IS 〈インフィニット・ストラトス〉~可能性の翼~   作:龍使い

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推奨BGM

○修夜の逆鱗
Borderline Of Madness(ペルソナ4)



第十六話『クラス代表就任パーティー』

「というわけでっ! 織班くん、クラス代表就任決定おめでとう!」

『おめでと~!』

クラスメイトの一人の言葉と共に、他の女子達の声とクラッカーの音が食堂に響く。

時刻は夜の7時30分。この日この時間、予てより一年一組の女子達の間で企画されていた、一夏の代表就任を祝うパーティーが開かれた。

各自飲み物を手に持ち、このクラスで出来た新しい友達と話を弾ませつつ、大いに盛り上がっていた。

……まぁ、これだけ見れば就任パーティーではなく、ただの『親睦会』という感じだな。

そして本日の主役、“織斑一夏”はというと、女子に囲まれながら盛大に質問攻めに遭っていた。中には一夏の腕を組みに行ったり、明らかに背中に胸を当てにいったりと、かなり積極的に“攻められている”様子だった。

……その輪のはずれで、箒が背中から真っ黒な炎を立ち上らせながら、一夏と周囲の女子を蛇か猛禽のように睨んでいるワケだが……。

一方の一夏はというと、女子に絡まれて耳を赤くしながら、それなのに緊張で顔を病人のように蒼くして戸惑うばかりだった。

それ、入学初日でもやったよな、お前。

ならば俺はというと――、

「つ、疲れた……。つか、間に合ってよかった……」

上着を脱ぎ、カッターシャツに黒のエプロンの姿で、調理場とフロアのあいだのカウンターにもたれてぐったりとしていた。

理由は単純。鈴との件の後に急いで寮に戻った俺は、突貫工事もかくやと言う勢いでパーティー料理を仕上げていたからである。

何処ぞの鬼教師の無茶苦茶な命令により俺が調理担当する事となった、このバイキングパーティー……開始五分前と言うギリギリのラインでどうにか間に合わせる事が出来た。

クラス人数分以上、しかもリクエストが多岐にわたった為に、和洋中全ての料理を仕込み・調理・仕上げの三工程に分けて、数日間もかけて作ったのだ。これで間に合わなかったら暴動ものである……。

「お疲れ、修夜。災難だったみたいだね」

そんな俺に対して、俺の向かいのカウンター席で、特別ゲストとして呼ばれた拓海が声をかける。

何でこいつがここにいるかと言うと、俺の知り合いと言うことで、クラスの女子に呼ばれたからとの事。

外部協力員であるこいつは、普段は用意された寮の部屋でエアリオルのデータを纏めるか、整備員として専用機や量産機の点検や整備を担当している。

その為か、実技授業では何かと顔を合わせる事も多く、学園の女子達の間ではちょっとした有名人だったりする。

何より実際に、今も何人かの女子が遠巻きに拓海の姿を見ながら、黄色い声で騒いでいるようだった。

まぁ、蒼羽技研の主任を若干15歳で任されてるって言うのも要因としてあるんだろうが……。

「災難つぅか、何つぅか……。まさか、ここまで多岐にわたるとは思わなかったぞ……」

溜め息混じりにそう呟く俺。

リクエストの内容は、本当に様々だった。定番のパーティー料理から季節の料理、果てはフランスやら中華などの国外のものやデザートに至るまで、それこそ山のようにあった。

それを料理毎に仕分け、食堂のおばちゃん達に許可を取って材料を確認し、ピックアップ後に仕込みと調理を行い、開催日である今日に仕上げを行った。

正直な話、満漢全席を作ってる気分だったわ……。おばちゃん達が手伝ってくれてなかったら、俺はきっと死んでいただろうな…。

「まぁ、それだけ修夜の料理に期待してたってところなんだろうね。

 何故か知らないけど、他のクラスの女子たちまで混ざってる気がするけどね……」

「それ、気のせいじゃなくてマジだから……」

実際に視線を向けると、クラスメイト以外の女子たちが会話に混ざっているのが分かる。

まぁ、それを見越した上で料理はそれなりに多めに作っているから、足りるとは思うけどな……。

「でも、修夜も修夜だよね。なるべくみんなの要望に応えようとして、出来る限りのことしてるんだから」

「料理を作る時は一切の妥協はしない……それはお前も知っているだろ?」

「はは、まぁね」

俺の言葉に、拓海は苦笑しながらそう答える。

そもそも俺が、ここまで家事が上達している理由は、師である夜都衣白夜の影響が大きい。師匠は武芸に秀でた超人であり、生き字引と言われるほどの博識を持っているが、何故か家事に関しては壊滅的なのだ。

