転生・太陽の子   作:白黒yu-ki

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小説投稿していると色々あるけれど、少しでもこの作品を読んでくれる人がいるなら更新頑張っちゃいます! 他の人の小説読んで語彙を増やしていこうかな。

他の人のRXの小説も読みたいけどなかなか無いの…。
面白そうなのは更新が止まってたり…。


原作ではここにリンスはいなかった?

ヘドロネタのためです(笑)



イヴ絵描きました

【挿絵表示】




私が生まれた意味

暗黒結社ゴルゴム。

怪人とごく僅かな人間で構成されている組織である。人間も含まれるといってもその人間とは科学者や医学者が数人いるだけである。いくら怪人が人間とは比べ物にならない数万年の時を生き、優れた力を発揮しようとも人材不足である感は否めなかった。

 

その怪人も中には科学者と一緒にマグロの密漁をするなど、自分の斜め上か下かも分からない作戦をとっている者もいた。

 

ドクターは今、自身の能力で作った手術室の中に怪人を引き込む事に成功した。人型の大きなワシの姿をした怪人だ。ドクターの(タオ)能力はWARP WORLD(歪世界)。気の力で作り出した手術室に入った者を、空想の世界に落とす事ができる。そこではドクターが創造主でどんな事も思い通りになる世界。そして入った者の記憶の中にある人物も呼び出す事ができる。

 

オオワシ怪人の前には憎き男が立っていた。ドクターは知る由もないが、男の名は仮面ライダーBLACK。RXへとパワーアップする前の以前の姿だ。オオワシ怪人にとっては一度敗れた相手である。オオワシ怪人は突然のBLACK出現に驚き戸惑うも、すぐに攻撃に転じた。しかしここはドクターの世界である。オオワシ怪人の攻撃は無力化され、目の前のBLACKのライダーパンチを受けて大きなダメージを受けて倒れた。

 

 

「さぁ、解剖を始めようか」

 

ドクターの笑みが零れた。

 

◆◇◇◆

 

 

空気の澄んだ田舎町。

そこにバイクに乗った光太郎は到着した。そこにはリンスが既に先に到着していた。

 

「久しぶりね、光太郎。それで、イヴちゃんにはバレずに来れたでしょうね?」

 

「え、あ、ああ! 勿論さ!」

 

「…心なしか目が泳いでいるように見えるんだけど?」

 

「………」

 

「まぁ、いいわ。ティアーユ博士はこの田舎の中でも町外れに住んでいるそうよ。そこまで私も乗せて行ってもらうわよ」

 

リンスが無理矢理そう決定付けた為、光太郎は予備のヘルメットを渡して再びバイクを走らせた。暫く走ると湖が見え、その畔にあった建物が視界に入った。あそこにティアーユ=ルナティークがいるのだろう。光太郎は玄関前にバイクを停め、チャイムを鳴らした。しかし、誰かが出てくる気配はない。リンスの顔を見やると「この家に間違いないはずよ」と焦っている。

 

リンスはそう言ってドアノブを回すと、鍵は掛かっておらず、戸は簡単に開け放たれた。そして2人は直後に異臭を感じ取る。

 

「臭っ! 何の臭いよコレ!」

 

リンスは思わず鼻を摘む。ティアーユは科学者だ。何かの実験をしているのかもしれない。だがそれでもこの臭いは異常だ。光太郎が意を決して中の様子を探ろうとすると、中から女性が現れた。エプロン姿で片手にはフライパンを持っている。そのフライパンの上には実験材料か分からないが黒いヘドロのような物が熱を発していた。フライパンを実験に使用するというのは斬新ではある。

 

だがそれ以上に光太郎を驚かせたのは彼女の顔だ。大人の姿で眼鏡を掛けてはいるが、やはりイヴに瓜二つであったのだ。

 

「実験中に訪問してしまってすいません。実は俺たち、あなたに聞きたい事が…」

 

「…実験? 私は今料理をしていたところなんですけど…」

 

ティアーユはそう言う。信じられないことだがあのフライパンの上にはある黒いヘドロは彼女曰くスクランブルエッグらしい。焦げついたというレベルではないその変異した物体に思わず光太郎も思考が混乱する。そんな光太郎の思考をリンスが代弁してくれた。

 

「はぁ? それって食べ物なの?」

 

「ええ、なんならご一緒に食べて行かれますか?」

 

そしてティアーユがこちらに一歩足を踏み出した瞬間、平坦な床であったにも関わらず躓いた。その勢いで黒いヘドロが飛んでくるも、光太郎は間一髪でそれを避け、倒れようとしていたティアーユを抱き止めた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「え、ええ、ごめんなさい。私、よく転ぶんですよ」

 

こうして間近で見ると、本当にイヴが傍にいるような不思議な感じがする。親族といってもここまで似るものだろうか。だがティアーユの視線が光太郎ではなく別の人物に向けられていた事に気付き、光太郎はその人物に視線を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

リンスの顔に、黒いヘドロがへばりついていた。

 

 

 

 

