ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】   作:スラッシュ

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開幕遊戯王注意!

唯の宣伝フェイズですけどね。




2人でヤンデレ・シャトー 復讐鬼編

 

「【ダイナミスト・プレシオス】で攻撃! “蒸気ブレイブフィニッシュ”!」

 

「キョウリュウジャーの技名? じゃあ、トラップカード、【聖なるミラフォ】!」

 

「チェーンして【ダイナミスト・ステゴザウラー】のペンデュラム効果で破壊は無効!」

 

「セッティング済みの【ベクターP】でペンデュラム効果は無効中だバカ」

 

「あぁ!? 忘れてた!」

 

「【プレシオス】3体、【ブラキオン】2体を破壊、ペンデュラムも召喚もしたし、手札も0枚。じゃあ俺のターン。ドローしてバトル。【RR-レボリューション・ファルコン】と【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】で一斉攻撃。“CMベント”、“ライトニング・ブラスト”!」

 

「仮面ライダーオーディンとブレイドの攻撃を受けて、俺の負けだー!」

 

 今日は休日、悪夢なんか忘れてカードショップへやって来ていた。

 

「【レックス】とか【スピノス】がいたら勝ってただろ?」

 

「俺は【アトランティス】でレベル下げて、【ポセイドラ】を出したいの!!」

 

 リラックスする為にプレイしていたが、俺は後方で音響デッキで【クェーサー】をシンクロ召喚した女子を見て溜め息を吐く。

 

「それにしても、いつの間にあんな可愛い娘を彼女にしたんだ? 良いよなーデュエル出来て」

 

「そのうちお前にも嫁が出来そうだがな……」

 

 知りたい人は【遊戯王なカルデア〜シャトー外伝〜】を読もう!

 

「(姑息な宣伝を……)あと、あの娘は彼女じゃない。あっちが勝手に言ってる事だ」

「酷いです! 私を愛してくれるって言ってくれたじゃないですか!」

 

『っち!!』

 

 カードショップ中から舌打ちが聞こえた。

 

「へぇー! お前から告ったのか!」

 

「違う。コイツは俺が夢の中でそんなことを言ったとほざく勘違い女だ」

「勘違いじゃありませんよ! しっかり言ったじゃないですか、夢の中で!」

 

「うわぁー、ちょっと痛いなこの娘」

「デュエル禁断症状で叫びだす奴が何言ってる……」

 

 遊戯王バカや頭のおかしな後輩に囲まれて笑い合う。

 その内こんな日常もいいなって思えるのだろう。

 

 

 

(これ(ヤンデレ)が無ければ……)

 

「今日私を彼女じゃないと否定した回数15回なので150ポイント、痛い娘扱い3回60ポイント、5回頭を撫でてくれたので-50ポイント、キスを寸前で防いだので1000ポイント。合計1160ヤンデレポイントです」

 

「おい、なんのポイント制だそれ」

 

「ヤンデレ好きな先輩の為に、ヤンデレ深度の自己管理をしてるんです。因みにヤンデレポイント5000ポイントで大勢の前でディープキス、10000ポイントで監禁&逆レイプ、15000ポイントで心中です」

 

「オーイ、それ今日の計算で行くと2週間で俺死んじゃうんだけど」

 

「ヤンデレのストレスになる様な行動は控えて下さい」

 

 笑いながらそう言われたが、胃がキリキリしてきそうだ。

 

「……で、家に入る気か?」

 

「うーん、今日は止めておきます! ぶっちゃけ、家に帰って先輩専用メタデッキを組みたいです。あ、家に誘ってくれたので-100ポイントです!」

 

 何処か奇妙な優先順位があるのが唯一の救いだろうか……

 

「私の最優先事項は先輩の幸せと愛です! その為ならどんな努力も惜しみません! ヤンデレは私のアイデンティティであり、本能ですから止めれませんけど!」

 

「本能ならしょうがない。だが、メタデッキ組まれても幸せにはならないだろ」

 

