言い訳をするなら、方言って喋ってると違和感無いのに、文字にすると違和感が凄いですよね。
「母さん、このズボンおっきいよ?」
「あ~、いたら、こらどうぜ?」
ホムセンに隠れて一晩経って朝になったき、一階の服売り場で大和の着替えを見ゆうが、サイズが無いのう。
どうすらあ。
「これも、ブカブカ~」
「裾捲ったちいかんかや?」
「ダメ~」
『北上さん』
『これは』
『どうです?』
「ん、かまんがやないかや」
「あ!これ丁度だ!」
思いの外、すっと見つかったわ。そいたら、今日はどうすぜよ?
あの新聞に書いちょった事が本当やったら、艦娘として出歩くがは、マズイろうにゃぁ。
下手に出歩かんとに、この町の周辺をブラついてあの小島に戻るゆうがも手ぇやにゃ。
「母さん、どうしたの?」
「ん?何ちゃあ無いわ」
それやったら、町で要るもん手に入れてどっかに隠れるがも有りかや。
「母さん母さん」
「あ?どういたぜ?」
「首がベタベタする」
確かに、風呂入っちゃあせんき。ベタつくわな。
しかし、風呂か。どうすらあよ、風呂桶らあ無いし、シャワーち上等なもんも無いわな。
『北上さん』
『こんなの』
『あったです』
「お、何ぜ?」
『働く男の臭い消し』
『除菌抗菌』
『ウェットタオルです』
おうおう、
やけど
「おんしら、アシが男に見えるつか?」
『いやいやいやいや』
『まあまあまあまあ』
『それはそれは』
「お?どうながぜ?あ~・・・」
「母さん、どうしたの?」
今思うたら、こいたら、見分け付かんにゃあ。
「母さん?」
見分けが付かんかったら、あれよな。目印でも付けるかや。
何が
・・・ほうよ!あれが、あらあな。
「大和よ。そこのマジック取っとうせ」
「マジック? ・・・母さん、これ?」
「ほうよ、それよ」
『北上さん』
『いったい』
『何するです?』
「ええき、そこに順に並び」
うし、並んだにゃ。いたら、右から順にメットに
「1 2 3と、の」
番号書いて
「うし、これからおまんらは、右からカズ、ジロ、サブにゃ」
『お?おお!』
『名前』
『名前付いたです!』
いい加減、饅頭饅頭言うがもたいそいき。名前付けちょこうか思うて付けたけんど、こればあ喜ばれるらあ予想外ちや。
ん?何ぜ大和。
「もうちょっと、カワイイ名前が良かった」
「ほうかよ。いたら、どんなが良かったよ?」
「イチ、二、サン!」
『『『オウフ』』』
子供ゆうがは、残酷やよ。まさか、名前が番号とは思わだったわ。
まあ、かまんか。
「いたら、さっさと体拭こうかや」
「うん」
そいたら、服脱いでと。
頭も
水道は生きちょったき、水道で流すか。
ん?大和よ。どいた?
「母さん、お腹カッコいい!」
「あ?アシの腹がどういた?」
『おおう』
『なんて見事な』
『シックスパック』
腹が割れちゅうがは、仕事しよったらこうならあよ。
やき、あんま見なよ。流石に、
「ほれ、へんしも早ように拭きよ。まだ、頭も洗わにゃいかんがやきに」
「うん!」
体拭いて頭
さっきも同じ事考えよったけんど、ここらをぶらつくよりは、島に帰ったがマシかもしれん。
それやったら、舟が要るにゃあ。拾ったもん積んで行けるやったら、アシが背負うて行くよりかは積めるしの。
戦争らあ、知った事か。戦いたかったら、勝手に戦いよったら良いがよ。アシを巻き込むなや。
鎮守府?提督?知るかよ。艦娘を指揮する書いちょったけんど、尚武の国の女を嘗めなよ。
アシは、アシが
「母さん母さん、紙が真っ黒になった!」
「そしたら、新しいのと替えてき」
「うん、分かった」
饅頭の話やと、大和も艦娘らしいき。アシが鎮守府に行ったら、大和も戦う事にならあよ。
こんな娘に戦わせるらあ出来るかよ。
戦うがやったら、アシが戦うわ。
「母さん母さん、背中背中」
「ほいほい」
大人が子供に武器持たいて戦わせよったら、それはどうにもならんなるわ。
行くとこまで行って、戻れんくなる。
『北上さん』
『髪は』
『どうするです?』
「水道で流す。石鹸かなんかあったろ?」
そうならん為にも、アシが戦うしかないわな。まあ、戦う事らあ、そうは無いと思うがの。
「大和よ、髪洗うたら飯にしよか」
「やった!今日は何?」
『大和さん大和さん』
『牛缶』
『牛缶あるです』
「ほいたら、今日はそれにしようか」
「牛缶牛缶~」
「大和、缶切り使うてみるかや?」
「うん!缶切り使う!」
「ほうか、手切りなよ。カズ」
『北上さん、どうしたです?』
「大和見よってや。ジロとサブはアシと来い、荷物纏めるき」
『了解』
『アイアイサー』
何があるか分からんき、要るもん持って早いとこ島に帰るか。
お、シャベルがあったか。これで、あの小川深あに掘って水汲み場にするかよ。
「母さん、缶開いたよ!」
「おう、いたら飯にしよか」
五人が居る街から離れた海上に、幾つかの人影があった。
その何れもが、青白くどこか人から離れた姿をしていた。
「ヘエ、変ワッタ奴ガ居ルンダナ」
「ドウスルンダ?」
「私ハパス。興味ナイシ」
一人が戻ってきた黒い鳥形から話を聞き興味を示し、一人は興味無さげに岩場に凭れる。
「鉈デ戦ウ、砲ヲ撃タズニ付近ニアッタ物ヲ投ゲル。私達ガ知ル艦娘共トハ違ウ」
「ドウスルンダ?タ級」
一人、黒い四つの口を従えたタ級に、黒い大きな口を持つ何かを被った者が問う。
「少シ、見テクル」
「艦娘共二見付カラナイ様ニシロヨ。私ハ助ケニ行カナイゾ」
「コノ辺リハ雑魚シカ居ナイカラ大丈夫ダ」
そう言うと、タ級と呼ばれた白い人影は五人の居る街へと
向けて歩き出した。
次回予告?
土佐上様VS戦艦タ級かな?