朝ちゅん、というモノを皆さんご存じだろうか。その名の通り朝に鳥がちゅんと鳴く様子を表しているわけなのだが、この単語の本質はそこではない。漫画やら小説やらの創作で朝ちゅんというシチュエーションが使われた場合、大体というか九割方というか殆どというか九分九厘というか限り無く高確率で事後である。事前でも事中でもない。事後である。R15、もしくはそれ以下の作品で男と女が性行為をした事柄を簡潔に伝え、また読者の想像をかきたてるこの表現方法は素晴らしいの一言につきる。
「~♪……──?」
朝ちゅん。なんというイイ響きだろうか。夜に行われる紳士と淑女のお茶会(隠喩)を詳しく描写できないなら、やった証拠を突き付ければいいじゃないかという神様たちの考えが受け取れる。ええ、しかと受けとりましたよ。R18作品でない限り、もう面倒くさいからドストレートに言うけどセックス描写なんて出来ないわけだ。十八歳まではエロゲーもしちゃ駄目だしエロ本も拾っては駄目ですよ当たり前です。メーカーの決めたレーティングはきちんと守ろうね!(清純派オタク感)
「──?……──……」
ちなみにこれは俺個人の見解だが、セッ〇スと伏せ字で書くよりセックスと全部書いた方がまともに見えるのは気のせいだろうか。エロワードを伏せているとなんだよこれエロ小説かよぐへへ……的な感じになるが、伏せずに直接書くことによってなんだか真面目な文学小説みたい……となって作品自体のレベルが上がる気がするんだ。つまりセックスとドストレートに書いているこの小説は真面目な文学小説。完璧だな。色気の欠片も無いような本でエロい言葉を使ってもエロスは感じられないのだ。だからこそ人はロマンを求めて
さて、長々と説明して真面目くさい文を書いてしまったが、この小説はお探しの小説で間違いありません。何が言いたいのかというと、朝ちゅんっていいよね! でも、現実はそう甘くないんだよと伝えたかったんだ。ゆうべはおたのしみでしたね。楽しんでません。
「──?」
不意に、とんとんと肩を叩かれる。やめてほしい。安眠妨害だ。ゆっくり寝させてくれ。ただでさえ最近は本当眠れないんだから、じっくりと布団にこもっていたい。むしろ布団こそが俺のテリトリー。起き上がって直ぐにスマホか小説かゲームをとれる状態にしておくとマジで飯食う時以外は動かなくていいので楽。このままミノムシになりたいなぁ……なんて考えておやすみ。いやだよぅ……起きたくなんてないよぅ……。
「──」
ゆっさゆっさ。今度は揺らされた。うがぁぁぁぁぁぁぁ安眠妨害ィィィィィィイ。ちっくしょ。マジでちっくしょ。これはあきまへんわ。寝たい寝たいと思っても俺を起こそうとしている何かが邪魔をする。意識が浮上してきていないだけマシか。何か言ってるようだけど声は聞こえないし。うん。このまま眠れ。より深い睡眠を求めて微睡みに身を任せるのだ。
「──て、あ──」
「んぅ……」
だんだん声が大きくなってきてる。あまりボリューム上げすぎんなよ、近所迷惑になるだろうが。壁ドンされたらどーするんだお前。両隣とも綺麗なオネーサンでしたけどね。あれ、何だか悪意を感じるよ。やっぱり世界って俺に対して酷くないっすかね。転生者とかいう異物だから認めてもらえないんかオイ。認めろやゴルァ。ワイは転生者やぞお前。完璧最強皆のヒーローで分身なスーパーオリ主になり得る可能性をもつ転生者やぞ。踏み台とかいうんじゃねえよ。むしろ踏み台にすらならねぇスペックだぞこっちは。努力ぅ? 俺の嫌いな言葉は一番が「努力」で二番目が「ガンバル」なんだぜ。
「起きて、蒼っ」
「……ゃだ……」
プツン、と何かが切れる音。
「起きないとガムテープで脛毛抜くよ?」
「いい朝じゃないか。おはよう一夏」
あの痛みは一度経験するとトラウマもの。虎に馬が噛み付いてる画像くらいトラウマもの。あれ? それ噛み付かれるの逆じゃね?
