あ、アシ?北上やけど何か文句あるが?   作:ジト民逆脚屋

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話があんまり進んでません!


三日目昼~夕方

どうなっちゅうがな?

四人に合流したいがよ、この町は様子がおかしすぎらあよ。

 

「此処もかや?」

 

人が居らん。それだけやない、何ぞから逃げたみたいに家の中がわやくちゃやが。

後は・・・ 

 

「最近、逃げたゆう訳やないのう。こら」

 

ちっと、お邪魔して調べさせてもらいゆうけんど、箪笥と置物に埃が積もっちゅうがは普通よにゃあ。

けんど、テーブルと椅子にも埃が積もっちゅうがはおかしいろう。人が住んじゅうがやったら、埃がこれっぱあ積もるはおかしいきにゃあ。

それだけやない、廊下も床も埃だらけやが。どういたがな、こらぁ?

1日2日じゃ、こうはならん。軽く年単位は経っちゅうにゃあ。

 

「どうすらぁよ、人が居らにゃ話も聞けんが」

 

まあ、ええわ。今は、四人と合流するがが先よ。

そっからでも、遅うはないわな。

 

「あ、いかんが」

 

あの四人が、何処に行ったかアシ知らんちや。

 

「困ったちや」

 

 

困り果て、煙草を吹かす北上。紫煙が右へ左へユラユラ揺れながら、消えていく。

その様子を静かに見ている者が居た。

 

「ん?」

 

黒い、鳥とも飛行機ともとれる奇妙な者。それは北上が居る居間から見える庭の真ん中で、此方を観察するかの様にホバリングをしていた。

そのレンズの様な目と、北上の据わった目が合った。

 

「なんぜ?おんしゃ」

 

言い終わるか終わらないかのその瞬間、翼と思われる部分から光が放たれた。

 

「どわぁっ!」

 

放たれた銃弾による破壊、北上はそれを別室に飛び込む事で何とか回避する。

止まぬ銃弾と破壊の音を聞きながら、北上は新しい煙草に火を着け、紫煙を苛立たしげに吐き出した。

 

「あんの、鳥飛行機がぁ!人が何ちゃぁしてないに、パカスカパカスカ景気良う撃ってきよって、腹立つにゃあ!」

 

そう叫ぶやいなや、北上は飛び込んだ和室の壁に立て掛けられた折り畳み式の卓袱台を掴み、弾幕の切れ間を縫って卓袱台を思い切り投げ付けた。

 

「当たれやにゃぁ」

 

投げ付けられた卓袱台は、風切り音をたてながら回転し鳥飛行機に向かうが、難なく避けられ庭の塀に当たり砕けた。

だが、その砕けた卓袱台の破片が当たり、相手は体勢を大きく崩した。

それを見逃す北上ではなかった。

 

「くたばりや!」

 

瞬時に家から飛び出し鉈を降り下ろす。

しかし、素早く体勢を立て直した鳥飛行機は、それをかわし上空へと上がっていく。

 

「逃げな!かかって来い!」

 

地上で喚く北上。それを嘲笑うかの如く、頭上を二、三回旋回した後、何処かへと飛び去ってしまった。

 

「があぁっ!腹立つにゃあ!何ながな、あいたぁ」

「母さん!」

「あぁ!?・・・なんぜ、大和かや」

 

『北上さん』

『いったい何が』

『あったんですか?』

 

「何があったち、変な黒い鳥飛行機に喧嘩売られたき、買うたらあいた逃げよったがよ」

 

『黒い鳥飛行機?』

『北上さん、たぶんそれ』

『敵です』

 

「あぁ?敵つか」

「え?敵居たの」

 

あらぁ敵やったがか。まあ、問答無用で撃ってきたがやき、敵ながやろうにゃあ。

つかよ、アシら艦娘が戦いゆうがは深海棲艦、戦艦ながやろ?どういて、飛行機が居るがな。

訳が分からんわ。

まあ、かまんか。どっちにしたち、敵とは戦わなぁいかんがやきに。

アシも死ぬがは嫌じゃ。やっぱり何ぞ、得物を調達せんといかんにゃあ。

それだけやない、移動の足も用意せんと徒歩で移動はたいそいがよ。

後は、水と食糧も探さないかん。

 

「妖精さんよ、何処ぞにええとこあったかや?」

 

『北上さん』

『あっちに』

『ホームセンターがありました』

 

「よっしゃ!そこに行くぜよ」

 

デカイホムセンなら、何ぞ食いもんもあるろうしの。

生物は無理やろうけんど、缶詰めやらカップ麺があるろ。

水は、ペットボトルのヤツがあったら何本か拝借しようかの。この町の状況やと人は居らんろうし、かまんろ。

得物は、鍬の柄にでも山菜ナイフなり剣鉈なりの刃を括り付けて槍にでもするか。後は、斧に掛矢に・・・

 

やっぱり、車が要るにゃあ。軽トラ、幌付きがえいわ。

もっと欲言うたら、ワゴン車、キャンピングカーらぁあったらえいにゃあ。

あー、でも、それやったらガソリンが要るかや。

人が居らんがはこの町だけとは思えんし、途中でガス欠はキツイ。金もようけは無いし。

 

「母さん?」

「どういたぜ」

「もうすぐ夕方だし、早くホームセンターに行こうよ」

「んー、それもそうやの。とっとと行くかや」

 

あ、いかんが。煙草も調達せな。もう後、一箱しか無いわ。

 

「母さん、私魚食べたい!」

「生は無理やき、缶詰めがあったらえいにゃあ」

「え~、お刺身が良い」

「我が儘言いなよ、今の状況で海に行くがは面倒な事になりそうやき」

 

『北上さん』

『私達は』

『焼き鳥が食べたいです』

 

「おんしらは、自分らで調達し」

 

『ガーン』

『出鼻を』

『挫かれた』

 

「私も焼き鳥食べたい!」

「ほうかほうか、有るとえいにゃあ」

「うん!」

 

焼き鳥か、アシも食いたい。酒があったら、七味でも軽く振って冷酒でキュッといきたいにゃあ。

いや、ビールも捨てがたいのう。

いかんわ、酒が呑みたい。冷えたがが呑みたい。

今日は疲れたき、グッといきたい。




焼き鳥食べたい

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