『・・・どう言う事だか説明してくれるな?』
「・・・何がです?」
『とぼけるな、深海棲艦の事だ』
「・・・・詳しい事は今度直接お話ししますが、兎に角彼女らは我々の行った掃討戦の生き残りで、既に戦意は無いようなのでご安心を。それに深海棲艦側の情報も手に入れる事が出来るので、何かあれば彼女らを呼んだ方が為になると思います。」
『・・・了解、其方も頑張ってくれ』
「えぇ、勿論。」
ガシャッ
大樹は電話を切り、深い溜息をつき、部屋を出て外を目指す。
「今の、誰からです?」
待っていた89式が隣を歩きながらが質問する。
「元居た鎮守府の後任提督からだ」
「司令って以前は鎮守府に居たんですか?」
「あぁ、そうだ。」
だから指揮をするのに慣れてるんですね、と言いながら外へと繋がる扉を開ける。
外へ出てからある程度歩く。
陸娘や人間も使えるグラウンド兼小規模な演習用の広い運動場を抜け、
基地の出口へと歩を進める。
「海軍にも私達みたいな存在が居るんですか?」
「ん、まぁな。」
暇つぶしの会話を続けながら出口付近にあった私用のくろがね四起に乗り込む。
89式を隣に座らせ自身は運転席に座り、エンジンをかけ発進させる。
雑談をしながら数分後、森の中で一旦停止する。
「此処まで余り計画立てずに来たから一旦どの方面に行くか決めるか」
大樹はくろがねのボンネットに日本地図を広げ、ペンを取り出す。
「まず基地の場所は何処かなんだが、89式は聞かされてるか?俺は聞かされずに此処に来たんだが」
「いえ、私も聞かされていません。ただ予測は付きますが」
そう言うと89式は日本地図の大体真ん中を指す。
「恐らくですが、長野付近かと。」
「そうか・・・なんとかして兵力が欲しいんだが・・・出来れば最新鋭戦車が集まっている
どっちも遠いんだよなぁ・・・と愚痴をこぼす。
「帝都に行ったとしても此方に戦力を回したことで帝都の防衛力が減っては困る・・・かといって九州も、
今停戦中の戦争が再開した場合に備えて本土決戦の為の大事な戦力を此方に回す
余裕はないだろうな・・・」
「どうしましょう・・・?」
「・・・仕方ない、ホ型から聞き出した情報を元に周辺を捜索し、なんとか掃討するしかないな・・・運が良ければどこか味方の小規模な基地に辿り着けるかも知れない」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
くろがねを更に走らせる事数十分。前方に煙が見えて来た。
「・・・何だ?あれは」
「さぁ・・・火事・・・でしょうか・・?」
「兎に角行ってみよう」
大樹達はくろがねを煙の下へと走らせる。
「こ、これは・・・・」
「敵襲・・・か」
煙は、まだ襲撃されてから時間が経って居ない事を意味している。
近隣の基地から来たと思われる九四式六輪自動貨車は、見るも無残な状態で横たわっていた。
「って事は、ち、近くに敵が・・・」
「・・・だろうな。」
「ど、どうしましょう・・・前みたいに速射砲も無いですし・・・」
「一応
その時、付近の草むらがいきなり爆ぜた。
「っ!・・・敵襲!」
大樹達は次弾が飛んでくる前に伏せ、素早く二手に分かれる。
胸にぶら下げてあった双眼鏡を覗いた89式は・・・
砲撃をしながら近づいてくる重武装の敵陸上型1両と、随伴の陸上型2両を見つけた。
「・・・・ッ!」
その内の重武装の陸上型と目が合う。
その陸上型は・・・・
ニヤァ、と恐ろしい笑みを89式に向けた。
少し少ないですが、長期間筆を休めていたリハビリとして、今回はこの位で。
では久しぶりの戦車紹介コーナー。
「どうも、装甲工作車セリです。中国での実践経験から九七式中戦車チハを基に作られ、戦車や装甲車の迅速な回収を目的とされました。クレーンやウィンチを備え、自衛用に重機関銃も装備して居ました。ですが3両が生産されただけで、殆ど試作車扱いをされてしまっていました・・・残念・・・。」
はい、今回は日本のセリです。チハ関係は派生型が多く、私も大好きです。
ではまた次回~
・・・・あぁ~誰か89式の擬人化書いてくれないかな~(チラッチラッ)
睦月似で絶対可愛いと思うんだけどな~(チラッ)