「間もなくw.s.m.a委員ジム氏による官邸訪問が行なわれようとしています…」
どーせなにもおきやしないだろうし、眠くてたまんねーよ。
「ふぁー」
「健太君!もう少し気を引きしてめて。一応警備なんだしね?」
「すいません、ボス。」
「そのボスって呼ぶのやめないかい?誰が言い始めたのか、みんなに浸透しちゃってるし。一応君たちの上役だけどそこまで偉いわけじゃないんだよ?」
「まー気持ちの問題っすよ。」
ブォー、キー!
「いらっしゃったみたいだよ。宜しく頼むよ?」
「了解です」
カチャ。
「ようこそ、Mr.ジム」
「私は本日の警備責任者の加藤と申します。
そしてこちらが」
「本日あなたの護衛を勤めさせて頂きます。
大村健太特務官です。」
「こんな少年で大丈夫なのかね?」
「ご安心ください。彼は国内最強クラスのSecondですので。」
「なら、宜しく頼むよ。くれぐれも私には近づき過ぎないでくれたまえ」
汚いモノを見るような目で見られる。
慣れてはいる、Secondだと知られた時、相手の感情はおおよそ3パターンに分かれる。
今のような人以外を見るような、蔑むような感じ。
化け物を見る恐怖のもの。
もっとも稀だがあと一つは尊敬なんかの讃えるような感情。
そんなふうになるからどんな反応をされようと慣れてしまった…
所詮俺たちは人として扱われない化け物なんだと。
トクン。
「ん?」
心臓のあたりからまるで、水面に波紋が広がるようななんとも言えない感覚がこみ上げてくる。
「どうかしたかい?」
「なんでもないっすよ…」
気のせいだ、多分緊張とかで起こった事だろう。
そう、自分の中で完結させて、自分のやらないといけない事に戻った。
あれから、首相との会談なんかの間、ただ立ってるだけの時間が過ぎていった。
学生時代の校長の長話と同じで眠くなってくる。
欠伸がでそうだ。
ドクン…
さっき感じた感覚がよりいっそう大きく感じられた!
「‼︎‼︎⁉︎」
「どうかし[お話中失礼します。ボス。現場付近で能力行使反応を感知致しました。]‼︎、現状把握できた情報を回して」
「すみません、首相、Mr.ジム。付近で能力行使が行なわれたようなので一旦会談を中止し」
ドォーン!
「なんだ!なにが起こった?」
[現状読み取れた情報は、獣化能力などの変化時に起きる能力行使の波長パターンをキャッチしました。]
「獣化?今火の玉みたいのが飛んできたけど?」
「下がってください。ボス能力行使の許可をください。
俺がやります。」
「ダメだよ!相手の情報もわからないのに、簡単には出せないよ。」
ち、面倒だいっそ全て薙ぎ払いたい。
そんな風にすら思う、さっきの感覚が苛立たせているような変な感じだ。
周囲を警戒していると。
それは、現れたんだ。相対している相手なのに。綺麗だと思ってしまう様な姿。
俺と同じように伝説の中にだけ存在するモノ。
その体は炎で構成されている、伝説の鳥。
ゲームやマンガにも不死鳥なんて呼ばれて出てくる。
その場にいた、誰かが呟いた、でもふしぎとみんなに聞こえていた。
「フェニックス…」