 彼女と別れ、俺は家に入っていった。

 

 

 

「……来たか。来てしまったか……」

 

 今日も悪夢が始まる訳だが、何故かアヴェンジャーが頭を抱えていた。

 

「なんだよ? 今日はやけに落ち込んでいるな?」

「……フフフ……因果応報……まさか、復讐者の俺が、この言葉を実感する事になるとはな……」

 

 アヴェンジャーの手から、初日に引いたクジの紙が舞い落ちる。

 

「どれどれ……“アヴェンジャーと肉体を交換し、ヤンデレ・シャトーを攻略せよ”……?」

 

「そういう事だ……サーヴァントの数は6騎だ……行くぞ! 覚悟を決めろっ!」

 

「お前絶対やけになってるよな?」

 

 

 

 到着、ヤンデレ・シャトーの裁きの間に。

 

「此処って今はただの広場だよな……声低っ!?」

 

「お互いに体が入れ替わったせいだろう」

 

「あ、俺がいる! おお、このマント! かっこいいな、アヴェンジャー!」

 

「呑気な事を言ってる場合か……令呪は1つだけか……」

 

 俺の体の手の甲に現れた令呪を確認するアヴェンジャー。同時に、俺は何かの接近に気づいた。

 

「なんか来てるぞ!?」

 

「それがサーヴァントの察知能力だ……今の俺には使えないがな……!」

 

 ヤンデレ・シャトーの暗がりから、肌色の多いサーヴァントが現れた。

 

「っむ! 主どのと……アヴェンジャーどの?」

 

 ライダー、牛若丸。今日も見た目ごちゃごちゃしているのに大事な物を隠せていない最終降臨の姿で登場だ。

 

「っふん、ただの気まぐれだ。邪魔をするつもりは無い。貴様のマスターを持って行きたくば、持っていくが良い」

 

 精一杯アヴェンジャーの真似をして偉そうにそう言った。

 

「っな!? 貴様……!?」

 

 いつもの恨みだ……速攻で売り捌いていてやる。

 

「ふむふむ、何か引っ掛かりますが、お言葉に甘えましょう。では、主どのを頂いていきます」

 

「ま、待て! 俺がアヴェンジャーだ! 今回は貴様のマスターと体が入れ替わっているんだ!」

「えぇ〜、本当でござるか〜?」

 

「煽るな! ええい、貴様は主と俺の魂の違いすら分からんのか!?」

 

「そんな嘘は牛若丸に通じません! さあ、大人しくして下さい」

 

「おい、貴様! 覚えて――」

 

 

 

「――んー! サーヴァントの体最高! 壁を足で蹴って走れる!」

 

 逃げるが勝ち。やはり戦略的撤退は最高の一手だったか……

 

「このまま逃げ続けていれば誰にも捕まらないんじゃないか?」

 

(唯一追い付きそうな牛若丸がアホの娘で助かったな)

 

「ま・す・た・ぁ・?」

「っひぃ!?」

 

 耳元でそう呼ばれて思わず体が止まる。

 アヴェンジャーは敏捷が高いイメージがあるが、実は清姫と同じCランクだ。

 

「あっはっは、清姫ちゃんの真似、似てたかな? 引っ掛かったって事はやっぱりアヴェンジャーじゃないんだね?」

 

 またしてもライダーのサーヴァント、ブーディカだ。

 

 バレてしまったなら仕方ない。何とか躱す方法を探さないと……!

