あ、アシ？北上やけど何か文句あるが？
突然やが、北上になってしもうた。え？お前が何言うか分からんって？安心しぃや、アシにも分からんき。
あれよ、山で仕事しよったら足場が崩れよってな頭打ったとこまでは覚えちゅうがじゃけんど、目が覚めたらゲームの『艦隊これくしょん』け？
それに出てくる『北上』になっとったがよ。喋り方が変？ほっちょき、アシは生まれも育ちも高知県ながやき標準語ゆうがは苦手ながよ。
それでまあ、今アシが何処におるかと言うと・・・
｢なにが悲しゅうて、こんな小島におるがやろう？｣
山から小島、何処の神さんの悪戯か知らんがちっくとばかし、根性ひねくれすぎやないか？
救いとしたら、アシがこうなる前の服装やら持ち物がそのまんまの状態であるゆうことか。
いや、なんか鉈の形がおかしいが。角鉈ながやけんど、柄からくの字に曲がっちゅうし、峰の部分が金槌になっちゅう。なんやこれ？最近のガンダムでこんな鉈使いゆう奴見たぞ。こんなん、どうせえ言うがな。
まあええか、軽く振った感じ違和感無いし、刃先が重うなった分、かち割りやすうなったわ。
｢煙草煙草っと、あったあった。こっからどうするかぁ、このまんま海に出るがはアホゥのやることやし｣
いかんが、詰んだわこれ。今更やが山育ちを一人海に、それも辺りに人の気配の無い小島にほり捨てるとか、なんじゃこれ？
でもまあ取り敢えずは、水と拠点の確保が先決やな。食いもんは魚やらなんやらがあるろうし、この小島の感じやと水源がある筈や。なんでやって？ほれ、そこ。小川が海に流れ込みゆうが、飲めるかどうかは分からんが火ぃ起こいて沸かいたら飲めるろぉ。
目標も決まったし、煙草も火ぃ消いて・・・
｢ほいたら、そろそろ動くとしよか｣
水沸かすしても、器がいるなぁ。なんか無いろうか？お！鍋が有るが！流れて来たがやろうか？うん、穴も空いてちょらせんし大きさも丁度ええが。
｢しかし、妙な島やが。人は住んじょらせんのに小屋がある｣
ほんに妙な島やが、浜辺で鍋拾うてから少し小川沿いに島の中を歩きよったら小屋があったが。しかもオンボロの癖に造りがしっかりした奴が、中には囲炉裏やらがあるき人がおったがやろうな。
けんど、床に埃が積もっちゅうき誰も使いやぁせんがじゃろ。それやったら、アシが使おうかの。
｢拠点確保っと、なんぜこれ？｣
小屋の土間に何ぞ見た事がない機械があるが、なんやろ如雨露？にしたらおかしいが。口が下側やのうて真ん中に付いちゅうし、水入れる穴が無いが。なんぜこれ？
後は、変な煙突付きの機械かの？両側に背負革が付いちゅうゆうことは背負うもんながか？こんなん背負うて、何するがやろうか？除草剤でも撒くがか？
｢なんながやろうか、分からんわー｣
ほんに分からん。なんながやろうか、これ。分からんもんはええか、先に水汲んで沸かいて、飲み水の確保をせな。服やら体は、最悪あの小川で洗うたらかまんし。
｢水汲みに行って、それ沸かいて後は、今日はこの小屋で大人しゅうしよるか｣
もう日も落ちてきゆうし、普段の山ならかまんけんど見ず知らずの小島を夜に歩き回るはしんどいし、なにがあるか分からんきな。
イカンが、火ぃ起こすに薪が要るが！生木はイカンき、枯れ枝でも拾いながら戻って来ようか。
｢なんでこんな事になったか分からんが、やる事は普段とそう変わらんきマシかの？｣
元に戻れたらええがじゃけんど、なんか戻れん気がするがはなんでながやろ。
取り敢えず、明日は色々調べてみよか。何か分かるかも知らんし、煙草もあんま無いき人がもしおったら分けて貰おうかの。それと酒、酒が欲しいが。肴もあれば言うこと無しやな。
全ては明日の事か、さてどうなるかよ。
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