ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】   作:スラッシュ

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最後の記念企画、今回は マルク マークさん の設定です。

これからもヤンデレ・シャトー、頑張らせて頂きます!


ヤンデレ風呂 【25万UA記念企画】

「……ふぅ……疲れた」

 

 夕食の後、荷物運びをして疲れた俺はベッドへバタリと倒れ込んだ。

 

 昔のアルバムやらなにやらを整理したりと、2階と1階を何度も行き来してこの季節では珍しい位の汗をかいた。

 

「あー……風呂入ってねぇ……まあいいや」

 

 眠気が襲う。正直寝っ転がったらもう立ち上がるのも面倒臭い程疲れていたのだ。

 

「……おやすみ……」

 

 この後滅茶苦茶後悔した。

 

 

 

「今回はお前も色々あって疲れたようだからな、温泉を用意した」

「なんだか随分気前が良いな……いや、騙されねえぞ!」

 

 そのまま流される所だったが、ここに来ると自然に頭も体もスッキリとするのでエドモンの発言の怪しさに気が付いた。

 

「騙すも何もそのままなのだがな……当然ながら服を着たまま入るのは禁止だが、特別に水着の着用は許す。

 温水プールだとでも思ってせいぜい楽しむ事だな」

 

「ヤンデレと温泉とか絶対アウト! 無理だムリ!」

「知らん。アウトになるかどうかはお前次第だ。なお、出口は無い。時間まで粘る事だ」

 

 文字通りの丸裸でどうしろというのだ。

 

「……コレで今回の無茶振り(企画)は最後だ。精々頑張れ」

 

「何時も無茶振りだっつーの!」

 

 

 

 気がつけばロッカーが沢山置いてある更衣室の様な場所にいて、服装も水着へと変化していた。

 

「更衣室の意味……もう着替えているなら必要ないだろ……」

 

 ご丁寧に洗面台に鏡、コーヒー牛乳の入った冷蔵庫まで置いてある。

 

「すぅ……はぁ……よし、入るか……」

 

 全く心の準備など出来ないが、此処で止まっていても駄目なのは承知の上だ。

 

「行くぞ……!」

 

 意を決して、スライド式の扉を開けた。

 

 

「お母さん!」

 

 閉めた。すぐに閉めた。

 

 アウトアウトアウト!! タオルも無ければ羞恥心すら無かったよあの子!?

 

「……いや待て……そうだよ。

 小さい子供は性別関係無しにお母さんと女湯行ったり、お父さんと男湯行くし……つまり変な反応した俺がおかしいんだ……良し、行こう」

 

 気を取り直しもう一度開いた。

 

 

「お母さん!」

 

 今度はドアを開いたと同時に抱き着かれた。

 

「じゃ、ジャックちゃん……」

 

 何とか転ばずに受け止め、辺りを見渡す。

 

 床は浴場らしいタイル張りで、壁も至って普通。湯船も、普通の湯の様だ。

 

「お母さん! 背中洗いっこしよう!」

 

 子供っぽくって可愛いなと思いつつ腹部の辺りで柔らかい感触を感じる。

 そういえばジャックは結構胸が……

 

(いやいや、この程度で反応するな! ロリコン駄目、ゼッタイ……)

 

「お母さん?」

 

「じゃあ、洗っこしようか」

「うん!」

 

 もう最初から危ないが、ここからは冷静に行こう。

 

 ジャックは鏡の前でバスチェアに座り、俺もその横に座った。

 

「じゃあ、先ずは髪から洗おうか」

「うん!」

 

 蛇口を捻り、シャワーから暖かい水が出る。それをジャックの髪にかける。

 

「ふぁ……」

「これくらいにして……っと」

 

 シャンプーの容器を手に取り、掌に垂らし、ジャックの髪に乗せ、広げる。

 

「ん……気持ちいい」

「そうか?」

 

「うん! お母さんの手、優しくて暖かい!」

 

 暖かいのは水のせいだと思うが……とは言わず、ジャックの髪を隅々まで洗う。

 

「じゃあ、水流すよ?」

「うん! お目々閉じるね!」

 

 シャワーでジャックの髪についたシャンプーを全て洗い流した。

 

「じゃあ、次私たちの番だね!」

「ゆっくりでいいよ……」

 