 

「そうそう、今体が入れ替わってて……サーヴァントの体って凄いな、テンション上がっちゃって全力疾走しちゃったよ」

 

(ブーディカは敏捷はCだし、どうやって切り抜けよう……)

 

 が、俺の予想に反して、ブーディカはガッカリしている。

 

「……うーん、悪い言い方になるけど今の君は普段の魅力半減だよー」

 

(ああブーディカさん、弟とか妹とか年下を可愛がるのが好きだからな……今の姿は好みから外れてるのか)

 

「ふふっ、じゃあアヴェンジャーの方を可愛がろうかな? 普段とは違う君が見えそうだし」

 

(きっと反抗期みたいなもんだろうな……)

 

「程々にしてあげて下さいね?」

 

 俺はブーディカと別れて、再び壁を蹴り始めた。

 

 

 

 牛若丸の部屋へと引きずり込まれたアヴェンジャーは、犬の如く懐いている牛若丸の対処に明け暮れていた。

 

「ええい! 抱きつくな、暑苦しい! 犬公か貴様は!?」

 

「何時もみたいに撫でて下さーい、主どのー!」

 

「っく、何故復讐者であるこの俺がそんな女子供の様な事を……!」

 

「照れていないで撫でて下さい!」

 

「巫山戯るな! 俺はそんな真似断じて――」

 

「主どの、撫でて下さい」

 

 牛若丸の声が低くなり、アヴェンジャーの首元には刀の背が添えられる。

 

「……っぐ、分かった……」

 

 観念したアヴェンジャーは牛若丸の頭を撫でる。

 

「……何故でしょう、何時もみたいに気持ちよくありません」

「だから俺はアヴェンジャーだと言っている……」

 

 唐突に牛若丸の部屋が開かれた。牛若丸が鍵をかけ忘れていたで、随分あっさりと。

 

「あ、見つけた!」

 

 入ってきたのは赤髪の美女、ブーディカだ。

 

「っむ、ブーディカどの!? なんの御用ですか!」

 

「アヴェンジャー、だよね?」

「っ――そうか、貴様は気付いたか……」

 

「え? え?」

 

 牛若丸は困惑する。

 

「いい、牛若丸? マスターとアヴェンジャーの体は今入れ替わってるの。何か違和感を感じなかった?」

 

「あ……!」

「ようやく理解したか、この阿呆め。さあ、さっさと貴様らの本当の主を探しにい――」

 

「生意気そうなマスターも可愛いな!」

 

 ブーディカはアヴェンジャーの言葉を遮って抱き締めた。

 

「っな!? 放せ! 俺は貴様の主ではない!」

 

「ああ、必死に暴れるマスターも可愛いなー」

 

「……腑に落ちませんが、どうやら主どのがそちらの方でない事は理解できました。牛若は真の主を探しに参ります!」

「行ってらっしゃ〜い」

 

「放せ!! くそ、この自由人共がぁぁぁ!!」

 

 

 

「うー?」

 

「あー、今日の朝引いた新キャラ登場か……」

 

 すっかり忘れていた。メンテに次ぐメンテで無課金の俺でも余裕で10連を回せるだけの聖晶石が集まった訳だが、2体のアサシンエミヤと一緒に出てきた星4のサーヴァントがいた事を思い出す。

 

「フランさん、なんて言ってるのか分かんないんだけど、取り敢えず掴んでいる腕の力緩めてくれる? 耐久結構あるはずのアヴェンジャーの体がやばい音を奏でているだけど……」

 

(おっかしいな。フランは宝具特化のバーサーカーで、筋力自体はCの筈なのになー?)

 

「……っす、き……!」

 

「そのセリフはまだ早いよね? アイリの強化のせいで遅れてて、まだ最終降臨してないから。絆もそこまで高くないから」

 

 フランケンシュタインの花婿に選ばれるにはちょっと早過ぎる筈なんだが……

 

「すっき……だい、スキ……!」

 

「おわ!?」

 

 急に体を引っ張られ、俺は部屋の中へと放り込まれた。

 

「うー」

 

「か、体が入れ替わってもフランの前じゃ無意味、か……?」

 

 が、彼女自身はそこまで強くない筈。アヴェンジャーのステータスをよく覚えていないが、第一の降臨が終わった程度なら最悪、倒す事が可能な筈だが……

 

(いや、そもそも俺は戦えない)

 

 曲がりなりにも自分に好意を抱いているのだ、拒絶はしても傷つけるのに抵抗がある。

 

