコイツらを持って帰って貰うためだ。それにこの速度を見れないようじゃさっきの攻撃は見えてないはずだ。後ろで何を持っているかは知らないが、そんなもの俺には効かない」
奴は俺が何故、目の前に来たのか理解出来てないようだった。
「おい、行くぞ」
3人の女の子に向けて言う。一瞬無反応だったが直ぐに反応して付いてきた。
路地裏を出て、朝の人通りが多い場所に着いた。
「次からはあんなとこ入んじゃねぇぞ」
俺は後ろから何か言っていることを無視して学校に向かった。
ーーーーーーーーーー
教室に入り、席に座りいつもの日課が始まろうとしていた。しかし俺はこの日課がとても慣れない。
俺が席に着いた瞬間、楊志は俺の右腕に抱き付き犬のように匂いを嗅ぎ始めた。
「ああ、いい匂い……」
まるで至極の瞬間のような顔をしている楊志に、俺は無視を貫くことにしている。
「はぁ、ほどほどにしてくれ」
適当に返事をして次の襲撃に備える。
「やっほー!!」
今度は俺の左腕に燕が絡み付いてきた。
「おい、離れろ」
「えー、反対側は許すのにこっちは許さないの?」
「楊志は放っておくと大変な事になってしまうから仕方がないんだ」
「なら私も許してくれないと暴れちゃおうかな~」
「……勝手にしてくれ」
「やった~」
そもそも面倒事を一々作ろうとしてるんじゃねぇよ。
「ど~ん!」
燕襲来も束の間、陽乃が俺に後ろから抱き付く感じで突撃してきた。
コイツら何処かで打合せしてんじゃねぇの……
「何の用ですか?」
「私はただ、八幡に会いに来ただけだよ♪」
「はぁ……ここまで来たら、もう一人や二人変わらないな……」
「じゃあ私も混ぜて~」
連続で弁慶も俺の膝に座る。
「どうせ何言っても聞かないんだろう?」
弁慶は笑顔になり肯定する。
「そうだよ~♪」
コイツ、朝から飲んでるな。
「抱き付くのは良いが、そんなに密着するな。暑いだろうが」
まぁ……柔らかいとか、綺麗とか、そんなの思ってないよ?
それを言うと奴等はより一層、密着率を上げてきた。ねぇ、本当に打合せしてない?と思うぐらいだ。
いつの間にか来ていたマルギッテと武松が羨ましそうにしていたが、百合なのだろうか……
「比企谷!!」
お、百合の体現者が現れた。
「おい!今、失礼な事を考えていなかったか!?」
「いえ、全然」
こういう勘は俺には無いんだよな。どうやって鍛えるのだろうか……
「それよりも勝負しろ!!」
「断る」
これもここ最近、週間と成りつつある。
「私は欲求不満なんだ!」
「そんなの知ったことか……」
どうしても強者と戦いたいようだな。俺と戦っても、俺は後方支援かテクニックタイプだから楽しめないと思うんだけどな。
しかし前にこれを言っても、関係無いと言われた。
「マルギッテと戦ったんだから私とも戦えよ~」
「駄々をこねるな、子供かよ……」
精々中級レベルの人間が……無駄なことだ。
「やってあげ……っ!!」
弁慶が賛同の意を唱えようとしたが突如言葉を切った。
「話が有るけど良いかな?」
この場に最も相応しくない男、葉山隼人の登場だ。
俺の後ろから話し掛けてきたから、俺は葉山の方に立ちながら振り向いた。
「俺には無いから」
相対した時には既に俺の周りの少女達は俺の背後に回り込んでいた。
「八幡……あいつ、凄く視線が怖い」
楊志がこれ迄に無いほど怯えていた。
「ええ、まるで自分の道具かのように見られている気分です」
「私でもこんなに震えたことは無いぞ」
川神百代ですら俺の後ろで俺の服を掴んでいた。
「……1つ分かったことは……」
ー極限無想・仙人モードー
「お前は俺の敵だ」
今までは抽象的にしか葉山隼人を見ていなかったが、俺の背後の奴等をこんなにするって事は敵以外の何者でもない。
俺は普通の人間を眠らせる結界を張った。
だが、俺に触れている人間達はそれに掛からずにいた。
「何してるの!!」
雪ノ下が葉山の前で俺を睨むように立っていた。
「貴方、これは悪魔への宣戦布告で良いのね?」
「何を言っている?俺はただ1つ言いたいことが有るだけだ」
俺は視線を葉山に戻す。
「お前がどんな野望を持っているかは知らないがな……俺の大切な者を傷つけるなら容赦はしない。覚えておくがいい」
すると葉山は顔を真っ赤にして反論してきた。
「この物語は全て俺の物だ!!お前が転生者だろうが容赦しないのは此方の台詞だ!!」
……?……転生者?コイツは何を間違えているんだ。
「まぁ良い。次に俺の仲間にそんな視線を送ってみろ。直ぐにその両目を潰してやるよ」
言いたいことが言え、結界を外し元の状態に戻した。
葉山はこんな人目の付くところでは言いたいことが有っても言えず、その場を後にした。雪ノ下も俺を睨みながら帰っていった。
「ふぅ、まあ直接ちょっかい掛けてくることは無いだろうが、何か有ったら言え……よ?」
後ろを向くと川神がニタニタして俺を見て、他の奴等は顔を赤くして視線をあちこちにしていた。
……?何をそんなに……あ…あれか。
陽乃が正面に抱き付いてきた。
「八幡!嬉しかったよ!」
「……忘れてくれ」
「何で?格好よかったのに」
恥ずかしいからだよ!
俺はその空気に耐えられなくなった。
「ちょっと屋上に行ってくる」
「え!授業始まっちゃうぞ」
源がそれを聞いていて注意してくれた。うん、そう言ってくれるのは源だけだよ。他の関係している奴等は顔をニタつかせているだけだもん。武松とマルギッテは赤くなっているだけだが。
俺は注意を聞かずに屋上に行った。
ーーーーーーーーーー
屋上に行くと与一と出会った。
「よぉ、与一」
「おう、よくあの地獄から蘇ってきたな」
ベンチに腰掛けている与一の隣に座る。
「あ、そのペンダント付けてくれてるんだな」
「おう…と、友達から貰ったプレゼントだからな」
嬉しそうにそして恥ずかしそうに与一は笑顔になる。
「俺は友達と思ってねぇぞ」
「え…」
俺の言葉を聞き、愕然と成りそうになるが、
「俺は親友と思ってたんだが…違うのか?」
「……いや!親友だ!」
さっきよりとても良い笑顔になった。
「そりゃ、良かった。……あ、与一」
「何だ?」
「俺の弟子に成ってみないか」
「……え?」
「前から思っていたが、これから先ここにいれば嫌と言うほど裏の世界に引きづり込まれていく。だから自身を護れる力を身に付けなければならない。勿論、俺が護っていくのも手だ。その時はずっと護っていこう。さぁ、決めてくれ」
実を言うと葉山隼人グループに何をされるか分からないからと言うのもある。
少しの沈黙の後、答えを出してくれた。
「……俺を鍛えてくれ!!」
「良いぜ。それじゃ今から教えるからな」
「おうよ!」
そして俺と与一は源が来るまでずっと修行をしていた。
因みに俺が教えていたのは見聞色の覇気だ。
元々与一の弓兵としてずば抜けた感覚があり、教えるのが困難ではないと判断したからだ。
次回はデートです。