あ、アシ?北上やけど何か文句あるが?   作:ジト民逆脚屋

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はい、お久し振りです。いや、本当にすみません。
言い訳をするなら、方言って喋ってると違和感無いのに、文字にすると違和感が凄いですよね。


四日目朝

「母さん、このズボンおっきいよ?」

「あ~、いたら、こらどうぜ?」

 

ホムセンに隠れて一晩経って朝になったき、一階の服売り場で大和の着替えを見ゆうが、サイズが無いのう。

どうすらあ。

 

「これも、ブカブカ~」

「裾捲ったちいかんかや?」

「ダメ~」

 

『北上さん』

『これは』

『どうです?』

 

「ん、かまんがやないかや」

「あ!これ丁度だ!」

 

思いの外、すっと見つかったわ。そいたら、今日はどうすぜよ?

あの新聞に書いちょった事が本当やったら、艦娘として出歩くがは、マズイろうにゃぁ。

下手に出歩かんとに、この町の周辺をブラついてあの小島に戻るゆうがも手ぇやにゃ。

 

「母さん、どうしたの?」

「ん?何ちゃあ無いわ」

 

それやったら、町で要るもん手に入れてどっかに隠れるがも有りかや。

 

「母さん母さん」

「あ?どういたぜ?」

「首がベタベタする」

 

確かに、風呂入っちゃあせんき。ベタつくわな。

しかし、風呂か。どうすらあよ、風呂桶らあ無いし、シャワーち上等なもんも無いわな。

 

『北上さん』

『こんなの』

『あったです』

 

「お、何ぜ?」

 

『働く男の臭い消し』

『除菌抗菌』

『ウェットタオルです』

 

おうおう、良い(えい)があ見付けてきたにゃあ。

やけど

 

「おんしら、アシが男に見えるつか?」

 

『いやいやいやいや』

『まあまあまあまあ』

『それはそれは』

 

「お?どうながぜ?あ~・・・」

「母さん、どうしたの?」

 

今思うたら、こいたら、見分け付かんにゃあ。

同じ(おんなじ)顔と服着いちゅうき、どうすらあよ。

 

「母さん?」

 

見分けが付かんかったら、あれよな。目印でも付けるかや。

何が良い(えい)ろうか?

・・・ほうよ!あれが、あらあな。

 

「大和よ。そこのマジック取っとうせ」

「マジック? ・・・母さん、これ?」

「ほうよ、それよ」

 

『北上さん』

『いったい』

『何するです?』

 

「ええき、そこに順に並び」

 

うし、並んだにゃ。いたら、右から順にメットに

 

「1 2 3と、の」

 

番号書いて

 

「うし、これからおまんらは、右からカズ、ジロ、サブにゃ」

 

『お?おお!』

『名前』

『名前付いたです!』

 

いい加減、饅頭饅頭言うがもたいそいき。名前付けちょこうか思うて付けたけんど、こればあ喜ばれるらあ予想外ちや。

ん?何ぜ大和。

 

「もうちょっと、カワイイ名前が良かった」

「ほうかよ。いたら、どんなが良かったよ?」

「イチ、二、サン!」

 

『『『オウフ』』』

 

子供ゆうがは、残酷やよ。まさか、名前が番号とは思わだったわ。

 

まあ、かまんか。

 

「いたら、さっさと体拭こうかや」

「うん」

 

そいたら、服脱いでと。

頭も痒いい(かいい)にゃあ。どうすぜ?

水道は生きちょったき、水道で流すか。

ん?大和よ。どいた?

 

「母さん、お腹カッコいい!」

「あ?アシの腹がどういた?」

 

『おおう』

『なんて見事な』

『シックスパック』

 

腹が割れちゅうがは、仕事しよったらこうならあよ。

やき、あんま見なよ。流石に、恥ずい(はずい)わ。

 

「ほれ、へんしも早ように拭きよ。まだ、頭も洗わにゃいかんがやきに」

「うん!」

 

体拭いて頭洗うて(あろうて)、それでどうすらあ。

さっきも同じ事考えよったけんど、ここらをぶらつくよりは、島に帰ったがマシかもしれん。

それやったら、舟が要るにゃあ。拾ったもん積んで行けるやったら、アシが背負うて行くよりかは積めるしの。

 

戦争らあ、知った事か。戦いたかったら、勝手に戦いよったら良いがよ。アシを巻き込むなや。

鎮守府?提督?知るかよ。艦娘を指揮する書いちょったけんど、尚武の国の女を嘗めなよ。

アシは、アシが従ごうても(したごうても)かまんち思うた相手にしか従わんぞ。

 

「母さん母さん、紙が真っ黒になった!」

「そしたら、新しいのと替えてき」

「うん、分かった」

 

饅頭の話やと、大和も艦娘らしいき。アシが鎮守府に行ったら、大和も戦う事にならあよ。

こんな娘に戦わせるらあ出来るかよ。

 

戦うがやったら、アシが戦うわ。

 

「母さん母さん、背中背中」

「ほいほい」

 

大人が子供に武器持たいて戦わせよったら、それはどうにもならんなるわ。

行くとこまで行って、戻れんくなる。

 

『北上さん』

『髪は』

『どうするです?』

 

「水道で流す。石鹸かなんかあったろ?」

 

そうならん為にも、アシが戦うしかないわな。まあ、戦う事らあ、そうは無いと思うがの。

 

「大和よ、髪洗うたら飯にしよか」

「やった!今日は何?」

 

『大和さん大和さん』

『牛缶』

『牛缶あるです』

 

「ほいたら、今日はそれにしようか」

「牛缶牛缶~」

「大和、缶切り使うてみるかや?」

「うん!缶切り使う!」

「ほうか、手切りなよ。カズ」

 

『北上さん、どうしたです?』

 

「大和見よってや。ジロとサブはアシと来い、荷物纏めるき」

 

『了解』

『アイアイサー』

 

何があるか分からんき、要るもん持って早いとこ島に帰るか。

お、シャベルがあったか。これで、あの小川深あに掘って水汲み場にするかよ。

 

「母さん、缶開いたよ!」

「おう、いたら飯にしよか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五人が居る街から離れた海上に、幾つかの人影があった。

その何れもが、青白くどこか人から離れた姿をしていた。

 

「ヘエ、変ワッタ奴ガ居ルンダナ」

「ドウスルンダ?」

「私ハパス。興味ナイシ」

 

一人が戻ってきた黒い鳥形から話を聞き興味を示し、一人は興味無さげに岩場に凭れる。

 

「鉈デ戦ウ、砲ヲ撃タズニ付近ニアッタ物ヲ投ゲル。私達ガ知ル艦娘共トハ違ウ」

「ドウスルンダ?タ級」

 

一人、黒い四つの口を従えたタ級に、黒い大きな口を持つ何かを被った者が問う。

 

「少シ、見テクル」

「艦娘共二見付カラナイ様ニシロヨ。私ハ助ケニ行カナイゾ」

「コノ辺リハ雑魚シカ居ナイカラ大丈夫ダ」

 

そう言うと、タ級と呼ばれた白い人影は五人の居る街へと

向けて歩き出した。




次回予告?

土佐上様VS戦艦タ級かな?


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