女神科高校の回帰生   作:Feldelt

87 / 95
烏/光に向かう翼

ようやく立ち上がった。

ようやく装備を新調出来た。

 

...ようやく、ブランを助けに行ける。

 

精神的余裕がようやく出来た。

やっとだ。やっと向かえる。

 

「おかえりえー君。さぁ、行くよ。」

「茜...あぁ、行くぞ...ギア、〈sevensword〉をくれ。」

「はいっ...!」

 

鎧装装着に装備が追加される。

背中に片刃剣を二本、両袖にビームサーベルを一本ずつ、

両腿にスラッシュバレットを一本ずつ。そして、左腰に混影。

これが、〈sevensword〉。

 

「行くぞ...凍月 影、〈sevensword〉、出る...!」

 

V·サー·タワーから、黒き翼が羽ばたいた。

 

「んじゃー、アクエリウスとか来たらよろしく。

 仙道 茜、神姫鎧装、いっくよー!」

 

紅の少女もまた、空に躍り出た。

 

 

----------

 

 

「待ちくたびれたよー、いじめ倒すのも飽きてきたし、

 やっと来てくれるんだね、凍月君。」

 

虚夜の声が響く。

連れ去られてからどれだけ時間が経ったろう。

虚夜が何もしない筈もなく、私は酷く痛め付けられた。

もともと頑丈だからどうにか耐えてはいるも、影が遅いことは

到底予想がつかなかった。

 

「良かったねー、ブランちゃん。来てくれるよ、凍月君が。」

 

「今更かよ...影に何しやがった...」

 

「囚われの身だというのに威勢は削がれぬ、か...ピスケスは

 寝てるからエグい拷問も出来ないしなー。変態を呼ぶのは私が

 嫌だし。まぁ、楽しむだけ楽しませて消すのも悪くないよねー。

 腕からちょんぎって痛め付けたりとかね...あぁ、サジットと

 君は特別だよ?サジットは亡き者にして怒りと悲しみを植え付ける。

 君は生かしておかないと彼を誘い込めないからね...きゃはは。」

 

「なんだと...明を、殺しただと...!?」

 

枷と鎖が音をたてる程に私は暴れようとした。

十字架に磔状態でもそれぐらいは出来る。

 

「もっとも、凍月君が来たら...君はどうなるのか、

 私の気分次第だけどねぇ!」

 

痛烈な蹴りが私の腹に当たる。

 

「がっ...ごふっ...」

 

呼吸が出来るまでは少し時間がかかった。

 

「さて...作戦通りアクエリウスは敵陣へ出撃...

 リブラ、ヴァルゴ、せめてものおもてなしをしておいで。」

 

通信機で虚夜は指示を出した。

 

「悪ぃ影...私は何も出来ねぇ...」

 

気づいたら私は、意識を失っていた。

 

 

----------

 

 

「えー君!ヴァルゴとリブラだよ!戦ったことあるよね?」

 

茜が領域捕捉で敵を捉えた。

 

「あるよ...どっちも苦戦した。」

「あ、そう...じゃ、この剣に足を乗せて。」

「はい...?どゆこと?」

「ごちゃごちゃ言わない。時間圧縮の節約したいんでしょ?」

「何でもお見通し、か...頼む。」

 

茜の両手剣に両足を乗せる。

 

「いっけぇぇぇ!」

 

瞬間、一気に射出された。

脚に結構な衝撃が走って少し痺れたが、無茶苦茶な速度のおかげで

ヴァルゴとリブラを抜き去った。そして、敵の本丸へ突入する。

 

「きゃはは、やっと来たね凍月君。

 ようこそ。私の世界に。」

 

敵の首魁、虚夜は笑っていた。




遂に影vs虚夜。

えぇ、一回では終わりません。
ブランはちゃんと癒されるべき。

次回、「冠/頂点から見えるもの」

感想、評価、活動報告での各種リクエスト等、お待ちしてます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。