暗殺教室 ~化け物の申し子~   作:千地

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一の話 暗殺開始

「え、暗殺……ですか?」

 

「あぁ、ぜひ君には我々の使命を手伝ってほしい」

 

 

 

あれから一週間の時が過ぎた。もちろん、あの事件はなかったことになった。聞けばヤンキーくずれどもが俺の名前を警察に出して理由をいったらしいのだが、どうも信じられないと言われ逆にあいつらが豚箱行きとなった。ヤンキーなら警察に頼んなよ。

俺はというと今まで通りリア充を妬み、リア充になりたいという矛盾を考えながら今日このころを過ごしている日常……で、あったのだが、これはどういう状況だ? 寝て起きたらパジャマ姿のままうす暗い空間で拘束され、さらには手には手錠をされておりまるで捕まっているみたいだ。

違うから、たしかにいつかは世界滅亡しないかなーとは思ったことあるけど、別に実行しようとしてカルト集団作ろうとか行動してないから。名前は童帝教団とかそんなの考えてないから、本当だから!!!

―――と、思っているのもつかの間に先ほどから俺に言葉を投げかけている男性が眉間にしわを寄せながら声尾を発した。

 

 

 

「先ほど言ったように、来年に地球は滅亡する」

 

「すいません、なんか滅亡とか言われてもピンともスンとも想像できないんスけど」

 

「たしかに、一般ではそういう感想が多いだろう。けど、それには原因がある」

 

 

 

この人の名前は烏間さん、というのだけは知っている。律儀であり、どことなく野生を他漂わせるような男性というのが第一人称であった。切り目であり、スーツを着ても筋肉が発達しているということはわかる。

どうやらこの人、もといこの人が所属している組織とやらが俺を拘束したらしい。軍とか政府とかいろいろ言ってるから、たぶん国だと思うんだが……。

烏間さんは数分前までは拘束したことを謝罪してくいれた。いやそれはいいよ、だってこんな理不尽なことされて怒らないやつなんていないだろ? でも、何故かこの人が頭を下げるというのは想像できるけど、絶対やらなさそう。けど、それでも頭を深く下げてくれた。うん、許してあげますよイケメンさん。

………でもさぁ

 

 

 

「その前にこの鉄格子も外せよ!? 手錠ならまだわかる、いやわかりたくないけど仕方ない! けど、俺人間だよ! 鉄格子ぐらい外したって害はないよ!」

 

「す、すまんがそれは上の方針で不可能だ。申し訳ない、少しだけその中に入ってくれ」

 

「ふざけんなよ!? ホモサピエンスなめんな!」

 

 

 

そう、この俺を囲んでいる鉄格子だ。どうみても俺が閉じ込められている。いや、最初は『烏間さん鉄格子の中に入る趣味あるんだー』と思ってたけど、俺が入っていたとは不覚。烏間さんはどうやら上というには、上司なのだろう。その人から俺を鉄格子に入れさせろと言われ仕方なくって感じだ。

 

 

 

「とりあえず、俺の話が終わるまで少しだけそこで静かにしててくれ」

 

「おいおいおい、俺を? なんだって? 俺を静かにだと? ははははははは!! それは無理なこった! この覇鐘 獅子さんはよぉ、地元でも一時期ブイブイ言われてたほどなんだぞ! 俺に命令したきゃ、態度ってもんがあるだろうよ!」

 

「くっ………(最近の子供はやはり嫌いだ。こんな不貞腐れては日本は終わりだ)。なんだ? 要件があればすぐこちらで応対しよう」

 

「ふっ、なら手短に話そう。俺の要件は―――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいか、静かにな」

 

 

 

さすがは政府だ。俺の要件をすぐ鵜呑みにし、完璧に応対してくれたわ。俺は政府からもらったのを勢いよくあけて、その突起した部分を口の中に入れる。そのまま頬の形態が変わるように息を吸い込み、口に含む。あぁ~、うめぇ。

目がとろけそうであったが、ここが俺の家ではないことを再確認し慎重な顔を保ち続ける。

 

 

 

「うん、ありがとう烏間さん」

 

「全く欲しいのが『ゼリージュース』とは……。これが本当に以前まで要注意人物とは、とても思えない」

 

「なにそれ初耳。俺、国に危険扱されてたの?」

 

「い、いや!? それは別にそのようなことではなく、ただやはり君の『体』はなんというか、そのあれだ! 一般人とはかけ離れているため、多少我々も君を特別視しているというわけだ」

 

 

 

信じられない事実を言われ若干気分悪くなったが、そんな様子を言われた俺を見かねて烏間さんが慣れない笑顔を俺に向けてくる。やめてくれ、俺に同情しないでくれ!

くっ、これがイケメンの余裕というやつか。

 

 

 

「それでだ、話を聞いてくれないだろうか? 君にとっては悪い話ではない。」

 

「それは内容にもよりますけど、聞く価値を測るのは俺なのでね。まぁ、意味もないつまらない内容なら………わかりますよね」

 

 

 

少しばかり強調気味に言えば、烏間さんはどことなく緊張した表情しだす。政府が俺のことを多少知っているのなら、わかっているはずだと思う。いや、わかっていなくてこんなこと言い出した俺超恥ずかしいけどさ。

今までキチンと木の椅子に座っていたが痺れを切らすように、立ち上がり鉄格子まで近づく。鉄格子に手をかけて、烏間さんにさらに近づいた。やはりイケメンか、なんか遠近法でイケメンではないと思っていたが、そんなの関係なかった。

烏丸さんはそんな俺の行動を良く思っていないのか、体の全身とは言わないが多少何が起こっても対処できるように構えだす。

 

 

 

