頭からシャワーを浴びて思考を冷ます。落ち着け。とりあえず落ち着くんだ俺。一夏の
「1……3……5……7……11……、よし」
ふぅ、やっぱり素数を数えると落ち着く。別に天国とか求めてないけど。神父とかじゃないけど。とにもかくにも段々と冷静になってきた。うん。大丈夫。大丈夫なんだよ。ゆっくりと事実を刷り込めばいい。織斑一夏は男。織斑一夏は男。織斑一夏は男。分かったか蒼。男の一夏がする格好に興奮なんてしねえ。あれ、でも今の一夏は女の子であって別に男じゃねえじゃん。何てこったい馬鹿野郎。見た目は女、頭脳は男。その名も、イケメン唐変木織斑一夏! 事件とか一切解決せずに周りの女の子落としそう(小並感)。
「……落ち着け、落ち着け……
ふぅ……。あの一夏ちゃんがノーブラノーパンで俺のカッターとズボン着てる。あれを初めて見た時……なんていうか……その……下品なんですが……フフ……勃起…………しちゃいましてね。嘘です。見た時はびっくりし過ぎて逆に縮んだかもしれない。駄目だな。エロい場面で勃たないとか一生童貞路線ですね。事実を認識してからはもうエキサイトフィーバーヒャッハーエクスタシーですけど。うん。下ネタはちょっと自重。こんなクッソ汚い描写なんか読んで得する奴いんの?
「一夏は男だ。一夏は……男……」
ここ数ヵ月のコミュニケーションを振り返ってみた。あれ、言動が完璧に美少女のそれなんだけどあの子って正真正銘織斑一夏その本人だよね? やっぱ元男のくせにヒロイン力高すぎるんだよ馬鹿野郎。そのスキルで一体誰を落とそうとしてんの? 千冬さんか? 千冬さんなのかおい。別にいいけどあの人を選ぶならちゃんと幸せにしてあげろよ。
「もうあいつ女なんじゃないか」
ぶっちゃけそう思わざるをえない。いや、誰だってあんな態度で結構な時間を一緒に過ごしたらマジで女かと思ってくるだろ。俺がおかしい訳ではない。一夏がおかしい。最近も妙に引っ付くようになって余計酷いことになってるし。つーか何で今更距離詰めてんのあいつ。事故から助けたことで好感度でも上がったんですかね。それは無いな。そんなギャルゲーみたいな展開あったら驚く。あと普通ではなかったけど友達感覚で話してたから大丈夫大丈夫。大丈夫じゃなくね?
「そもそもガード薄すぎだろあれ。襲って欲しいのかなんなのか」
まぁ、当然の如く天然でしょうけど。むしろ意図的にやってたらそれはそれで怖い。一夏に穴♂じゃなくて棒♂を狙われる日が来るとはたまげたなぁ……。世の中何が起こるか分かったもんじゃありません。人生ってたのすぃー。こんな場面でそんなこと言ってられっかチクショウメー! どうでもいいけど良く考えたら一夏のおっぱいぷるんぷるんだよ! くっそ揺れるよ! どうしてくれる。俺は……あの二つの果実から……一体どうやって身を守れば良いんだ……。圧倒的絶望感。はっ、もしかしてこの絶望を乗り越えれば絶倫蒼くんが覚醒する可能性が微レ存……? こんなんじゃ全然満足出来ねぇぜ……(不満足感)。
「……焦るな、冷静に。理性を掴め。大丈夫。今まで風呂場で背中を洗われて一度も勃起を察させ無かった俺の実力は並大抵じゃない」
お前普通に興奮してんじゃんとかそういうのは言ってはいけない(戒め)。
◇◆◇
「出たぞ一夏」
「あ、蒼」
きちんと着替えて風呂から出れば、一夏は依然変わらぬ格好で座りながらテレビを見ていた。声を掛けたと同時に振り向いたことから集中してという訳ではないらしい。やることもなくぼーっと見て暇を潰していた感じか。そういう時はよくある。むしろいつもぼーっとして暇を潰していたいとすら考える。われわれの、せいぎのたーめーにー。将来の夢は自宅警備員です。てへっ、冗談だから許して欲しいなてへぺろ☆(真顔)。真顔でそれやっちゃあかんでしょ……。
「雨、まだ降ってるのか」
「うん。帰るまでにやむとは思うけどね……」