 ジャックはバスチェアから立ち上がりシャワーを持って俺の前に立った。

 シャワーから流れる水が俺の髪から体を濡らしていく。

 

「えっと……次は……」

 

 たどたどしい手つきでシャンプーを手に取ると俺の髪に広げ始めた。

 

「ゴシゴシ、ゴシゴシ……」

「ん……良いよ」

 

 初めてだからか手付きがおぼつかない様だが痛くは無いので続けてもらおう。

 

「後ろと横にもね」

「うん! ゴシゴシ……」

 

 今はシャンプーが目に入ると痛いので目を閉じているが、恐らく目を開けばジャックの女の子の部分が丸見えだろう。

 

(やばい……なんか今日の夢、色々エロい……)

 

「お母さん、流すよ?」

「うん、大丈夫だよ」

 

 再びシャワーが点けられシャンプーが洗い流される。

 

「体は自分で洗ってね」

「うん!」

 

 タオルに石鹸を擦り付け、体から腕、足の順番で洗う。

 

「ゴシゴシ、ゴシゴシ……」

「……」

 

 ジャックの楽しそうな声だけが響く。

 

「……」

 

 視線を感じたのでジャックを見る。腕を洗い始めた。

 どうやら俺の真似をしているらしい。

 

「ゴシゴシ、ゴシゴシ」

「……」

 

「ゴシゴシ、ゴシゴシ」

 

 何も起きないまま体が洗い終わり、シャワーに手を伸ばした。

 

「あ、お母さん! 先に背中を洗いっしよう!」

「あー……そうだね」

 

 ジャックちゃんが慌てて止めたので俺は頷いた。

 

「じゃあジャックちゃん、背中向けてねー」

「うん」

 

 クルッと背中を向けたジャック。俺はタオルを手に、優しく擦った。

 

「……ふっふふ……お母さん、くすぐったい」

「そ、そうか?」

 

 少し力を込めて擦る。

 もうくすぐったくは無いようだ。

 首の後ろ、両肩、背中……擦り終わるとジャックがクルリと振り返った。

 

「じゃあ今度は私たちの番!」

「はいはい……」

 

 今度は俺が背中を向けてジャックがタオルを擦り始めた。

 

「痛くない?」

「うん、痛くないよ」

 

 若干身長差に戸惑ってぎこちない手付きになってはいるが、それが今は心地良い。

 

「えいしょ……えいしょ……」

「急がなくていいからねぇ」

 

 一生懸命さが伝わってくる。

 やっぱり女の子はこれくらい純粋な方がいい。

 

「もういいよ」

 

 頃合いを見て終了を言い渡す。

 

「うん!」

 

 2人同時にシャワーを手に取って体中を洗い流した。

 

 

「ブクブクブクブク……」

「ジャックちゃん、お風呂の水は飲んじゃ駄目だよ」

 

「ぷぁーい」

 

 湯船に浸かった。水着のままなので違和感があるが、アヴェンジャーの言葉通り、温水プールとでも思っておこう。

 

 ジャックも泳いでいるし…… 

 

「大きなお風呂、楽しいねお母さん!」

「ああ、そうだね……」

 

 俺はリラックスして浸かっているが……ジャックが目の前に現れる度に肌色とピンク色が目に入って精神的に色々良くない状態だ。

 

「……いい湯加減だ」

 

「へへへ……! えい!」

「おわ!?」

 

 急に勢い良く抱き着かれ、バランスを崩して危うく体を倒す所だった。抱き着いたジャックはピッタリくっついて放れない。

 ジャックの意外とある胸に興奮しかけるもロリコンでは無いので(無いです)何とか抑える。

 

「お母さん……」

「じゃ、ジャックちゃん?」

 

「体……あつぃ……お母さんのそばにいると……もっとくっつきたくなる……」

 

 顔は赤く染まっていて、呼吸も早い。だが、ぼーっとはしていない。

 あまり考えたくは無いが……どうやら発情したらしい。

 

「ジャックちゃん、のぼせたみたいだし一旦上がろっか」

「うん……」

 

 ジャックを抱きかかえて湯船から上がる。体重33kgだから楽だ。

 

「冷たい水だけど、ちょっと我慢してね」

「はぁい……」

 

 シャワーを冷水にして、少しづつかける。

 

「んん……冷たい……」

「もうちょっと、我慢してねぇ……」

 

「ぁ……っ」

 