「………いいでしょう。どうせこんな鉄格子壊して脱走しても、政府が動いてちゃあ元も子もないですしね。いやはや、めんどくさいですね国というのは」

 

「最後まで聞く、でよろしいかな」

 

「えぇ、だいたい内容はわかりますからね」

 

「ありがたい。それでは、今回君を呼び出したことの経緯から説明させてもらう」

 

 

 

烏間さんは指で音を鳴らすと、鉄格子の先の天井から巨大なモニター現れた。なにそれ、すげぇ便利じゃん。指パッチンでテレビ出すとか、どこのSF映画だよ。

ためしに俺も指パッチンしたら、上からジュースが落ちてきた。………なんか解せないが、まぁ映画鑑賞とか思えばいいのかな。

 

 

 

「君も知っての通り、今年になって世界中に衝撃を与えた事件が発生した。君は知っているかね?」

 

 

 

あぁ、アレのことだね。そうそう、アレは凄いのなんのって話だよね。全米が泣いたり、欧州が踊ったりとかそんな衝撃だったよね。うんうん、いや? え、分かるに決まっているじゃないですか皆さん。だって世界中に知れ渡っている事件ですよ?

この世界の最先端といわれる俺がね? まさか知らないとかそんなわけないでしょ? ははははははははは!!

 

 

 

「タイガー・ウッ○の浮気騒動ですよね。いやはや、あいつ世の中の男性の敵ですよ。ね? 烏間さん」

 

 

 

あいつマジうらやま……許さないですよね

 

 

 

「そんな小規模なことではなく、月のことだ」

 

 

 

モニターには月が映し出される。だが、それは去年までの本来の月はない。すでに7割ぐらいが欠けておりこれからも満月は見られなく、三日月しか見られないと言えるほど酷い損傷をしている。

噂によれば月の実験で爆弾てきなのが暴発したり、宇宙人の仕業だったりとか憶測は飛んでいるけど、ぶっちゃけ興味ないよね。

別に月があろうがなかろうが、地球にはあまり影響ないしよ。いやまて、あの有名なセリフ『月が綺麗ですね』というのが言えないではないか!

月が半壊しているのを眺めて『月が綺麗ですね』というと、それはある意味死語である。

 

 

 

「この月をやった犯人が、名乗りをあげてきたのだ」

 

「…………は? いやいやいや、烏間さんそれはどこのイギリスジョークですか? それはなにも、ありえないでしょ。まさか本当にその犯人の言動を信じちゃったんですかウケる!」

 

「冗談ではなく、私たちも確信を得ている。月をやったのは………こいつだ」

 

 

 

次にモニターに映し出されたのは、とても興味深かった。それは俺のような人間ではなく、完全に人間ではない未知の生命体が写っていた。

黄色い肌をしており、触手のようなのが何本もあった。つか、タコを巨大化したらこんなもんだよな? というのが俺の感想だ。ここまで未知となると、そんなに驚かないよな。

画像とともに、その生物の映像も同時に流れた。

 

 

 

「こいつの特徴は映像で分かる通り、速度だ。瞬間的に加速し、捕まえることもほぼ不可能。最高速度はマッハ20、そしてこの奇妙奇天烈な触手。この二つを兼ね備えている限り、我々ではとうてい手も出せないのでいる」

 

「もちろん、軍の最新兵器でもですか?」

 

「あぁ。遠距離武器、近距離武器。装甲車や空母など、当たらない限りやつは無敵だ」

 

「打つ手無しじゃないですか」

 

「そういうことだな。しかも、こいつは来年の三月に地球を滅ぼすと、世界中に宣言している」

 

 

 

マジですか、ヤバいいじゃないですか。ヤバいどころか、地球滅亡の危機……そして、俺の童貞卒業までの猶予がのこり一年。……マジかよ。

え、マジかよ!!? これはヤバい通り越して、絶望もすら通り越すレベル。地球滅亡とか、は? なにソレだよ。彼女が一生できない可能性のほうが、最悪だよ!

 

 

 

「か、かかかか烏間さんどうしよう!! 俺、一生童貞のままかも知れない!! つか、彼女ができないというのはツラすぎて死んでしまいそう!:

 

「問題はそこではないだろ! いいかね、このままでは地球が滅ぶかもしれないのだぞ! この生物を殺さない限りでは、いつになるのかも検討もつかん」

 

 

 

未知の生物は映像越しだが、先ほどから『ヌルフフフ』と笑い声を出している。しかも音量も最高先端のおかげで、とても心地よく聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

コロス

 

 

 

 

「君に今回呼んだのは他でもない、この生物を殺してほしいのだ。もちろん、こいつを殺しても罪に問われない。報酬は100億、勿論交渉によっては上がることもある。ただし、そのかわりと言ってはなんだが」

 

 

 

先ほどから邪魔でしょうがなかった手錠をごり押しで外し、鉄格子に手をかける。そして丁度俺が出入りできるぐらいに鉄格子を曲げる。

許すまじ、このタコ型星人が。マッハ20? それがどうした、運よく捕まえて、殴れば終わりよ。触手? そんなもん、二度と生えてこないよう潰すのみ。

俺の行動と雰囲気に烏間さんはのまれ、唾をゴクリと飲んでいる音がしだす。

 

 

 

「(資料にあったように、この子はやはり凄まじい。あのタコも化け物だが、この子も………)」

 

「早く、そのタコヤローまで案内してください。俺が殺してやります」

 

 

 

地球滅亡とかあんまし信じてなかったけど、このタコならやりかねない。烏間さんの後を追いかけて、胸に決心を抱く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌルフフフ、今日からこのE組の転校してきた覇鐘 獅子くんです。みなさん、どうぞ仲良くしてくださいね」

 

 

 

俺はなぜか中学生になっていた。


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