 

 

「キィィヤァァァァァァァァ!!」

 

 

田舎町にリンスの絶叫が木霊した。

 

 

 

 

 

食器などの場所をティアーユから聞き、光太郎は3人分のコーヒーを淹れた。光太郎、ティアーユ、ミイラ女もとい、ティアーユによって顔に包帯を巻かれたリンスはテーブルを囲んでいた。

 

「私の美しい顔が…」

 

「ごめんなさいごめんなさい…」

 

平謝りするティアーユ。外見はイヴがそのまま成長した姿に見えるが、こうして見るとイヴに比べて少しドジっぽいところがあるのかもしれない。

 

リンスには申し訳ないが、ヘドロ事件は置いて光太郎は自分たちが訪問した理由を告げた。

 

「ティアーユ博士、俺は南光太郎と言います。実はあなたがトルネオ・ルドマンの元お抱え科学者であった事を知り、聞きたいことがあってやってきました」

 

その瞬間、ティアーユの目に後悔の色が浮かんで見えた。光太郎は続ける。

 

「トルネオは警察に逮捕されました。それはいい。俺があなたに聞きたいのは、イヴの事です」

 

「…! イヴは…イヴのことを知っているのですか? あの子は今どこに…?」

 

その瞬間、ティアーユは弾けたように立ち上がった。

 

「イヴは今、俺の仲間たちと一緒にいます。イヴと貴女を合わせるかどうかは、まだ決めかねています。俺は貴女の顔を見て驚きました。イヴと本当にそっくりでしたからね。それで貴女がイヴとの関係者であると思い、なぜイヴの元を去ったのかを聞きに来たのです」

 

光太郎の言葉を真摯に受け止め、ティアーユは再び腰を下ろした。しかし表情には安堵のようなものが見える。ティアーユは「よかった」と呟いた。

 

「トルネオ…彼が警察に捕らえられたことは知っています。でもニュースではイヴのことは何も伝えてくれなかった。でもイヴは生きているんですね?」

 

「ええ。俺が保護者として預からせてもらっています」

 

イヴとしては掃除屋としての相棒のつもりでいるのだが、光太郎にとってはまだまだそういう対象と見られていた。イヴはまだ少女。それも仕方のないことであった。

 

「…それを聞いて安心しました。光太郎さん、あなたは先ほど私をイヴの関係者と言われました。確かにイヴは私にとって科学者としての関係だけではありません」

 

「やはりあなたはイヴの…お姉さん?」

 

イヴの母親にしてはティアーユは少し若すぎるように見える。少し歳の離れた姉が妥当か、と光太郎は予想していた。しかしティアーユは首を振る。

 

「科学者としてイヴを作り出したという意味では母親にあたるかもしれませんが…私とイヴは血縁上の親子でも姉妹でもありません」

 

「え…それじゃイヴとは本当に似ているだけなんですか?」

 

「…似ていて当然です。あの子は私そのもの。私のクローンですから」

 

クローンとは即ちコピーである。イヴの場合は生体クローンに分類され、ティアーユの未受精卵を使用した核移植でのクローニングによって生み出された。その手法で生み出されたイヴの遺伝情報は元であるティアーユと全く同質の物となる。2人が似ているのも当然と言えた。しかしイヴの場合はトルネオの指針により、ナノマシンを利用した兵器へと生み出されてしまったが…。

 

「私は…研究者としてイヴを生み出してしまいました。しかしすぐに後悔しました。これは命を弄ぶ行為だったのだと…。私は自分が犯してしまった行為が怖くなり、トルネオの元を去りました。一科学者がイヴを連れて逃げることなどできず、ただ1人で…。それでもイヴの事を忘れたことは1日だってありません」

 

ティアーユは俯き、両手で顔を覆ってそう言った。最後の方は声が震えていた。この人は、自分が犯してしまった過ちを毎日贖罪の思いで過ごしてきたのだろうと光太郎は思った。

 

だが、イヴにとってのこの人はどのように映るのだろうか。自分を作り出した人。自分の元となった人。イヴは最も近しいこの人を前にした時、何を感じるのか。

 

光太郎がそう考えていると、チャイムが鳴った。

 

「お客さんですか?」

 

「いえ、普段はこんな町外れにやってくる人はいません。町の人も私とは距離を置いていますから…。1日に2組の方がみえるなんて、珍しいこともあるんですね」

 

ティアーユはそう言って来訪者の対応をしようと立ち上がる。

 

「あ…」

 

そして躓く。まるでテンプレであるかのように。

 

ティアーユはよろめいて光太郎に覆いかぶさった。その勢いでコーヒーカップが落下して砕け散る。ガチャンと大きな音を響かせ、リンスは思わず目を瞑った。そしてゆっくりと目の前の現状を視界に入れた。

 

「いたた…ごめんなさい、光太郎さん…」

 

謝るティアーユ。だが当の被害者はティアーユの胸の中にいた。倒れこんできたティアーユを受け止めようと手を差し出そうとしたが、それより前に胸を押し付けられ、光太郎は硬直してしまっていたのだ。