それ故に、子供の頃から俺が家事の一切合財を担っており、自分で言うのもアレだが、その影響もあって家事全般はプロ級といっても良い。

また料理に関しては、師匠からの無茶振りをこなし、俺自身が妥協を許さないほどに凝り始めてしまった為、何時の間にかレシピだけで一冊の本が出せるくらいの技量を持ってしまったのだ。

ほんと、何でこうなっちゃったんだろうな、俺……。

「はいはーい、そこの少年。ちょっと良いかな?」

「はぁ、何か御用で?」

そんな事を考えていると、眼鏡をかけた女子がカメラを片手にこちらに近づいてくる。

髪は茶色で一本結びをバレッタでさらに束ねており、眼鏡は縁無し。表情はひょうきんだが、なにやら好奇心旺盛そうにこちらを見ている。

ってか、一年の生徒じゃないな。胸元の黄色いリボンから推測して、二年の先輩と言ったところか……。

「むぅ、少し硬いなぁ。もう少し砕けた感じになれないの?」

少し残念そうに眉尻を下げる先輩さん。

「初対面の、しかも年上の相手に砕けた感じでいられるほど人間が出来てないので、悪しからず」

至極当然のことを彼女に返し、俺はテキトーに流して帰ってもらおうと考えた。

「まぁ、良いや。私は二年の黛薫子(まゆずみ かおるこ)、新聞部の副部長やってまーす。よろしくね」

フランクに挨拶を澄ますと、黛先輩は内ポケットのカードケースから名刺を取り出し、俺に手渡してきた、

新聞部ねぇ……、どうにも嫌な予感しかしないんだが。

そして黛先輩とやり取りする俺に、周りの女子も気がついたのか、段々と視線がこちらに集まりはじめる。

「はぁ……その黛先輩が、何で一年の食堂に来てるんでしょうか?」

「そりゃ、話題の新入生であり、今年一番の注目株である織班一夏君と真行寺修夜君の特別インタビューをするためよ」

素なのかふざけているのか、カメラとメモ帳を手に構えながら小さくポーズを取りつつ、ウィンクしてくる先輩。

擬音を付けるならば、「きゃぱっ☆」辺りが妥当だろうか。

そしてこの喧騒の中でも、こちらのやり取りは聞こえているのか、彼女の言葉に周囲は少しだけ盛り上がりを見せた。

「インタビューって、俺に言える事なんてほとんど無いですって」

ただでさえ無茶ぶりを完遂してクタクタな俺は、とにかく下手なことにされる前に、彼女に失礼してもらうよう牽制する。

上がり症な一夏のことだから、多分この手のことには乗り気じゃないだろうしな。

「まぁまぁ、そう言わずにさ~」

猫なで声で俺に顔を近づけてくる黛先輩。……ってか、一緒にカメラまで近づけてこないでくれ……。

「無いものは無いんですって。つか、記事の捏造なんてされたら堪ったもんじゃないので、本気で勘弁してください」

少し露骨に、先輩に拒否の意を込めて突っぱねる。

すると俺の言葉に、黛先輩の頬が一瞬だけ引き攣るのが見えた。

「……ちょっと、先輩。何で気まずそうな顔しているんですか?」

「サ……サテ、ナンノコトカシラ……?」

わざとらしく左斜め上に眼を逸らし、今にも口笛でも噴き出しそうに口が歪んでいた。

……マジで捏造する気だったんかい。

「ととととっ……、とにかく!!」

「何でもいいのっ、好きな食べ物でも、どこでどんな風に育ったかでも、女の子の好みでも、隠れた趣味でも、そこの彼との関係でも、今日の下着の色とか、日課にしていることとか、簡単おいしいレシピとか、今のルームメイトに対する心境とか……!!」

捏造の件をなかったことにしようと、立て板に水の勢いで、次々と質問の項目を挙げ連ねていく黛先輩。

いくつかおかしそうものもあるが、よくこれだけ思いつくなぁ……。

「そうそう!!