「えーっと、何する気ですか?」

 

「うー……?」

 

 首を傾げた。まるで俺に、「何言ってるの?」と言っているようだ。

「あー……」

 

 タンスを開けるとフランは俺に向かって服を一着投げてきた。

 白いスーツだ。

 

「プロポーズの仕方が直球どころか結婚式会場でされた気分だぞ、おい」

 

「うぁー」

 

 さっさと着ろ、と言っているようだ。

 

「えーっと、トイレは?」

 

「うがー!」

 

 俺のまどろっこしさに我慢できなくなったようで、俺の服を引き剥がそうと飛び掛かってきた。

 

「っく……こん、のー!」

 

 筋力Bでフランが伸ばした手の平を掴む。

 お互いの両手の平を重ねての力比べだ。

 

「……ぐぐぐ……!」

 

「あー、ぅうー!」

 

 勝ってはいるがこのままではいつまで経っても終わらない。どうするべきかと歯を食いしばってグッと力を込める。

 

「ぁ……ん……」

「っ!?」

 

 が、そこにフランがガラ空きになっていた唇を突いてきた。

 思っていたより静かで、少女らしい優しいキス。

 

「ちょ、んっ!」

 

「主どのー! 此処で――!?」

 

 間が悪い事に、牛若丸が部屋に入ってきた。

 

「――あ、あ、あ、あるじどのぉ!?」

 

 おそらく牛若丸の目には恋人の様に両手の平を重ねて同意の上でキスしている様に見えたのだろう。

 

(実際は取っ組み合いの最中に唇を奪われた上に、力が抜けた隙に接近を許してしまっただけなんだが……)

 

「……ゆ、許しません……! 牛若を騙して、他の女と口付けなんて……!」

 

 牛若丸の殺気を感じたフランは俺から離れ、壁に立て掛けていた彼女の武器に手を伸ばそうとするが、俺はフランの背を引っ張って止めた。

 

「っち!」

 

 刹那。牛若丸の刀がフランと武器の間を切り裂いた。

 

 どうやら必中を確信して放たれた渾身の一撃だった様で、刀は部屋の床を切り裂き、少ない隙が出来た。

 

「これでどうだ!」

 

 俺はフランを引っ張りつつ床に向かって手を向け、魔力光線を放った。

 

「こんな、もの! っはあ!」

「っく……!」

 

 巻き上がる煙、その間に部屋を抜け出そうとするが、牛若丸の刀が右から1度目、2度目は斜め上への切り上げ、振り下ろしの3回の斬撃を最速で振るって来た。

 

 髪や肌を掠るが、大した傷にはならず、俺とフランは急いで部屋を出た。

 

「これで!」

 

 出た瞬間にドアの上へ魔力光線を放ち、部屋を瓦礫で封鎖する。

 

「逃げるぞ、フラン!」

 

「……うー……!」

 

 何故か嬉しそうなフランの手を引いて、俺達の逃走劇が始まった。

 

 

 

「はい、あーん」

 

「1人で食える。その手を下げろ」

 

 ブーディカは紙に包んで掴んだサンドイッチをアヴェンジャーの口へと向ける。

 

「あはは、手間のかかるマスターも可愛いなー!」

 

「えぇい! だから俺はマスターではない! 貴様の人形でもない! さっさと開放しろ!」

 

 現在、椅子に両手両足を手錠で縛られており、ろくに見動きが出来ない。

 数分前、暴れ過ぎて椅子と一緒に落ちて無様の格好を晒したので動きは少し落ち着いている。

 

「じゃあ、サンドイッチを食べてくれたら手錠を外してあげる!」

 

「っく……なんと屈辱的な……」

 

 遂にアヴェンジャーが折れ、観念して口を開いた。

 

「あーん!」

「……んっぐ」

 

 噛んで、ひたすら口を動かす。

 

「どう? 美味しい?」

 