 

そしてそれをジト目で見つめるイヴの姿があった。

 

「イヴちゃん!?」

 

一番早くリンスが気付く。

その声に反応してティアーユがそのままの状態で振り向き「イヴ…?」と驚きの表情を見せた。光太郎はまだ硬直している。

 

 

「…光太郎?」

 

ジト目のままイヴは光太郎に近付く。ティアーユはそこでようやく今の自分の体勢に気付き、光太郎から離れた。再起動を果たした光太郎が見たものは、自分の正面に立つイヴの姿だった。

 

「あれ…ティアーユさん、縮みました?」

 

「私ならこちらですよ?」

 

光太郎の視界の外にいたティアーユがそう言う。そちらを振り向くと確かに自分の記憶にある大人のティアーユがそちらにいた。そしてもう一度イヴを見る。そしてまたティアーユを見て、再度イヴを見ることを繰り返した光太郎はそこでようやく状況の把握をした。

 

「イヴ…? なんでここに!?」

 

「…光太郎、この人と何してたの?」

 

「え? いや、少し話をしてただけさ」

 

「私にはそうは見えなかったよ? あれが光太郎の言う『お話し』なの?」

 

「あ、いや、さっきのは事故だよ! ティアーユさんが倒れ込んできて、それでああいうことに…」

 

光太郎は必死で弁明する。事実なのだが、こういう時のイヴは厄介であると今までの経験から光太郎は察している。光太郎にそう説明されたイヴは隣に立つティアーユを見る。

 

「あなたは…光太郎のなに?」

 

自分そっくりのティアーユを見て、「私のなに?」ではなく「光太郎のなに?」という疑問をぶつけてきた。本来なら前者の疑問が先に浮かぶであろう。そんなイヴを見て、リンスは苦笑した。

 

 

「まるで浮気現場を突き止めた恋人みたいよ、イヴちゃん…」

 

 

と、リンスはぼそりと呟いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

イヴへ状況の説明を終え、光太郎はやや憔悴していた。

 

「私が…あなたのクローン?」

 

ティアーユはイヴに包み隠さず全てを語った。光太郎も、こうなってしまっては隠し事はできないであろうと理解していた為、その話をティアーユに促したのだ。ティアーユはイヴに申し訳なさそうに伝える。

 

イヴには幼い頃の記憶はなかった。記憶の最初にあるのは、顔が朧げな科学者に囲まれている自分。そしてトルネオに連れられ、命を奪う為の教育をされた事だった。その当時、自分は無感情で何を思う事もなかったので気にも留めていなかったが、その時の科学者の中にティアーユらしき人物がいたような気もする。

 

「私たち科学者が生み出してしまったあなたには…両親もいなければ家族もいない。私たちの夢であったナノマシンも、トルネオにとっては兵器としてしか映らなかったのでしょうね。あなたにはとても寂しい思いをさせてしまったと思います。私はずっとあなたに謝りたかった。イヴ、本当に…ごめんなさい」

 

そう言って頭を下げるティアーユに、イヴは「頭を上げてください」と言って続けた。

 

「私も…あなたに言いたい事がありました」

 

ティアーユは覚悟を決める。「自分は科学者の知的欲求の為に生み出されたのか」「なぜ自分を残して去ったのか」そんなイヴの言葉を予想して、手に力が入った。

 

「私を生んでくれて…ありがとう」

 

予想に反した言葉をイヴが告げ、ティアーユは思わずイヴの顔を見る。イヴは微笑んでいた。

 

「私が作られた目的は科学の向上のためかもしれません。育てられた目的は生体兵器のためかもしれません。それでもあなたが私を生んでくれたから、私は光太郎に会う事ができました。そして今ではいろんな場所に行って、いろんなものを見て、いろんなものを食べて…。私は今、幸せだと思います」

 

その言葉にティアーユは目を細め、光太郎は微笑ましい表情を浮かべる。

 

「私には光太郎がいる。セフィリアさんやトレインやスヴェン。キョーコさんにシャルデンさん。私には今これだけの仲間がいます。だから寂しくなんてありません。それに私は…あなたとも仲良くなりたいとも思っています」

 

「イヴ…ありがとう」

 

ティアーユはイヴの手を取り、そう微笑んだ。その目には涙で滲んでいるように見えた。

 

 

 

 

 

 

不意に、リンスの携帯が鳴る。

 

リンスが電話に出ると、電話の相手はスヴェンのようだった。

そしてリンスは叫ぶ。

 

「はぁ? トレインが子どもになった!?」




スヴェンを庇い、クリードから特殊なナノマシンが混入された弾丸を受けたトレイン。それはかつて、ある掃除屋を人狼に創り変えた弾丸だった!

しかしトレインの変化は人狼に変わるのではなく、体が縮んでしまう事だった。

スヴェンたちはトレインを連れて、光太郎たちがいるティアーユの元へ向かう。

次回 『コピー猿エーテス』
ぶっちぎるぜ!!

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