 あの試合でどんな感じに“にっくき代表候補生”を“蹴散らして”、どうやって“手なずけた”かとか!!

 特にこの辺りを、特にぃっ!!」

………………。

 

シュ――

 

ダンッ

 

パーティー会場は祭りの喧騒から一転し、水を打ったような静かさになった。

当たり前か、先輩の後ろにあったコンクリの柱に、俺が投げたフォークが深々と刺さっているんだもんなぁ……。

あらら、みんなこっち向いて固まっちまってら。

先輩なんて顔まで真っ青で、まるで瞬間冷凍されたみたいだなぁ。

ははははははは。

あぁ、言うべきことは言っておくか……。

「黛薫子副部長さんよぉ、イイ新聞記事のネタが見つかったぜ?

 “俺が嫌いのもの”ってのがあるんだが……」

おいおい、アンタが取材したいって言ったんだぜ?

そんな殺人鬼にでもあったような、ビビった顔するなよ?

「一つ目は主人公を叩いて笑いにするハーレムもの小説、二つ目はクソ不味い飯で金をぼったくる『自称』高級レストラン……」

ほらほら、そんな御大層なカメラとメモ帳もあるんだし、さっさと仕事をしたらどうなんだ?

それとも俺が取材を受けてくれて、嬉し過ぎて凍りついちまってんのか?

まったく、これだから騒がしいだけのヤツは嫌なんだよなぁ……。

――それじゃ、とびきりのスマイルで解答して見るか。

「そして三つ目は、“俺の身内の罵詈雑言を書きたてて笑えるゴシップ記者”だ……!」

「ひぃっ――?!」

おい『ひぃっ』じゃねえだろ、オメェだよナニ泣きそうになってんだ、分かってんのか?

「はい、修夜。そこまでにしておきなよ……?」

いいところで、拓海があいだに割り込んできた。

「こう見えて、修夜は身内とか仲間内に係わると沸点低いんですよ。

 勢いでも、彼の気に入っている人間を悪く言うのは、先輩さんの寿命を縮めることにしかなりませんよ?」

いつもの“拓海スマイル”に救われてか、ゴシップ記者は無理矢理に笑顔を作って平静を装い、食堂の入口前の洗面所に掛け込んでいった。

……そのまま、チビっちまえばよかったのに。

 

「まったく、少しはそのクセ抑えなよ?」

苦笑いを浮かべながら、拓海は俺に忠告してきた。

「……性分だ」

悪いが昔から、これだけは抑えが効かない。

「やれやれ……。ま、ちょっとスカッとしたかな?」

呆れた風な溜息を吐きつつ、しれっと本音を漏らす拓海。

食堂のフロアも、すでに先ほどまでの喧騒を取り戻しつつあった。

「あの……、なにがあったのですか……?」

恐るおそるといった風に、聞き慣れた声とその主がこちらに近づいてくる。

「おぉ、セシリア。楽しんでるか?」

「えぇ、修夜さんもお疲れ様です」

コップを両手で持ち、リラックスした雰囲気で佇んでいた。

「さっき新聞部の2年生の人が訪ねてきてね。

 ちょっと不謹慎な発言をして、それが見事に修夜の“地雷”だったってわけ」

横から拓海が、カウンターに置かれたスモークサーモンのマリネの皿に箸をつけつつ、セシリアに現状を説明する。

それを聞いたセシリアだったが、拓海の後ろにある柱に刺さったフォークを見て、思わずぎょっとした顔をした。

「それで……、その新聞部の方は?」

「アレじゃない?」

拓海が箸とは逆の手で指差すと、そこには女子の壁をかき分け、一夏にインタビューを敢行する芸能レポーターのような人影があった。

なんというか、ずいぶん逞しい根性の持ち主のようである。

「……懲りるってことを知らんのか、あの先輩は……」

思わず愚痴り、拓海もセシリアも苦笑を浮かべた。

「そういえば、あなたは……?」

「……あぁ、そういえばこういうかたちでは初対面だったね?

 はじめまして、蒼羽技研開発部・主任で修夜の幼馴染の相沢拓海です。

 修夜からは色々聞かせてもらっているよ。

 機会があれば、君の青い雫(ブルー・ティアーズ)も見せてもらいたいかな」

「あぁ、あなたが修夜さんの……!

