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6月9日
今日から俺は川神学園に転入することになった。ガブリエル様が学生の青春を謳歌してほしいとのことだ。正直、俺は別に学校に興味はない。ガブリエル様やイリナ、ゼノヴィアとシスター・グリゼルダが居れば、特に必要な関係は無い。
そもそも俺以外にも転校生が居るわけだが、面子が濃すぎて、あいつ要らないじゃん的な視線を送られそうなんだけど…………その面子が先ず、クローンだろう。次に九鬼家関係者とか納豆小町。それに梁山泊のメンバー。どれも世界が注目することだ。……納豆小町は違うって?それは将来、納豆で注目すると確信しているから敢えて付けたんだよ。
ともかく俺がどれだけ困っているか解ってくれたか?一対一の自己紹介も緊張するのに全校生徒の前じゃ卒倒レベルだよ。学校側のまとめて済ますという考え方も納得いかねぇ……まぁガブリエル様に言えば日を変えてくれるだろうが心配させたくないからな。
サボるか!!
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俺は今、屋上に入る扉の前に来ている。
何故此処で立ち止まっているかと言うと、屋上に誰かの気配を感じるからだ。
もう全校生徒はグラウンドに集合しているはずだ。そうなると寝過ごしているか、俺と同じ事を考えている奴か……まぁ入ってみれば解ることか。
俺は思い切り扉を開けた。そこにはベンチに寝転がっている俺と同じくらいの身長で銀髪の青年がいた。
その青年は俺が入ってくると体をビクッとさせ体を起こし俺を見た。知らない誰かと解ったことで安堵し再度寝転がった。どうやら知り合いには内緒で来ているようだな。
俺は青年が寝転がっているベンチの少し離れた所の柵に背を預けて空を見上げた。
別に知り合いでもないし、電車で隣に座っている人にいちいち話し掛ける訳でもないからこの沈黙は気にならないが、こいつには俺と似つかわしい、においがする。洗剤が同じとかそんな下らないことじゃなくて人間の汚いところを浴びて生きてきた感じがする。
俺はその青年の事を考えているが、相手も俺に、少し視線を送っている。所謂チラ見だ。その事から考えて、こいつとなら会話をして良い気がしてきた。
そうと決まれば気になっていたことを聞くか。
「良いのか?下に行ってなくて?」
俺が突然話しかけたことに少し驚いているが正常に戻して質問に答えた。
「はっ、馴れ合いなんて必要ねぇな」
少しだけ期待を込めた視線でその返事を待っていた。
「まぁたかが3年間しかない高校だからな。だがな」
その先を待つ青年。俺は別にこいつの要望通りに答えるつもりはないが、こいつにも『本物』を知ってほしいと思った。
「少しでも自分を、本当の意味で知っている者が居ても良いんじゃねぇか?」
いつの間にか体を起こしていた。一瞬だけ此方へ目を見開いた。だが直ぐに下を向き険しい表情に変わっていった。
「そんなもん、この腐った世界にいるわけ無いだろう」
「俺も前までは同じような事を考えたいた。けど、探してみれば、求めてみれば居るもんだぜ」
青年はまだ険しい表情だった。
「お前にも思い当たる節は有るんだろう?フッ、案外気付かないもんだぜ……それに」
下を向いていた顔を此方に向けた。
「俺が見つけれたんだ、俺と似ているお前が見つけれない訳が無いだろう?」
まるで初めて珍しい物を見たような顔になった。そして我に帰り、口元を緩ました。
「その根拠は何処からくるんだよ」
「お前も俺に親い物を感じたんだろう?」
そして二人で笑いあった。
あ、そうだ。重要なことを聞くのを忘れていた。
「なぁ、そういえば名乗ってなかったよな?お互い」
「ああ」
「俺は比企谷八幡。お前は?」
「那須与一だ」
「?クローン?転校生か?因みに俺も今日から転入することになった」
「境遇も、サボる場所を考えることも同じとはな。特異点同士は引かれ会うか」
俺は脱したが、こいつはまだ嵌まってるわけね。中二病に。熟同じだと思うな……
「ふふっ。クラスは何処なんだ?俺は2ーSだ」
「俺も同じだ。Sに入る気は無かったが今は良かったと思うな」
「じゃあ、そろそろ解散し始めてるからクラスに行くか?」
「そうだな」
かくして俺と与一は出会った。
一日目にして早速、入って良かったと思える事が出来て良かった。
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2ーSの教室は予め調べて知っていたから……
因みに他の教室も完璧に何処にあるかを知っている。敵とか来ても迷って困るのはこちらだからな。
閑話休題
迷うことは無かった。目的の教室への移動中は色々とラノベやゲームの話を少しした。
