俺の友達が美少女になったから凄くマズい。   作:4kibou

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ちょっと遅れたけど大丈夫だと信じたい


冥土の土産は友人のメイド服。

 文化祭、決まってしまった、喫茶店。植里蒼、微妙な気持ちでおくる心の俳句。はい。というわけで無事うちのクラスはご奉仕(意味深)喫茶をすることになりました。なんてこった。パンナコッタ。そんなこった。弾が思いきって提案したこの出し物。当初は生徒達だけが盛り上がって教師に止められ、そのまま頓挫して他のものになるだろうと高を括っていた。ぶっちゃけ関係者もOKだから無理だなと。こんなのは認められないわぁ的な感じで。だが教師(ヤツ)は弾けた。

 

『ご奉仕喫茶? 安全面の問題? かまへんかまへん! うちは自由な校風がウリやからな!(大嘘)』

 

 最早ヤツは教師ではない。ただのホモだ(曲解)。ホモは嘘つき。よってあの教師はホモ。はっきり分かんだね。こんなんで良いのかこの学校。衛生面はどこぞの天災が人類の科学力(笑)を底上げしてくれたお陰で問題ない。となれば残るは一つ。不審者対策なんだが。

 

『束。一夏の学校でご奉仕喫茶をするそうなんだが』

『ふんふむ。了☆解! アヤシイ人が近付けないよう細工しておけば良いんだね!』

『ありがとう、束』

『きゃっ☆ ちーちゃんの感謝とか珍しすぎて束さん濡れちゃいそう!』

『赤く濡らしてやろうか』

『ご遠慮させていただきマス!』

 

 どこぞの誰かさんが直ぐ様連絡を取りあった結果、どっかの誰かさんがやってくれるみたいです。流石は束さんだぜ! 認識した人に対しては悉く優しい! どこか後ろ暗い部分があるけど! 何かがありそうでめっちゃ怖く感じるけど! そんな天災に怯える一応は認識されてしまった一般人のどうも俺です。転生者だから仕方がない。そう割り切れたらどれだけ幸せだろう。こんなんならもっと別の世界に転生したかった。そして可愛い幼馴染みとくんずほぐれつしたかった。叶わぬ夢。人の夢。儚い。それでもパンツは履かない。変態じゃねえか。

 

「ドキドキ! 男だらけの試着タァーイムゥ!」

「いぇーい☆」

「ッエーイ☆」

「いぇーい☆とか男がやるとキモイな」

「禿同」

「ハゲ?」

「また髪の話してる……」

 

 そうして現在。空き教室へと追いやられた選ばれし男たちは制服をぬぎぬぎしていた。ざっと十人ほど。チョイスされた理由は人それぞれで、顔が良かったり声が良かったり声真似が上手かったりモノマネが上手かったり中二病だったりオタクだったりロリコンだったり変態だったりとクッソ適当である。それらの中に自然と混ざる俺氏。どうしてこうなった。

 

「完全に俺っていらなくない?」

「大丈夫大丈夫。ほら、顔はまだ眼鏡でマシ」

「マシって言うなよ死にたくなるだろ」

「尻痛くなる?(難聴)」

「一体ナニをしたんですかねぇ……」

「さっさと耳鼻科いけ」

 

 生涯ケツの穴は守り抜きたい所存です。でも童貞は守り抜きたくないです。いや、ヌキはしたいんだけどね。抜きたくないのに抜きたいとはこれ如何に。直訳すると彼女が欲しい。どう訳せばそうなるのかなんて聞かないでくれ。身近な奴が幸せになるとそういう心が刺激されるよね! 数馬死ね。

 

「なぁ蒼。コレ似合ってるか?」

「なんだ数馬かよ死ね」

「誰が死ぬか。彼女を置いたまま死ねるわけない」

「勝てない(確信)」

 

 やだ、びんびんに勝利フラグ立てられちゃってる。これらどう足掻いても敗北。勝てる確率ゼロだな。むしろ今のこいつに勝てる人なんかいんの? 精々ラッキーマンくらいしか思い浮かばない。ラッキーは偉大。でもそれ以上にフラグは強大。結局勝てねーな。こいつの自慢の拳で殴られそう。

 

「けっ。似合ってんじゃねーの?」

「そうか、お前も似合ってるぞ」

「黙れロリコン。破局しろ」

「これは酷いな。死ぬか?」

 

 ……ふぅ。

 

「貴様が!」

「てめぇが!」

「貴様が俺の敵だぁぁぁあ!!」

「てめぇが俺の敵だぁぁぁあ!!」

 

 今分かった。理解した。こいつは。こいつだけは。決して許してはいけないと。無傷で帰してはいけないと。俺の中の長年燻ってきた童貞精神(タマシイ)に火が点く。リア充死すべし慈悲はない。

 

「クソがぁ! 彼女さんと幸せになぁ!!」

「たりめぇだ! 結婚式には呼んでやるよぉ!!」

「カズマァァァアッ!!」

「アオォォォオッ!!」

 

 ひしっ。抱き付き。

 