 はじめまして、連合王国代表候補生セシリア・オルコットです。

 これらも修夜さんから、兼ねがねお話はかがっておりますわ」

爽やかに微笑む拓海と、慇懃にお辞儀するセシリアの対比は、二人の人間性を端的に表しているようで、なかなか面白い構図だった。

ふと一夏の方を見てみると、黛先輩の勢いに押されながら、案の定あがりっぱなしになっていた。

 

――自分、不器用ですから

――うわ、前時代的! ……まあいいか、適当に捏…

 

………ギロ

 

――はぅっ?!(ゾクゾク…!)

――ど…、どうかしたんですか……?

 

あのゴシップ女、まだ懲り足りないようだな……。

「ホント、懲りるってことを知らないみたいだねぇ……」

拓海は本気で呆れているらしく、珍しく眉を寄せていた。

「セシリア、爪の垢をよこせ。煎じてピッチャーで飲ませる」

「えっ……ええ…?!」

本気でやろうと考えたが、すぐさま拓海がツッコミを入れてきたので未遂に終わった。

 

お祭り騒ぎの熱が冷めぬ中、宴もたけなわの内に就任パーティは終了したのだった。

 

――――

 

ちなみに――

 

パーティー終了後、後片付けのひとしきり終わった食堂のカウンター席に、俺と残業を終えた千冬さんと山田先生がいた。

俺たちのあいだにあるのは、カウンターに乗った一枚の皿。

「……これだけか?」

「……えぇ、これだけ……です……」

残業の千冬さんと山田先生のために残しておいたはずの料理を、俺がくたばっているあいだにキッチンに侵入し、あまつさえくすねたヤツがいたらしい。その結果、二人のために残っていたのは、エビチリ三尾と付け合わせのサニーレタスだけだった。

「そ……そんなぁ~~……」

力なく崩れる山田先生。

疲れていたとはいえ、料理を盗られる隙を見せた俺にも責任はあった。

二人のために作りたいのは山々だが、余計な材料は残っておらず、冷蔵庫は明日の食事の準備で詰まっていた。

生徒が利用できるスーパーはとっくに閉まっている。

すると、皿を見つめて微動だにしていなかった千冬さんが、おもむろに口を開きかける。

「………………れ」

「……はい?」

……何か今、聞こえちゃいけないものが聞こえたような……?

「い ま す ぐ に で も つ く れ え え ぇ ぇ っ っ !!!!」

 

――ですよね。

 

結局、千冬さんに職員用のコンビニへとしょっ引かれ、生鮮コーナーで材料を買わされ、賄い飯を振る舞うことになった。

……賄いと言いながら、がっつりラーメン定食(チャーハン・餃子セット)とエビチリの追加を作らされ、結局俺が就寝出来たのはてっぺん越えの1時前だった。

 

――――

 

おまけ――

 

修夜が千冬さんにラーメン定食を振る舞っているその頃、ルームメイトが既に寝静まる中で、黛薫子はパソコンのキーボードを軽快に叩いていた。

「ふふふ、ペンは剣より強し……、報道は暴力や脅しには屈しないわよ~~!」

懲りない女である。

「セシリア・オルコットさんを“俺の身内”だなんて、これはもしかすると、もしかするわよ~~!

 そう、これは捏造ではなく、当人の発言に基づく純然たる『予測』よっ!!

 これで文句をつけられないはずだわ、いまに見ていないさいよ~~!」

嬉々として、パソコンのワープロソフトに文字を打ち込み続ける黛だが、独り言を言いながら画面を睨む顔は、傍から見れば充分に“危険人物”の様相だった。

「そうねぇ見出しは……、ズバリ『期待の男子、代表候補生と熱愛疑惑?!』――コレね!