◇◆◇
「ふあぁ……ねむ……」
「髪の毛ボサボサじゃん。ちゃんと直してきなよ」
「めんどくせぇ……いただきます」
「はぁ……。昨日一体何時に寝たの……」
言われて白米をモグモグしなから考える。昨晩はスマホ弄ってたりゲームしてたりで気付いたら陽が昇りかけていたのだ。カーテンの隙間からうっすらと光が射し込んだときはちょっと焦った。一日が二十四時間って少ないと思うの。でも学生なら登校する時間や社会人なら出社する時間を考えると二十四時間で十分とも思う。まぁ、百歩譲って学校なら二日は休み確定だしいい。しかも座って授業聞いてるだけで終わるんだぜ。義務教育サイコー、でも勉強はしたくねぇ……。
「最後に時計を見たのは五時半だったか」
「今は七時だけど? 絶対寝てないよね」
「寝たのを邪魔したのはどこのどいつだったか」
「起きない蒼が悪いんだよ」
呆れたような風に言いながらぱくぱく食べる一夏の服装はいつも通りの私服……ではなく
「大体、新学期なんだからもっとシャキッとしなよ」
「学校に行ったら多分シャキッとしてる」
「どうだか……」
これでもとある女子に「あんた学校にいるとボイルキャベツなのに普段は腐ったキャベツなのね」って言われたことあるんだからな。めっちゃシャキシャキしてそうだろ、ほら。つーかまたナチュラルに罵倒されてんですけど……。くそっ、酢豚マジで許さねえ。背中曲がってるとか言いながらバンバン叩いてきた恨みを俺は一生忘れやしない。ついまな板とか漏らして中国拳法(ガチ)を喰らったことだってもちろん忘れない。くっそ痛いんだよお前の暴力……。腹パンは是非
「これでも学校の俺はまだ
「え、誰に?」
「中国四千年の歴史」
「あー……鈴かぁ……」
元気かな、なんて言いながら微笑む一夏。多分というか絶対元気だと思いますよ。だって一年ちょっと後には代表候補生として日本に来るだろうから。でかいでかいと来てまさかの小さい。多分読んでいた半分の人が驚いて残りの半分は狂喜乱舞したことだろう。貧乳はステータスだ。希少価値だ。そう言ってあげたら一時間正座させられて説教されたのは良い思い出。余計なフォローは人を傷付けるってはっきり分かんだね。ISのヒロインって怖いです。
「まぁ、鈴のことだから元気だと思うけど」
「うんうん。病気しなさそうだし」
「毎日健康にしてれば無病息災だし」
「それはお前だけ」
「えっ?」
中学生の頃からこんな思考回路の人間こいつ以外に見たことがありませんよ。どんだけ爺臭え考えしてやがるんだ。いや、女だから……ってこの流れ前もやった気がする。果てしないデジャビュ。いつだったか……そう。あれは……。思い……出した! 思い出しても前世が平凡な一般人だから勝てねーな。やっぱ綴ることも出来ないサラティガも来ないような転生者では駄目ですね。俺の前世がでっかい竜を撃ち落としてその血を背中以外に浴びてチート性能誇っておきながら背中刺されて殺されたネーデルラントの王子だったら良かったのに。それどこのすまないさん。邪悪なる竜は失墜し(別に失墜しません)世界は今落陽に至る(多分至りません)撃ち落とす(落とせません)
「規則正しい生活って大事だと思うんだけど……」
「皆思うだけ。実行できるお前はすげーよ」
「そ、そう? さんきゅーね」
「はいはいどういたしまして。ごちそうさまです」
ことんと食器を置いて一息。ふぅ、悔しいけど一夏のつくる飯はうまいからな。春休み中に性転換してからずっと朝に来られて飯作られてみろ。ちょっと申し訳なくなると同時に胃袋を掴まれた感覚になって怖くなるのに加えて一夏のメンタル面の強さにもう一度怖くなるんだぜ。こいつ本当精神が特殊合金レベル。ダイヤモンド? ダイヤモンドはハンマーで砕けるのよ(震え声)。砕けないのはクレイジーな方だけです。
「んじゃ、ぱぱっと後のこと終わらせてさっさと行きますかね」
「うん。あ、食器は私がやっとくから。蒼はその髪の毛といて歯磨いてきて、ほら」
「分かった分かった。だから押すんじゃねえよ。つーかお前は?」
「私は私で歯ブラシ持ってきてるし。だからさっさと行く。堕落した生活は駄目なんだよ」
「……うぃーっす」
お前は俺の何だ、と。そう声を大にして言いたくなった自分は間違っていない。いやまぁ、いつも通りの一夏と言えば一夏なんだが。というより学校でも結構口を酸っぱくして言われてたのが日常生活にまで溶け込んだだけ。う~ん、ちょっと辛いわ。だから抱いた感想は間違いなんかじゃない。決して、間違いなんかじゃないんだからッ……!!
作者は天才ではありません。なので、作者がふざけて書いているこの作品も絶対面白いとは限りません。皆さん、面白いって何ですか(哲学)ちょっとテンションが足りませんね。デスソース一気飲みしてきます(自殺)
活動報告のアンケートは明日の十二時の時点で結果出します。結果はお察しとか言わないで(懇願)
さて、次も元気に頑張るぞい!(白目)