転生・太陽の子   作:白黒yu-ki

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長いこと離れていました。
まだ勘が取り戻せておらず、文字数少なめで申し訳ないです。



相対する太陽と月

光太郎にとって最高の親友にして、最凶の敵。

「月」を象徴するその銀の体の可動を確認するかのように、シャドームーンは無言で手足を動かしていた。そしてついに復活を遂げた世紀王を前に、大怪人となったダロム、バラオム、ビシュムは跪く。

 

「・・・力はRXと最後に戦った状態、といったところか」

 

シャドームーンは静かに佇む。

辺りは静寂ではあるが、眼に見えない圧力に包まれている。人よりも敏感な野生動物たちはそれを本能で察し、その空間から離脱していた。それぞれの石の力を失い、大怪人となったダロムたちにとっても怯む程の圧なのだ。もしこの場に鈍感な人間がいたとしても、即刻腰を抜かして気を失うであろう。それに耐えられる者は多くはない。

 

 

そして…この男もまた、それに耐えるどころかシャドームーンと同等の圧力を放っている。

 

空高くから飛翔してきた黒き影。彼等の前に現れたのはシャドームーンと対をなす存在である仮面ライダーBLACK RXだ。

 

RXは親友の姿を見て、沈思黙考する。親友との再会に嬉しさがこみ上げたがすぐにそれを抑え、戦闘態勢をとった。シャドームーンから、突き刺すような敵意を感じたからだ。しかし心の奥底では「信彦はこの世界では元に戻っているのでは」と儚い期待を抱いてしまっている。

 

「信彦…俺だ! 光太郎だ! 分からないのか!?」

 

「…分かっている。そして仮面ライダーBRACK RX、俺の倒すべき相手だろう」

 

「くっ…ダメなのか!? また再び戦わなければならないというのか!?」

 

対峙するシャドームーンにとって、自分は変わらず敵。認めたくはないが、この状況を考えなかった訳ではない。戦うしか…ないのだ。

 

翼竜の大怪人となったビシュムがRXの背後から疾走してくる二つの影に視線を向ける。そこにはトレインとイヴの姿があった。

 

「へへっ、このスピードについてくるなんてやるじゃねえか姫っち」

 

「でもダメ…光太郎、速すぎる」

 

2人はRXの前に立つ異形からの圧力を感じとり、ゴルゴムの怪人であるとアタリをつけた。そんなトレインとイヴを見て、脅威を感じる大怪人ではない。ビシュムは微笑み、一歩前に出る。

 

「お仲間ですか。いえ、どちらかといえばお荷物と言った方が正確でしょうか。これからの戦いに、人間のような矮小な存在が立ち入る隙など無に等しい。あなた方に分かりやすく例えるならば、蚊や蟻に抵抗されるもの…。それらに敗北すると思いますか?」

 

「恐竜っぽい見た目になってオツムまで退化しちまったか? 俺たちは人間だ。それほどの力の差があったとしても、攻め方を考える事ができる。どれだけ力の強い奴相手でも、やり方次第だと思うぜ」

 

「…そう、例えからして間違ってる。トレインはバカだけど、力に力で対抗するほどバカじゃない」

 

「…姫っち、俺の心を傷付けないといけないノルマでもあんのか!?」

 

「それじゃ….単細胞ならいい?」

 

「バカにされてるのは変わらねえっ!?」

 

2人のやりとりを傍観していたシャドームーンがRXに視線を向ける。

 

「RX、貴様はそれでいいのだな? 力の無い者を傍に置き、再びあの時のように巻き込むか。弱き人の心を残しているばかりに、自らの心を痛める。惨めだな」

 

「信彦…いや、シャドームーンよ! 確かに俺は弱い。危険に晒させないために仲間を遠ざけても、心が絆を求めてしまう。こんな俺を追いかけてくれたイヴたちを前にした時、心が暖かさを感じた。俺はこの弱き心を恥じはしない。

…一緒に戦ってくれ、イヴ、トレイン」

 

「…うん、私は光太郎がそう言ってくれるのをずっと待ってたよ」

 

「そういうこった。いくら怪人だからって人間を甘く見てるとヤケドするぜ」

 

「人間風情が…!」

 

ビシュムが青筋を浮かべ殺意を膨らませた直後、RXたちとは別方向から放たれた銃弾がビシュムの額を弾いた。ビシュムの肌で潰れた弾丸は力無くその場に落下する。銃弾が放たれた場には光太郎の仲間が駆けつけていた。

 

「やはり普通の弾じゃ通用しないな」

 

「あー! コウ様みっけましたよ!! あ、キョーコ分かっちゃいました。アレがコウ様の敵ですね!!」

 

「キョーコさん、隙を見せないようにしてくだサイ。彼らは強敵のようデスからね」

 

「光太郎さん、このジパングマンが加勢しま…………はっ! 意識が飛びかけた。何だこれ」

 

スヴェン、キョーコ、シャルデン、そしてジパングマンがそこにいた。ジパングマンだけ大怪人やシャドームーンの圧に意識を飛ばされそうになっていたが、何とか持ち直している。

 

新たな救援者がやって来たのを見て、サーベルタイガーの大怪人となったバラオムも戦闘態勢をとった。

 

「ゴミが! 一掃してくれるわ!!」

 

バラオムの咆哮が戦闘の開始を告げた。




ついに出遭ってしまったRXとシャドームーン。
イヴたちは大怪人を相手にどう立ち向かうのか!?
そしてRXとシャドームーンの戦いの行方は如何に!?

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