 ジャックが指でつんつんと俺の腕を突っつく。

 

「ん? どうしたの?」

「此処に……もっと当てて……」

 

 そう言って指差したのは…… 

 

「駄目ダヨー。ソコヲヒヤストオシッコシタクナッチャウカラネー」

「ん……分かった……」

 

 ある程度冷やすと水を止め、ジャックちゃんをバスチェアに座らせる。

 

 あたりを見渡し少し違和感を感じて浴場の奥を見ると扉が現れていた。どうやら次はあそこらしい。

 

「じゃあ、行ってみますか……」

「待って……私たちも、行く……」

 

「大丈夫なの?」

 

 こっちとしては置いておきたいが、どのみち後から追いかけて来るだろうしあまり変わりないか。

 

「大丈夫、もう平気」

「分かった。一緒に行こう」

 

 顔色も元に戻ったようだし、仕方が無いので一緒に連れていく事にした。

 

 

「……ん? 露天風呂?」

 

 開いた先はタイル張りでは無く木材の床に、岩で囲った温泉が幾つか見える。

 

 どうやら、既に誰か入っている様だ。

 目の前にある一番大きい温泉では薄っすらとピンク色が見える。

 

「って、まさか!?」

 

 急いで振り返ると先の扉は無くなっている。そして扉のあった場所の上方向に“混浴”と書かれている。

 

(なるほど……先のは本当に男湯だった訳だ。だから子供のジャックだけ入ってこれたんだな)

 

 納得はしたが状況は変わらない。

 ……仕方が無い。大人しく温泉に入るとしよう。

 その前に……

 

「っはぁ! 冷てぇ!」

 

 壁に置いてあったロープを引っ張ると桶が逆さになり中の水が落ちてきた。

 

「お母さん?」

「……かけ湯だよ、別にジャックちゃんはやんなくてもいいからね」

 

 よし、性欲も冷めた。これでなんの問題もない。ハズ。

 

「失礼します」

「ふふ……お待ちしてましたよ、先輩」

 

 先に入っていたのはシールダーのマシュだ。誘惑の為か、ルールを守っているのか、タオルは巻いていない。

 

 俺の入った後にジャックも入ってきた。

 

「わー! 先より広い!」

 

「先輩、もっと近付きませんか?」

「いや、此処で十分だ」

 

 なるべくマシュの肌を見ないようにと距離を取る。マシュも恥ずかしいのか若干頬が赤い。

 

「なら、こちらから近づいちゃいますね?」

 

 マシュがゆっくりと立ち上がって近付いてくる。残念ながら俺は逃げる事は出来ない。

 

「お母さん、ぎゅー……!」

 

 何故ならジャックが俺の膝の上に乗っているからだ。

 

 マシュは俺の左隣に座るとそっと左肩に顔を預けて来た。

 

「私、初めて露天風呂に入りましたけど、気持ちいい物ですね」

「まあな……」

 

 気にしないフリで乗り切ろうと艶のある肌の感触には反応せずに、数分待った。

 しかし、マシュは放れるどころか更に押し付けている。

 

「……暑いから離れてくれないか?」

 

「……だそうですよ、ジャックさん」

 

 いや、お前だよ。マシュに言ってるんだけど。

 

「ふぇ? お母さん、邪魔?」

 

「いやまあ、退いてくれるなら2人共退いてくれると嬉しいなぁ」

 

「せんぱい……私の此処は、夢心地ですよ?」

 

 そう言ってマシュはこれみよがしに胸を、主にいちご部分を左腕に押し付けてくる。照れている様だが、今日はやけに積極的だ。

 

「? お母さんが好きなら私たちもする!」

 

 意味は分かっていないがジャックはその発展途上な胸を抱き着きながら、先よりも強調してくる。

 

「せんぱぁい……」

「おかぁさん……」

 

 2人はギュッと瑞々しい肌を俺に当てる。ダメだ、耐えれそうにない。

 

「……ええい! 暑苦しい!」

 

 湧いてくる劣情を誤魔化すためにそう叫んだ。

 

「っきゃ!」

「わっ!」

 

 我慢の限界だった俺は2人を押し退け温泉から出た。

 

「先輩……私の胸、お気に召しませんでしたか?」

 

 マシュは俺の足を掴んで引きとめようとする。以前の時と今回は、必死さが違っていた。

 