「……論外だな。技術では無く、込められた迷いが雑味を生み出している。

 俺に向けられた愛情は無く、生前の夫への懺悔、マスターへの愛情。こんな迷惑な料理がよく作れた物だ」

 

 アヴェンジャーは感心した様にそう言った。

 

「むう、厳しいね」

 

「ヤンデレ・シャトーではマスターへの愛情は膨れ上がり、狂気を孕んだ物へと変化するが、お前はあまり影響を受けていない。周りのサーヴァントが狂気に飲まれなければ、お前は大した行動を起こさなかった」

 

 そう言われ、ブーディカは頭をかく。

 

「あはは……その言い方されると私のマスターへの愛が他のみんなより劣っているみたいで複雑だな……」

 

「だが事実、愛情で劣っている貴様は魂では無く体を選んだ。これが何よりの――」

 

「――今の内に既成事実を作れば、DNA検査とやらでマスターを追い込めれますね……ウフフ……」

 

 とんでもない発言をしながらフードの女性、メディアが部屋に入ってきた。

 

「……」

 

「……」

 

「……何よ、その微妙な顔は!?」

 

 

 

「……見失いました……マスターでは無くアヴェンジャーの臭いなので追跡が難しい……」

 

 牛若丸はそう呟くと、廊下を走り、俺とフランから離れて行った。

 

「……撒いたか」

 

「う……」

 

(咄嗟に入った部屋に屋根裏部屋があって助かった。

 誰の部屋かは分からないが、家主に感謝だな)

 

 俺とフランは天井から降りて

 

「……ん?」

 

「まーすたー!」

 

 俺がサーヴァントの存在を感知すると同時に背後から抱き着かれた。

 

「ま、マタ・ハリ!?」

「やっぱりマスターなのね! ああ、私の部屋に来てくれるなんて、嬉しいわ!」

 

「……うー!」

 

 フランの機嫌が悪くなる。やばい、魔力を高めて宝具を放つ気だ。

 

「あらあら、可愛い娘……ん」

「!? んー!?」

 

 まさかのキマシタワー建設開始。

 

 アサシンのサーヴァント、マタ・ハリは女スパイであり、その肢体で男を骨抜きにした凄腕であると同時に、本来は男に人生を狂わされた男嫌いでもある。

 

「んっ……ん……」

「ん、う、んー!」

 

 フランの唇を奪って数秒、暴れていたフランが驚く程あっさり大人しくなった。

 

「ん……っ!」

「……っちゃ……ん!」

 

 と思ったら今度はマタ・ハリが目を見開き、フランの舌使いが巧くなっているのが横目で分かる。

 

 イブからアダムを作ろうとしたヴィクターが作り出したフランケンシュタインであるフランはアダムを産むために論理的につがいを探し、人間的な在り方で生殖を行おうと行動する。もしかしたらその為の性的行為を凄いスピードで学習しているのでは無いのだろうか。

 

「……っはぁ、っはぁ……凄いわ、貴女」

「……っはぁー、うー……」

 

 フランは今のですっかり懐いたのか、マタ・ハリに寄りかかっている。

 

(退散しよ)

 

 気まずくなった俺は、息を整えつつ見つめ合う2人を置いて部屋から出ていった。

 

(さて、俺が出会ったサーヴァントは牛若丸、ブーディカ、フラン、マタ・ハリ。残り2人だが、もしかしたらその2人はアヴェンジャーの所にいるかもな)

 

 そうであってくれと思いつつ俺は天井に跳んで張り付いた。

 

「……やっぱり探知出来ないな……」

 

 普通のサーヴァントでも探知範囲はそこまで狭くない筈だが、もしかしたらこのヤンデレ・シャトーが邪魔しているのかもしれない。

 

(なーんか、後付け設定っぽいけど……)

 

「せんぱーい、何処ですかー!?」

 

 不意にそんな声が聞こえる。

 俺の事を先輩と言うのは2人しかいない。

 

(……っう、エナミを思い出してしまった……)

 

 起きてもヤンデレが途切れ無いのを思い出して、若干の目眩を覚えた。

 

「先輩! ……何処へ行ったのでしょうか? 見つけたら、匿ってあげるつもりなんですが……」

 

(……あ、今の内にマシュの部屋に入れば安全だ!)