話しながらタオルでばっさばっさと髪を拭く。眼鏡かけた状態でこれやるの少し難しいんだよな。なんか勢い付けすぎるとぶっ飛ばしそうで。慣れたら何ともなくなると思うけど。男ならワイルドにがしがしやるのみ。うちの家系は禿げないらしいので頭皮の心配はご無用なのだ。ご無用だと思いたい。その点女性はいいよね、基本的に禿げないんだから。それだけは一夏裏山。
「あ、ちょっと蒼。何してるの」
「何って……髪拭いてんだけど」
「そんな乱暴にやっちゃ駄目でしょ。ほら、ちょっと貸して」
「別にいいんすけど……」
無理矢理タオルを奪われて座らせられる。その背後に一夏は立つと、程よい力で俺の髪を拭き始めた。そうやって世話を焼いてくれるのはいいんですけど、ちょっとやりすぎと違いますかね? 一応もう怪我は完治してるのよ? コツとか教えて貰えれば自分でもやれるというのに。一夏に頼りっきりは何だかと思うので、実に複雑な気分だ。嬉しいけど嫌でもあって喜べなくて落ち込めない。感情のみっくちゅじゅーちゅやな。みっくちゅじゅーちゅ。何その噛み噛みな台詞。噛みすぎてまさに髪ってる。ミスった神ってる。また髪の話してる……。
「よくないよ。体は大切にしなきゃ。それにきちんと拭いとかないと風邪引くし」
「ばっかお前、俺が風邪引く訳ねぇだろ」
「不健康な生活してる人は少し静かにしてようね」
「ぐぬぬ……」
こいつ言うようになりやがって。俺と過ごす時間が増える度に弱味を掴まれてる気がしてならない。最近はもっぱら口で勝てないので尚更だ。くっそ、そういうところまで女の子にならなくていいっつーの本当。男が女に口で勝てないのはどこでも一緒。IS世界でも当然適用される。マジでこいつ女じゃねーか。
「はい、終わりっ」
「……一応サンキュー。正直必要ねぇけど」
「あるよ馬鹿蒼、全く……。さて、そろそろ少し早いけど晩御飯にしよっか」
「おう」
言いながら立ち上がり、ぐっと伸びをする。何となく力加減は伝わったので真面目に必要無いんだけどな。言った方がいいのか言わない方がいいのか。ま、どうせなら確かな技術を持ってる奴にやってもらう方がいいだろう。しかしながらそれだとまた一夏に頼ることが増えてしまうよなぁ。俺が自分で出来ること、かなりある筈なんだけど。
「じゃあちょっと待──」
ガクンと一夏が体勢を崩す。あ、これこけるやつ。サイズの合わないズボンなんか履いてるからだよ馬鹿。
「っとぉ! お、お前、危ねえな……」
「へ、あ、蒼……ッ!?」
「なんだどうした。そんな顔赤くし──顔が赤い?」
「赤くないよっ!」
大きな声で宣言する一夏ちゃんだがそのお顔は林檎みたいに真っ赤であった。今鏡とか見せたら悶えるんだろうなぁー。それとも自分で気付いてないふりでもしてるのかなー。どちらにせよ俺にはどうでもいいが。ここで現状の説明。咄嗟に一夏を助けようと動いた俺とこけそうになった所を助けられた一夏ちゃん。微妙に後ろから抱き付くみたいな感じになってる。俺が。もう一度言う。俺が。抱き付く。一夏。ドゥーユーアンダスタン?
「大丈夫かよお前。風邪とか引いてねえよな」
「ちょ、あの、蒼、耳、近っ……」
「何だって? 小さくて聞こえねえよ」
「ッ!! わ、わわ、私ご飯の準備してくるっ!」
「うおっ!? おま、走ったら危ね──てか速っ」
びゅーんと飛ぶように一夏はキッチンへと行ってしまった。ご飯の準備をするらしいが、その服は一応制服なのでエプロンして下さいよ。というか何であんな顔真っ赤にしてんだあの野郎。この部屋そんなに熱いのか?
正直調子が出ないんだ、許して下さい何でもしまむらうづきガンバリマス! 本当に頑張りたいよ……。
R18は諸事情により無理です。書くためにはエロゲを十本くらいやらなきゃ無理な希ガス。一日五回の一本消費でやっと書けるんじゃないですかね(てきとー)
ほら、この作品って純愛だから(震え)
雌堕ち展開は一夏じゃなくて蒼くんがTSした場合だからね、仕方無いね(白目)