「な、なんでもしますから……! どんな、辱めでも……エッチな、事も……ですから、隣にいて貰えませんか?」

 

 涙目になりつつ手を下半身に伸ばそうとする。

 

 その誘惑を振り切る為に隣の冷水風呂に入った。

 

 

「冷たぁ……っくー……」

「あら、お兄さんも冷湯?」

 

 そりゃあエンカウントするだろうな。浴場以外に行ける場所も少ないし。

 

「クロエかぁ……」

 

 小悪魔系褐色ロリから全力で目を逸らし、瞑った。

 艶のある褐色肌なんて見てない、見てない。

 

「目なんか瞑っちゃってぇ……

 可愛いな、もぅ」

 

 甘えた声が耳元で聞こえるが、次の瞬間に冷水よりも冷たいモノが喉に当てられる。

 

 恐らく、剣身だ。

 

「目を開けてよ……ね?」

 

 剣身が剣先に変わるのを感じて、目を開いた。

 

 視界はクロエの顔でいっぱいだった。

 

「おわ!?」

 

「ふふ……今回は、ちゃーんと、キスしてあげるからね?」

 

 蠱惑的な笑みを浮かべてはいるが、片手に物騒な物を持っているので勃つことはない。

 

「じゃあ、大人しくしててねぇ……」

 

 武器を捨て両手で顔を抑え、ジリジリと唇が近付いてくる。

 クロエは自分の舌で唇を舐め、獲物を獲ろうとする獰猛な瞳をコチラに向ける。

 

「チュー……ん」

 

 回避。顔をクイッと動かして頬に唇が当たった。

 

「む……あんまり抵抗すると、クロエ、お仕置きしちゃうからね?」

 

 可愛い口調で言ったつもりだろうが、目がマジなので恐怖でしかない。

 

「じゃあ今度こそ、チュー……」

 

 近付いて来る唇。顔抑える力が先よりも強い。

 

「お母さんに近付かないで!」

 

「おわっ!?」

 

 突然、俺とクロエの顔の間にナイフが入り込み、クロエは慌てて回避した。

 

「ちょっと!? 今回はお兄さんの入ってる湯の中のサーヴァントだけが接触ってルールじゃなかったの!?」

 

「私たちは、そんなルール無い」

 

「あっちゃー……男湯に入れる年のこの娘にはそんな縛り無いのかぁ……私は設定上は小学生だから入れなかったし……」

 

 クロエがしまったなーみたいな顔をしている間に、さっと冷湯から出た。いい加減体が冷え切っている。

 

「あー! お兄さん、もう出る気!?」

「キス魔と入浴なんて御免だ」

 

 危ない湯船からさっさと退散し、次の湯船を探す。

 

「先輩……こっちに戻って来て下さい……」

 

 呼ばれた方へと視線を移すと、温泉から出れないマシュが岩に腰掛けてこちらを手招きする。

 

「……私、寂しいです……」

 

 蒸気に隠れて大事な所は一切見えていないが、温泉に浸かっている下半身がコチラからは見えないので、まるで人魚の誘いだ。

 

「お母さん! 一緒に入ろう!」

 

 そう言ってジャックは俺の手を引っ張ってギリギリ2人くらいなら入れそうなドラム缶風呂を指差す。

 

「お母さんに抱き着いてると、すっごく安心するの! ねぇ、一緒に入ろう?」

 

「お兄さん? 隣のジェット風呂なら、私と一緒に入れるわよ?」

 

 クロエも負けじと冷水から身を乗り出しジェット風呂を囲っている岩の上でコチラに背中を向け小さく尻を揺らす。

 

「も、もしご主人様がして欲しいなら……もっとエッチな事も……クロエ、頑張るから……」

 

 岩に座って、口に手を当てメイドっぽい口調であざとい恥ずかしさを全面に出し、両手でギリギリ見えない程度に胸と下半身を隠している。

 

 3人からそれぞれ色仕掛けな誘いを受ける。

 何処にも入りたくないが体が冷えているので出来れば何処かで温まりたい。

 

「お母さん早く入ろう!」

 

 待ちきれない様子のジャックは、俺の腕をグイグイ引っ張ってドラム缶へ行こうとする。

 

「……ん!? サウナ発見!」

 

 俺は風呂場にあった扉を見つける。札にはサウナと書かれている。が、狭い部屋でヤンデレと一緒は勘弁だ。

 