 

 名案だと思いつつも場所が分からないのでマシュの頭上をゆっくり移動する。

 

「ふっはっはは、さらばだ!!」

 

 が、不意に俺もマシュも止まった。

 俺の声の叫び声が聞こえたからだ。

 

「せ、先輩!? 否、アヴェンジャーさん!?」

「む、シールダーの小娘か……」

 

「む、主どの! ……アヴェンジャーどのですか……」

 

「メディア〜、可愛いよ〜」

 

「や、やめなさい! 同性愛の令呪を解いてあげるわって! あ、ルールブレイカーが!?」

 

「何事かしら? マスターが消えたと思ったら……」

 

「うー、あー……」

 

 アヴェンジャーの叫び声に釣られて、見事に全員が廊下に集合した。

 メディアに抱きついてしきりに彼女の胸を揉んでいるブーディカは、どうやらアヴェンジャーの令呪の命令らしい。

 

「……ヤバ!」

「……っふ」

 

 一瞬、しかし確かに、天井の俺を偶々見上げたアヴェンジャーが見つけた。

 

「貴様らのマスターは、そこにいる!」

 

「っく! やってくれたなこの野郎!」

 

 天井から全員とは逆の方向へと前進しつつ降りる。同時に、壁を蹴って更に加速する。

 

「逃げ切れるか?」

 

 今の俺、アヴェンジャーの敏捷はCであり――

 

「――逃すと思いますか?」

 

 牛若丸は、敏捷A+である。

 

 

 

「……牛若丸」

「はい、何でしょうか主どの?」

 

「首輪、外してくれないか?」

 

 捕まった。部屋に監禁された。

 そして、俺の首には牛若丸の首と繋がった首輪がある。

 

「駄目です! マスターは、私達を傷付けない優しい人です。ですので私も首輪を着けていれば、ずっと一緒にいてくれますよね? 牛若、天才ですね?」

 

「うーん、そうだね。鎖の長さが1mなこと以外はパーフェクトだよね」

 

「この長さも、マスターに撫で撫でしてもらいながらキスし放題な良い長さでしょう? あ、もしかして主どの、私と体を重ねたいのですか? もっと鎖を短くして、一生繋がりましょうか!?」

 

「嫌だよそれ。エロイ事しか出来ないし、死んだ後が恥ずかしいし」

 

 魔力は封じられているので鎖が壊せない上に今の状態じゃ、殆どの行動制限されている。

 

「アヴェンジャー、あとどれくらいで目覚める?」

 

「あと20分はそのまま繋がっていろ」

 

「先輩……助けて下さい……」

 

 マシュは令呪の命令をきっかけに同性愛に目覚めたブーディカに抱き着かれ、撫で倒され、メディアもダウン状態。

 

「女の子と恋愛すれば、生前の事を後ろめたく思う必要がないね! 次はマスターも女の子にしてもらおうかな!」

 

「フランちゃん、キスのコツはこうで……お口で咥える時は……」

 

「あー、うー……」

 

 別の所ではソーセージを使ったマタ・ハリによる保険体育、達人編が行われている。牛若丸がソーセージを食べているフランを羨ましそうに見ている。

 

(アレ? 今回カオスなこと以外は平和じゃね?)

 

 その後も、混沌としていたこと以外はなんの問題も無く(牛若丸に貞操を狙われ続けて、守り抜いたが)、俺は眠りから覚めたのだった。

 




マシュの出番が少ない? 伏線だよ。(ハッタリ)

さて、次の話はどれにしようかな?
ヤンデレ増し増しに読者の希望に……多いな。日常物も書かないと。


(遊戯王が書きたい)

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