カムイ「ふ、ふつつか者ですが……よろしく、お願いします///」
リョウマ「はっ!? ……夢だったのか。恐ろしい夢を見てしまっ……」
オロチ「マークスとカムイの結婚式マークスとカムイの結婚式マークスとカムイの」ブツブツ
リョウマ「……オロチ、何をしている?」
オロチ「ちょっと悪戯を……いかん、リョウマ様のうなされ具合を思い出すと笑いが」
リョウマ「貴様ぁ!!」
「はぁ!? デート!?」
ある日の衛宮邸の食卓に絶叫が響き渡った原因は、およそ10分程遡る。
「ランサーちゃんはこの町に慣れた?」
朝食を食べながら、藤ねぇがランサーに質問する。
「えぇ、士郎にも学校や周辺を案内してもらっているし、この町には大分慣れたわ」
「うんうん、ならよし。士郎も隅におけないわねーこんな可愛い娘が一緒に住んでるなんて」
「らしいわよ、凛」
「いや、話の脈絡から貴方の事に決まっているじゃない」
「わざわざ修正しないで。その……照れるから///」
「否定しないのね……」
「それで、士郎の本命は誰なの? 桜ちゃん? 遠坂さん? それともランサーちゃん?」
「ぶっ!?」
この人は何故本人達がいる場でとんでもない爆弾を投下するのだろうか。
場の空気が一瞬固まったものの、このままこの空気が続けばまずい事になる事を悟った士郎は、咄嗟に話題転換を試みる。
「藤ねぇ、そうやって人をからかおうったってそうはいかないからな。それに藤ねぇ課題の採点は良いのか? 後になって課題が終わらない手伝ってーって言われても手伝わないからな」
「酷い!? 士郎の鬼! このひとでなし!」
「それ以前に教師が生徒に頼りっきりになるな!」
「ランサーちゃーん、士郎がいじめてくるー」
「駄目よ士郎、女性を無下に扱うと後が怖いわよ?」
「いや、藤ねぇは女性というより虎……」
「タイガーって言うなぁあああああああ!!」
「ぶべら!?」
「ふーんだ、士郎なんて知らない」
「いや、子供かよ」
愉快なやり取りが行われた後、拗ねた藤ねぇがそっぽを向く。
「いいもん、どうせこの後デート行って来るから」
「へぇ、藤ねぇがデートね……え?」
「お、反応した? 反応した?」
「はぁ!? デート!? あの藤ねぇが!?!?」
思わず絶叫した。そして冒頭に至る。
「衛宮君、驚くのは分かるけどいきなり大声を出さないでもらえる?」
「あ……すまん、遠坂」
「でも、藤村先生の彼氏ですか。どこまで関係は進んだんですか? A? B?」
「ふっふっふ……驚く事なかれ。なんともうすぐ……」
「遠坂、本気にしなくていいぞ」
「いやー、士郎ったら嫉妬? もしかしてお姉さんに嫉妬しちゃった?」
「んな訳ないだろ。で、実際は拾った猫に餌をやりに行くとかそういうパターンだろ?」
「そんな訳ないじゃない、相手はちゃんとした男性よ」
「街を案内するとかそういうオチだろ?」
「何故バレた!?」
「決まっている、藤ねぇに男が出来る訳がない!!」
「何よー! 私だって立派な女の子なのよー!!」
「はいはい、それよりデートの時間は大丈夫なのか?」
「大変! もうこんな時間!? 行ってきまーす!!」
時間が迫っていた事に気づいた藤ねぇは凄まじい速度でご飯をかきこみ、そのままバイクで走り去っていった。
「しかし、台風のような人物だったな」
「セイバー、貴方何時からいたの?」
「霊体化していただけでずっといたぞ」
「貴も一緒に会話に混ざればよかったのに」
「勘弁してくれ」
「そういえば衛宮君、ここに映画館のチケットがあるのだけれど」
と、藤ねぇが去った後に遠坂が見せて来たのは2枚の映画鑑賞チケットだ。
何の脈絡もなく、という訳でもない。藤ねぇのデート話で思い出したのだろう。そうだと思いたい。
「2枚あるな……それがどうかしたのか?」
「ねぇ、衛宮君……」
「貴方、せっかくだからランサーとデートに洒落込んでみたらどう?」
平和回の重要性とはこれいかに