「先にサウナに行ってくるからジャックちゃんは先にお風呂に入ってて、ね?」

「やだ。私たちも行く」

 

 どうあっても動きそうに無いので、仕方ないからジャックもサウナに連れて行く事にした。

 

 

「……」

 

「……お、サウナにようこそ」

 

 サウナの中ではタオルを巻いた美女、両儀式が出迎えた。

 

 サーヴァントの中では珍しい、日本人で現代を生きた英霊だ。

 なんか、暑いの苦手なイメージがあるんだが……

 

「なんだよ? オレがサウナにいちゃ悪いか? まあ、座れよ」

 

「あ、いや……遠慮しておこうかなぁ? ジャックちゃん、やっぱり出よっか」

 

「はーい!」

 

 そう言って扉に手をかけ開いた。

 

「そう言わずに、な?」

 

 が、退出する前に式が俺の手を取り、無理矢理座らせた。

 

 ジャックは先に出ていたので、式が扉に鍵をかけ、入れなくなった。

 

「内側からしか開けられない扉だ。無敵状態付加してある」

 

 それ詰んでませんかね?

 

「ほら、あんま警戒すんなよ、何もしないよ。こんな所でナニしたら火傷するしな」

「いや、そういう問題じゃなくてな……」

 

 ヤンデレと密室で2人きりとかめっちゃ嫌なんだけど……

 

 タオルを巻いてはいるので大事な所は見えていないが、式の太ももは丸見えだし、タオルから除く谷間には釘付けになりそうだ。

 

「なんだ、マスターも大概スケベだな。嫌がってる割には、人の体ジロジロ見やがって」

 

 式は意地悪な笑みを浮かべて耳元に近づいて囁いた。

 

「……取って欲しい? それとも、剥ぎ取りたいか?」

「っ!?」

 

 どうやら女性の裸の見過ぎでストッパーが緩くなっているらしい。今の誘いに色々な所が思わず反応した。

 

「ふふ……やっぱりスケベ。剥ぎ取りたいって顔してるぜ?」

 

 式が俺の手をタオルに当てる。

 

「ほら、後は少しズラすだけで取れちゃうぞ?」

「あ……う……」

 

「どうせ、他の奴らのも見たんだろ? 今更オレのを見ても変わらないって……な?」

 

 悪魔の囁きに心が揺れる。

 

「いやいや、でも……」

 

「……しょうがない奴だな……ほら」

 

 式は自らタオルを少し下げて谷間の更に奥を見せる。

 

「っ……ゴク」

 

 思わず喉を鳴らした。見ればピタリとくっついているタオル越しにピンと立って式の胸の先端が主張している。

 

「オレも、マスターに見られて興奮してるんだ……な? それとも、いやらしい女は嫌いか?」

「…………」

 

 俺の顔はこれ以上に無いってくらい赤くなっているだろう。ちょっとだけ、ちょっとだけと血迷った考えが頭を過る。

 

 どうやらサウナの熱にやられたらしい。

 

「もう、焦らさないでくれよ?」

 

 困った顔を見せられ、タオルを掴む腕に力が入る。

 

(剥ぎ取りたい……剥ぎ取りたい……裸を……)

 

 このままでは不味い。

 式の誘惑に負ける前に逃げなくては!

 誘惑の渦巻く頭の中でそんな使命が頭に過り、俺はそれを実行した。

 

「――【必殺、トライデント】ォォォ!!」

 

 ブリリアント・サマー礼装のスキル、無敵貫通を発動させ、サウナの扉を蹴りでぶっ飛ばした。

 

「ちょ、マスター!?」

 

「うあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 興奮と後悔とが混ざり合った制御不能の感情のまま、俺は露天風呂の壁を抜けて更に奥へと突っ走った。

 

 

 

「っはぁ……はぁ……」

 

 最近本当に誘惑に弱くなってる気がする。以前ならもう少し上手くやり過ごしていた筈なのに。

 

「ちょ、ちょっと自重しようぜ……俺ぇ……」

 

 そんな愚痴をそっと心に仕舞いつつ、息を整えて辺りを見渡した。

 

「……そういえば露天風呂の壁を超えてやってきた筈だが此処は?」

 

 奇妙な事に壁を破ってここまで来たのに先までと同じ木材で出来た床の上を歩いている。

 

