女神科高校の回帰生   作:Feldelt

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一角獣/奇跡の可能性

高速で両者がすれ違う度に火花が散る。

 

火花が散る度に両者は距離をとる。

 

だが、赤い残光をたたえて突撃する凍月 影には、

残されている時間は少なくなっていた。

 

 

----------

 

 

「うぐっ...脳へフィードバックされる情報が多い...

 もう保つかわからんが...それでも...!」

 

「脳に直接とは...とんだ無茶だね...まさかあそこ

 に帰る気なんてないとはね...」

 

虚夜が核心を突くも、今の俺にはさしてほどの関係は無いように思えた。

 

「うっさい...最初から...そうだからな...!」

 

気づけば左目から血を流していた。

身体の何処かが動かなくなりそうな気もする。

けど、それでもこいつだけは倒す。

 

「へぇ...覚悟、か...」

 

虚夜もまたファランクスを構え直す。

 

...そして一瞬の間の後、再び両者はぶつかり合った。

 

「うらぁぁぁ!」

 

右のスラッシュバレットで斬りかかる。もう何度目だろうか。

 

「見切った。いくら速くとも、ねっ!」

 

虚夜のファランクスは正確にスラッシュバレットを弾き、

ついでと言わんばかりに弾かれた際に伸びた左腕に

ファランクスを突き刺す。

 

穴の空いた左腕は火花を散らす。

だが、袖口に仕込んだビームサーベルが、

虚夜の右手をとらえた。

 

そして、その直後に左腕は爆散した。

 

「っく...やってくれるね...」

 

距離を取っても右手首から先は無くなった虚夜と、

左腕が無くなった俺。未だ戦況は分からない。

 

「仕留めきれないとは...」

 

だが、両者共に満身創痍なのも事実ではあった。

 

「武器を飛ばされた上に利き手を消されるとはね...!」

 

しかし、これは対等な条件での話。

虚夜の話だ、対等にしてくれるはずなどないだろう。

 

「ま、虚像なんだけど。」

 

そう言って、深手を負わせた虚夜は消え、

本物の虚夜が目の前に現れた。

 

「やぁ...影君...今まで十分私の世界で踊ってくれたね。

 どうもありがとう。特別に、本物のこの私が相手してあげる。

 だから...とっとと消えて...?」

 

「断る......!?」

 

突撃しようとしたときには右足首から先が飛んでいた。

目にも止まらぬ速さだった。

 

「がっ...ちっ...くしょぉぉぉ!」

 

〈strike fome〉

 

「ついでに...持ってけ...理性も全部...!」

 

鎧装装着の機能を全て発動し、二分だけ、

無茶しまくって奴を倒す。

 

生き残れるかどうかは神のみぞ知る。

だから...俺の女神に問う。

 

「ブラン...俺の命...預けた...」

 

こうして、極黒のオーラから微かに見える紅い光と、

紅く光るその目は、虚夜ですら少しは動揺させたようだ。

 

「悪魔、か...それとも堕天使か...どちらにせよ私の敵...

 勝負しようか影君...今度は、固有ありでね...」

 

 

----------

 

 

この戦いの終焉は、果たして平和か、新たなる動乱か。

結局、何のための戦いか。いずれにせよ、凍月 影は、

 

 

「お前を...倒す...!」

 

 




えぇ、まだまだ続きます。

次回、「孔雀/それは鮮やかに」

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