 ふふふ、これで次の学園の話題もイタダキ……」

ウキウキと、自分の勝利を確信しながら、仕上げに入っていく黛。

だが、次の瞬間――

 

――プツッ

 

「っ?!!??!」

突如としてパソコンの画面がブラックアウトを起こし、機能を停止させる。

「ちょっ……、ちょっと…いきなりナニよ~?!」

一瞬パニックになりかけたが、黛はすぐさまUSBメモリースティックでバックアップを取っていたことを思い出し、小さく深呼吸をしてパソコンを再起動させる。

「まったく、この部屋のパソコンって、実は古いのかしら……?」

なかなか立ち上がらないパソコンにイライラしていると、ようやく画面が反応を示して起動しはじめる。

操作可能になると、黛は早速パソコンの内部データをチェックしにかかる。

デスクトップに異常は無し、本体のハードディスクにもダメージ無し。

損害らしきものは見当たらなかった。

「あぁ~、びっくりした……」

これで引き続き、記事の執筆と編集ができる。

そう思いながら、ワープロソフトを立ち上げると――

 

『データがありません』

 

「…………ぇ?」

 

USBメモリースティックの内部から、今まで執筆してきた記事のデータ“すべて”が、キレイに消えていた。

「ちょちょちょ……、ななな……なにこれえぇぇぇえっ!?」

思わず叫んでしまうも、ルームメイトが起きそうになったことに気づき、落ち着くようにと自分に言い聞かせる。

何度も確認するが、メモリーのデータは空っぽ。何一つ残っていなかった。

「何の……何が起きたっていうのよ……」

頭を抱えて必死に原因を考えるも、一向に思いつくことは無い。

そこに――

 

――ピピピ

 

パソコンに一通の電子メールが送信されてきた。

何事かと思い、そろそろとメールを確認して見ると、そこには次のようにあった。

 

 

前略、新聞部・副部長さま

中々に楽しい記事をお書きのようですが、当方も今回の記事につきましては、些か度が過ぎると感じ、このような強硬手段に出ることと相成りました。

今後はこのようなことが無きよう、そして私をこのような行為に走らせないよう、公平かつ謙虚な記事の執筆をおこなうことを、お願い申しあげます。

 

Leo-IZ

 

 

「れお……」

それは、間違いなく自分のデータを消し去った犯人からの連絡だった。

どこの誰かは分からない、ましてどうやって自分のパソコンとユーザーIDを確認し、学園の堅牢なセキュリティを掻い潜れたのかは、皆目見当もつかない。

「なにが『お願い申しあげます』よ……、ハッカー風情が良い気にならない……」

怒りに火がつく直前、黛は画面のスクロールバーにまだ下があることに気が付き、バーを下げてみる。

すると――

 

 

P.S.

こんなものが見つかったので、コレもお預かりします。

次に下手な真似をするとどうなるのか、よくご検討ください。

(^^)

 

よく見ると、メールに添付ファイルがあることに気がつく。

ウィルスの危険性を考えつつも、恐るおそるファイルを開くと……

 

「 ? ! 」

 

そこには、自分がかつて暇つぶしのお遊びで作ったコラージュ写真があった。

しかも、よりにもよって『織斑千冬と山田真耶が全裸で抱き合う百合写真』である。

無論、お遊びで作ったものだし、黛当人も腹いせと悪ノリでやったことなので、作ったこと自体をあまり憶えてはいなかった。

なにより、最近消したはずのデータだった。

 

ばれたら死ぬ。

 

学園有数の鬼教官として知られる織斑先生に、こんな蛮行が知れれば……。

いやいや、当人からばかりでなく、学園中の織斑先生ファンを敵に回してしまう。

黛にもはや、選択肢など無かったのだった。

 

こうして黛が発行した記事は、それまでのゴシップ記事ではなく、民間の新聞社の紙面もかくやという、公平で謙虚な文面となった。

のちにこれは『黛の撹乱』と呼ばれ、しばらくの間、学校の話題の種となったのだった。

 




切りが良かったので、ここまで。この後幕間を投稿して、今回の更新とさせていただきます。
最後のオチがアレな気もしないでもない……そこまでして食べたかったのか、千冬さんw

それと、この作品の世界観では、幾つか独自の設定が取り入れられてます。最後に出てきた職員用コンビニとかがそれにあたります。
この辺はまだ完璧に纏まっていないので後日となりますが、とりあえず原作の曖昧な部分を埋め合わせた結果として今後も出していきますので、ご了承ください。

ところで、皆さんに質問ですが【アンチ・ヘイト】のタグを入れたほうが良いでしょうか?
個人的にはまだそこまでの事はしてないと思ってるんですが、後々のことを考えると入れたほうが無難かなとも思ってるので、悩みどころです。

ではでは

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