「もしかして、隠蔽されてた秘湯とか……」

 

「っきゃ!? ま、マスター!?」

 

 1人で露天風呂を抜けた先にある秘湯、もとい牛乳風呂に入っていたのはキャスター、メディアだった。

 今までのサーヴァントとは異なり、何故か恥ずかしがっている。

 

「こ、これはその……! ぎゅ、牛乳風呂は美肌効果があるから……!」

 

 なるほど、老けていると思われたくなくて1人だけこっそり入ってた訳か。

 

「失礼しましたー」

 

 ならさっさと離れてあげよう。女性の美容に男は関心がなければ邪魔もしない。

 

「あ、ま、待って下さい! 

 ……一緒に、入ってくれませんか?」

 

 立ち上がり、魔術を使って湯気で体を隠したメディアは俺を誘うが入る理由は無い。さっさと退散しよう。

 

「ゆっくりして堪能してていいから……」

「マスター、お、お願いします!」

 

 と言いつつ魔力で構成されたロープの様なモノを掌から放ち、俺の体を縛り、引っ張られる形で俺は湯船に無理矢理入れられた。

 

「うぉわぁ!?」

「っは!? だ、大丈夫ですかマスター!?」

 

 大丈夫だ。痛みは感じないので骨折の心配は無いだろう。湯水が鼻と口に入って大変だけど。

 

「げっほ、げっほ! 大丈、夫だけど……出来れば、コレ、外してくれない?」

 

 心配してくれてはいるが拘束は外さないらしい。

 

「……え、えっとそれは……だ、駄目です!」

 

 何故か強い口調で返され微塵も緩める気のない拘束のまま、メディアは俺の隣に座った。

 もうここまで来たら後には引けないようだ。

 

「せ、折角の混浴ですから、一緒に浸かりませんか?」

 

 質問してはいるが、拘束しているロープを引っ張って座らせようとしている辺り、拒否権はないらしい。

 

「……分かったからこれ緩めて。痛い」

「は、はい!」

 

 抵抗の意思を見せずに頼むと、メディアはあっさり拘束を緩めた。

 俺はそっとその場に腰を落ち着かせた。

 

「所でマスター、どうしてこちらに? 認識阻害の魔術で壁がある様に見せかけていたんですが……」

 

「……ちょっと走っただけだ」

 

 なるほど、見せかけだけの壁だったから走って突破出来たのか。

 

「恥ずかしながら、私の肌をマスターにお見せする自信が無くて……」

 

 今回のサーヴァント達は普段とは別のベクトルで必死だ。

 皆が俺に好かれようと必死で、尚且つ嫌われない様にしている。

 

 同じヤンデレだが、どうも言動が普段と違う。マシュはやたら積極的だったし、メディアは自信なさげ、ジャックやクロエ、式は普段通りな気もするが、今思えば式の攻めも以前と比べたら大人しかった。

 

「こうして縛るのが精一杯です……」

 

 ロープに頬ずりするな。

 

「はぁ……マスターと今、繋がってる……」

 

 何か意味深な事を言ってるがロープで強制的に縛られているだけだ。

 

「こうしマスターと入っていると、もう夫婦な感じがしますね?」

「ソーダネー」

 

 風呂を嫌がるペットと飼い主だろとは言わずに、棒読みで頷いた。

 

「……あの、出たいんだけど……」

「も、もう少しだけ……この黄金体験を……」

 

 言いながらメディアはロープの拘束を少し強める。

 ヤバイ、時間が経てば病みが深まり始めるぞコレは。 

 

「……睡眠薬、いえ媚薬の方が……」

 

 なにか物騒な物が聞こえてきた。

 だけど、今のメディアならそれとなく頼めば解いてくれる筈だ。

 

「あー……俺、束縛とか嫌なんだけどなー」

 

 チラッ。

 

「のぼせたら困るしなぁ……」

 

 チラッ。

 

「はぅ! わ、分かりました……すぐに解きますね……!」

 

 メディアは俺の言葉が効いたらしく急いで拘束を解除した。

 

「じゃあ、俺は失礼するよ」

 

 さっと風呂から出る。

 

「ま、マスター……私もご一緒――」

 

 とりあえず、また捕まらない様に牛乳風呂から離れ、先までいた場所へと歩き出した。

 

 

「お母さん!」

 

 メディアの作った壁からジャックが現れ、抱き着かれた。

 

