ようやく立ち上がった。
ようやく装備を新調出来た。
...ようやく、ブランを助けに行ける。
精神的余裕がようやく出来た。
やっとだ。やっと向かえる。
「おかえりえー君。さぁ、行くよ。」
「茜...あぁ、行くぞ...ギア、〈sevensword〉をくれ。」
「はいっ...!」
鎧装装着に装備が追加される。
背中に片刃剣を二本、両袖にビームサーベルを一本ずつ、
両腿にスラッシュバレットを一本ずつ。そして、左腰に混影。
これが、〈sevensword〉。
「行くぞ...凍月 影、〈sevensword〉、出る...!」
V·サー·タワーから、黒き翼が羽ばたいた。
「んじゃー、アクエリウスとか来たらよろしく。
仙道 茜、神姫鎧装、いっくよー!」
紅の少女もまた、空に躍り出た。
----------
「待ちくたびれたよー、いじめ倒すのも飽きてきたし、
やっと来てくれるんだね、凍月君。」
虚夜の声が響く。
連れ去られてからどれだけ時間が経ったろう。
虚夜が何もしない筈もなく、私は酷く痛め付けられた。
もともと頑丈だからどうにか耐えてはいるも、影が遅いことは
到底予想がつかなかった。
「良かったねー、ブランちゃん。来てくれるよ、凍月君が。」
「今更かよ...影に何しやがった...」
「囚われの身だというのに威勢は削がれぬ、か...ピスケスは
寝てるからエグい拷問も出来ないしなー。変態を呼ぶのは私が
嫌だし。まぁ、楽しむだけ楽しませて消すのも悪くないよねー。
腕からちょんぎって痛め付けたりとかね...あぁ、サジットと
君は特別だよ?サジットは亡き者にして怒りと悲しみを植え付ける。
君は生かしておかないと彼を誘い込めないからね...きゃはは。」
「なんだと...明を、殺しただと...!?」
枷と鎖が音をたてる程に私は暴れようとした。
十字架に磔状態でもそれぐらいは出来る。
「もっとも、凍月君が来たら...君はどうなるのか、
私の気分次第だけどねぇ!」
痛烈な蹴りが私の腹に当たる。
「がっ...ごふっ...」
呼吸が出来るまでは少し時間がかかった。
「さて...作戦通りアクエリウスは敵陣へ出撃...
リブラ、ヴァルゴ、せめてものおもてなしをしておいで。」
通信機で虚夜は指示を出した。
「悪ぃ影...私は何も出来ねぇ...」
気づいたら私は、意識を失っていた。
----------
「えー君!ヴァルゴとリブラだよ!戦ったことあるよね?」
茜が領域捕捉で敵を捉えた。
「あるよ...どっちも苦戦した。」
「あ、そう...じゃ、この剣に足を乗せて。」
「はい...?どゆこと?」
「ごちゃごちゃ言わない。時間圧縮の節約したいんでしょ?」
「何でもお見通し、か...頼む。」
茜の両手剣に両足を乗せる。
「いっけぇぇぇ!」
瞬間、一気に射出された。
脚に結構な衝撃が走って少し痺れたが、無茶苦茶な速度のおかげで
ヴァルゴとリブラを抜き去った。そして、敵の本丸へ突入する。
「きゃはは、やっと来たね凍月君。
ようこそ。私の世界に。」
敵の首魁、虚夜は笑っていた。
遂に影vs虚夜。
えぇ、一回では終わりません。
ブランはちゃんと癒されるべき。
次回、「冠/頂点から見えるもの」
感想、評価、活動報告での各種リクエスト等、お待ちしてます。