2ーSに到着し、自己紹介が終わったぐらいだったので堂々と前の扉から入室した。扉を開けた先には四人の転入生が前に立っていた。ポニーテールと癖毛の強そうな少女等がクローンだろう。赤髪の無表情に見える少女と青髪の顔を青くしてる少女が梁山泊だろう。
多分、と言うか絶対に与一と一緒じゃ無かったら、この時間もサボる。いや、むしろ今日は帰ったまであるな。
案の定、俺等が入ってきたら、こいつら誰?的な雰囲気になるが、そんなもん気にしたら負けだ。
「与一!今まで何処に行ってたんだ!」
ポニーテールの少女が与一を見るなり、突然与一に詰め寄った。
「うるせぇ、何処だって良いだろ」
与一はツンな態度をとるが、これは照れてるな。所謂ツンデレだ。
「また主に恥をかかせた罰を与えないとね」
ツンデレな態度が気に食わなかった癖毛の少女が怒気を含んで発言した。
これは止めた方が良いんだろうか?いやでも俺はこの少女等を知らないから止めるに止められない。……しょうがない。
「先生、サボってたんで遅くなりました」
「それを教師の前で堂々と言うか?」
「この学校が全校生徒の前で自己紹介をさせようとしたのが悪いんですよ」
「はぁ、まぁ良い。那須と比企谷。自己紹介はお前らが最後だ」
与一の方を見ると癖毛の少女に捕まれようとしてたから目に留まらぬ速さで俺の隣に立たせて難を逃した。
「与一、気を付けろよ?」
「すまねぇ。助かった」
俺と与一は小声で他に聞こえぬように配慮して会話した。
「俺からやるか……比企谷八幡だ。宜しく」
俺は自己紹介をするかのように周りを見渡したと思わせて、実はこのクラスの人外を探していた。……一人だけか。あの黒髪ロングヘアーの少女だ。他にも、どの学年にも居るな。
考え事をしている間に与一の自己紹介が終わったしまった。俺みたいに名前だけだと思うけど。
俺らの自己紹介が終わり、質問コーナーになった。
すると赤髪の軍人服の女が立ち上がった。
「弁慶、私と勝負しなさい」
誰だこいつは……そうだ。こいつじゃ無くてクローンの事を与一から聞かないといけないんだった。
「なあ、与一」
「何だ?」
「他のクローンについて教えてくれよ」
「ああ、良いぜ」
与一から源義経、武蔵坊弁慶、葉桜清楚についてだいたい聞いた。説明してくれてた間に赤髪と武蔵坊の決闘は終わっていた。
「ありがとうな、与一」
「このくらいなら、いくらでも聞いてくれ」
質問コーナーに戻ろうとしたときにグラウンドが騒がしくなった。どうやら武神(笑)と納豆小町が手合わせ、2ーFの梁山泊の1人と武神の妹が決闘しているらしい。
どんだけこの学校の生徒は争いが好きなんだよ……
「貴方に決闘を申し込む」
この声からして青髪だろう。誰だ、梁山泊に挑まれてるやつは……早く返事をしてやれよ!
「比企谷八幡、貴方に決闘を申し込む」
同じ名前の奴がこのクラスにも居るんだな!いや~運命を感じるね!
現実から目を背けていると遂に肩を叩かれた。振り替えると、さっきまで青ざめていた顔ではなく真剣な顔だった。
「無視しないで」
「や、他のやつだと思ったんだよ」
「そう、ならもう一度言う。アタシと……」
「断る!!」
「何故?」
「何故って、戦いたくないからに決まっているだろう。面倒くせぇし」
この決闘制度は両方が承認して初めて成立する物だ。つまり俺が断っていれば永遠に戦うことなんて……
「でも周りはそう思っていない」
無いと思ってました。見回すといつの間にか俺とこいつが戦う流れに成っていた。
「わかったよ」
こうなれば適当に戦って適当に負けるか。
ーーーーーーーーーー
場所は手合わせと決闘をしているグラウンドに移った。
どう負けるかの算段を建てているとき、与一が近づいてきた。
「フッ、災難だな。流石俺と同じ特異点だ」
「本当だよ。だるい」
梁山泊をいつか潰してやろうか。ガブリエル様に頼んで……マジであのお方は俺に甘いからな、本気でしてくれそうな気がする。
俺達は2つの争いが終わってからすることになった。だが武神の方は手合わせだし、決闘は明らかに実力が違うから直ぐに終わるだろう。
ぼーっとしながら与一とラノベの話をしていると青髪が此方に来た。
「貴方の実力を測りたい。だから適当にしないでほしい」
「俺はそんな事を言われて真面目にする訳がない」
青髪は俺の耳元に口元を近づけた。
「でも悪魔には嘗められずに牽制できるはずだよ」
俺は感心した。梁山泊はただの人間だけが集まっていると思っていたがまさか三大勢力等を知っていたとは。
「なら俺の正体は知っているのか?」
「人間じゃないことしか解らない。だけどこの事は悪魔も承知のはずだよ」
釈然としないが、確かにこいつの言う通りに牽制した方がいいな。
「向こうの2つは終わった。次は私達の番」
さて、理由もできたしちょっとだけ力を見せてやるか。
次回はショボい戦闘シーン。
可笑しな点は無視なさらずお申し付けください。