「何処行ってたの?」

「あー、ちょっと走りたくなっただけだ。心配したか?」

 

「うん! 皆心配してたよ! 早く行こう!」

 

 ジャックに腕を掴まれ、壁へと引っ張られる。

 何故か凄く嫌な予感がする。

 

「ちょ、行くって何処に!?」

 

「皆、待ってるよ!」

 

 認識阻害の壁を超え、元の浴場へと戻ってきた。

 

 そこには、先とは違う大きな風呂が1つだけ広がっていた――

 

 

 

「先輩」

 

 マシュは俺の横で嬉しそうに笑う。右肩に頭を預け、胸は右腕を挟んでいる。

 

「お兄さん」

 

 クロエは背後から抱き着いている。前後に小さく揺らしチャプチャプと水音を立てながら、耳元で甘えた声が聞こえてくる。

 

「マスター……ん」

 

 式は左肩に背中を預けながら首筋を舐める。やがて左右同時に舐められ始める。恐らくクロエだ。

 

「今が準備万端の状態よ。ほら……パンツ越しでも分かるくらい大きいでしょ?」

「うん! お母さんのあれを私たちの此処に入れる……そうすれば子供が出来るんだね!」

 

 ジャックは目を輝かせながらメディアの性教育を受けている。

 

「まあ、貴女がその知識を活かす事は無いわよ。私が………マスターの子供を産むんですもの」

 

「駄目です! せ、先輩の相手は私です……!」

 

「あら、何言ってるの? 私に決まってるじゃない?」

 

「……好きに言ってな」

 

 頭が回らない。口を動かすのも苦しい。

 

 温泉に入ってからもう何時間経過した?

 

 ぼーっとしたままただ彼女達を眺める。

 

 俺はすっかりのぼせた。

 

 手首と足首の重りの付いた手錠と足枷のせいで温泉からあがる事は出来ない。

 

 サーヴァント達を言い包めようにも、一度逃げ出した事で病みが増したクロエと式にそれをするのは至難の業だった。

 もう、頭痛と目眩で辺りの景色も分からない。

 

「お母さん、セイコーしよう!」

 

「先輩! こんな小さな子とは駄目です! 犯罪ですよ!」

 

「そーそー。幼稚園児とはダーメ! その点私となら何の問題も……」

 

「小学生もアウトだ。

 マスター、ちょっと年上くらいがオススメだぜ?」

 

「マスター……経験豊富な大人の女性も、良いモノですよ?」

 

 誰でもいいから……此処から出してくれ……

 

 俺の異常に、気づいてくれぇ…………

 

「先輩、顔が赤いですけどどうしました? あ、もしかして……こ、ココが苦しいんですか?」

 

 マシュの腕が伸びる。

 

「せーえき出したいの、お母さん?」

 

 ジャックが声を弾ませる。

 

「ならしっかり取ってあげないと、ね?」

 

 クロエの舌なめずり聞こえた。 

 

「オレは経験あるからな、任せろよ」

 

「さ、早速子供を、お作りしますね?」

 

 式とメディアが何か準備を始める。

 

 頼むから……水をくれぇ……

 此処から、出してくれぇ……

 

 

 俺は感覚すらも分からない程に衰弱し、気を失うかの様に目覚めの時を迎えた。

 

 

 

 起きてまず最初に水を飲みに行った。

 

 体は問題無いが先まで感じていた温度差で感情の方は少し混乱していた。

 

「……恋は盲目、だな」

 

 全員が依存系ヤンデレだったせいで俺が正常なのが当たり前。何時でも何処でも理想の存在だと思ったのだろう。

 

 そのせいで、俺がのぼせていた事に誰1人も気付かなかったんだ。

 まあ、俺が最初に逃げ過ぎたのも手伝ったんだろうけど。

 

「何はともあれ……」

 

 今度からは寝る前にちゃんと風呂に入ることにしよう。 

 立ち上がった俺は軽くシャワーを浴びに行った。

 

 しかし、その前に鳴りだした携帯を耳に当てた。相手はエナミだ。

 

「せんぱーい! 1泊2日の温泉旅行が当たりましたよ! 一緒に行きましょう!」

 

 ……さて、どうやって断ろうかな。




……ところで今回の話、R−18行かないよね?

次回は……そう言えば、11月って大したイベント無いよな……

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