久しぶりに解放感というか開放感というか界放感というかとにかくそういうものを漢字で完治で感じ取った。カンカンカン! もいっこカン! ツモ、嶺上開花! 麻雀って楽しいよね、一緒に楽しもうよ! 嫌です(切実)。あんなんチートやチーターや。なんやみんなこわいなーとづまりすとこ。はい。というわけで、自由の効くようになった右手を軽く動かす。痛みはない。違和感もそこまでない。ずっと固定してたからまだ慣れはしないけど。つまり結論を言おう。
「やったぜ」
腕の怪我が治りました。
「無事に治って安心したよ……」
「ふん、俺はそんなヤワじゃねえの」
病院からの帰り道。ほっと息を吐く一夏の頭へぽんと手を置いて、幾度か軽く叩いてやる。ぽふぽふ。全く余計な心配をしてくれちゃって。たかが車に撥ねられた程度で転生オリ主を倒せると思ったか。残念だったな。オリ主に一度使った技は二度と通じないと思え。別に俺トラック転生とかしてないけど。異世界転生のあの不思議なくらいのトラック率は何なのかね。皆そこまでトラックのこと好きなの? ぼくはトラックよりドリーム派です。夢って素敵。同じくして働くことも素敵。寝て起きて寝る。それが俺の生き様だ。なんて言ったらお母様にぶん殴られるので言いませんけど。
「お前が思うほど弱くないんだよ」
「……でも、心配じゃん」
「その気持ちはありがたいがだからって今日までずっとご飯を食べさせてお風呂で背中洗ってを繰り返す生活はキツいだろうがオイコラ」
こっち向きなさい一夏ちゃん。今更になって羞恥心に悶えてんじゃねえぞ馬鹿。こちとら毎日布団の中で転げ回るハメになってた。声にならない叫び声を上げながら飛鳥文化アタックしてた。背中痛い。お猿さんの飛鳥文化アタックは嫌い。特にG級。岩のあれといいお前は何なんだサイヤ人かこの野郎。
「うん。ちょっと後悔してる」
「ならやるんじゃねえ。やるんじゃねえよ」
「やめて。恥ずかしいよ。思い出したら駄目だよ」
「自業自得なんだよなぁ……」
ワンサマはやっぱり今になってもワンサマ。馬鹿は死 ななきゃ直らないと言うが、女の子になっても直らないのは新発見だと思う。ここに一つの事実を追加しよう。馬鹿は女の子になっても馬鹿。故にイケメンは女の子になってもモテる。勝ち組は勝ち組へ。負け組は負け組へと変貌するのだ。俺に勝ち目がありませんね。バグかな? いいえ、仕様です(白目)。ふぁー。
「……その、蒼。えっと」
「次にお前は『ごめんね』と言う」
「ごめんね……はっ!」
またまたやらせていただきましたァン! つっても今のは簡単すぎるか。テンションとか声のトーン、あとは付き合ってきた長さによる勘と大体の空気で分かりきってたし。一夏の言うことは真っ直ぐだから本当いい。そういうのお兄さんは好きですよ。
「一夏は謝りすぎだ。全部自分で抱えんな」
「でも……」
「でももだってもねえ。悪いとこだぞ」
「……、うん……」
うぐっ。そうも露骨に落ち込まれると罪悪感に苛まれるんですが……。狙ってんの? 何かそういう腹黒的な感じに狙ってんのか? まぁ、一夏がそんなことを考えるとも思えんが。もし考えてたら俺はどうしたら良いのか分からなくなる。恋人になれば良い? でも根本的な解決にはなりませんよね? エッチしたら大丈夫? ……でも、それも原因の解決にはなりませんよね? いいからさっさとやれ? これじゃ、俺……一夏を守りたくなくなっちまうよ……。
「……けど、なんだ。その……だな」
「……?」
「………………サンキュー」
「っ! う、うんっ」
……なんか、居辛え。なんでだ。別に俺普通にお礼言っただけだよな? 確かに少し恥ずかしくて間が空いたけど、至極普通なことしか言ってないよな? なのにどうしてこうなった。訳が分からないよ。残念ながらクッソ汚い淫獣はNG。あーでもないこーでもないと隣の一夏に
バレないよう首をかしげていた時だ。ポツポツと何か、冷たいものがうなじに当たる。雨。夕方より少し前の午後の時間帯。成る程、これは運が悪い。
「うわっ、あ、雨……っ?」
「ゲリラ豪雨か夕立か。どっちにしろ災難だな」
「と、とにかく、蒼の家まであと少しなんだし早く行くよっ」
「おわっ、ちょ、引っ張んなよ!?」
一夏の力が強い。
◇◆◇
結果、普通に濡れました。土砂降りだから地味に下着までやられて酷いことこの上ない。つか雨に濡れたからか変な感じがする。早くシャワー浴びてぇ。けど、今はちょっと我慢我慢。何故かってお前、普通に考えたら分かるだろ。女の子を優先するのはこの世界の真理ですからね。仕方ないね。紳士的にもびしょ濡れの美少女をそのままにはしておけなかったのサ。例え元男だったとしても。ちなみに一夏の服なんて勿論俺の部屋にある筈もなく、一時的にこちらのを貸すことにした。
「……ふぅ、蒼? 出たけど?」
「ん? おう、じゃあ俺──」
──も入るか。そう続ける筈だった台詞が出せない。口を封じられた訳じゃない。声が出なくなったなんてことも無い。ただ、驚きすぎてマジヤバイ。どれくらいヤバイのかって言うと、目の前がアヴァロンのエクスカリバーでエクスカリバーが出しなてめーのスタンドをマジでやるからマジエンジェ。
「……い、一夏。その格好は?」
「? ……応急処置だよ?」
しれっと返すなやコラ。
「あぁ、それは分かる。服が濡れたんだろ。分かるさ。だがなお前。それはダメだろ」
「でもこれ以外無くて……」
「うん。服を常日頃から多く買わない俺も悪かったと思う。けどな」
──下着無しのカッターシャツとだぼだぼの学生ズボンって、ちょっとヤバくないですかね。
ついにうちの感想が四桁突入しましたよ。勢い半端じゃないですね。何が君たちをそこまで駆り立てるんだ……。
さて、とりあえず謝罪をば。多分誤字脱字とか酷いと思いますので。何を隠そう私今にも眠たくて落ちそうなのであります。本当すいません。ちょっと眠ります。この話自体寝惚けながら書いているので、書き直す可能性も結構あります。このお返しは必ずいつか……