陸上これくしょん!   作:ゆっくり分隊長

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数日前から家族の用事で無理やり退かされた結果PCのある部屋が使えず...まぁ今は奇跡的に空いて居るので今の内に...


第捌話

 

この基地で一晩過ごす事となった二人は、夕食まで自由に見学して良いと言われ、

建物の二階から陸娘と人間の共用だと思われる運動場を見ていた。

 

運動場には隣接する様にだだっ広いスペースがあり、現在五人の陸娘達の訓練に使われている。

 

訓練中の陸娘は似たような風貌の娘が多く、綺麗に一列に並びながら走行して居た。

 

「種類はある程度統一されているのか...」

大樹は双眼鏡で遠方から此方側に向かって来る五人を観察。

 

「敵発見、十時方向!」

先頭の少女がそう叫ぶと、全員が一斉に砲塔を旋回させる。

 

「行進射....ってぇ!!」

号令と共に五人が構えている砲が一斉に火を噴いた。

砲弾は目標とされた小さな的の周囲に一斉に着弾する。

 

「各自行進間射撃、後に半包囲開始!」

五人はそれぞれ一時停止して射撃した後即座に前進を再開、中央の少女が停止して射撃

している間に両端の二人が素早く的の方向へ動く。

 

「それにしても、何だ...?あれ」

隣に居るチロへ聞いたが、チロも知らないと首を振る。

二人が疑問に思った物、それは陸娘達の移動手段だった。

 

「チロって確か...走ってた(・・・・)よな?」

 

「はい。...だけどあの娘達は....」

 

二人はもう一度訓練の様子に目を戻す。

半包囲は完了したのか、停止した状態で全員一斉に砲撃、頑丈な筈の的を粉々に粉砕して居た。

 

「総員、空薬莢と残骸を回収して戻るわよ!」

五人の中のトップなのだろう、先程も指令を出していた娘が後始末の指令をする。

他の四人は、各自砲撃した地点へ走行(・・)し、空薬莢などの回収に勤しむ。

 

指令をしていた娘はその場に留まり、破壊された的を拾っているようだ。

 

「...やっぱり、〝走行〟してる...」

空薬莢の回収を終えた一人の娘が、まるでローラースケートでも滑っているかのように

足を動かし、トップの元へと向かう。

 

「司令、彼女達の足元をよく見てください...。此処からだと良く見えませんが、履帯みたいなのが付いてませんか?」

チロに促されるままに双眼鏡を覗き込む。

「...確かに付いているな...あれで移動してるのか?」

「足使わないって言うのは楽そうで良いですけどね~」

チロは若干羨ましそうだ。

 

「取り敢えず帰って来たら話を聞いてみましょうよ!」

謎の装置に興味を持ったようだ。

「別にそこらへんに居る関係者をとっ捕まえて聞けば良いじゃないか...」

当事者から聞くのが一番ですっ!と何故か気力に満ち溢れたチロに、大樹は静かに溜息をついた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「疲れたぁ~...」

「結構動いたから暑いね」

「ね~...」

片付けが終わったのであろう、五人が汗を拭いながら建物へと入って来た。

 

「あの、皆さんちょっと良いですか?」

其処にチロが待ってましたとばかりに飛び出す。

 

「え、えっと...貴女は?」

 

「申し遅れました、近隣の基地から来ました、チロです!」

 

「は、はぁ....」

少女達はチロのペースに付いて行けていない様だ。

「それでこっちが....私の司令です!」

無理やり少女たちの目の前に引っ張り出される大樹。

「...どうも」

余り乗り気では無さそうだ。

 

「おっ、男の人!?しかも司令!?」

基地内にある程度居るとはいえ、行き成り目の前に知らない男性が現れた事に動揺する少女達。

「あっあの、すみませんこんな格好で!というよりあぁっ、離れて下さい今汗で...!」

「お、落ち着けって、な?」

大樹も落ち着かせようとするが、効果は薄い。

 

「司令殿、すみません、こんな格好の上に今運動したばかりなので凄い汗臭くて...」

「否、これ位慣れているから大丈夫さ」

今まで艦娘達の面倒をずっと見てきたのもあるが、

十五才程の少女達の汗のにおいは、独特の酸っぱさがありながらも不思議と苦にならなかった。

 

...もっとも、士官学校時代で過酷な訓練の後、一つの部屋でむさ苦しい野郎共数十人と一緒に着替えた点で色々と麻痺しているのだが。

 

「取り敢えず、少し着替えてくるので待ってて下さい」

先程もリーダーだった娘が代表で言う。

「あぁ、分かった」

承諾を得た少女は、いこっ、と四人に声を掛けて更衣室に走っていった。

 

(懐かしいなぁ...)

大樹は走り去っていくその背中に、海軍時代に艦娘達と一緒に過ごしていた日々を重ねる。

 

 

 

 

 

 

 

一方。

 

 

「提督~!お茶切れたんだけど!」

「分かった、誰か手の空いている物は買ってきてくれないか?」

「面倒くさ~い...提督が買ってきてよぉ」

「今書類があって忙しいから終わってからならな」

「え~今買ってきてよ~」

「最初の頃の礼儀正しかったお前らは一体何処に...」

 

とても苦労をしていた新提督でした。

 

 




戦車紹介コーナーです

「こんにちは、チヘです!
1940年に開発が開始され、チハちゃんの跡継ぎとして、防御力と機動力を強化しました!だけど、飛行機や船を優先されて、量産と部隊配備は44年で結局実戦参加は....でも、今度は頑張ります!」
個人的には気に言っているチヘチハチヌ。後チトとチリも

もし絵を描けるとしたら真っ先に描きたい程イメージがハッキリしているんですが...私の画力が上がれば載せます!(フラグ)

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