「おめでとう──数馬」

「ありがとう──蒼」

 

 友情には勝てなかったよ……。うん。まぁ、マジでおめでたい。良かったな数馬。末永くお幸せに。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

「それではいざ! 面会の時間でっす☆」

 

 言いながらきらーんと目にお星様を宿す女子生徒。その腕にはちゃっかりと“文化祭実行委員”の腕章が。場所は変わって自分達の教室前。着替え終わった野郎共含める男子はは廊下で待たされて今か今かと女子の着替えが終わるのを待っていた。苦節十数分。やっとメイド服を拝めることに感動したのか涙を流す奴までいる。ガチ泣きとかちょっと怖いっす。

 

「ほらほら野郎共入りやがれー!」

「オラァァァアアアア!!」

「無駄ぁぁぁああああ!!」

「ドララララララララ!!」

「ураааааааааааааа!!」

 

 突撃突貫突進。ハイテンションボーイ共は自らの欲望のままに教室へなだれ込む。まぁ、現役女子中学生のメイド服なんてそうそうみれたもんじゃないしね。気持ちは分かる。……完全に思考回路がおっさんのそれだな。先ず普通の中学生ならメイド服ってだけで十分で他の事なんか考えないんだよなぁ……。

 

「……こうも阿呆が多いとどうすればいいんだ」

「その阿呆に俺たちも入ってるぞ、蒼」

「それくらい分かってる。分かってんだよ」

「阿呆が阿呆を宥めても阿呆しか生まれない」

 

 なにその凄まじい計算。どれだけ試行錯誤しても上手くいく気がしなくなった。名付けて人生諦めが肝心の方程式と呼ぼう。あきらめたらそこで試合終了ですよ……?

 

「つーか弾は?」

「あいつならさっき雄叫びながら入った筈」

「何考えてんだあの馬鹿」

「性欲の処理方法だろ」

 

 汚いさすが弾汚い。命の源のアレ的な意味で。分からない? 純粋な男の子なら直ぐに想像できるハズさ。男が出す命の源なんて一つしか無いだろう? つまりそういうこと。さて、ふと見渡してみれば既に俺たち以外は全員中へ入ったっぽい。こうしちゃいれない。さっさと中へ入ろうと足を踏み入れたその瞬間。前方から声が掛けられた。

 

「……あ、蒼?」

「え? あ、あぁ……い、一夏?」

「う、うん」

 

 こくりと頷く一夏ちゃんメイド服バージョン。うん。やっぱりこいつ伊達に美少女してねぇわ。普通に似合ってて此方としては驚くばかりです。気付けばあんなにアゲアゲだった男達も全員こいつを見て固まってる。入ってすぐにこんな美少女いたらしゃーない。イケメンは何してもイケメンだから美少女も同じく何しても美少女。結論としてメイド服のいちかわいい。ただ、ひとつ疑問。

 

「……な、なんでお前だけミニスカなの」

「いや、その、べ、別に好きでやった訳じゃなくて、なんかこうなったというか、気付いたら着せられてたというか……」

 

 あぁ、納得。大方一部の変態たちにやられちゃったのだろう。それなら仕方ない。変態は強いからね。勝てなくて当然。むしろ変態に勝てるのは変態しかいない。

 

「す、スタイル良いからいいんじゃね?」

「そっ、そういう問題じゃないよ……恥ずかしい」

 

 そう言う一夏の顔は火が出るかと思うくらい赤い。羞恥心が半端じゃないのね。そりゃそうか。ただでさえメイド服とかいう慣れない人からすれば恥ずかしい格好をミニスカートという更に恥ずかしさプラスされてする訳だ。しかも本人の意識無関係。恥ずかしくない方が稀である。

 

「まぁ、でも、なんだ。その……だな」

「……?」

「に、似合ってる、から。まぁ、気にすんなよ」

「ふぇ? あ、え、あの、えっと」

 

 わたわたとあわてふためく一夏。多分漫画とかなら汗のマークが飛び散ってる。顔も赤くなってるし見方によれば完全に恋する乙女。本当最近こいつの乙女行動増えてきて蒼さん胃が痛くなりそうよ。女の子ニガーテ。

 

「あ、蒼も……格好いい、から……」

「……お、おう。さ、サンキュー……な」

 

 二人して俯いたままそこに佇む。い、居た堪れねええええええええ。ちくしょう、おいてめぇら。持ち前の明るさはどうした! こういう時ばっかり黙ってんじゃねえぞゴラァ!

 

「なぁ、織斑のメイドやめない?」

「同感。これは駄目だね」

「だな。織斑は植里の専属メイドだから」

「なんならこいつら二人に厨房任せるか」

「いや、植里は接客もしてもらおう」

「ふむ。……これはいい予感」

 

 阿呆の特徴その②──憶測はやがて妄想へ、そして現実に。




見知らぬ男「書くんだよォ!」ペシーン

作者「アァンッ!」アシクビヲクジキマシター

そんな夢を見た今日この頃。疲れてんのかな

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